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ClaudeがGoogleドキュメント・スプレッドシート・スライドに対応|導入設定と統制

ClaudeがGoogleドキュメント・スプレッドシート・スライドに対応|導入設定と統制

ClaudeがGoogleドキュメント・スプレッドシート・スライドに対応|導入設定と統制

ClaudeがGoogleドキュメント・スプレッドシート・スライドに対応|導入設定と統制

公開日

Anthropicは2026年10月6日(米国時間)、Google ドキュメント、スプレッドシート、スライドの中でClaudeを使える「Claude for Google Workspace」をパブリックベータとして公開しました。あわせて、ClaudeのチャットからGoogleのファイルを作成・編集できる「Google Docs・Sheets・Slidesコネクタ」(ベータ)の提供も始まっています。

情シスにとっての論点は、「Claudeが社内のGoogleファイルにどの経路・どの権限で触れるのか」「Google管理コンソールとClaudeの管理画面のどちらで何を制御するのか」「データの保持や学習利用がどう扱われるのか」の3つです。本記事では、Anthropicの公式発表とヘルプセンターの情報をもとに、この3点を中心に整理します。

本記事のポイント

  • Claude for Google Workspaceは、Docs・Sheets・Slidesのファイル横にClaudeのサイドバーを表示するアドオン。1回のインストールで3アプリすべてに追加される

  • 同時公開のDocs・Sheets・Slidesコネクタは逆方向の入口で、Claudeのチャット側からGoogleファイルを作成・編集する

  • 対象はPro・Max・Team・Enterpriseの有料プラン。配布できるかどうかはClaudeのプランではなく、Google Workspace管理者のMarketplace設定で決まる

  • アドオンが読めるのは開いている1ファイルだけ。ファイル共有や権限付与はできず、リンク追加や外部画像の挿入は毎回承認が必要

  • ゼロデータ保持(ZDR)とAmazon Bedrockなどのサードパーティ推論はこのベータでは使えず、組織のカスタムデータ保持設定も引き継がれない

Claude for Google Workspaceとは|サイドバー型アドオンとコネクタの2つの入口

Claude for Google Workspaceは、開いているGoogleファイルの横にClaudeのサイドバーを表示するアドオン(Googleアプリに後から追加する拡張機能)です。同時に公開されたDocs・Sheets・Slidesコネクタはその逆で、Claudeのチャット画面からGoogleファイルを作成・編集します。

アドオンを使うと、アプリやブラウザのタブを切り替えずに作業できます。Claudeは開いているドキュメント、シート、デッキを読み取り、選択中のテキスト・セル・スライドを把握したうえで、ファイルの中を直接書き換えます。内容をチャットに貼り付ける手間がなくなる点が、従来の使い方との大きな違いです。プラン体系やモデルの全体像はClaudeの読み方・料金と企業での活用で解説しています。

Googleファイルに関わるClaudeの入口は、既存のGmail・カレンダー・ドライブ用コネクタを含めると3つになります。

項目

Claude for Google Workspace(アドオン)

Docs・Sheets・Slidesコネクタ(ベータ)

Gmail・カレンダー・ドライブコネクタ

作業の起点

Googleファイル内のサイドバー

claude.ai・Claude Desktopのチャット

claude.ai・Claude Desktopのチャット

Claudeが触れる範囲

開いている1ファイル(有効化したコネクタ経由の情報を除く)

接続したGoogleアカウントがアクセスできるファイル

接続したアカウントのメール・予定・ドライブ

主な用途

開いているファイルの編集・分析

新規ファイルの作成、複数ファイルにまたがる作業

メールや資料の検索・参照、ファイルの保存や共有

管理する人

Google Workspace管理者(配布)とClaude管理者(コネクタ・スキル・モデル)

Claudeのオーナー(Team・Enterprise)

Claudeのオーナー(Team・Enterprise)

