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パスワードマネージャーとは?安全性やGoogleとの違い・選び方

パスワードマネージャーとは?安全性やGoogleとの違い・選び方

パスワードマネージャーとは?安全性やGoogleとの違い・選び方

パスワードマネージャーとは?安全性やGoogleとの違い・選び方

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WebサービスやSaaSが増えるほど、利用者がすべてのパスワードを記憶し、サービスごとに使い分けることは難しくなります。パスワードマネージャーは、この負担を減らしながら認証情報を暗号化して管理するための仕組みです。

個人利用では、Googleパスワードマネージャーのような無料の標準機能でも、自動生成や自動入力、漏えいパスワードの警告を利用できます。一方、企業の情報システム部門では、部署別の共有権限、監査ログ、SSO・SCIM連携、退職者のアクセス停止まで含めた管理が必要です。

本記事では、Google標準機能と専用ツールの違い、ゼロ知識暗号化の意味、パスワード自動生成のデメリットを整理します。どの製品も端末感染やフィッシングを完全に防ぐものではないため、端末管理や多要素認証と組み合わせて判断する前提で解説します。

パスワードマネージャーの安全性やブラウザ保存との違い、選定のポイントやセキュリティ対策の手順をまとめて解説するインフォグラフィック。

パスワードマネージャーとは?安全性やGoogleとの違いを解説

パスワードマネージャーとは、ログイン情報などの認証データを暗号化して保管し、自動生成・自動入力を支援するツールです。安全性は、利用する製品の暗号化設計、OS・ブラウザの保護、同期設定、多要素認証、端末管理、利用者の行動によって変わります。

本記事のポイント

  • 使い回しの削減:サービスごとに異なる長いパスワードを生成・保管できるため、使い回しを減らす運用につなげられます。

  • 最新脅威への備え:インフォスティーラー(情報窃取マルウェア)やフィッシングへの対策は、保管方法だけでなく、端末保護・MFA・利用者教育を組み合わせて考えます。

  • パスキー管理:対応範囲は製品、OS、ブラウザ、同期方式によって異なるため、利用中の主要SaaSと端末構成に照らして確認します。

  • 法人のオフボーディング:保管庫の利用停止、共有権限の見直し、SaaS側のアカウント停止、重要認証情報のローテーションを連動させます。

パスワードマネージャーとは何か

パスワードマネージャーとは、インターネット上の各サービスや社内システムのログイン情報を管理しやすくするツールです。各サイトのパスワード、パスキー、共有する秘密情報などを暗号化して保管し、ログイン画面での入力を支援します。マスターパスワードを採用する製品では、利用者は原則としてその認証情報を管理し、個々のサービスには生成した異なる認証情報を割り当てます。ただし、利用可能な認証方式、アカウント復旧、共有保管庫の扱いは製品ごとに異なります。

トレンドマイクロは、パスワード・パスキーの利用実態調査 2026で、調査対象者の84.3%がパスワードを使い回していると回答したと発表しています。使い回しは、あるサービスから流出した認証情報が別サービスへの不正ログインに試されるリスクを高めます。一方、パスワードマネージャーの利用率に関する国・地域比較の数値は、調査対象や「個人利用」「職場利用」の定義で結果が変わるため、本記事では特定の利用率を導入判断の根拠にしません。

NISTが示す定期変更と最新動向

米国国立標準技術研究所は、現行のNIST SP 800-63B-4で、侵害の証拠がない限り、パスワードを任意の周期で変更させない方針を示しています。旧版のNIST SP 800-63Bは2025年8月1日に後継版へ置き換えられています。定期変更の有無だけで安全性を判断するのではなく、漏えい済みパスワードの拒否、十分な長さ、試行回数の制限、多要素認証、侵害時の変更・失効手順を組み合わせる考え方です。

内閣サイバーセキュリティセンターのNISC インターネットの安全・安心ハンドブックも、パスワードの使い回しを避けることや、適切な認証・端末対策を案内しています。市場規模の予測は調査会社ごとに対象範囲、通貨、予測期間が異なり、有償レポートは更新されます。市場成長の予測値そのものではなく、自社の認証対象数、共有アカウント数、退職者処理の工数、監査要件を選定条件に置きます。

