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ホワイトハッカーとは?仕事内容・資格・最新の年収まで徹底解説

ホワイトハッカーとは?仕事内容・資格・最新の年収まで徹底解説

ホワイトハッカーとは?仕事内容・資格・最新の年収まで徹底解説

ホワイトハッカーとは?仕事内容・資格・最新の年収まで徹底解説

最終更新日

近年、ランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃が企業や公共機関の大きな脅威となっています。これに対抗する専門家として注目されているのが「ホワイトハッカー」です。ホワイトハッカーとは、高度なセキュリティ技術と厳格な倫理観(モラル)を持ち、合法的な手段でシステムの脆弱性を発見・対処するセキュリティ専門家のことです。

2025年5月に成立した「サイバー対処能力強化法(能動的サイバー防御法)」は、2026年10月1日の本格施行に向け、日本のサイバー安全保障を従来の「受動的防御」から「能動的防御」へと大きくシフトさせています。本記事では、ホワイトハッカーの具体的な仕事内容やブラックハッカーとの違い、必要なスキル、最新の年収相場、そして未経験からの現実的なキャリアパスを「です・ます調」で詳しく解説します。さらに、企業が今すぐ取り入れるべきセキュリティ対策や、具体的な国内企業の活用成功事例まで、情シス部門の視点を交えて徹底網羅します。

サイバー攻撃から組織を守るホワイトハッカーの仕事内容、推奨される資格、なるためのロードマップを解説するインフォグラフィック

ホワイトハッカーとは

本記事のポイント

  • ホワイトハッカーは、善意と合法的な目的でサイバー攻撃を防ぐ専門家です。

  • 2026年中施行予定の「サイバー対処能力強化法」により、能動的サイバー防御の需要が国家レベルで急増しています。

  • セキュリティ人材の需給は「人数の不足」から、高度な実務を完遂する「スキルの不足」へとシフトしています。

  • 未経験からでも、安全な学習環境の活用と資格取得がキャリアへの確実な近道になります。

ホワイトハッカーとは、高度な技術と倫理観を持ち、合法的にサイバー攻撃を防ぐ専門家です。

ホワイトハッカー(英語圏では主にWhite Hat HackerやEthical Hackerと呼ばれます)とは、コンピュータやネットワークに関する高度な専門知識と技術を駆使し、サイバー攻撃からシステムを守るセキュリティ専門家のことです。悪意を持ったハッカーと同じレベルの攻撃手法を熟知しており、実際にシステムへの疑似攻撃や侵入テストを行うことで、未知の脆弱性を発見し、事前に情報資産を守るための具体的な改善策を講じます。

日本のサイバー安全保障政策は、大きなパラダイムシフトの最中にあります。2025年5月に「サイバー対処能力強化法(重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律)」およびその整備法が国会で成立し、2026年中には、攻撃の予兆を事前に検知してサーバーへのアクセスやマルウェアの無害化措置を実施する「能動的サイバー防御(Active Cyber Defense: ACD)」に関する中核措置が本格施行される予定です(施行日は政府令で指定)。これにより、事後対応的な「受動的防御」から、攻撃者目線で先制的に弱点を塞ぐ「能動的サイバー防御」へ完全移行することになり、この役割を担えるホワイトハッカーの需要は官民を問わず急速に拡大しています。

まずは、ハッカーの分類と境界線から見ていきましょう。

ハッカー・ホワイトハッカー・ブラックハッカーの違い

ハッカーという言葉自体は、コンピュータ技術に極めて精通した人物を指すものであり、本来「悪者」を意味する言葉ではありません。しかし、その技術をどのような目的で使うかによって、以下のように明確な区分が存在します。

ハッカーの種類

活動の目的

合法性

具体的な行動例

ホワイトハッカー

システムの防御とセキュリティ強化

合法(所有者の合意と許可あり)

企業からの依頼に基づく脆弱性診断、ペネトレーションテスト

ブラックハッカー(クラッカー)

情報窃取、金銭目的、システム破壊

違法(不正アクセス、破壊行為)

ランサムウェア攻撃、個人情報の窃取、システムの乗っ取り

グレーハットハッカー

技術的探求、自己顕示(時に善意)

違法またはグレー(無許可)