Anthropicは、新しいファイルを作るときや作業が複数のファイルにまたがるときはClaude側から始めるのが適している、と説明しています。1つのファイルを仕上げるならアドオン、複数の資料を突き合わせて新しい資料を作るならコネクタ、と役割で分けて考えると整理しやすくなります。

Microsoft 365向けの「Claude for Microsoft 365」とは、同じサイドバー体験を提供する位置づけです。両方のスイートを使っている組織でも、利用者は同じ感覚で使えます。ただし、Amazon BedrockやGoogle Cloud Vertex AIなどを経由する推論はMicrosoft 365版のみの対応で、ExcelやWordの間でタスクを受け渡す「アプリ間で作業」もMicrosoft 365だけの機能です。

Docs・Sheets・Slidesでできること・できないこと

Claudeは開いているファイルと選択範囲を読み取り、その場で編集します。一方でベータ版のため、コメントへの返信やBigQuery接続シートの操作など、対応していない操作も明確に決められています。

アプリ別にできること

アプリ

主な機能

情シス業務での使いどころ例

Google ドキュメント

周囲の書式を崩さない文の修正、見出しスタイルの変更、長文の書き直し・再構成。大きな書き換えはサイドバーの「提案カード」で示し、適用か却下かを選べる

番号付きの要件を残したまま手順書を短くする、会議メモを「担当者・アクション・期限」の表に変える

Google スプレッドシート

数式の作成・修正、ピボットテーブルやSheets標準グラフの作成、タブの追加。結合やデータクリーニングではPythonで範囲を処理して結果を書き戻す

棚卸しシートの日付形式を統一する、VLOOKUPが#N/Aを返す原因を調べる、ハードコードされた値を洗い出す

Google スライド

デッキのレイアウトとテーマに沿った新規スライドの作成、既存スライドの調整。重なりやはみ出し、読みにくい文字の確認も行う

文字が詰まったスライドを2枚に分ける、月次報告にデッキの配色をそろえたグラフを足す

編集せずに質問へ答えることもでき、回答には根拠になった箇所が引用されます。「Q2タブとQ3タブで何が変わったか」「価格に触れているスライドはどれか」といった確認作業にも使えます。

サイドバーでは、普段のClaudeと同じモデル・コネクタ・スキルを使えます。公式発表では、顧客向けの四半期ビジネスレビュー資料を作る際に、Salesforceから取引履歴を、Googleドライブのコネクタから直近の商談メモを取り込む例が紹介されています。資料の型をスキルとして保存すれば、チームの誰が作っても同じ手順で仕上げられます。モデルはサイドバー下部で選べるため、用途に応じた使い分けはClaude Opus 5.5の解説やSonnet 5.5との使い分けがそのまま参考になります。

ベータ版の主な制限

ヘルプセンターに記載されている制限のうち、運用に影響しやすいものは次のとおりです。

対象

制限内容

3アプリ共通

開いているファイルでのみ動作し、Drive内の他のファイルを開く・作成する・コピーすることはできない。PDFとしてのエクスポートも不可

3アプリ共通

作業中にサイドバーを閉じるとタスクが止まる。1回の操作は最大6分で、大きな作業は段階的に依頼する必要がある

3アプリ共通

対応ブラウザはChrome・Edge・Safari。Firefoxはサイドバーが表示されても操作が完了しない。音声入力は使えない

ドキュメント

コメントの読み取り・返信・解決ができない。既存の提案を承認・却下できず、Claude自身の変更は提案ではなく直接編集として入る。ドキュメントタブの作成・名前変更・並べ替えも不可

スプレッドシート

BigQueryに接続されたシートは読み書きできない。トリガー、カスタムメニュー、スケジュール更新も作れない

スライド

Claudeが作るグラフは画像として挿入され、元データが変わっても更新されない。既存のリンク付きグラフも更新できない

コメントの扱いはアドオンとコネクタで異なり、チャット側のDocsコネクタはコメントや提案を読んで操作できます。レビューコメントへの対応をまとめて任せたい場合は、コネクタ側を使うほうが向いています。

