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SaaSコスト削減の正しい進め方|無駄なアカウントを可視化して次のIT投資予算を捻出する情シス向け実践ガイド

SaaSコスト削減の正しい進め方|無駄なアカウントを可視化して次のIT投資予算を捻出する情シス向け実践ガイド

SaaSコスト削減の正しい進め方|無駄なアカウントを可視化して次のIT投資予算を捻出する情シス向け実践ガイド

SaaSコスト削減の正しい進め方|無駄なアカウントを可視化して次のIT投資予算を捻出する情シス向け実践ガイド

公開日

物価高やアカウント放置で膨らむSaaSコスト削減の解決策を情シス向けに解説。可視化・ノウハウ・リソース不足の壁を突破し、次のAI予算を捻出するための実践手順を提案します。マネーフォワード Admina等のツール活用法や、数百万〜2,000万円規模の削減に成功した企業事例も紹介しています。

SaaSの肥大化を防ぎコスト削減を成功させるために、アカウント整理や管理ツールの比較、導入プロセスをわかりやすく図解したインフォグラフィック。

SaaSコスト削減の重要性と本記事の全体像

この記事でわかること

  • ✓ 削減を進める5ステップ

  • ✓ 主要SaaSの値上げ一覧

  • ✓ 削減成功事例とツール選定基準

「SaaSコストが知らない間に膨らむ」とは、各部門が個別に契約したツールや退職者のアカウントが解約されずに放置され、実態を把握できないまま支払いだけが自動更新される状態を指します。企業の有償SaaS利用増加に伴い、こうした管理漏れのコストは深刻化する一方です。フリー株式会社が公表した調査によると、2年前と比較したSaaS利用数は95%以上が「増えている・現状維持」と回答しています(出典:フリー株式会社の情シスのSaaS利用実態調査レポート2025年版)。

この状況を放置すると企業の利益を圧迫しかねません。不要な出費を徹底的に可視化し、次の成長を支える投資予算を確保するための前向きなアプローチとして、システム管理部門が主導するSaaSコスト削減に取り組みましょう。

本記事では、情シス担当者がすぐに行動に移せるよう、SaaSコスト削減を進める5つのステップを中心に、コストが膨らむ原因・着手を阻む壁・成功事例・ツール選定基準を順を追って解説します。

なぜ今、SaaSコストが経営課題になっているのか(円安×値上げの実態)

近年の為替市場における急激な円安や、世界規模での物価高を背景に、多くのITベンダーがサービス価格を改定しました。ドル建て決済を行う外資系SaaSの急激なコスト高騰はもちろん、国内SaaSにおいてもインフラコストの上昇や人件費の高騰を理由とした値上げラッシュの実態が見られます。予算の変更が難しい状況下で、こうした突発的な運用コストの肥大化は利益を直接圧迫する大きなリスクです。

こうしたITコストの増加に歯止めをかけるべく、IT部門の管理手法も進化の必要性に直面しています。SaaS管理・運用・開発市場(SaaS for SaaS)という新領域が急成長している背景も、この課題意識にあります。デロイト トーマツ ミック経済研究所が2025年9月に発表した調査(要約元:デロイト トーマツ ミック経済研究所)によると、この市場は新領域として急速に立ち上がり、まさに成長の分岐点にあることが報告されています。

これからの時代における対策の切り札となるのが、SaaS管理プラットフォームです。これは、組織内で契約している各種クラウドサービスの利用状況やアカウント契約を一元的に可視化して制御するシステムを指します。Gartnerの予測によれば、2027年までに50%以上の組織がSaaS管理プラットフォームを使用して管理を一元化する見込みとなっています。これは、ExcelによるSaaS管理がコスト・セキュリティの両面で限界を迎えていることを示しています。

SaaS管理プラットフォームの導入はライセンス余剰の検出に強みがありますが、運用設計の工数と導入費用も見込んでおく必要があります。自社規模に合わない選択をすると、ツール費用が新たなコスト要因になるリスクもあるため、慎重な選定が求められます。