脱パスワードとパスキー(Passkeys)の普及

パスキーは、公開鍵暗号方式を使う認証方式で、端末の生体認証・PIN・画面ロックなどによって秘密鍵の利用を承認します。サービスごとの対応状況、端末間同期、復旧方法、クロスデバイス認証の扱いは一律ではありません。Google for Developersは、Google for Developers 事例紹介で、メルカリ、東急、pixivなどの導入事例を公開しています。事例に示されるログイン速度や成功率は、各社の導入条件・測定方法に基づくベンダー紹介の数値であり、他社環境で同様の結果を保証するものではありません。

パスキー対応が進んでも、すべてのSaaSがパスキーへ移行済みとは限りません。パスワード、パスキー、APIキー、管理者用の緊急アカウントなどが並存する期間を前提に、保管対象と責任分界を整理します。専用ツールを検討する場合は、主要SaaSでのパスキー保存・共有・エクスポート・復旧の各挙動をPoCで確認できれば、本番展開の対象範囲を定められます。確認できないSaaSは、既存の認証方式を当面維持します。

マスターパスワードによる安全な一元管理と自動入力の仕組み

▲ マスターパスワードによる安全な一元管理と自動入力の仕組み

パスワード管理の負担を減らす次世代認証として注目されるパスキーの仕組みと導入メリット・設定方法について詳しく解説しています。

Googleパスワードマネージャーと専用ツールの違い・安全性

Google パスワードマネージャーなどのブラウザ・OS標準機能と、専用パスワードマネージャーは、どちらも認証情報の保存と入力を支援します。安全性を一律に優劣で分けるのではなく、端末の保護、アカウント保護、同期の範囲、共有方法、監査・回復・統制機能が自社の運用に合うかで比較します。

Googleパスワードマネージャーのメリット

Google パスワードマネージャーは、Googleアカウントを基盤にChromeブラウザやAndroid端末で連動する点が特徴です。無償で利用でき、安全なパスワードの自動生成機能や、流出した認証情報を検知して案内するパスワード チェックアップ機能を備えています。Googleアカウントの多要素認証、端末の画面ロック、OSの更新、管理対象端末での利用制限を組み合わせることで、標準機能も一定の保護の上で利用できます。

一方で、企業が複数のOS・ブラウザ・端末所有形態を運用し、部門単位の共有、詳細な監査、SCIMによるライフサイクル管理、秘密情報の管理者統制を求める場合は、専用ツールの法人向け機能が比較対象になります。これらの機能が必要かどうかは、共有アカウントの有無、監査の要件、IdPの導入状況、端末管理の範囲で変わります。

パスワードを保存するデメリット・使わない理由(危険性)

ブラウザ保存にも専用ツールにもリスクがあります。専用ツールであっても、ベンダー侵害、ブラウザ拡張機能の脆弱性、フィッシング、端末感染後のクリップボード・画面情報の窃取、復号済みデータへのアクセスを完全には防げません。ブラウザ保存の利用可否は、保存先だけで判断せず、端末管理、同期先のGoogleアカウントやApple Account、MFA、離席時の画面ロック、業務・私用アカウントの分離を含めて決めます。

インフォスティーラー(情報窃取マルウェア)は、ブラウザ内の認証情報、Cookie、セッション情報などを狙うことがあります。侵害済み端末では、ブラウザ保存に限らず、利用者が入力・表示・コピーした認証情報やセッションを窃取される可能性があります。私用端末と会社アカウントを同期する運用では、端末の管理範囲が曖昧になりやすいため、会社アカウントを許可する端末、同期を許可するアカウント、紛失・退職時の消去手順を定義します。端末ロックが解除されたまま離席するリスクも、ブラウザか専用ツールかを問わず残ります。