対象プランと料金|有料プランが前提で、アドオン単体の価格は示されていない

Claude for Google Workspaceは、Pro・Max・Team・Enterpriseの各プランでベータとして利用できます。公式情報ではアドオン単体の料金は示されておらず、Freeプランは対象外です。

あわせて、Google Workspace MarketplaceのアプリをインストールできるGoogleアカウントであることも条件になっています。2026年10月7日時点のClaudeの料金ページの記載は次のとおりです(税抜)。

プラン

料金

適用される規約

Pro

月額$17(年払い時)、月払いは$20

消費者向け利用規約・プライバシーポリシー

Max

月額$100から

消費者向け利用規約・プライバシーポリシー

Team

スタンダードシート月額$20(年払い時、月払いは$25)、プレミアムシート月額$100(年払い時、月払いは$125)

組織の商用利用規約・データ処理補遺

Enterprise

シートあたり月額$20(年払い)+APIレートでの使用量

組織の商用利用規約・データ処理補遺

情シスが特に気にかけたいのは、右列の規約の違いです。ヘルプセンターによると、開いているファイルの内容やメッセージは、TeamとEnterpriseでは組織の商用利用規約とデータ処理補遺のもとで扱われ、ProとMaxでは消費者向けの規約のもとで扱われます。どのプランでもAnthropicはこのコンテンツをモデルの学習に使わないとされていますが、会社のファイルを扱う契約として何が適切かは、法務部門と確認しておくべき論点です。

Enterpriseプランでは、コンプライアンスAPI(利用データを外部の監視・監査基盤へ取り出すための仕組み)、顧客管理型暗号化キー(CMEK)、OpenTelemetry形式での監査ログのエクスポートといった管理機能が、このアドオンにも適用されます。

導入と配布の手順|Google側とClaude側の2つの管理画面を使い分ける

アドオンを配布できるかどうかを決めるのは、Claudeのプランではなく、Google Workspace管理者のMarketplace設定です。コネクタについては、Claude側のオーナーによる有効化と、必要に応じたGoogle側のアプリ信頼設定がそれぞれ必要になります。

アドオンの配布:個人インストールと管理者インストール

Marketplaceのインストールが許可されている組織では、利用者がGoogle Workspace Marketplaceの「Claude」リスティングから自分でインストールできます。1回のインストールでDocs・Sheets・Slidesの3つに追加され、ファイルを開いて[拡張機能]>[Claude]>[Claudeを開く]から起動します。初回はGoogleが2つの権限の許可を求め、続いてサイドバーでClaudeアカウントにサインインします。

組織としてまとめて配布する場合は、Google Workspaceのスーパー管理者が次の手順で管理者インストールを行います。

  1. スーパー管理者でサインインした状態で、MarketplaceのClaudeリスティングを開く

  2. 「管理者インストール」をクリックし、「続行」を選ぶ

  3. 「組織内のすべてのユーザー」か「特定のグループまたは組織単位」を選ぶ

  4. データアクセスと利用規約を確認して同意し、「完了」をクリックする

  5. 利用者に、開いているファイルの再読み込みを依頼する

多くの組織ではMarketplaceのインストールが既定でブロックされています。その場合の選択肢は、Google管理コンソールでClaudeを許可リストに加えて利用者自身のインストールを認めるか、管理者インストールで配布するかの2つです。管理者インストールは、利用者のインストールをブロックしたままでも機能します。

配布を取りやめるときは、Google管理コンソールのGoogle Workspace Marketplaceアプリのアプリリストから「Claude」を選んでアンインストールします。利用者が次にファイルを再読み込みした時点で、全員から削除されます。

コネクタの有効化

Docs・Sheets・Slidesコネクタを使うには、TeamとEnterpriseではオーナーかプライマリオーナーが組織レベルでコネクタを有効にし、そのうえで各利用者がGoogleアカウントで認証します。

