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IDaaSとは?導入メリット・デメリットと失敗しない選び方を解説

IDaaSとは?導入メリット・デメリットと失敗しない選び方を解説

IDaaSとは?導入メリット・デメリットと失敗しない選び方を解説

IDaaSとは?導入メリット・デメリットと失敗しない選び方を解説

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最終更新日

複数のSaaSを利用する企業では、アカウントの作成・削除、アクセス権の変更、パスワード忘れへの対応が情シス部門の継続的な負担になります。利用SaaSの増加に伴うID管理の課題は、複数の調査で繰り返し報告されています。SaaSが増えるほど、各サービスに分散したIDを手作業で管理する方法は破綻しやすくなります。

IDaaSは、認証を一か所に集約し、SSO、多要素認証、アカウント連携、アクセスログの管理を行うクラウド型のID基盤です。単にIDとパスワードを保管する製品ではなく、誰が、どの条件で、どの業務システムを利用できるかを制御する仕組みとして設計します。導入を検討する情シス担当者に向けて、機能、導入効果、注意点、比較・選定の順に整理します。

IDaaSの基本概要や導入のメリット・デメリットをはじめ、SSOやMFA、SCIM連携といった機能と、導入で失敗しないための選定ステップを解説するインフォグラフィック。

IDaaSとは

IDaaSとは、組織内のIDを一元的に管理し、SaaSや社内システムへの認証・アクセス制御・アカウント連携をクラウド経由で提供するサービスです。

本記事のポイント

  • IDaaSは、SSOと多要素認証だけでなく、入退社に伴うIDの作成・無効化を自動化する基盤です。

  • 利用SaaSが増えた企業では、認証の統一とIDライフサイクル管理を同時に設計すると運用負荷を下げられます。

  • 製品選定では、連携可能なアプリ数よりも、人事システム・AD・業務アプリを含む自社の接続要件を先に確認します。

  • 障害時の代替ログイン手順と管理者用の緊急アクセスを設計すれば、IDaaSの単一障害点化を抑えられます。

IPAの公開資料では、IDaaSについてクラウド上のさまざまなサービスのID管理を一元的に行うクラウドサービスであり、認証・認可・ID管理・ID連携の機能を有するものとして解説しています。ここでいうプロビジョニングとは、利用者の入社、異動、退職に合わせて、アカウント作成・属性変更・利用停止を反映する処理です。

従来は、IdP、社内ディレクトリ、各SaaSの管理画面が個別に存在し、同じ人の情報を何度も登録する運用になりがちでした。IDaaSを認証の起点に置くと、利用者は一度の本人確認を経て必要なアプリへアクセスし、管理者は認証ポリシーとログを横断的に管理できます。

IDaaSは単独の便利機能ではなく、ゼロトラスト環境で「アクセスを許可する根拠」を管理するための土台です。

導入が進む背景

利用SaaSの増加と働き方の変化により、ネットワークの内外だけで信頼を判断する運用は成立しにくくなっています。

中小企業でも数十から100に近い数のSaaSを利用するケースが報告されています。MOTEXは2026年、同社製品利用企業を対象としたアンケートにおいて、IDaaSの導入率や検討状況に関する調査結果を発表しています(詳細は同社のニュースページを参照。対象は同社製品利用企業であり、国内企業全体の傾向とは異なります)。すべての企業に同じ構成が必要なわけではありませんが、アカウントが分散するほど統制コストが上がるという課題は共通します。

ITRは、2024年度の国内IDaaS市場売上金額が303億5,000万円で前年度比23.9%増になったと発表しています(ITR、プレスリリース、2026年4月公開)。IDaaSは、リモートアクセス対策だけでなく、人事イベントに連動したID管理、監査対応、パスワードレス認証へ対象を広げながら導入されている分野です。

▶ 関連記事: Entra IDとは?基本機能・ライセンス・ADとの違いを徹底解説

IDaaSで実現する主要機能

IDaaSの機能は、認証を集約するSSO、本人確認を強化するMFA、アカウントを連携するプロビジョニング、利用状況を追跡する監査ログに分けて考えると整理しやすくなります。

製品ごとに機能名は異なりますが、要件定義では「どの認証規格でつなぐか」「誰の情報を正とするか」「変更をどこまで自動反映するか」を明確にします。個別アプリのログイン画面を置き換えるだけでは、退職者アカウントの残存や権限過多の問題は解消しません。