ゼロ知識(Zero-Knowledge)暗号化の特徴と確認点

専用パスワードマネージャーで採用されることがあるゼロ知識(Zero-Knowledge)暗号化は、ベンダーが保管データの平文を通常扱わないよう設計する方式の総称です。ただし、鍵導出の方法、暗号化・復号の場所、マスターパスワードを忘れた場合の復旧、組織管理者による回復、端末承認、共有保管庫の暗号化モデルは製品によって異なります。「ゼロ知識」という名称だけで、すべてのデータが常にローカルだけで処理され、ベンダーが平文を知り得ないと判断することはできません。

暗号化は、保管データが第三者に渡った場合の平文開示リスクを下げる技術であり、情報漏えいそのものを物理的に防ぐものではありません。端末上で復号された情報、悪意ある拡張機能、フィッシングサイトへの入力、侵害済み端末からの窃取は別の対策領域です。製品選定では、公式ドキュメントの暗号化アーキテクチャ、鍵管理、アカウントリカバリ、共有保管庫、エクスポート制御、監査ログの項目を確認します。共有・復旧要件を満たす候補だけを限定PoCの対象にします。満たさない候補は共有方式を含めて再検討します。

ブラウザ標準機能と専用パスワードマネージャーのセキュリティ・機能比較

▲ ブラウザ標準機能と専用パスワードマネージャーのセキュリティ・機能比較

専用パスワードマネージャーの導入コストやプラン設計が気になる方向けに1Passwordの料金プラン比較とコストを抑えて利用する方法をまとめています。

Googleパスワードマネージャーと専用パスワードマネージャーの違いと安全性の比較

▲ Googleパスワードマネージャーと専用パスワードマネージャーの違いと安全性の比較

パスワードマネージャーのメリット・デメリットと失敗対策

パスワードマネージャーは、サービスごとに異なる認証情報を使う運用と入力の負担軽減を支援します。一方で、マスターパスワードや復旧手段、端末紛失時の対応、共有権限、利用者教育を設計しなければ、導入後に例外運用が増えるおそれがあります。

パスワードマネージャーの法人導入におけるメリット

法人導入では、複雑で重複しないパスワードをアカウントごとに生成・保管しやすくなるため、使い回しを起点とするリスト型攻撃(クレデンシャルスタッフィング攻撃)の影響範囲を抑えられます。導入効果は、利用者数ではなく、共有認証情報の数、入退社の頻度、SaaS管理の成熟度、既存のIdP連携によって変わります。

  • 退職者(オフボーディング)発生時の利用停止:個人のブラウザに会社のパスワードを保存している場合、退職時にすべての端末・同期先から確実に削除したことを把握しにくくなります。法人向け製品では、管理画面やSCIM連携を通じて対象ユーザーの保管庫・共有項目へのアクセスを停止できる場合があります。ただし、これだけで全システムのアクセス権や既存セッションが消えるとは限りません。SaaS側のアカウント停止、セッション失効、重要な共有認証情報のローテーション、事前に複製・エクスポートされた情報への対応を別途実施します。

  • セキュアな共有:特定のSNSや共通SaaSなどを複数人で利用する場合、Slackやメールでパスワード文字列を送る代わりに、保管庫の共有権限を付与する方式を選べます。閲覧、コピー、編集、再共有、エクスポートをどこまで制御できるかは製品ごとに異なります。文字列をマスクしたままログインできる機能があっても、画面表示、ブラウザ開発者機能、端末侵害などでの取得可能性まで排除するものではありません。

パスワード自動生成のデメリットとよくある失敗パターン

自動生成された複雑な文字列は、利用者が暗記して手動入力する用途には向きません。普段使わない端末や、拡張機能を利用できない環境から緊急アクセスする場面を想定し、回復経路と緊急アカウントをあらかじめ設計します。運用において見られる4つの誤解・失敗パターンと、対応方針を以下に示します。