無断で他者の脆弱性を探し、発見後に企業へ報告(時に金銭を要求)

ホワイトハッカーと他のハッカーを分ける決定的な境界線は、「所有者の明示的な許可(同意)」の有無にあります。例えば、グレーハットハッカーは「善意で脆弱性を教えてあげるため」という名目であっても、無断で他者のシステムにアクセスして調査を行います。これは日本の「不正アクセス禁止法」をはじめとする関連法規に即時抵触し得る重大な違法行為であり、どれほど高度な技術であっても犯罪者として処罰されるリスクがあります。正当なビジネスや防衛を担うのは、厳格に合意された枠組みの中で活動するホワイトハッカーのみです。

ホワイトハッカーの具体的な仕事内容

脆弱性診断

脆弱性診断は、企業のWebアプリケーションやネットワーク、クラウド環境に既知のセキュリティホールや設定ミスがないかを検査する基本的な業務です。情シス部門の視点では、単にサーバーの弱点を探すだけでなく、クラウド環境やSaaSのアクセス管理において「過剰な権限が付与されていないか」を確認することも広義の脆弱性診断に含まれます。Webアプリケーション特有の弱点を知るには、クロスサイトスクリプティング(XSS)の仕組みと対策も参照してください。

ペネトレーションテスト(侵入テスト)

ペネトレーションテスト(通称ペンテスト)は、脆弱性診断で発見された弱点が、実際に攻撃者に悪用可能かどうかを多角的な疑似攻撃シナリオで検証する手法です。「特定の部署へフィッシングメールを送り、そこから社内ネットワークの管理者権限を奪取できるか」といったリアルな侵入経路を検証します。これにより、単なる机上のチェックリストでは見抜けない、企業の実際の耐性を評価できます。

インシデントレスポンスとデジタルフォレンジック

万が一セキュリティインシデント(情報漏洩やマルウェア感染、ランサムウェア要求など)が発生した場合、ホワイトハッカーが即座に現場の対応にあたります。感染源の特定、マルウェアの隔離、ネットワークの遮断などの初動対応を行い、被害の拡大を防ぎます。その後、システムのデジタルフォレンジック(電子鑑識)を通じて侵入経路や被害の全容を解明し、再発防止策を立案する重要な役割を担います。

セキュリティ対策の提案と組織の強化

診断やテストの結果をもとに、企業が取るべき最適な防御策を設計します。ファイアウォールやEDRの導入から、SaaSの一元管理ツールの導入、従業員向けのセキュリティ教育、さらにはインシデント発生時の対応手順(プレイブック)の策定まで、技術と組織の両面から堅牢なセキュリティ体制を構築します。

ホワイトハッカーに必要な知識・スキルとAI時代の攻防

ビジネス視点でのリスク翻訳力

多くの記事がプログラミングやネットワークなどの「技術力」だけを強調しがちですが、第一線で活躍し高年収を実現するホワイトハッカーには「ビジネスコミュニケーション能力」が不可欠です。自動診断ツールとの違いは報告書の中身にあります。「SQLインジェクションが検出されました」と脆弱性名を羅列するだけでは経営層は動きません。「この穴を放置すると、ECサイトが停止し1時間あたり数百万円の機会損失になる。さらに個人情報漏洩による訴訟リスクやブランド毀損にも直結する」——このように、技術的リスクをビジネス上の経営リスクに翻訳して説明できるかどうかが、一般的なエンジニアとの分岐点となります。

プログラミングとネットワークの基礎

攻撃者の手法を本質的に理解するためには、プログラミング言語(Python、C、C++、Goなど)や通信プロトコルの深い知識が必要です。テストツールを自作して検証を自動化したり、不審なマルウェアのコードを逆コンパイルして解析したりするためです。また、TCP/IP、DNS、HTTPといったネットワークの基本構造を深く理解していなければ、通信経路に潜む脆弱性を的確に発見することは不可能です。

AI対AIのサイバーセキュリティ攻防戦

近年、攻撃者側が生成AIを悪用して精巧なフィッシングメールを瞬時に作成したり、マルウェアを自動生成したり、未知のゼロデイ脆弱性を高速で探索したりする事例が急増しています。さらに、システム侵入後にAIを用いて機密データを一瞬で自動検索する手口も現実化しています。