SSOと認証フェデレーション

SSOは、一度の認証で複数のアプリケーションを利用できるようにする仕組みです。

シングルサインオンでは、IDaaSが認証を担うIdPとなり、利用するSaaS側はサービスプロバイダーとして認証結果を受け取る構成が一般的です。SAMLはXMLベースの認証連携規格で、多くの企業向けSaaSが対応しています。OIDCはOAuth 2.0の認可の仕組みを活用して認証情報を伝達する仕様であり、比較的新しいSaaSを中心に採用例が増えています。ただし、対応状況はSaaSごとに異なるため、連携対象アプリの仕様ページで確認します。どちらも個別サービスのパスワードをIDaaSが保管するとは限らず、認証結果を安全に受け渡すことでログイン回数を減らします。

標準連携に対応しないWebアプリでは、フォーム入力代行やリバースプロキシ型の連携が選択肢になります。ただし、画面変更で動作しなくなる場合があるため、認証連携の優先順位はSAML、OIDC、標準コネクタ、代替連携の順で評価します。

多要素認証と条件付きアクセス

MFAは、パスワードだけに依存せず、利用者本人であることを複数の要素で確認する仕組みです。

認証アプリによるワンタイムパスワード、プッシュ通知、FIDO2/WebAuthn対応のセキュリティキー、端末の生体認証、パスキーなどが代表的な方式です。SMS認証も利用できますが、SIMスワップやフィッシング耐性の観点では、フィッシングに強いFIDO2やパスキーを優先する設計が適します。

さらに、利用端末の準拠状況、接続元IPアドレス、国・地域、時刻、アクセスするアプリの機密性を条件にして追加認証や拒否を行うのが条件付きアクセスです。たとえば、社給端末からの業務利用は通常のMFA、未管理端末からの管理画面アクセスはFIDO2必須とするように、リスクに応じて認証強度を変えられます。

SCIMによるIDライフサイクル管理

SCIMは、ユーザーやグループの情報をIDaaSからSaaSへ標準形式で同期するための規格です。

SSOだけを導入しても、SaaS側に既存アカウントが残っていれば、利用停止の漏れは防げません。SCIM連携では、IDaaSでの採用・異動・退職の情報を契機に、アカウント作成、氏名や部署属性の変更、グループ付与、無効化を反映できます。ただし、実際に利用できる操作はSaaSごとのSCIM実装範囲によって異なるため、対象SaaSがどのSCIM操作に対応しているかは各製品の仕様ページまたはサポート窓口で確認します。退職時には、まず認証を停止し、次に連携先のアカウントとトークンを無効化する順序にすると、アクセス遮断を先行できます。

権限管理と監査ログ

権限管理では、個人単位ではなく部署・雇用区分・職務などのグループを基準にアクセスを付与します。

個人へ直接権限を積み上げる方式は、異動後も古い権限が残る原因になります。人事システムを源泉情報にし、属性に応じてIDaaSのグループを割り当てる構成なら、変更履歴を追いやすくなります。ログは「成功したログイン」だけでなく、失敗、MFA拒否、管理者操作、権限変更、プロビジョニング失敗まで取得範囲に含めます。SIEMへ連携するなら、APIまたはログ転送の可否と保持期間を選定時に評価します。

▶ 関連記事: SSOとは?シングルサインオンの種類や導入の落とし穴を解説

IDaaS導入のメリット

IDaaSのメリットは、認証強化と運用効率化を別々に進めるのではなく、IDの発行から停止までを一つの運用に統合できる点です。

費用対効果は月額料金だけで判断せず、パスワード問い合わせ、入退社対応、監査資料作成、利用されていないアカウントの棚卸しにかかる工数を含めて評価します。IDaaSの料金は製品・プラン・契約条件によって異なります。各製品の公式サイトまたは見積もり窓口で、プロビジョニング・ログ連携・条件付きアクセスが含まれるプランを確認することで、最安プランでは必要な機能が不足するケースを事前に判断できます。

アカウント運用工数の削減

人事情報とIDaaSを連携すると、入社・異動・退職に伴うアカウント処理を定型化できます。

HENNGEの公表事例によると、イノチオホールディングスでは、HENNGE OneとADの連携前に、ワークフローシステムや組織情報の変更に伴うID管理作業に相当の工数がかかっていたとされています。自社でも、月10件の入退社・異動があり、1件当たり複数SaaSで20分の作業が発生しているなら、対象アプリと担当者を棚卸しするだけで、まず月200分の手作業が見える化されます。