  • 失敗①:「ChromeやEdgeの保存で十分安全」という誤解
    ブラウザ保存を採用する場合も、端末管理、ブラウザ同期、GoogleアカウントまたはMicrosoftアカウントのMFA、業務・私用アカウントの分離をセットで設計します。共有保管庫、監査ログ、細かな権限管理が要件に入る場合は、ブラウザ保存を一律に禁止するのではなく、専用ツールへ移す対象を共有アカウントや特権アカウントから優先して定めます。

  • 失敗②:「マスターパスワードを忘れてデータを全喪失」
    リカバリポリシーの事前設計:ゼロ知識設計の製品では、ベンダーが利用者の保管庫をそのまま復号できない場合があります。他方、法人向けには管理者承認を伴うアカウントリカバリやエマージェンシー・アクセスを提供する製品もあります。候補製品の公式管理者ガイドで、回復後に保持されるデータ、管理者が閲覧できる範囲、復旧に必要な承認者を確認します。回復条件が不明な製品は、緊急アクセス用アカウントと保管対象を分けて運用します。

  • 失敗③:「面倒くさがってExcelやメモでの管理に戻る」
    ブラウザ拡張機能とオートフィルの周知:導入前に、対象ブラウザでの拡張機能配布、モバイルアプリ、オートフィル、共有保管庫への参加手順を検証します。利用者が業務端末で安全に自動入力できることを体験できれば、個人メモや表計算ファイルへ戻る例外を減らせます。利用できない業務システムが残る場合は、例外台帳と見直し期限を設けます。

  • 失敗④:「1つのツールがハッキングされたら一網打尽になる懸念」
    多層防御と影響範囲の分離:マスターパスワードに加え、MFAを有効化します。MFAもリアルタイムフィッシング、MFA疲労攻撃、セッションCookie窃取で迂回される可能性があるため、フィッシング耐性を持つFIDO2/パスキー形式の認証、EDR、OS更新、端末管理、特権アカウントの分離を組み合わせます。管理者保管庫、一般利用者の保管庫、緊急用認証情報を分けられるなら、侵害時の影響範囲を限定できます。

オフボーディング時の統合的なアクセス権限管理を実現するために理解しておきたいユーザーアカウントの発行・削除を効率化するプロビジョニングの基本を解説しています。

退職者(オフボーディング)発生時におけるアクセス権の即時遮断プロセス

▲ 退職者(オフボーディング)発生時におけるアクセス権の即時遮断プロセス

組織規模別・パスワードマネージャーの選び方と導入事例

自社の組織規模だけでなく、共有アカウントの数、特権アカウントの有無、既存のIDプロバイダー(IdP)、端末管理、監査・保管要件を選定条件に置きます。50名・300名という区分は製品仕様上の境界ではなく、運用負荷を検討するための目安です。

組織規模別の比較ポイント

以下の表は、規模ごとに検討されやすい論点を整理したものです。SSO、SCIM、監査ログ、SIEM連携の提供範囲と料金は、製品・プラン・契約地域で変わります。表中の製品名は代表例であり、特定製品の安全性や適合性を保証するものではありません。

対象規模

主な選定基準

SSO/SAML連携

監査ログ機能

推奨される代表製品

費用感の目安

50名未満

導入のしやすさ・コスト・共有アカウントの管理範囲

プランにより対応状況が異なる

基本的なイベント記録の有無を確認

Bitwarden, 1Password

公式サイト(1Password料金ページ)で最新料金を参照。プランや契約人数によって異なります。

50〜300名

部門別共有・管理者権限・IdP連携・オフボーディング手順

IdP連携の対象プランと条件を確認

取得イベント・保持期間・検索性を確認

1Password, Keeper

要問合せ。料金は契約プラン、アドオン、契約期間で異なります。

300名超

SCIMによるライフサイクル管理・特権管理・SIEM連携・運用分掌

SCIMの作成・停止・グループ同期の範囲を確認

SIEM転送、保持期間、エクスポートの範囲を確認

Keeper, 1Password(Enterprise)

要問合せ(個別見積り)

