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MSSとは?MDRやSOCとの違いと最適な選定ポイントを解説

MSSとは?MDRやSOCとの違いと最適な選定ポイントを解説

MSSとは?MDRやSOCとの違いと最適な選定ポイントを解説

MSSとは?MDRやSOCとの違いと最適な選定ポイントを解説

公開日

MSS(Managed Security Service)やMDR(Managed Detection and Response)、SOC。これらは企業のセキュリティ強化に不可欠ですが、役割の違いが曖昧になりがちです。本記事では、2026年の最新法改正や脅威データに基づき、MSSの基礎知識からMDRやSOCとの違い、自社の状況に適合するサービスを迷わず選定するための判断軸を整理します。

セキュリティ対策におけるMSS、MDR、SOCの役割の違いと、自社に適したサービス選定のポイントを整理して解説するインフォグラフィック。

MSSとは

本記事のポイント

  • 2026年10月施行のサイバー対処能力強化法により、サプライチェーン全体のセキュリティ義務化が本格化する。

  • MSSは「侵入を防ぐ境界防御」の監視を担い、MDRは「侵入後の早期検知・即時隔離」に特化したサービスである。

  • 選定時は「アラート疲れ」を防ぐ初期チューニングと、夜間休日に対応可能な「自動封じ込め機能」の有無が成否を分ける。

MSS(Managed Security Service:管理型セキュリティサービス)は、外部のセキュリティ専門家が24時間体制で企業のセキュリティ機器の監視・運用を代行するサービスである。

セキュリティ機器の導入が進む一方で、それらが発するログやアラートを自社で常時監視し、適切に分析・対処できる体制を持つ企業は多くありません。MSSを活用することで、セキュリティの高度な専門知識を持った外部ベンダーが、自社に代わってインシデントの早期検知や運用管理を担います。MSSの主な機能には、ファイアウォールやIDS/IPS、WAFといったネットワーク境界の機器監視、脆弱性評価、さらには迅速なインシデント対応(CSIRT支援)などが含まれます。

MSSを導入するメリット

MSSを利用することにはいくつかの大きなメリットがあります。第一に、専門家による24時間365日体制のセキュリティ監視を、自社で人材を採用・育成するよりも圧倒的に低いコストで実現できる点です。高度化するサイバー攻撃を迅速に検知し対応するためには、常に最新の脅威情報をアップデートし続ける必要がありますが、MSSを利用すればその負担を完全にアウトソーシング可能です。

さらに、各種ログの専門的な分析に基づく正確な状況把握が可能となり、誤検知による業務への影響を低減できます。これにより、社内の貴重なIT人材を本来のコア業務や戦略的なシステム投資へとシフトさせ、組織全体のIT統制と生産性を同時に高められます。自社のセキュリティレベルを底上げするための現実的なセキュリティ対策として、MSSは有力な手段です。

MSSの必要性

サイバー攻撃の急激な高度化と、これに伴う国家レベルのセキュリティ規制強化に対応するため、MSSの必要性が急速に高まっている。

自社で強固なセキュリティ体制を維持することが難しくなっている現代、MSSが必要とされる背景を以下に整理します。

1. 2026年「サイバー対処能力強化法」に伴う義務化とつながる責任

2025年以降、重要インフラや基幹事業者を対象とするサイバーセキュリティ関連法制の整備が進んでおり、今後さらなるセキュリティ対策の義務化が予定されています。(最新の法制動向は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の公式情報をご確認ください)この法律により、重要インフラを支える基幹事業者は資産情報の届出や迅速なインシデント報告が義務付けられます。さらに、これに伴い、サプライチェーンを構築する中堅・中小企業に対しても、セキュリティ管理体制の強化が波及しています。一企業の対策不足が取引先全体の事業停止を招く「つながる責任」が生じており、24時間の監視運用体制をMSSなどで担保することが急務となっています。

2. 深刻化するセキュリティ人材の不足

国内の多くの企業が「セキュリティ専門人材がいない」という深刻な課題に直面しています。複数の調査会社が公表している国内企業向けセキュリティ調査(例:IPA「情報セキュリティ10大脅威」等)では、中小・中堅企業を中心に「セキュリティ人材の確保」が最大の課題として繰り返し上位に挙げられています。自社で24時間365日の監視・分析を行うSOC(Security Operations Center)を自社運用(内製化)することは事実上不可能であり、専門のMSSベンダーにアウトソーシングせざるを得ない現実があります。

