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アドウェアの基礎知識から、PC・スマホ(iPhone・Android)の具体的な削除手順までを網羅的に解説します。
アドウェアとは?合法な広告と悪質な「PUA」の違い
この記事でわかること
アドウェアとは、広告収入を目的としてユーザーの端末に広告を強制表示するプログラムである
利用規約で同意を得た合法的なものと、隠れて動作する悪質なPUA(潜在的に迷惑なアプリ)が存在する
近年は単なる広告表示だけでなく、情報窃取やアドフラウド(広告詐欺)を目的としたハイブリッド型が急増している
自力で削除できない場合は、専用の無料駆除ツールの使用や企業のエンドポイント管理が必要である
アドウェアの本質は、ユーザーのデバイス上に広告を表示することで金銭的利益を得る仕組みです。すべてのアドウェアがウイルス(マルウェア)として扱われるわけではなく、無料のソフトウェア(フリーソフト)やモバイルアプリを提供し続けるための正当なビジネスモデルとして機能している「合法的なアドウェア」も存在します。これらは、インストール時の利用規約(EULA)で広告が表示されることが明示されており、ユーザーの明確な同意を得たうえで動作します。
悪質なアドウェア(PUA/PUP)の境界線
これに対し、セキュリティリスクになるのが「悪質なアドウェア」です。これらはPUA(Potentially Unwanted Application:潜在的に迷惑なアプリ)やPUP(潜在的に迷惑なプログラム)と呼ばれます。以下のような特徴がある場合、悪質なアドウェアと判断されます。
同意なきインストール: 別のフリーソフトのインストールプロセスの奥深くに隠蔽され、チェックボックスを外し忘れると勝手に導入される(バンドルウェア)。
執拗な妨害: 画面を覆い尽くすほどの過剰なポップアップ表示や、ブラウザのホームページ・検索エンジンを勝手に変更する(ブラウザハイジャッカー)。
アンインストールの困難化: 削除ツールを回避する、あるいは削除してもシステム設定を改ざんしてすぐに復活する仕組みを持つ。
また、ユーザーの行動履歴や入力内容を密かに収集する「スパイウェア」や「インフォスティーラー」とアドウェアの機能が統合(ハイブリッド化)されているケースも増えており、単なる迷惑ソフトと軽視することは危険です。
▲ 合法的なアドウェアと悪質なアドウェア(PUA)の違い
アドウェアに感染するとどうなる?最新の被害動向
アドウェアに感染すると、単に「画面が煩わしくなる」だけでなく、深刻な経済的被害やセキュリティリスクに発展します。
2024年から2026年にかけてのサイバー脅威動向を見ると、アドウェアはより大規模なサイバー犯罪のエコシステムの一部として機能しています。
アドフラウド(広告詐欺)による甚大な経済的被害
悪質なアドウェアの最大の目的は、企業からマーケティング予算を搾取する「アドフラウド(広告詐欺)」です。アドウェアは、ユーザーの目に見えないバックグラウンドで隠しウィンドウを開き、自動的に広告をクリックし続けることがあります。
株式会社Spider Labsが発表した「アドフラウド調査レポート(通年版2025)」によれば、2024年の日本国内におけるアドフラウド推定被害額は約1,510億円にのぼり、前年から約194億円も増加しています。ウェブ広告の平均アドフラウド率は5.12%とされ、企業にとって見過ごせない経営リスクとなっています。
公式アプリストアを経由したモバイルへの脅威拡大
スマートフォンの普及に伴い、iPhoneやAndroidデバイスを狙うアドウェアも急増しています。2024年秋には、Android向け公式アプリストア「Google Play」を通じて配布された正規アプリに、アドウェア機能を含む悪質なトロイの木馬「Necro」が混入し、推定1,100万台以上のデバイスが感染する大規模なインシデントが発生しました(Kaspersky調査)。写真加工アプリやブラウザアプリの開発者が、広告収益を得るために組み込んだサードパーティ製SDK(ソフトウェア開発キット)に悪意のあるコードが仕込まれていたことが原因です。
システムのパフォーマンス低下とプライバシー侵害
アドウェアは常にバックグラウンドで動作し、システムリソース(CPUやメモリ)を過剰に消費します。これにより、パソコンやスマートフォンの動作が著しく遅くなり、バッテリーの消耗が激しくなります。さらに、ユーザーの閲覧履歴や検索キーワードを収集して第三者のサーバーに送信するなど、深刻なプライバシー侵害を引き起こすことも珍しくありません。
アドウェアの主な種類と感染経路
アドウェアは主に「無料コンテンツの利用」や「不注意なクリック」をトリガーにしてデバイスに侵入します。
アドウェアには、画面上に新たなウィンドウを強制的に開く「ポップアップ型」、別のサイトに強制的に飛ばす「リダイレクト型(ブラウザハイジャッカー)」、行動履歴を監視する「トラッキング型」の3種類が代表的です。侵入する主な経路は以下のとおりです。
フリーソフトのダウンロード(バンドル): 最も一般的な経路です。海外の無料動画再生ソフトやPDF変換ツールなどをインストールする際、「推奨設定」のまま進めると、アドウェアが裏で同時にインストールされます。