サイバー保険の審査条件は保険会社、補償内容、契約時期によって異なります。保険加入を前提に製品を選ぶ場合は、保険会社または代理店が提示する質問票で、MFA、特権アクセス、ログ、バックアップ、端末対策のどの項目が条件となるかを確認します。パスワードマネージャーの導入だけで条件を満たせる場合と、追加の統制が必要な場合で、導入計画は変わります。

法人向け導入事例とコスト削減効果

以下はKeeperが公式サイトで公開している導入事例に基づく紹介です。ベンダー事例は導入企業・ベンダーが示した成果であり、他社で同じ工数削減や運用結果を再現する根拠にはなりません。選定時は、導入前後のヘルプデスク件数、共有認証情報数、入退社件数、ライセンス費用、管理者工数を自社条件で測定します。

事例1:株式会社ヌーラボ(IT・SaaS企業)(ZUNDA株式会社公開事例)

  • 導入規模:中堅規模(フルリモート移行期)

  • 課題:ZUNDA株式会社は公開事例で、フルリモート環境への移行に際し、内製のパスワード管理システムの維持工数や社外からのアクセス性が課題だったと紹介しています。

  • 施策:ZUNDA株式会社は公開事例で、Keeperの全社導入とAzure AD(現 Microsoft Entra ID)とのSAML認証連携およびSSO環境の構築を紹介しています。

  • 成果:ZUNDA株式会社は公開事例で、新入社員へのアカウント付与や共有パスワードへのアクセス権設定を管理しやすくし、内製ツールの保守・運用負荷の削減につながったと紹介しています。

事例2:株式会社ワンチーム(運用型広告代理店)(ZUNDA株式会社公開事例)

  • 導入規模:成長企業

  • 課題:ZUNDA株式会社は公開事例で、クライアント企業の広告アカウントを多数扱うなか、異動・退職に伴う共有認証情報の引き継ぎと統制が課題だったと紹介しています。

  • 施策:ZUNDA株式会社は公開事例で、利用者へパスワード文字列を直接伝えずにログインを支援する運用を紹介しています。

  • 成果:ZUNDA株式会社は公開事例で、管理コンソールで対象者の保管庫へのアクセス権を停止し、共有パスワードの手動変更に伴う作業を抑えたと紹介しています。ただし、退職前にコピー・記録・エクスポートされた情報、既存セッション、個別SaaSのアカウントには別の対応が残ります。重要アカウントは、退職時にSaaS側の停止状況を確認できればパスワードローテーションの対象を優先順位化し、確認できなければ特権・顧客関連アカウントを広めにローテーションします。

パスワード情報のライフサイクル管理とSaaSアカウント管理は別の統制領域です。「マネーフォワード Admina」のようなSaaS管理プラットフォームを組み合わせる場合は、IdP、SaaS管理ツール、パスワードマネージャーの間で、誰がアカウント停止・ライセンス回収・共有認証情報のローテーションを担当するかを明確にします。

組織規模とセキュリティ要件で選ぶ最適なパスワードマネージャー判定フロー

▲ 組織規模とセキュリティ要件で選ぶ最適なパスワードマネージャー判定フロー

組織規模に応じたID統合管理の選択肢として並行検討されるシングルサインオン(SSO)の種類や導入時の注意点について解説した記事もあわせてご確認ください。

自社の組織規模とセキュリティ要件に応じたパスワードマネージャー選定フロー

▲ 自社の組織規模とセキュリティ要件に応じたパスワードマネージャー選定フロー

よくある質問

パスワードマネージャーの選定や導入にあたり、企業や情シス担当者が直面しやすい代表的な疑問に回答します。

Q:Google パスワードマネージャーを使わない理由はありますか?

A:共有アカウントの細かな権限管理、監査ログ、SCIMによる入退社連動、クロスプラットフォームの統制が必要な組織では、専用ツールが比較対象になります。一方、管理対象端末に限定し、GoogleアカウントのMFA、端末ロック、同期管理、業務・私用アカウントの分離を行えるなら、Google パスワードマネージャーを個人用または限定用途に使う判断もあります。インフォスティーラーやフィッシングへの耐性は、どちらの方式でも端末保護と利用者対策に左右されます。

Q:パスワードをブラウザに保存すると危険ですか?