急激な市場環境の変化に柔軟に対応し、無駄のない強固な経営基盤を整えるために、自社の管理体制を見直す必要があります。

SaaSコストが知らない間に膨らむ5つの主な原因

社内で導入されるライセンスは増え続けており、管理の目が届かないところで不要な出費が積み重なっています。コスト増加の要因を整理し、自社の現状と照らし合わせて見直しの契機としましょう。

原因①:相次ぐ主要SaaSの値上げ影響

サービス提供元による価格改定は、企業のIT予算を直接圧迫する要因となります。実際に、Salesforce Professionalでは約7%(Enterpriseは約10%)の値上げが実施されたほか(出典:Salesforce 2023年価格改定)、Slackのビジネスプラスプランでも約20%の値上げが行われました(出典:Slack 2025年6月料金改定)。こうした主要ツールの価格高騰は、利用部門が多い企業ほど深刻なインパクトをもたらします。契約数が多いツールほど、単価上昇に伴う総額の跳ね上がりを未然に防ぐ手立てが必要です。

原因②:退職者の削除漏れと低頻度ライセンスの放置

メンバーの入れ替わり時に発生しやすいのが、アカウント管理の手間の隙を突いた無駄なコストです。退職した従業員のアカウントが削除されずに残っていたり、業務でほとんど使われていないライセンスが契約されたまま放置されたりするケースが後を絶ちません。利用頻度の極端に低いアカウントの放置は、利用実態を正確に把握できていないことが原因であり、余計な料金を支払い続ける最大の温床となります。

原因③:シャドーITと個別契約による機能重複

各部門が独自にツールを導入することも、全社的なIT予算を押し上げる大きな要因です。利用ツールが増え続ける中で、情報システム部門の関知しないシャドーITが発生しがちで、類似機能を持つツールを部門ごとに個別契約することで、同一組織内での機能の重複や無駄な支払いが生じています。同一機能に二重払いが生じるケースも珍しくありません。

原因④:自動更新契約の見落としによる継続

契約満了時期の把握漏れも、コストが削減できない構造的な問題です。多くのSaaSは自動更新が標準設定されており、解約期限までに所定の手続きを行わないと、不要になった契約が次の期間も自動的に継続してしまいます。契約更新タイミングの一元管理ができていない台帳運用のままだと、見直しの機会すら失われて無駄なコストが固定化されがちです。

原因⑤:生成AIツールの台頭と新たなAI予算の発生

業務プロセスの変革に伴い、IT支出における優先順位が劇的に変化しています。ChatGPTをはじめとする生成AIツールの急速な普及により、現場からは新たなツール予算の確保を求められる場面が増えました。既存のライセンスを最適化してコストを削減しなければ、新しいAI予算の発生が全体のコスト圧迫に直結し、企業のIT投資全体のバランスを崩す結果となります。

これら5つの原因によって肥大化したコストを削減するには、まず社内の利用実態を正確に可視化することが次へのステップとなります。

情シスがコスト削減に着手できない3つの壁(可視化・ノウハウ・リソース)

情シス部門がSaaSコスト削減になかなか着手できないのは、現場の問題ではなく、構造的なボトルネックによるものです。企業内でSaaS利用が急速に拡大する一方で、システムや体制の不備が3つの壁として立ちはだかっています。前掲の調査が示す通り、SaaS利用数が増加の一途をたどる中で、情シスが突き当たる具体的な障害は以下の3つです。

壁①:全社的な利用実態を「可視化」できない限界

最初の障壁は、社内で利用されているSaaSの全貌を正確に把握する方法が確立されていないことです。部門ごとに個別契約されたサービスや、従業員が個人的に登録した無料アカウントなど、情シスの管理が届かないシャドーITが散発的に発生します。結果として、企業全体における契約形態のバリエーションやアカウント総数をリアルタイムで追跡できず、無駄が発生しているポイントすら特定できません。台帳を手動で更新する作業にも限界があり、情報の不一致が日常化しているケースが多々見られます。