認証時に「アクセスがブロックされています」と表示される組織では、Google管理コンソールの[セキュリティ]>[アクセスとデータ管理]>[API管理]>[サードパーティアプリのアクセスを管理]で、Claudeを信頼済みアプリに設定します。反映には15分ほどかかります。Docs・Sheets・Slidesのライブ編集は「Claude for Google Drive」と同じアプリを使うため、一度承認すればファイルの種類ごとに承認し直す必要はありません。

なお、チャット横のペインでファイルを開きながら編集する機能は、Chrome上のClaude WebかClaude Desktopの組み込みブラウザで動作します。Enterpriseプランでは組み込みブラウザが既定でオフのため、使わせる場合は設定の見直しが必要です。

管理項目と管理場所の対応

管理項目

管理する場所

担当

アドオンを誰に配布するか(全社・グループ・組織単位)

Google管理コンソール(Marketplaceアプリ設定)

Google Workspaceのスーパー管理者

利用者が自分でインストールできるか

Google管理コンソール(Marketplaceアクセス設定・許可リスト)

Google Workspace管理者

サイドバーで使えるコネクタ・スキル・モデル

Claudeの組織設定

Claudeの管理者

Docs・Sheets・Slidesコネクタの有効化

Claudeの組織設定(コネクタ)

オーナー・プライマリオーナー

コネクタのGoogle側での利用許可

Google管理コンソール(API管理)

Google Workspace管理者

コネクタの認可を組織としてどう統制するかは、Claude Enterpriseの認証管理ガイドで詳しく解説しています。

権限とデータの扱い|アクセスは開いている1ファイル、保持は原則30日

アドオンがGoogleに求める権限は2つだけで、Claudeが読み書きできるのは開いている1ファイルに限られます。入力と出力は原則30日以内にAnthropicのシステムから削除されますが、組織独自のデータ保持設定は引き継がれません。

Googleに要求する2つの権限

Googleが表示する権限

必要な理由

Googleアプリケーション内のプロンプトとサイドバーでサードパーティのウェブコンテンツを表示して実行する

Docs・Sheets・Slidesの中にClaudeのサイドバーを表示するため

このアプリケーションがインストールされているドキュメント、スプレッドシート、またはプレゼンテーションを表示および管理する

Claudeが開いた1つのファイルを読み取り、編集するため(他のファイルを開けないようGoogle側で制限される)

Drive、Gmail、カレンダー、連絡先へのアクセスや、ファイルから外部へ通信する権限は求めません。ただし、Google DriveのMCP(AIと外部ツールをつなぐ共通規格)コネクタが接続されている場合は、それを使って他のファイルを参照できます。この接続は既定でオフです。MCPコネクタの扱いを社内でどう決めるかは、MCP企業導入のセキュリティガイドを参考にしてください。

データの保持と学習利用

項目

公式情報での扱い

モデルの学習への利用

使用しない。Google Workspace APIから受け取ったデータは、GoogleのAPIサービスのユーザーデータポリシーに従って扱う

保持期間

入出力は原則30日以内に削除(Anthropicのプライバシー情報に記載された例外を除く)

組織のカスタムデータ保持設定

引き継がない

ゼロデータ保持(ZDR)

利用不可

サードパーティ推論(Amazon Bedrock、Vertex AI、Azure AI Foundry、LLMゲートウェイ)

このベータでは非対応。Claudeアカウントでのサインインが必須で、APIキーでは使えない

HIPAA対応組織

対象外。保護対象の医療情報を含むファイルでは使わない

サイドバーのチャット履歴

ブラウザ内にファイルごとに保存。デバイス間で同期されず、サイドバーの設定から削除できる

コネクタ経由で取得したデータ

Anthropicのサーバーにチャットとともに保持され、チャットを削除すると消える

Enterpriseで独自の保持期間を設定している組織ほど、「アドオンだけは標準の保持期間で動く」という差に注意が必要です。社内規程で保持期間を定めている場合は、アドオンを規程の例外として扱うのか、対象ファイルを絞るのかを先に決めておきましょう。