3. すり抜けるサイバー攻撃(境界防御の限界)

警察庁が2025年3月に発表した「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、ランサムウェア被害に遭った企業・団体のうち、実に9割以上(90%以上)が事前にアンチウイルスソフトを導入していました。しかし、その中で実際にウイルス侵入を検出できたのはわずか約3割に留まりました。この事実は、「侵入を防ぐ」という従来の境界防御だけでは攻撃を防ぎきれないことを示しています。したがって、ファイアウォールなどの境界を監視するMSSに加え、侵入後のエンドポイントの動きを即時検知する「MDR」との併用による多層防御が求められています。また、金融庁が「金融分野におけるサイバーセキュリティガイドライン」の厳格化を進めていることも、この多層防御を後押ししています。

MSSとMDRの違い

MSSは侵入を防ぐ境界防御の運用監視を担い、MDRは侵入後の早期検知と即時隔離を専門に行う。

MSSとMDR(Managed Detection and Response)はしばしば混同されますが、その防御対象とカバーするフェーズには明確な違いがあります。

境界防御(MSS)×侵入後対処(MDR)の併用メリット

現代のセキュリティは「境界を破られて侵入されることを前提とする」ゼロトラストモデルへの移行が基本です。MSSは、ファイアウォールやWAFなどの境界機器のログ(セキュリティログの分析などを含む)を常時監視して「侵入を防ぐ・守りを固める」ための役割を持ちます。一方で、MDRはEDR(Endpoint Detection and Response)ツールを用いて、エンドポイント(PCやサーバー)に侵入した不審な挙動を検出し、即座にネットワークから隔離・遮断する「事後対処」に特化しています。これらを組み合わせることで多層防御が成立します。

MSSとMDRの機能比較

比較項目

MSS(Managed Security Service)

MDR(Managed Detection and Response)

主目的

セキュリティ機器全体の維持・運用・ログ監視

侵入した脅威の検知(Detection)と即時封じ込め(Response)

対象システム

ファイアウォール、IDS/IPS、WAF、UTMなど

エンドポイント(PC、サーバー)、クラウド環境

検知後の対応範囲

インシデントの検知と通知、アドバイス

対象端末のネットワーク隔離、プロセス強制終了、復旧支援

技術的アプローチ

シグネチャベース、既知の脅威ログ監視

振る舞い検知(未知の脅威対応)、AIによる高度分析

MDRのプレイヤー変化:MSSPとセキュリティベンダーの競争

近年、セキュリティ製品ベンダー(CrowdStrikeやTrend Microなど)が自社製品の運用監視(MDR)を直接パッケージ化して提供するケースが増えています。これに対し、従来のMSSP(セキュリティサービスプロバイダー、通信事業者やSIerなど)は、複数のベンダー製品を組み合わせた総合的なネットワーク監視や、アイデンティティ脅威検知・対応(ITDR)などの「包括的な導入支援」を前面に出し、マルチベンダー対応力やSASE連携などで差別化を図る動きが主流となっています。

MSSとMDRの防御対象および対応フェーズの違い

▲ MSSとMDRの防御対象および対応フェーズの違い

MSSとSOCの違い

MSSは社外から提供されるセキュリティ監視サービスであり、SOCは社内外を問わずリアルタイムで監視・分析を行う体制や組織そのものを指す。

MSSとSOC(Security Operations Center)の関係は、サービス(手段)と組織・体制(枠組み)の違いと言えます。

SOCをアウトソーシングする選択肢としてのMSS

SOCは24時間体制でインシデントを監視・分析・応答するための役割や「組織」そのものです。このSOC体制を企業自身で完全に内製化する(インハウスSOC)には、シフト勤務に必要な数名から十数名の専門アナリストが必要となり、多大な人件費と管理コストが発生します。そこで、このSOCという役割・機能をまるごと社外の専門事業者にアウトソーシングするための「提供サービス」がMSSとなります。つまり、自社にSOCチームを常駐させる予算やリソースがない場合、外部の「MSSを活用して疑似的なSOC体制を構築する」のが一般的なアプローチです。MSSベンダーは大規模なセキュリティセンターを共通インフラとして共有しているため、一企業が独自に構築するよりも低コストで、最新の脅威情報に基づいた監視体制を整備できます。