自動化の対象は作成処理だけではありません。休職、業務委託終了、出向、部署異動など、アクセスを止めるべきイベントを人事フローに定義して初めて、削除漏れの低減につながります。

パスワード対応と利用者体験の改善

SSOとフィッシング耐性のあるMFAを組み合わせると、利用者のログイン負担を抑えながら本人確認を強化できます。

ISR(アイ・エス・レーティング)がCloudGate UNOの導入事例として公表した資料によると、馬淵建設ではCloudGate UNO導入前にヘルプデスク業務の17〜20%を占めていたパスワード関連対応が導入後はゼロになり、社内の98%強がパスワードレス認証を利用しています。パスワードレス化は全アプリを一度に置き換える施策ではなく、まずIDaaSの認証画面と管理者権限を対象にすることで、効果と運用上の課題を確認できます。

アクセス統制と監査対応の向上

認証ポリシーをIDaaSに集約すると、アプリごとにばらついていたMFAや接続元制限の適用状況を把握しやすくなります。

退職者のアクセスを止める際は、各SaaSのアカウントを個別に削除する前に、IDaaS側の認証を無効化します。これにより、SSO連携しているサービスへの新規ログインを先に遮断できます。ただし、既存の有効セッション、長寿命トークン、サービス側のローカルログイン、APIキー、共有アカウントはIDaaSの認証停止では自動的に無効化されないため、別途対処が必要です。その後、SCIMや個別の削除手順でアカウント、APIトークン、共有メールボックス、特権ロールを確認します。認証停止だけで完了と扱わない点が実務上の要点です。

ログを集約すれば、監査時に各SaaSの管理画面からログを取り出す作業も減らせます。月次で「退職者の無効化」「管理者権限の変更」「MFA未登録者」「連携エラー」を確認する運用を置くと、導入後も統制を維持できます。

▶ 関連記事: SAML認証について

IDaaS導入時のデメリットと失敗パターン

IDaaSのデメリットは、IDaaSを中心に認証が集まることで生じる可用性、移行、設定、責任分界の課題であり、導入前の設計で影響を小さくできます。

クラウドサービスを使うこと自体が一律にリスクを高めるわけではありません。リスクは、事業者の可用性・監査体制、設定品質、データ所在、管理者権限の保護、契約上の責任分界によって増減します。IDaaSの導入目的を「SSOを使うこと」だけに置くと、既存アカウントや例外運用が残り、結果として管理対象を増やす失敗につながります。

単一障害点化と緊急アクセス

IDaaSに障害が起きた場合でも業務を継続するには、通常時の認証経路と緊急時の認証経路を分けて設計します。

すべてのSaaSをIDaaSの認証だけに依存させると、IDaaS障害、DNS障害、インターネット接続障害が広範囲の利用停止につながります。対策として、管理者用の緊急アクセスアカウントを通常のSSO対象外にし、強固なMFA、保管責任者、利用記録、定期テストをセットで管理します。緊急アカウントを作っただけで放置すると、古いパスワードや無効なMFAにより、必要なときに使えません。

検証では、IDaaSが利用できない想定で、メール、業務チャット、端末管理、基幹システムのどこまで操作できるかを確認します。代替ログインが確認できれば重要業務をIDaaSへ移行し、確認できなければ対象アプリの移行順序を後ろに置きます。

連携対象の見落とし

SSO対応アプリだけを数えて導入を始めると、独自システム、管理者アカウント、API連携用IDが移行から漏れます。

特に失敗しやすいのは、各部門が契約したSaaS、共有ID、外部委託先アカウント、サービスアカウントを棚卸ししないままSCIM連携を有効にすることです。ユーザー名やメールアドレスの重複、既存アカウントとの突合失敗、意図しない無効化が起こり得ます。まず読み取り専用の同期または少人数の検証グループで属性とグループを照合し、問題がなければ作成・更新・無効化を段階的に有効化します。

設定複雑化とリプレイス負荷

例外ルールを積み重ねるほど、IDaaSは便利な基盤ではなく、変更のたびに影響確認が必要な複雑な基盤になります。

MOTEXは2026年、同社製品利用企業を対象としたアンケートにおいて、IDaaSのリプレイス実施状況や検討状況、その理由に関する調査結果を発表しています(同調査はIDaaS導入済み企業が母集団であり、国内企業全体の傾向とは異なります)。同社の公表によれば、リプレイスの主な理由として運用・管理の複雑さや負荷が挙げられています。部門ごとの例外を無制限に許容するのではなく、標準の認証強度、グループ設計、申請経路、例外の有効期限を先に決めると、運用ルールが膨らむことを防げます。