この「AIを用いた攻撃」に対抗するためには、防御側であるホワイトハッカーもAIを活用することが必須です。EDR(Endpoint Detection and Response)のログ分析や、セキュリティ監視(SOC)、脅威ハンティングにおいて、異常な振る舞いを機械学習で検知するスキルが現代のホワイトハッカーには求められています。通信経路の防御の全体像を整理する上では、WAFの仕組みとセキュリティ対策の原理を理解しておくことも非常に役立ちます。

コンプライアンス・関連法規の理解

ホワイトハッカーの活動は、常に法律の範囲内で行われなければなりません。「不正アクセス禁止法」をはじめ、能動的サイバー防御の法的枠組みを定めた「サイバー対処能力強化法」、「通信の秘密」、「個人情報保護法」に関する正確な知識が必要です。法的に許容される境界線を正しく理解することが、ブラックハッカーやグレーハットハッカーとの決定的な違いとなります。

ホワイトハッカーの年収と将来性

深刻な人材不足と求人倍率42.6倍の実態

これまで日本のサイバーセキュリティ業界では、「人材の数(約11万人の不足)」が最大の課題とされてきました(ISC2「Cybersecurity Workforce Study 2023」)。しかし、現在のデータでは、単純な「人数の不足」から、特定の高度な実務を完遂するための「スキルの不足」へと明確にシフトしています。世界のセキュリティ専門家の95%が現在の業務において「スキルギャップを感じている」と回答しており(ISC2「Cybersecurity Workforce Study 2023」)、特にAIセキュリティ、クラウド環境のセキュリティ、リスクアセスメントなどの高度な領域で顕著です。

人材不足の深刻さは、転職市場のデータにも顕著に現れています。レバテック株式会社が2026年1月に発表した「IT人材の正社員転職市場動向(2025年12月時点)」によると、IT業界全体の転職求人倍率が10.4倍という高水準である中、セキュリティ関連の正社員求人倍率はなんと42.6倍という極めて異常な水準に達しています。直近3年間でセキュリティ関連の正社員求人数は約2.5倍に拡大しており、官民を挙げたホワイトハッカーの獲得競争が激化しています。

ホワイトハッカーの年収:日米の格差

圧倒的な需要を背景に、ホワイトハッカーの年収は一般的なITエンジニアを大きく上回ります。日本におけるホワイトハッカー(セキュリティエンジニア)の平均年収は概ね580万円〜800万円のレンジがボリュームゾーンです。一方で、米国の平均年収は12万ドル〜15万ドル(約1,800万〜2,200万円以上)と圧倒的な差があります。この格差の背景として、米国企業がセキュリティを「経営資産を守るための投資」として捉えているのに対し、多くの日本企業が依然として「コスト」と見なす傾向があることが、業界調査で指摘されています。ただし日本でも、外資系企業や高度なインシデント対応を指揮できるトップクラスの人材、あるいは後述する「バグバウンティ」で活躍するトップハンターは、年収1,000万円から数千万円を稼ぐプレイヤーも多く存在します。

バグバウンティプログラムとVDP(脆弱性公開ポリシー)

企業が社内リソースだけで脆弱性を網羅することは難しく、外部のホワイトハッカーに成果報酬型で診断を依頼する「バグバウンティ(脆弱性報奨金制度)」の導入が国内でも急速に広がっています。また、バグバウンティを円滑に運用するために、企業は自社のシステムに対する脆弱性の報告窓口とガイドラインを定めた「VDP(Vulnerability Disclosure Policy:脆弱性公開ポリシー)」を制定し、外部からの報告を安全に受け入れるフローを整えることがこれからのセキュリティガバナンスにおける世界標準となっています。

ホワイトハッカー活用・セキュリティ対策におけるよくある失敗パターン

1. 「ツール導入=安全」という誤解による放置

高額なセキュリティツールやEDR、WAFをフルセットで導入し、表面上は脆弱性がないように見えても、実戦的な有効性評価を行わない企業が非常に多いのが現状です。どれほど優れたツールを導入しても、設定が不適切であったり、ログの監視・分析体制が整っていなければ、侵入した攻撃者を見逃すことになります。製品の導入そのものをゴールにしてしまうことは、最もありがちな失敗パターンです。