自社SOC(インハウス)とMSSを活用した疑似SOCの構造比較

▲ 自社SOC(インハウス)とMSSを活用した疑似SOCの構造比較

MSSを選定する時のポイント

MSSを選定する際は、自社のセキュリティレベルに応じた監視対象の整理と、万が一の際の即時対応範囲を定義する必要がある。

単に「知名度が高いから」「価格が安いから」という理由だけで選定すると、導入後に「期待していた運用が回らない」という事態に陥ります。以下のフローに沿って、自社のニーズに合致するサービスを特定しましょう。

自社の状況別・MSS / MDR選定判断フロー

まずは以下の3つの質問に対する自社の状況を確認し、最適なアプローチを判断してください。

  • Q1:自社に夜間や休日にセキュリティインシデントの「一次判断」や「ネットワーク隔離などの実務対応」を行える専任担当者がいるか?

    • いない場合:「通知」だけでなく、不審な通信やプロセスを24時間体制で代理で自動/手動「遮断・ネットワークから隔離(レスポンス・封じ込め)」まで対応してくれるMDRプラン(例:MDR CompleteやActive)が必須です。

  • Q2:監視したい主な対象は何か?

    • ネットワーク境界・サーバーログ:MSSが最適です(UTMやファイアウォールなどの一元監視)。

    • 社員のPCやモバイル端末(エンドポイント):MDR(EDR監視)が最適です。テレワーク中心の組織であればMDRを優先すべきです。

  • Q3:社内にSIEMなどのログ管理や、高度なチューニングを行うスキルはあるか?

    • ない場合:導入時の初期構築だけでなく、定常的な誤検知のフィルタリング(チューニング)を全面的に支援してくれる「プレミアムオンボーディング」やチューニング代行が付帯したサービスを選択する必要があります。

実務担当者が重視すべき選定基準チェックリスト

  1. 代理での「封じ込め(レスポンス)」の可否:夜間・休日でもアナリストが代理で脅威プロセスを終了し、感染PCのネットワーク隔離を即時に行ってくれるか。

  2. 初期の「アラート疲れ」対策サポート:環境に合わせたノイズ排除(チューニングやホワイトリスト登録)を自社任せにせず、一緒に実施してくれるか。

  3. 対応製品(マルチベンダー対応)の幅:自社が導入中の既存EDR(CrowdStrike、Microsoft Defender等)やファイアウォール製品をそのまま監視できるか。

  4. サポート品質とインシデント解決の保証:ただのアラート通知だけでなく、具体的な「原因分析と修復手順」まで日本語で提示してくれるか。

  5. セキュリティ国際基準への準拠:ISO27001やNISTサイバーセキュリティフレームワーク、SOC 2報告書の発行実績など、客観的な信頼性が担保されているか。

自社の体制と監視ニーズから選ぶMSS/MDR選定ルート

▲ 自社の体制と監視ニーズから選ぶMSS/MDR選定ルート

実際の導入事例

MSSやMDRを実際に導入し、限られた人員でセキュリティ運用を回せるようになった国内企業の事例を紹介する。

事例1:株式会社カナモト(建設機械レンタル大手)

  • 業種・規模:建設機械レンタル業、PC等約2,500台

  • 導入サービス/製品:Cybereason EDR / NGAV / MDR Complete

  • 課題:従来は「検知後に通知を受けて自社(社内)で対応判断する」通知型MSSを利用していたが、夜間や休日、連休中の対応タイムラグが懸念されていた。

  • 施策:通知だけでなく「セキュリティアナリストが自動・代理で脅威を遮断・隔離する」封じ込め(MDR Complete)プランへ移行。

  • 成果:初動対応のスピードが格段に向上。夜間休日の対応不安が解消され、情シスの運用負担が激減した。

事例2:株式会社タニタ(健康計測機器メーカー)

  • 業種・規模:健康計測機器製造・販売、中堅規模

  • 導入サービス/製品:ウイルスバスタービジネスセキュリティサービスあんしんプラス(Worry-Free Managed XDR)

  • 課題:クラウド移行やテレワークの普及によりPC端末の安全確保が急務となったが、少人数の情シス部門では24時間監視はおろか、日中のログ分析すら対応できなかった。

  • 施策:中小・中堅企業向けの「EDR+MDR」がパッケージ化されたサービスを採用。

  • 成果:誤検知や過検知をMDR側のアナリストが手前でフィルタリング。自社管理者はクリティカルなアラートのみ対応すればよく、少人数でも高度な安全性を最小限の工数で維持できた。