編集の記録と監査

Claudeの変更はGoogleによって利用者本人の名前で記録され、自分で行った編集と同じようにバージョン履歴に残ります。共同編集者はファイル上の変更とバージョン履歴は見られますが、サイドバーでの会話は見られません。

ファイル側の記録だけでは、「どの指示でClaudeが何を変えたか」までは追えないということです。編集の責任は利用者本人にあると利用ルールで明確にし、監査が必要な組織ではEnterpriseのコンプライアンスAPIや監査ログのエクスポートとあわせて設計するのが現実的です。

編集の承認と安全装置|既定は「編集前に確認」、共有や権限変更はできない設計

アドオンの既定は、変更のたびに利用者の承認を待つ「編集前に確認」モードです。モードにかかわらず、リンクの追加や外部画像の挿入などは毎回承認が必要で、ファイルの共有や権限付与はそもそも実行できません。

モード

動作

編集前に確認(既定)

実行しようとしている内容を平易な言葉で表示し、利用者が「許可」を押すまで待つ

すべての編集を受け入れる

通常のコンテンツ編集は止まらずに実行する。リンク、外部画像、ウェブアドレス、ファイルへのアクセス権に関わる操作では承認を求めて一時停止する

ウェブアドレスからの画像挿入、リンクの追加、アクセス権の削除の3つは「セキュリティレビュー」として扱われ、どちらのモードでも承認が必要です。「常に許可」の選択肢もありません。さらに、ファイルの共有、アクセス権の付与、オーナーの変更、メニューや定期実行の自動化の作成、任意のウェブページの読み込みは、依頼されても拒否されます。

一方、チャット側のGoogleドライブコネクタは、ファイルの共有・移動・削除を実行できます。既定では操作ごとに承認を求めますが、TeamとEnterpriseではオーナーが「毎回の確認なし」を許可することもできます。アドオンとコネクタで安全装置の強さが違う点は、利用者向けの説明に含めておきたいところです。

社外ファイルとプロンプトインジェクション

ファイルには、白い文字や極小フォントで隠された第三者の指示が含まれていることがあります。AIにこうした指示を実行させる攻撃をプロンプトインジェクションと呼びます。Claudeはドキュメントの内容を命令ではなくデータとして扱い、見つけた隠しテキストにラベルを付け、ファイルの共有やリンクの取得、誰かへの連絡といった文書内の指示には従わないよう設計されています。

それでもAnthropicは、特に社外から受け取ったファイルでは、承認する前に提案内容を確認するよう求めています。取引先から届いた資料をそのままClaudeに処理させる業務がある部署では、「すべての編集を受け入れる」を使わない運用が安全です。攻撃の手口と対策はプロンプトインジェクションの解説でまとめています。

情シスの活用ポイント|情報の取り入れ方と、展開前に決める統制ルール

Claude for Google Workspaceは、機能の多さより「経路」「契約」「ベータの制約」の3つの観点で整理すると、判断を誤りにくくなります。そのうえで、情シス自身の業務で小さく試し、全社展開の前に統制ルールを決める流れが安全です。

情報を取り入れるときの3つの観点

1つ目は、経路で分けて考えることです。アドオンは開いている1ファイル、Docs・Sheets・Slidesコネクタは利用者がアクセスできるファイル全体、ドライブコネクタは共有や削除まで、と扱える範囲が段階的に広がります。ニュースで「ClaudeがGoogleドキュメントに対応」と一括りにされていても、社内で許可する対象は経路ごとに決められます。

2つ目は、契約で分けて考えることです。アドオンをインストールできるかどうかはGoogle側の設定で決まり、対象プランには個人向けのPro・Maxも含まれます。この2つを合わせると、Marketplaceを制限していない組織では、従業員が自分でアドオンを入れ、個人契約のClaudeアカウントで会社のファイルを処理する使い方も仕組み上は起こり得ます。会社が把握していないAI利用、いわゆるシャドーAIのリスクと対策の観点からも、Marketplaceの設定はまず確認したい項目です。