A:ブラウザ保存には、利便性と引き換えに、同期先アカウントの乗っ取り、端末侵害、共用端末での利用、私用端末との混在といったリスクがあります。NISCなどのガイドラインを参照し、使い回しの回避、適切なアカウント保護、端末の更新・画面ロックを組み合わせます。業務端末の管理状況と同期先を把握できれば保存対象を限定でき、把握できなければ特権アカウントや共有アカウントをブラウザ保存の対象外にします。

Q:パスワードマネージャーを選ぶ際に注目すべき点は何ですか?

A:暗号化アーキテクチャ、鍵導出、アカウントリカバリ、共有保管庫、エクスポート制御、閲覧・コピー制御、緊急アクセス、MFA、SSO・SCIM、監査ログの取得範囲と保持期間を確認します。監査ログを取得でき、IdPからの利用停止が共有権限へ反映されることをPoCで確認できれば、対象部門を限定して展開できます。確認できない場合は、手動運用の負荷と監査上の不足を基準に候補を再比較します。

Q:iPhoneのパスワードアプリ(キーチェーン)のデメリットは何ですか?

A:Apple製品の間では同期と利用のしやすさがあります。WindowsではiCloud Passwordsアプリやブラウザ拡張機能経由での利用も可能ですが、Android端末を含む混在環境では利用できる機能や管理方法に差が生じる場合があります。Appleサポートページで対象OS・ブラウザ・管理機能を確認し、自社の端末構成でログイン、同期、退職時のアカウント回収を実演できれば利用範囲を定められます。実演できなければ、混在環境の共通運用には別の方式を用います。

Q:マスターパスワードを忘れた場合の救済手段はありますか?

A:製品の設計によって異なります。ゼロ知識を掲げる製品でも、利用者自身の回復キー、管理者承認によるアカウントリカバリ、エマージェンシー・アクセスなどを提供する場合があります。導入前に公式ドキュメントの「アカウントリカバリ」「緊急アクセス」「共有保管庫」の各項目で、誰が何を復旧できるか、既存データがどう扱われるかを確認します。要件に合う回復経路が確認できれば管理者・承認者・利用者の責任分担を設定し、確認できなければ回復できない前提で緊急用アカウントと保管対象を分離します。

個別管理やブラウザ保存からの移行先として検討されるクラウド統合ID管理を実現するIDaaSの機能と導入メリットについてわかりやすく解説しています。

まとめ

パスワードマネージャーは、認証情報の使い回しを減らし、共有・入退社・監査を整理するための選択肢です。Google パスワードマネージャーなどの標準機能と専用ツールの差は、暗号化という単一の要素ではなく、端末管理、同期、共有権限、アカウント回復、監査ログ、IdP連携、利用者の行動を含む運用全体にあります。

導入前に整理するアクション

  • 社員のパスワード使い回し、ブラウザ保存、共有アカウント、特権アカウントの現状を棚卸しする

  • 業務端末、私用端末、GoogleアカウントやApple Accountの同期範囲、端末管理の対象を整理する

  • 候補製品の公式ドキュメントで、鍵管理、復旧、共有保管庫、エクスポート、閲覧・コピー制御を確認する

  • SSO、SCIM、監査ログ、SIEM連携について、対象プラン、ログ保持期間、停止処理の反映範囲を確認する

  • 主要SaaSのパスキー対応、同期方式、復旧手段を確認し、実機でログイン・端末変更・退職時の処理を試す

  • 退職時は保管庫の利用停止だけで完了とせず、SaaS側の無効化、既存セッション、共有済み情報、重要認証情報のローテーションを手順化する

監査ログ、共有権限、IdP連携、回復経路を実機で確認したうえで、共有アカウントや特権アカウントから限定検証を始めます。確認できない項目が残る場合は、その項目を手動統制で補えるかを評価し、対象範囲または候補製品を見直します。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina team

情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。