データ所在と責任分界

契約前に確認すべきなのは、ID情報をどこに置くかだけでなく、障害対応、ログ保管、削除、インシデント通知を誰が担うかです。

対象・提供状況は契約プランや地域で異なるため、個人情報や認証ログの保存場所、暗号化、バックアップ、監査報告書、サポート時間、SLA、データ削除方法を同じ評価表に記録します。自社の保存要件とログ取得要件を満たすことが確認できれば限定検証に進み、満たせなければログ連携方式や対象データの見直しを先に行います。

IDaaS障害発生時における代替ログイン認証の判定フロー

▲ IDaaS障害発生時における代替ログイン認証の判定フロー

オンプレミスADとSaaSのID連携

オンプレミスのActive DirectoryとIDaaSは置き換えか共存かの二択ではなく、認証元・属性元・権限付与先を分けて連携する構成が一般的です。

MicrosoftはAzure Active Directoryの名称をMicrosoft Entra IDへ変更しています。既存のADを利用している企業では、ADにある利用者・グループ情報をIDaaSと同期し、SaaS認証をIDaaSで統一する構成から始めると移行範囲を抑えられます。ADを残す場合でも、どの情報を正とするかを明確にしなければ、複数のディレクトリで属性が食い違います。

人事システムを起点にする構成

入退社や異動を正確に反映するには、人事システムをID属性の源泉情報として定める構成が適します。

人事システムから氏名、社員番号、雇用区分、所属、役職、入社日、退職日を連携し、IDaaSでグループとアクセス権を決めます。IDaaSからADやSaaSへ反映する流れにすると、同じ属性を複数の管理画面で手修正する回数を減らせます。人事システムをID属性の源泉情報として活用する構成は、IDライフサイクル管理の精度を高める方法として実務で採用されていますが、各社の運用状況は時点や業種によって異なります。

人事情報を起点にできない場合は、ADを暫定的な源泉とし、変更の登録責任者と反映期限を定義します。源泉情報が二つ以上ある状態で双方向同期を始めると、意図しない上書きが起こるため避けます。

SCIMによるアカウント自動生成と削除

SCIM対応SaaSでは、IDaaSからユーザー属性とグループを同期し、アカウントの作成・変更・無効化を自動化できます。

アカウント連携の設計では、「作成」「変更」「無効化」「完全削除」「ライセンス回収」を別の処理として扱います。退職者のアカウントをすぐに削除すると、メールやファイルの引き継ぎ、監査ログの確認ができなくなる場合があります。退職日に認証停止とライセンス回収を行い、データ移管後に削除するよう、サービスごとの保持ルールを決めます。

独自システムとの接続方式

オンプレミスの独自Webシステムでも、SAMLやOIDCに対応できればIDaaSとの認証連携は可能です。

対応していない場合は、アプリ改修、認証プロキシ、エージェント、LDAP連携などを検討します。ただし、フォームベースのログイン代行は画面改修の影響を受けやすく、認証情報の扱いも慎重な設計が必要です。独自システムの改修予定があるなら、将来の改修時にOIDCまたはSAMLを実装する方針を決め、短期的には緊急度の高いSaaSから統合します。

▶ 関連記事: Active Directoryとは?機能・メリットや最新動向を解説

人事システムを起点としたIDaaS・AD・各種SaaS間におけるID情報の連携構成

▲ 人事システムを起点としたIDaaS・AD・各種SaaS間におけるID情報の連携構成

IDaaSの選び方と主要製品の比較軸

IDaaSの選び方では、製品名から比較を始めるのではなく、自社アプリの連携方式、IDの源泉情報、必要な認証強度、運用体制を要件として固定してから候補を絞ります。

料金だけで比較すると、SCIM、条件付きアクセス、ログ連携、端末制御、特権管理が上位プランや別オプションに含まれる場合があります。各製品の料金ページまたは問い合わせ窓口で、必要な機能がどのプランに含まれるかを確認したうえで候補を絞ります。各社の料金や提供機能は契約時点の公式情報で変動するため、本表では特定の月額を断定せず、公開情報と個別見積もりの確認が必要な項目を分けています。