2. 脆弱性をビジネスリスクとして理解できない

外部のホワイトハッカーやセキュリティコンサルタントから脆弱性診断の報告書を受け取っても、書かれている専門用語の意味や、それがビジネスに与える影響(「顧客情報の漏洩による訴訟リスク」「システム停止による機会損失」)を経営陣や情シスが正しく理解できず、対策を後回しにしてしまうケースです。放置している間にブラックハッカーに侵入されるという最悪の結果を招きます。

3. 自社の内部体制(SaaS管理など)を放置したまま外部へ丸投げ

外部のホワイトハッカーにペネトレーションテストを依頼しても、自社内のシャドーITや、退職者のアカウント削除漏れなどの「内部管理」がずさんなままでは意味がありません。攻撃者は最も脆弱な「人の隙」や「管理の抜け漏れ」から侵入するため、自社の内部統制を並行して見直さなければ、どれだけ外部診断を行っても安全にはなりません。

企業がホワイトハッカー的思考を取り入れる方法と成功事例

企業防衛の第一歩は、SaaSのアカウントや権限管理をホワイトハッカー視点で見直すことです。

企業が自社をサイバー脅威から守るためには、外部の専門家に頼るだけではなく、自社の情報システム(情シス)部門に「攻撃者は自社のどこを狙うか」というホワイトハッカー的視点を定着させることが急務です。退職者アカウントの消し忘れや、社員が勝手に使い始めた「シャドーIT」は、攻撃者が最初に狙う入口となります。自社の情シスが攻撃者目線を持てているかどうかを問い直してみましょう。

企業規模別のSaaS権限管理アプローチ

  • 50名未満の企業:手動での管理やスプレッドシートでも対応可能です。ただし、入退社時のアカウント追加・削除フローを厳密にルール化し、抜け漏れを完全に排除する必要があります。

  • 50〜300名規模の企業:手動でのアカウント棚卸しは限界を迎えます。情シスが手動で棚卸しを行うと、1つのSaaSあたり数時間の工数がかかり、脆弱性を放置する期間が長くなります。この規模からは、SaaS管理ツール(SMP)の導入を検討すべきです。

  • 300名超の企業:ゼロトラストアーキテクチャの構築が必要です。IDaaS(Identity as a Service)と連携し、全社的な権限の最小化(最小特権原則)を自動的かつリアルタイムで維持する仕組みを組み込む必要があります。

増え続けるSaaSアカウントや権限を、情シスが安全かつ一元的に管理する具体的な方法については、SMP(SaaS Management Platform)の導入メリットと選び方でさらに詳しく解説しています。

【チェックリスト】SaaSの脆弱性を排除するホワイトハッカー的視点

  • [ ] 退職した従業員のSaaSアカウントは、退職当日に即座に無効化・削除されているか

  • [ ] 特権管理者(Admin)権限は、必要最小限の限られたメンバーにのみ付与されているか

  • [ ] 多要素認証(MFA)の適用が、全社員に対して例外なく義務付けられているか

  • [ ] 会社が許可していない「野良SaaS(シャドーIT)」の利用を検知し、可視化できているか

ホワイトハッカーの知見を取り入れた「日本企業の成功事例」

実際にホワイトハッカーの知見を活用して成果を上げている国内企業の成功事例をご紹介します。

事例1:富士通株式会社(Uvance Wayfinders)

  • 業種・規模:IT・サービス業 / 大企業

  • 導入時期:2024年(継続実施中)

  • 課題:多くの日本企業がセキュリティ製品を導入しながらも、実際の攻撃者目線での有効性評価を実施していないため、侵入された際の具体的なリスクや防衛体制の弱点が不明確であったこと。

  • 施策:元ハッカーの高度専門コンサルタントによる「Red Team(レッドチーム)テスト」を導入。物理的侵入や実際の攻撃者と同じ高度なハッキング手法を用いて、疑似攻撃を実施。

  • 成果:重大インシデントとなる「大穴」の検出率100%を達成。物理侵入の成功率はほぼ100%であり、約70%の組織でわずか1日以内にドメイン管理者権限を取得されるなどの現実を突きつけ、システムと防衛体制の有効性をリアルに可視化し再設計に成功。