ブラウザの拡張機能: 「Youtubeの広告を消す」「無料でVPNが使える」などと謳うChrome等の拡張機能の中に、実はアドウェアが仕込まれているケースです。
有害な広告(マルバタイジング): 正規のウェブサイトに表示される広告枠が攻撃者に買い取られ、その広告をクリック(あるいは表示しただけ)でアドウェアが強制ダウンロードされる手口です。
偽の警告画面(サポート詐欺): 「システムが感染しています!今すぐ修復ツールをダウンロードしてください」という偽のポップアップ(サポート詐欺)を表示し、ユーザー自身に悪質なアドウェアをインストールさせます。
アドウェアに感染しているか確認する方法(自己診断チェック)
「最近PCやスマホの動きがおかしい」と感じたら、以下のチェックリストで感染の兆候を確認してください。
アドウェアに感染しているかどうかは、ブラウザの挙動とシステム全体のパフォーマンスの変化から判断できます。以下の具体的なチェックポイントのうち、2つ以上該当する場合は、アドウェアまたはPUAに感染している可能性が極めて高いと言えます。
【自己診断】アドウェア感染チェックリスト
☑ ブラウザのホームページや検索エンジンが勝手に変わっている
☑ ページの内容と無関係なポップアップ広告や警告が頻繁に出現する
☑ リンクをクリックすると別の広告サイトにリダイレクトされる
☑ ブラウザのツールバーに見慣れないボタンやアイコンが追加されている
☑ 重いアプリを開いていないのにPCやスマホの動作が異常に遅い
☑ スマホのバッテリー消費が急激に早くなり、データ通信量が異常に減っている
▲ アドウェア感染の自己診断プロセス
【OS・デバイス別】アドウェアの具体的な削除方法
アドウェアを削除する際は、OSごとの正規の手順でアプリとブラウザの拡張機能を両方削除する必要があります。
※注意:削除作業を始める前に、万が一のシステム不具合に備えて重要なデータやファイルのバックアップを取得しておくことを強く推奨します。
Windows PCでの削除手順
不審なプログラムのアンインストール:
「スタートメニュー」>「設定(歯車アイコン)」>「アプリ」>「インストールされているアプリ」の順に開きます。インストールした覚えのないアプリや、発行元が不明なアプリを探し、右側の「…」メニューから「アンインストール」をクリックします。ブラウザ(Google Chrome)の初期化と拡張機能の削除:
Chrome右上の「︙(3点リーダー)」>「設定」>左メニューの「設定のリセット」>「設定を元の既定値に戻す」をクリックし、ブラウザをリセットします。その後、「拡張機能」メニューを開き、見知らぬ拡張機能をすべて「削除」します。
Macでの削除手順
アプリケーションフォルダからの削除:
「Finder」を開き、「アプリケーション」フォルダに移動します。不審なアプリを見つけたら、右クリック(またはControl+クリック)して「ゴミ箱に入れる」を選択します。その後、ゴミ箱を空にします。ログイン項目の確認:
「システム設定」>「一般」>「ログイン項目」を開き、バックグラウンドで実行を許可されている見知らぬ項目があれば、トグルスイッチをオフにします。Safariの拡張機能削除:
Safariを開き、メニューバーの「Safari」>「設定」>「拡張機能」タブを開きます。不明な拡張機能を選択し、「アンインストール」をクリックします。
iPhone/iPadでの対策と削除手順
Safariの履歴とWebサイトデータの消去:
iPhoneの「設定」アプリを開き、「Safari」>「履歴とWebサイトデータを消去」をタップします。これにより、ブラウザに保存された不正なCookieやリダイレクト設定がクリアされます。不審な構成プロファイルの削除:
「設定」>「一般」>「VPNとデバイス管理」を開き、自らインストールした覚えのない「構成プロファイル」が存在する場合は、選択して「プロファイルを削除」をタップします。怪しいアプリのアンインストール:
ホーム画面上で見慣れないアプリを長押しし、「アプリを削除」を選択します。
Androidスマートフォンでの削除手順
セーフモードでの起動:
端末の電源ボタンを長押しし、画面に表示された「電源を切る」をさらに長押しして「セーフモード」で再起動します(機種により手順が異なる場合があります)。これにより、サードパーティ製アプリの動作を一時的に無効化できます。デバイス管理アプリの権限解除と削除:
「設定」>「セキュリティ」>「デバイス管理アプリ」を開き、アドウェアが管理者権限を取得している場合はチェックを外します。その後、「設定」>「アプリ」から該当の不審なアプリを「アンインストール」します。
▲ アドウェアを手動で安全に削除する基本手順
手動で削除できない場合の対処法と専用ツール
システムの奥深くに根を張ったアドウェアは、専用の無料駆除ツールを活用して安全に削除します。
手動でアプリや拡張機能を削除しても、PCを再起動するとすぐに広告が復活してしまう場合、アドウェアがレジストリ(Windowsのシステム設定)や深いシステムフォルダを改ざんしている証拠です。このような場合は、信頼できるアンチウイルスソフトウェアや、アドウェアに特化した駆除ツールを使用します。