製品

主な比較上の位置付け

確認したい連携・運用軸

料金情報の扱い

Microsoft Entra ID

Microsoft 365、Windows端末、Microsoft系管理機能との統合を重視する構成

Microsoft 365のライセンス、端末管理、条件付きアクセス、既存AD同期

契約プラン・保有ライセンスにより確認

Okta

多様なクラウドサービスとの認証連携やグローバル運用を重視する構成

SAML・OIDC・SCIM対応、ライフサイクル管理、ログ連携、サポート体制

要問合せ

HENNGE One

国内向けの導入支援・運用支援とクラウドサービス利用を重視する構成

メール・SaaS連携、アクセス制御、国内サポート、既存ADとの接続

要問合せ

CloudGate UNO

アクセス制御や認証方式の選択、パスワードレス運用を重視する構成

端末・IP条件、MFA方式、オンプレミス連携、緊急アクセス

要問合せ

GMOトラスト・ログイン

多数のSaaS連携と導入の始めやすさを重視する構成

利用中アプリの対応状況、SSO方式、MFA、プロビジョニング範囲

契約プランにより確認

上表の「主な比較上の位置付け」は、各社の公開情報や製品資料をもとに編集部が整理した参考軸であり、製品間の客観的な優劣を示すものではありません。各製品の詳細な機能・料金・対応状況は、公式サイトまたは問い合わせ窓口で確認した内容をもとに判断してください。Oktaについては、同社がGartnerの「Magic Quadrant for Access Management」において複数年連続でリーダーに選出されたと公表しています。HENNGEは、HENNGE OneがITR調査のIDaaS市場におけるベンダー別売上金額シェアで複数年にわたり1位を獲得したと発表しています。GMOトラスト・ログインについては、累計導入社数や対応アプリ数が公表されていますが、数値は時点によって変動するため、最新の情報は公式サービスページで確認します。自社の連携対象アプリが実際に対応しているかどうかは、各製品の連携アプリ一覧または問い合わせ窓口で個別に確認し、その結果をもとに候補製品を絞り込みます。

選定チェックリスト

以下の項目を候補製品ごとに記録すると、デモの印象だけで製品を選ぶ失敗を防げます。

  • 対象範囲:利用中SaaS、オンプレミスシステム、管理者アカウント、外部委託先アカウントを一覧化します。

  • 連携方式:各アプリでSAML、OIDC、SCIM、LDAP、独自連携のどれが使えるかを記録します。

  • IDの源泉:人事システム、AD、IDaaSのうち、氏名・所属・雇用区分を更新する正本を一つに定めます。

  • 認証ポリシー:一般利用者、管理者、社外アクセス、未管理端末ごとにMFA方式と条件付きアクセスを決めます。

  • 運用:アカウント申請、例外承認、退職時の停止、障害時の緊急アクセス、月次点検の担当を定義します。

  • ログと監査:取得イベント、保管期間、SIEM連携、CSV出力、管理者操作履歴を確認します。

  • 費用:月額だけでなく、初期設定、連携開発、MFAデバイス、サポート、将来の追加機能を合算します。

監査ログを必要な期間取得でき、対象アプリの認証連携と退職時の無効化を検証できるなら、少人数での限定検証に進みます。いずれかが満たせない場合は、連携方式の変更、対象アプリの優先順位変更、運用手順の追加を行ってから契約範囲を確定します。

▶ 関連記事: RBACとは?ABACとの違いや読み方・情シス向け設計手順を解説

導入を定着させる進め方と国内事例

IDaaS導入は、全社一斉にSSOを有効化するよりも、ID棚卸し、限定検証、段階展開、運用監査の順に進めると認証停止や権限過多のリスクを抑えられます。

特に、導入初期に「すべてのアプリを連携する」ことを目標にすると、標準連携できないシステムの調査で停滞します。最初の対象は、利用者が多く、SSO・SCIMに対応し、退職時の停止漏れの影響が大きいSaaSに絞ります。