事例2:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社

  • 業種・規模:情報セキュリティ・ITサービス / 中堅〜大手

  • 導入時期:2025年

  • 課題:サイバー攻撃が急増するなか、SOC(Security Operation Center)における24時間365日の有人監視運用が、高度化するインシデント処理のために人員の多大な負担とコスト増を招いていたこと。

  • 施策:世界トップクラスのCTFで優勝実績を持つホワイトハッカーの知見を活用し、AIが自動でログ分析・一次対応・切り分けを行うAI連携型のSOC運用体制を構築・導入。

  • 成果:監視運用の省力化と一次対応スピードの劇的な向上を達成。AIでは対処できない高度な未知の脅威が発生した際のみトップレベルのホワイトハッカーが介入する体制を構築し、高品質な防衛を低コストで維持することに成功。

事例3:株式会社シンクロ・フード(飲食店ドットコム)

  • 業種・規模:インターネットサービス(飲食店向けプラットフォーム運営) / 従業員数約100名規模

  • 導入時期:2024年

  • 課題:従来の外部ベンダーによる定期的な脆弱性診断では定型的なチェックに留まり、継続的に増大するセキュリティの穴への対策や費用対効果に限界を感じていたこと。

  • 施策:IssueHuntの成果報酬型「バグバウンティプラットフォーム」を導入し、世界中の外部ホワイトハッカーに対して継続的な脆弱性調査を依頼。

  • 成果:サービスリリース当初から長年放置されていたような、定型診断では見抜けない独自の未知の脆弱性(設定不備等)を発見・修正。また、報告された情報を社内開発チームに共有し、実践的なセキュリティ教育教材として活用することで、全社的なセキュリティ意識の向上を達成。

企業規模に応じた最適なSaaS権限管理アプローチの判断フロー

▲ 企業規模に応じた最適なSaaS権限管理アプローチの判断フロー

ホワイトハッカーになるための方法とキャリアパス

おすすめの国家資格と2026年最新の法制度改正

ホワイトハッカーを名乗るための必須資格はありませんが、客観的な実力の証明はキャリア形成において極めて有利に働きます。その第一歩となるのが、日本唯一のセキュリティ国家資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」です。

href="https://www.ipa.go.jp/jinzai/riss/data/index.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">IPA(情報処理推進機構)の公表データによると、2026年4月1日時点での登録セキスペ数は26,453名となっており、政府は2030年までに5万人へ引き上げる目標を掲げています。さらに、2026年4月からは「実務経験者に対する講習制度」が新設されました。これにより、所定の実務経験がある登録者は、従来の集合研修を伴う実践講習の代わりにオンライン講習のみで資格更新プロセスを完了できるようになり、多忙な実務現場での資格維持負担が大幅に軽減されることとなりました。

グローバルで評価される実践的セキュリティ資格

より実践的かつグローバルに技術をアピールしたい場合、以下の民間・国際資格が推奨されます。

  • CEH(Certified Ethical Hacker / 認定ホワイトハッカー):世界基準の「攻撃者の視点」を学び、脆弱性診断やセキュリティ対策に直結する知識を体系的に問う資格です。

  • CISSP:セキュリティ全般の高度な専門知識に加え、マネジメントやガバナンスの視点を証明する、実務者から経営層まで高く評価される最高峰の資格です。

  • OSCP(Offensive Security Certified Professional):実質的なハッキング技術が試される24時間のハンズオン実技試験。ペネトレーションテストの現場で最も評価される最難関資格の一つです。

未経験者が陥りやすい法的リスクと実務の現実

未経験者や学生が、独学を始める際、極めて陥りやすいのが「法的境界線の無視」です。例えば、テスト用OSとして有名な「Kali Linux」などを自分のPCにインストールし、システム所有者の事前合意なしに、学校のサーバー、近隣のWi-Fiネットワーク、一般のWebサイトなどに向け攻撃ツールやポートスキャンを実行する行為は、それだけで「不正アクセス禁止法違反」などの罪に問われる重大な犯罪行為です。「勉強のための動作確認だった」「悪気はなかった」という言い訳は一切通用しません。倫理観(モラル)を欠いた行為によって一度でも犯罪歴がついてしまうと、ホワイトハッカーとしてのキャリアは永久に絶たれます。