壁②:最適化を判断するための「ノウハウや基準」の不足

次に、把握したアカウントや契約情報をどのように整理すべきか、評価判断を行うための客観的な基準が社内に備わっていない点が挙げられます。どのツールをいつ見直すべきか、あるいは休眠アカウントをどのタイミングで無効化・削除すべきかといった共通ルールが存在しません。ツールの契約更新月や解約予告期限を管理する仕組みがないため、不要な契約が自動更新されてしまう事態も防ぎにくくなります。各部門の業務への影響を考慮しながら、どの程度のアカウント削減やプラン変更が可能かを情シス単独で推し量るには、実務ノウハウの観点から高いハードルがあります。

壁③:日常のインフラ・運用保守に追われる「リソース」の枯渇

最大とも言える要因が、実務を担当する人員の絶対的な時間と人手の不足です。情シスの本来の職務はヘルプデスク対応、社内インフラの保守管理、セキュリティ対策と、こなすべき業務は山積しており、担当者は日々これらの対応に追われています。突発的なシステムトラブルや新規PCのキッティング作業が優先されるため、緊急性の低いアカウント棚卸しや契約整理に充てるまとまった時間が取れません。定常業務の山を前にして、コスト最適化のような中長期的な改善タスクは後回しにせざるを得ないのが実情です。

このように、個人の能力や努力だけで解決を図るのには構造的な無理があります。属人的な運用から脱却し、自動化されたシステムや強固なプロセスを組み込むアプローチが求められています。

それでは、こうした数々のボトルネックを打破し、具体的なステップへ進むにはどのような解決策が必要となるのでしょうか。

情シスがSaaSコスト削減に着手できない「3つのボトルネック」の構造

▲ 情シスがSaaSコスト削減に着手できない「3つのボトルネック」の構造

SaaSコスト削減を進める5ステップと具体事例

SaaSコスト削減を確実に進めるためには、明確な手順に沿って取り組むことが重要です。以下では、情シス担当者がすぐに実践できる5つのステップと、各ステップに対応した成功事例を紹介します。

ステップ①:全社のSaaS利用実態を棚卸しして可視化する

最初に取り組むべきは、社内で契約・利用されているSaaSの全貌を把握することです。部門ごとのヒアリングや、クレジットカード・経費精算データの確認を通じて、情シスが関知していないシャドーITも含めて洗い出します。このステップで把握できていない契約が多いほど、後続の削減効果が大きくなります。

ステップ②:評価基準を定め、継続・縮小・解約を判断する

棚卸し結果をもとに、各ツールの継続可否を客観的な基準で判断します。たとえば、GXO株式会社が提唱する「SaaS選定フレームワーク(4軸評価)」は、セキュリティ・機能性・サポート・コストの観点からSaaSを評価するための指標として有効です。直近3ヶ月のログイン履歴や利用頻度データを組み合わせることで、継続すべきツールと整理すべきツールを明確に仕分けられます。

ステップ③:放置アカウントと重複契約を解消する

退職者のアカウント削除漏れ、長期間未使用のライセンス、複数部門で重複契約されている類似ツールを特定し、順次解約・統合します。解約にあたっては現場部門への影響確認と合意形成を並行して進めることで、業務の混乱を最小限に抑えられます。

ステップ④:契約更新管理の仕組みを整備する

棚卸し結果を台帳やSaaS管理ツールに集約し、各契約の更新日・解約予告期限・担当者を一元管理できる体制を構築します。更新日の30〜90日前に自動アラートが届く仕組みを設けることで、気づかないまま不要な自動更新が繰り返されるリスクを防止できます。

ステップ⑤:SaaS管理プラットフォームで継続的な最適化を自動化する

単発の棚卸しで終わらせず、継続的にコスト最適化を維持するために、SaaS管理プラットフォーム(SMP)の導入を検討します。ツールを活用することで、アカウント管理・契約追跡・利用状況レポートを自動化し、情シスの工数を大幅に削減できます。以下に、管理体制の構築や自動化によって具体的な成果をあげた企業事例を紹介します。

SaaSコスト削減に関するよくある質問(FAQ)

Q:SaaS管理ツールの導入コストと削減効果のバランス(費用対効果)は?