3つ目は、ベータであることを前提に追うことです。対応ブラウザ、コメント操作、サードパーティ推論など、現時点の制限の多くは今後変わる可能性があります。一度の調査で結論を固めず、ヘルプセンターの更新を定期的に確認する担当を決めておくと、ルールの見直しが遅れません。

情シス自身の業務で試すなら

最初の検証には、社外秘度が低く、効果が見えやすい情シスの定型業務が向いています。

  • SaaSやアカウントの棚卸しシートで、表記ゆれのある日付や部署名をそろえ、重複行を洗い出す

  • 長くなった社内手順書を、必須の手順を残したまま短く書き直す

  • 月次のIT運用報告スライドで、文字の多いページを分割し、数値をグラフにまとめる

いずれも「編集前に確認」モードのまま、提案内容を一つずつ確かめながら進められます。社内で展開するときの使い方の手本にもなります。

展開前に決めておきたい統制ルール

ルール

決める内容

主な設定場所

配布範囲

全社か、パイロット部署の組織単位からか

Google管理コンソール

利用するアカウント

会社契約(Team・Enterprise)のClaudeアカウントに限るか

社内規程・Claude組織設定

編集モード

「すべての編集を受け入れる」を認める業務・認めない業務

社内規程(利用者が切り替え)

対象外のデータ

ZDR非対応・カスタム保持非継承を踏まえ、扱わせないファイルの区分

社内規程

コネクタ

Docs・Sheets・Slides、ドライブ、Gmailの各コネクタを有効にするか、確認なし操作を許すか

Claude組織設定

監査

コンプライアンスAPIや監査ログのエクスポート先と確認頻度

Claude組織設定・SIEMなど

ルールは社内のAI利用ガイドラインに追記しておくと、利用者への周知と更新がしやすくなります。盛り込む項目の考え方はAI利用ガイドラインの作り方が参考になります。

Googleアカウントに連携しているサードパーティアプリの棚卸し方法は、生成AIの利用状況を可視化する手順で解説しています。ドライブコネクタ経由で共有設定が変わる可能性も考えると、Googleドライブ上で外部に公開されているファイルを外部共有コンテンツ管理で継続的に検知できる状態にしておくと安心です。社員がブラウザから使っているAIサービスと利用者を把握したい場合は、AdminaのシャドーAI管理機能でClaudeを含むAIサービスへのアクセスを可視化できます。

企業規模別|情シスが今やるべきこと

50名未満の企業

  • Google管理コンソールで、Marketplaceアプリを誰でもインストールできる設定になっていないか確認する。専任の管理者がいない組織ほど、初期設定のまま運用されていることがあります

  • 会社のファイルでClaudeを使うなら、個人契約のPro・Maxではなく、商用利用規約が適用されるTeamプランで揃える方針を決める

  • 利用者には「編集前に確認」モードのまま使うことと、社外から届いたファイルでは提案をよく確認することを伝える

50〜300名の企業

  • 管理者インストールで、情シスやパイロット部署の組織単位から配布を始める。Marketplaceの許可リストを使うより、配布先を管理しやすくなります

  • Docs・Sheets・Slidesコネクタとドライブコネクタを有効にするかを決め、ドライブの共有・移動・削除は「毎回確認」を残す

  • AI利用ガイドラインに、アドオンの利用範囲、扱わせないファイル、編集モードのルールを追記する

  • 退職者のClaudeアカウントやGoogleアカウントを確実に止められるよう、アカウントの作成・削除の運用を見直す

300名超の企業

  • コンプライアンスAPIとOpenTelemetry形式の監査ログを、既存のSIEM(ログを集約して分析する基盤)にどう取り込むかを設計する

  • カスタムデータ保持が引き継がれない点、ZDRとサードパーティ推論が使えない点を法務・セキュリティ部門と共有し、対象外にするデータ区分を決める

  • Google Workspaceの組織単位やグループの設計が配布範囲に直結するため、IdP(ID管理基盤)からのアカウント連携とあわせて見直す。Google Workspace側のID連携の動向はGWSのインバウンドSCIM対応で解説しています