スキルを磨く際は、必ず合法的に用意された以下の練習環境を利用してください。

  • CTF(Capture The Flag)への参加:世界中で開催されている、セキュリティ知識を競う合法的コンテスト。

  • 学習用プラットフォームの活用:「Hack The Box」や「TryHackMe」など、意図的に脆弱性が作り込まれた学習専用の仮想空間。

  • ローカル仮想環境:自分のパソコン内にVirtualBox等を用いて閉じたテストネットワーク(外部と繋がっていない環境)を自作し、その中で検証を行う。

また、映画などで描かれる「瞬時にキーボードを叩いてサイバー攻撃を撃退する」といった格好いいホワイトハッカーのイメージは、現実とは大きくかけ離れています。実務のほとんどは、膨大なシステムログを1行ずつ解析する作業や、設定ミスの地道な洗い出し、不具合の報告書の作成、そして「経営層への粘り強い説明」など、非常に泥臭く、高い忍耐力が求められるものです。技術への純粋な好奇心と地道な作業を楽しめる適性が不可欠です。

未経験からホワイトハッカーになるための3ステップロードマップ

▲ 未経験からホワイトハッカーになるための3ステップロードマップ

ホワイトハッカーに関するよくある質問

Q:ハッカーは職業として成り立ちますか?

A:はい、十分に成り立ちます。セキュリティエンジニアやペンテスターとして企業に正社員採用されるルートと、バグハンターとして成果報酬で稼ぐルートの両方が整っており、国内外で非常に高い需要があります。

Q:未経験からホワイトハッカーになるための具体的な勉強方法は?

A:まずはコンピュータ、OS(Linux/Windows)、ネットワークの基礎知識を書籍やWebで学び、情報処理安全確保支援士などの資格取得を目指します。並行して、CTFや「Hack The Box」など安全に配慮された学習環境で、実際に手を動かす技術を養うのが王道のキャリアパスです。

Q:ホワイトハッカーと一般的なセキュリティエンジニアの違いは何ですか?

A:セキュリティエンジニアが「設計・構築・運用」によってシステムを保護する役割を担うのに対し、ホワイトハッカーは「実際の攻撃者目線で侵入を試みる」ことで、システムのセキュリティの穴(脆弱性)を発見・特定する攻撃的なアプローチを得意とする点が異なります。

Q:ハッキングを独学で練習するのは違法ですか?

A:自身の管理下にない、または所有者の明示的な同意がないサーバーやシステム、Wi-Fiネットワーク等に対して攻撃的な検証を行うことは、すべて「不正アクセス禁止法」に違反する犯罪行為となります。必ずCTFなどの安全が保証されたプラットフォームを利用してください。

ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの役割とアプローチの違い

▲ ホワイトハッカーとセキュリティエンジニアの役割とアプローチの違い

まとめ

サイバー攻撃が巧妙化・自動化する現代において、攻撃者の視点を持ち合わせて組織の安全を担保する「ホワイトハッカー」の重要性は一段と高まっています。2026年中施行予定のサイバー対処能力強化法は、この能動的なセキュリティアプローチをすべての企業、特に基幹インフラに関わる組織やそのサプライチェーンに義務付けています。これからの時代は人員数ではなくスキルの質が問われます。AIを使いこなせる高度なセキュリティ技術と、技術をビジネスリスクへ翻訳して経営陣に説明できる「ビジネス視点」の両方を持つ人材こそが、今後最も求められる存在となるでしょう。

企業においても、まずは自社のIT資産、特にアカウント削除漏れなどの脆弱性に繋がりやすい「SaaS管理」の見直しが、セキュリティ強化に向けた現実的かつ今日からできる最初の一歩です。退職者アカウントの放置やシャドーITをなくし、ホワイトハッカー的思考を取り入れた強固なセキュリティ体制を構築していきましょう。

✅ 今日からできるアクション

  • ✅ 退職者のSaaSアカウントの棚卸しを今週中に実施する

  • ✅ MFA(多要素認証)の未適用アカウントを洗い出し、全社員への適用を義務付ける

  • ✅ 会社が許可していない「シャドーIT(野良SaaS)」の利用状況を可視化・監査する SMP などのツール導入を検討する

  • ✅ 情シス担当者がCTFへ参加したり、セキュリティの勉強会を定期開催する制度を設ける

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。