MSSやMDRでよくある失敗パターンと対策

セキュリティ監視の外部委託において、システム特性を考慮せず導入したために重大なインシデントを見逃してしまう失敗事例が後を絶たない。

MSSやMDRの導入でよくある代表的な2つの失敗パターンとその対策を把握し、自社の運用体制に合ったサービス構成を見極めましょう。

失敗1:大量の通知による「アラート疲れ(アラート地獄)」で脅威を黙殺

【原因】MSSやMDRツールを導入した初期段階では、通常の業務通信や社内アプリの動作であっても、セキュリティ基準から外れた動きを「疑わしい挙動」として検知し、大量のアラート(誤検知・過検知)を発信します。これをベンダー側で高度にフィルタリング、あるいは社内で適切にチューニングしないまま放置すると、毎日数十件〜数百件届く通知に担当者が「アラート疲れ」を起こし、最終的に本物のセキュリティインシデント(ランサムウェアの兆候など)を見逃してしまうことになります。

【対策】導入時の初期フェーズにおいて、自社の正規の通信環境に合わせたチューニング(ホワイトリスト登録)をベンダーの技術者とともに実施してくれる、手厚い「オンボーディング支援」があるプロバイダーを選びましょう。また、危険度が著しく低いアラートを事前にフィルタリングして、重要なインシデントのみを要約して通知してくれるプラン設計になっているかを確認しておきましょう。

失敗2:「夜間に通知(アラート)は届いたが、社内で誰も動けず被害拡大」

【原因】低価格帯のMSSや、MDRの「通知限定(Notify-only)」プランを採用した場合によく起こる悲劇です。深夜や土曜日の未明に「ランサムウェアとおぼしき不審な動きを検知しました」というアラートメールが担当者に送信されたとしても、担当者が就寝中であれば誰も気づけません。翌営業日の朝に情シス担当者が出社し、メールを確認してPCを開いた時には、すでに全社ネットワークのPCやサーバーが暗号化され、事業が完全に停止しているという状態になります。

【対策】24時間365日の自社常駐対応が困難な場合は、最初から「深夜でもアナリストが代理で、感染疑いのある端末のネットワーク通信を強制切断(隔離)する」「該当プロセスを強制終了する」といった『封じ込め(レスポンス・リモートアクション)』が標準サービスに含まれるMDRプランを契約すべきです。

よくある質問

Q:MSSとMDRはどちらを優先して導入すべきですか?

A:テレワークが普及し、社外から直接クラウドやWebシステムを利用する現代においては、エンドポイント(PCなどの端末)を直接監視し侵入後の即時隔離を行える「MDR」の優先導入を強く推奨します。ただし、社内インフラやVPN機器、物理サーバーの監視が重要な場合は「MSS」の境界監視も併せて段階的に構築するのが理想的なアプローチです。

Q:自社専用のSOCを構築するのとMSS(またはMDR)を導入するのでは、どちらがコストを抑えられますか?

A:MSS(外部委託)を導入した方が圧倒的にコストを抑えられます。自社で24時間365日対応のSOCを構築する場合、シフト勤務のために最低5名以上の専門エンジニアを採用・維持する必要があり、年間数千万円以上の人件費が発生しますが、MSS/MDRの月額料金であればその数分の一以下の予算で高度なプロの監視体制を手に入れることができます。

Q:夜間や休日にセキュリティ対応ができる社内担当者がいませんが、MSS/MDRは運用できますか?

A:はい、運用可能です。ただしその場合は、単に不審な挙動をメールで「通知」するだけのプランではなく、危険な攻撃をアナリストの代理権限や自動化スクリプトで瞬時に「遮断・隔離(封じ込め)」まで行ってくれる『レスポンス機能(封じ込め対応)付き』のMDRサービスを選ぶことが現実的です。

まとめ

セキュリティの外部委託であるMSSやMDRは、強化されるサイバーセキュリティ規制や巧妙化するランサムウェアの脅威から企業を守るための現実的な選択肢です。境界防御の運用監視(MSS)と、侵入後の迅速な隔離(MDR)を自社の環境やリソースに応じて使い分けることが、ゼロトラスト時代における多層防御の基本です。まずは以下のアクションから始めてみましょう。

  • ✅ 社内エンドポイント(PC・スマートフォン等)の台数・種類を棚卸しした

  • ✅ 夜間・休日に一次対応できる社内リソースの有無を確認した

  • ✅ 検討中のMDRサービスに封じ込め(レスポンス)機能が含まれるかベンダーに確認した


本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

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