フェーズ

実施内容

完了判断

棚卸し

利用SaaS、所有者、管理者、認証方式、アカウント数、退職時の停止方法を記録します。

対象アカウントと源泉情報が一覧化されています。

設計

グループ、MFA、条件付きアクセス、例外、緊急アクセス、ログ保管を決めます。

一般利用者と管理者の認証要件が分離されています。

限定検証

情シス部門など少人数でSSO、SCIM、無効化、障害時ログインを試します。

作成・変更・退職の各処理とロールバックを確認できます。

段階展開

部門またはアプリ単位で移行し、問い合わせ内容と認証失敗を集計します。

例外処理が申請・記録され、恒久ルールに反映されています。

定着運用

月次で未使用ID、特権権限、MFA未登録、連携エラー、緊急IDを点検します。

棚卸しと監査ログ確認が定例業務になっています。

セプテーニ・ホールディングスの事例

広告・マーケティング事業を手がけるセプテーニ・ホールディングスは、2020年6月に従来のオンプレミス型ID基盤から、クラウド型ID管理サービスのExticへリプレイスしました。

同サービスでは15万以上のユーザーアカウントが認証されていると提供元が公表しています。この事例から読み取れるのは、オンプレミス基盤を残すかクラウドへ移すかを製品の流行で決めるのではなく、認証対象となるアカウント数、連携先、運用負荷を前提に移行方式を設計する必要があるという点です。

国際興業グループの事例

国際興業グループでは、HENNGE Oneを用いて、グループ850名がポータルから各種SaaSへアクセスする環境を構築したとHENNGEが2026年に発表しています。

グループ企業では、法人や部門ごとに導入済みのサービス、管理者、認証方式が異なる場合があります。このような環境では、先に共通ポータルと認証ルールを整え、次に各社固有のアプリ連携を段階的に追加する方が、全社統一を待って導入を止めるより進めやすくなります。

なお、上記を含む国内事例はいずれもベンダーが発表した導入成功事例であり、導入期間や移行時の課題、運用変更の詳細は公開情報では限定的です。自社環境での再現性は、連携対象アプリの種類、社内の管理体制、既存システムの構成によって異なります。導入後にやってはいけないのは、例外アカウントや緊急IDを台帳に記録せず、担当者だけが把握する状態を残すことです。例外を設ける場合は、利用目的、承認者、有効期限、定期見直し日を必ず残し、通常のID管理プロセスへ戻す期限を決めます。

認証障害や権限過多を防ぐIDaaS導入・定着の5段階プロセス

▲ 認証障害や権限過多を防ぐIDaaS導入・定着の5段階プロセス

IDaaSに関するよくある質問

IDaaSの導入判断では、IAMとの範囲の違い、障害時の業務継続、オンプレミス独自システムとの接続可否を先に整理すると検討が進みます。

IAMとIDaaSの違い

IAMは、ID管理、認証、認可、特権アクセス管理、アクセスレビューなどを含む広い概念です。

IDaaSはIAMを実現する手段の一つで、クラウドサービスとしてID管理やSSO、MFA、プロビジョニングを提供します。特権ID管理や詳細な権限レビューまで必要な場合は、IDaaS単体で満たす範囲と追加製品・運用で補う範囲を分けて設計します。

IDaaS障害時のバックアップ対策

IDaaS障害への対策は、重要SaaSの管理者用緊急アカウントと、障害時に使う認証経路をあらかじめ分離することです。

緊急アカウントは通常の利用者アカウントとは別にし、強固なMFA、利用記録、保管責任者、定期的なログインテストを設定します。障害時に業務継続が必要なサービスを定義し、代替ログインが確認できるサービスからIDaaS依存を高めます。

オンプレミス独自システムとの連携可否

オンプレミス独自システムでも、SAMLまたはOIDCに対応できればIDaaSと連携できます。

標準規格に対応していない場合は、アプリ改修、認証プロキシ、LDAP連携などの方式を検討します。改修が難しいシステムは個別認証を一時的に残し、管理者権限へのMFA適用、利用者台帳との照合、ログ取得を先に行うとリスクを下げられます。

▶ 関連記事: ADFSとは?認証の仕組みや構築要件・移行判断を解説

まとめ

IDaaSは、SaaSのログインを便利にするだけの仕組みではありません。人事情報を起点に、認証、権限、入退社時のアカウント停止、監査ログを一つの運用にまとめるための基盤です。導入効果を得るには、まず利用中のSaaS、管理者、認証方式、退職時の停止手順を一覧化します。その上で、利用者が多く標準連携に対応するSaaSを対象に、SSO・MFA・SCIMの限定検証を始めます。障害時の緊急アクセスと例外アカウントの管理まで設計できれば、利便性とアクセス統制を両立できます。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team


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