企業の規模に応じたツール選定が肝となります。例えば、50ID以下であれば永年無料で利用できるマネーフォワード Admina(51ID以上は1IDあたり300円から・要問い合わせ)や、500IDまで月額税込275円/IDで使えるOPTiMサスマネといった選択肢が代表的です。こうしたツールを活用して不要アカウントを削減すれば、浮いた予算が利用料を上回り、良好な費用対効果を得られます。

Q:部門独自で契約された「シャドーIT」を、現場の反発を招かずに集約・管理するコツは?

単に利用を禁止するのではなく、業務効率化の観点から対話を進めるアプローチが求められます。ヒアリングを通じて現場が抱える課題を理解し、情シス側でセキュリティ基準を満たした代替手段を提案するか、安全な利用ガイドラインを整備して公認化するプロセスを踏むとスムーズです。管理部門の一方的な押し付けではなく、現場の業務を支えるパートナーとしての関係構築が解決への近道となります。

Q:契約更新期限の見落としを防ぐための具体的な管理体制や自動化の方法は?

契約情報を台帳やツールに集約し、更新日の30日前や90日前に自動でアラートが届く仕組みを構築することを推奨します。担当者を主副の2名体制にして通知の埋もれを防ぎつつ、定期的な棚卸し作業をあらかじめスケジュール化しておく運用が実用的です。これにより、気付かないまま不要な自動更新が繰り返される損失を回避できます。

現場の反発を招かない「シャドーIT」の集約・公認判断フロー

▲ 現場の反発を招かない「シャドーIT」の集約・公認判断フロー

シャドーIT対策における「NGな対応」と「推奨されるアプローチ」の対比

▲ シャドーIT対策における「NGな対応」と「推奨されるアプローチ」の対比

まとめ

SaaSコスト削減は、単なる支出を抑える「守り」にとどまりません。無駄な支出を徹底的に省き、そこから創出した予算をAI導入などの「攻めのIT投資」へと転換していくことに真の価値があります。

急激な円安や相次ぐ値上げに対抗するには、利用されていない放置アカウントの削除や契約プランの見直しが欠かせません。こうした状況下で、個別管理の限界を突破して一元的な管理体制を整える動きが急速に拡大しています。市場全体でもSaaS一元管理への移行は急速に進んでおり、システムを活用した管理体制の構築は、今後の企業運営において標準的な選択肢となっています。

SaaSコスト削減で生み出した予算をAI投資へ転換する際は、まず削減額の試算値を経営層・財務部門と共有し、「削減できた分をAIツール予算として確保する」という合意を先に取り付けることが近道です。具体的には、①削減見込み額をもとに次期予算計画にAI枠を設ける、②パイロット導入するAIツールを1〜2本に絞って効果測定できる体制を整える、③効果が確認できた段階で本予算化する、という3段階のアプローチが現実的です。明日から情シス担当者が着手すべき具体的なアクションとして、以下のチェックリストを参考に現在の状況を整理することをおすすめします。

  • 全社で契約しているSaaSの最新料金と契約条件を確認した

  • ✅ 直近3ヶ月間ログインしていない放置アカウントを特定した

  • 現場が独自に導入した未承認ツールの有無をヒアリングした

  • ✅ 自動更新が発生する契約更新日を台帳に集約した

  • 一元管理を支援する専用ツールの情報収集を開始した

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。

SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。

従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。

中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。