信頼できる無料駆除ツール(例:Malwarebytes)
世界的に評価が高く、無料でアドウェアのスキャンと駆除が行えるツールとして「Malwarebytes(マルウェアバイツ)」が広く利用されています。Malwarebytes公式サイトから無料版をダウンロードしてインストールし、「スキャン」を実行するだけで、通常のウイルス対策ソフトでは見逃されがちなPUA/PUP(潜在的に迷惑なプログラム)を検出し、隔離・削除してくれます。
二次被害を防ぐための注意点
検索エンジンで「アドウェア 削除 無料」などと検索すると、上位に表示されるサイトの中に「偽のセキュリティソフト(ローグウェア)」をダウンロードさせる悪質なページが紛れ込んでいることがあります。駆除ツールを導入する際は、必ずソフトウェアの公式ウェブサイトからダウンロードし、第三者のまとめサイトのリンクは避けるようにしてください。
企業におけるアドウェア・エンドポイント対策
企業環境において、従業員のデバイスをアドウェアから守るためには、IT資産管理とエンドポイントの可視化が必要です。
個人のPCやスマホであれば個人の責任で対処可能ですが、企業が貸与している社用デバイスがアドウェアに感染した場合、事態は極めて深刻です。アドフラウドによるネットワーク帯域の圧迫や、インフォスティーラー機能を持つアドウェアを通じた社内の機密情報・SaaSのログイン認証情報の漏洩(情報漏えい)リスクに直結します。
シャドーITの防止とAdminaによるデバイス管理
企業におけるアドウェア感染の主な原因は、従業員が情シス部門の許可を得ずに勝手なフリーソフトや拡張機能をインストールする「シャドーIT」にあります。これを防ぐためには、単にルールを定めるだけでなく、従業員がどのデバイスでどのようなソフトウェアを使用しているかをシステム的に可視化・制御する仕組みが必要です。
マネーフォワードが提供するIT資産管理・SaaS管理プラットフォーム「Admina(アドミナ)」を活用すれば、社内のすべてのデバイス(PC・スマートフォン)のインベントリ情報や、利用されているSaaSアカウントを一元管理できます。未許可アプリのインストールを即検知し、脆弱性のあるソフトウェアを排除することで、棚卸しの手間を大幅に減らせます。
よくある質問(FAQ)
Q:iPhoneのカレンダーに身に覚えのないスパム通知が来るのはアドウェアに感染したからですか?
A:iPhoneでアドウェア的な被害として最もよく問い合わせを受けるのがこのケースです。厳密にはアドウェアへの感染ではなく、iCloudカレンダーの共有機能や照会機能を悪用した「カレンダースパム」と呼ばれる手口です。iPhoneの「設定」>「カレンダー」>「アカウント」から、身に覚えのない「照会するカレンダー」を削除することで解決できます。表示されているURLは絶対にクリックしないでください。
Q:無料のウイルス対策ソフトをインストールすれば、アドウェアは完全に防げますか?
A:無料のウイルス対策ソフトは既知のマルウェア検知には有効ですが、規約上「合法」の体裁をとっているPUA(悪質なアドウェア)に対しては警告を出さない場合があります。また、無料ソフト自体が広告を表示するアドウェアとして機能するものも存在するため、導入時は信頼できるベンダー(Windows Defenderや著名なセキュリティベンダー)のものを選んでください。
Q:アドウェアとコンピュータウイルスの違いは何ですか?
A:コンピュータウイルスは、プログラムやシステムを破壊・自己増殖することを目的に悪意を持って作成されます。アドウェアは、主に「広告を表示して開発者が金銭的利益を得る」ことを目的としています。ただし近年は、アドウェアの背後で情報を盗むスパイウェアが同時に動作するなど、両者の境界線は曖昧になってきています。
まとめ
アドウェアは、ユーザーの同意なしに広告を表示し、ブラウザの挙動を変えてしまう厄介なソフトウェアです。近年は、企業の広告費を搾取するアドフラウドや、情報を窃取する高度な脅威へとハイブリッド化しており、「たかが広告ソフト」と軽視することはできません。万が一感染の兆候が見られた場合は、本記事で紹介したOS別の手順や無料駆除ツールを用いて速やかに削除を行ってください。企業においては個人のリテラシーに依存せず、IT資産管理ツールを活用してデバイス全体を可視化・統制することが現実的な対策です。まずIT資産管理ツールの導入可否を検討するところから始めることをお勧めします。
対策アクションチェックリスト
✅ ブラウザのホームページ・検索エンジンの設定を確認した
✅ 不審なブラウザ拡張機能をすべて削除した
✅ Malwarebytesでフルスキャンを実施した
✅ 社内デバイスの許可アプリリストを見直した
✅ 従業員へのシャドーIT対策ルールを確認・周知した
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
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