  • すでにGeminiを全社展開している場合は、どの業務でどちらのAIを使うかの線引きと、ライセンスの重複を確認する

よくある質問(FAQ)

Q. 無料プランでもClaude for Google Workspaceは使えますか?
A. 使えません。対象はPro・Max・Team・Enterpriseの有料プランで、現在はベータ版として提供されています。あわせて、Google Workspace MarketplaceのアプリをインストールできるGoogleアカウントであることも条件です。

Q. Docs・Sheets・Slidesのそれぞれにインストールが必要ですか?
A. 必要ありません。Marketplaceから1回インストールすれば、3つのアプリすべての「拡張機能」メニューにClaudeが追加されます。

Q. ClaudeはGoogleドライブ内の他のファイルも読めますか?
A. アドオンは既定では開いているファイルしか読めず、この制限はGoogle側でかけられています。ただし、Google DriveのMCPコネクタを接続している場合は、それを通じて他のファイルを参照できます。他のファイルの内容を使わせたいときは、チャットに貼り付けるか添付するのが基本です。

Q. Claudeが編集した箇所は、後から本人の編集と区別できますか?
A. ヘルプセンターでは、Claudeの編集は利用者本人の名前で、自分で行った編集と同じようにバージョン履歴に記録されると説明されています。サイドバーの会話はブラウザに保存され、共同編集者からは見えません。「元に戻す」やバージョン履歴の復元で変更は取り消せます。

Q. Amazon Bedrock経由やゼロデータ保持の契約で使えますか?
A. このベータでは使えません。アドオンはClaudeアカウントでのサインインが必須で、APIキーやクラウド事業者経由の推論には対応していません。ZDRも利用できず、標準の保持期間が適用されます。

Q. Microsoft 365も併用している場合、同じように使えますか?
A. Claude for Microsoft 365と同じサイドバー体験を提供する位置づけなので、利用者は同じ感覚で使えます。ただし、サードパーティ推論への対応や、アプリ間でタスクを受け渡す機能はMicrosoft 365版のみです。管理面の条件が両者で異なるため、統制ルールはそれぞれ確認してください。

まとめ|アドオンとコネクタを分けて考え、Google側の配布設定から統制を始める

​Claude for Google Workspaceは、Googleのファイルの中でClaudeに直接作業させられるアドオンです。編集のたびに承認を求める既定モード、共有や権限変更をさせない設計、開いている1ファイルに限ったアクセス範囲など、企業利用を意識した作りになっています。その一方で、ZDRやカスタム保持には対応しておらず、ドライブコネクタは共有や削除まで実行できるという、経路ごとの違いもあります。

情シスがまず手を付けるべきは、Google管理コンソールのMarketplace設定です。誰がどのアカウントで使えるのかを決めてから、情シス自身の業務で試し、ルールを固めて配布範囲を広げていくのが確実な進め方です。最後に、確認項目をチェックリストにまとめます。

Claude for Google Workspace 導入前チェックリスト

  • Google管理コンソールで、Marketplaceアプリの利用者インストール設定を確認した

  • 配布方法(管理者インストール/許可リスト)と、最初に配布する組織単位を決めた

  • 会社のファイルで使うClaudeアカウントの契約形態(Team・Enterprise)を決めた

  • Docs・Sheets・Slidesコネクタ、ドライブ、Gmailの各コネクタを有効にするか決めた

  • ドライブコネクタの共有・移動・削除で「毎回確認」を残すか決めた

  • 「すべての編集を受け入れる」モードを認める業務と認めない業務を決めた

  • ZDR非対応・カスタム保持非継承を踏まえ、扱わせないデータの区分を法務と確認した

  • 社外から受け取ったファイルを扱うときの確認ルールを利用者に周知した

  • Enterpriseの場合、コンプライアンスAPIと監査ログの取り込み先を決めた

  • 個人契約のAI利用やGoogleアカウントに連携したアプリを把握する仕組みを用意した

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監修

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