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クレジットカード会社から、身に覚えのない利用について問い合わせが来たことはありませんか。なぜカード会社が先に気づくのか、その仕組みから補償の仕組み、万が一の際の対処法まで、本記事でまとめて解説します。
この記事でわかること
カード会社がAIで不正利用を検知する仕組み
不正利用された場合の補償条件と対処の手順
利用者自身でできる具体的な不正利用対策
クレジットカード不正利用の原因とは
クレジットカード不正利用の最大の原因は、フィッシング詐欺や漏洩による「番号盗用」です。
被害額の実態と「番号盗用」の急増
日本クレジット協会の集計によると、2024年のクレジットカード不正利用被害額は過去最悪の約555.0億円に達しました。しかし、2025年には510.5億円(前年比8.0%減)と減少に転じています(2026年3月公表、速報値)。ここで注目すべきは被害の手口の内訳です。2025年の被害額のうち、実に93.1%(475.4億円)がインターネット決済などでの「番号盗用」によるものです。かつて主流だったスキミング等による偽造カード被害は激減しており、被害の舞台は非対面のオンラインへと完全に移行しています。
なぜ番号が盗まれるのか
クレジットカード不正利用の原因として多いのが、実在する企業(宅配業者や金融機関)を装ったメールやSMSで偽サイトに誘導するフィッシング詐欺や、ECサイトからのカード情報の盗難・流出です。「カードを落としていないから安心」というわけではなく、悪意ある第三者によってオンライン上で情報が抜き取られることが被害の大半を占めています。
クレジットカードの不正利用はなぜわかる?
カード会社は、24時間365日稼働するAIを活用した不正検知システムによって、利用者の行動パターンと乖離する異常な取引を瞬時に見抜いています。
最新のAI(機械学習)によるリアルタイムスコアリング
カードの所有者でさえ気づかない不正利用を、カード会社が瞬時に見抜くことができるのは、常に進化を続ける検知・認証技術のおかげです。決済が行われるごく僅かな時間で「オーソリゼーション(信用照会)」が行われますが、現在は「機械学習」を用いたAIスコアリングが主流です。AIは、過去の膨大な不正データ、取引の時系列データ、金額の規則性といった特徴をミリ秒単位で解析し、リアルタイムで取引ごとのリスクをスコア化しています。これが、カード会社が不正を検知できる最大の理由です。
AI導入の具体例
大手クレジットカード会社も次々と最新AIを導入し、不正検知の精度を高めています。例えば、三菱UFJニコスはPKSHA TechnologyのAIソリューション「PKSHA Security」を導入し、長年モニタリングチームが蓄積してきた人的ノウハウとAIを融合させた「トレンド追従型アルゴリズム」で微細な不正パターンを検知しています。また、エポスカードも時系列データの解析により未知の不正手口に対応しています。さらにMastercardは「Decision Intelligence Pro(DI Pro)」というAIを導入し、ダークウェブ上の漏洩データを解析して元のカード番号を推測・復元するなど、高度な対策を講じています。
▲ AIを活用したリアルタイム不正検知システムの仕組み
クレジットカード会社は不正利用をどのように調査する?
不正利用が疑われる場合、カード会社は「利用の一時停止」「本人への確認」「加盟店への照会」というステップで迅速かつ慎重に調査を進めます。
1. カード利用の一時停止
システムが異常を検知すると、カード会社はさらなる被害拡大を防ぐため、カードの利用を一時的に停止または保留する措置を取ります。同時に社内で取引の詳細な確認作業が始まり、この段階で本人へ連絡が入る前に安全が確保されることが多くあります。
2. 本人への利用確認連絡
不正利用の可能性が高いと判断されると、電話、SMS、または専用アプリの通知を通じて本人に利用確認の連絡が行われます。ここで本人確認が取れると、調査が一気に前進します。なお、カード会社が電話やメールで暗証番号やセキュリティコードのすべてを尋ねることは絶対にないため、詐欺には十分注意してください。
3. 加盟店への照会
本人が利用を否定した場合、カード会社は決済が行われた加盟店(ECサイトなど)へ取引の詳細を照会します。伝票や配送先の情報などを確認し、不正利用の事実を確定させます。一般的な調査には数週間から2ヶ月程度かかるのが通例です。
犯人はバレる?誰が使ったかわかるか
個人でクレジットカードの不正利用の犯人を特定することは極めて困難であり、カード会社と警察の介入が必要です。
犯人を個人で追及してはいけない
「検知の仕組みがあるなら、誰が使ったかわかるのでは?」と怒りや不安を感じるかもしれません。しかし、犯人は海外のサーバーを経由して身元を隠蔽したり、偽の配送先を指定して転送させたりと手口を巧妙化させています。利用者が個人で犯人を特定しようとすると、フィッシングサイトに再度アクセスして情報を抜かれたり、無用なトラブルに巻き込まれるなどの二次被害につながる恐れがあります。
警察(サイバー犯罪捜査)への一任
不正利用の犯人を特定・逮捕するには、加盟店の協力や警察のサイバー犯罪捜査部門による専門的な権限に基づく調査が不可欠です。したがって、まずはカード会社への報告と利用停止を最優先とし、必要に応じて警察へ被害届を提出し、捜査機関に一任することが最善の対応となります。
クレジットカードの不正利用に気づいたら何をすべき?
不正利用に気づいたら、被害拡大を防ぐために即座にカード会社へ連絡して利用停止を申し出ることが最優先です。
不正利用発覚時の判断フローとタイムライン
身に覚えのない請求に気づいた場合、慌てずに以下のステップで対応してください。どのブランドのカードでも手順は共通です。
【直後】利用明細の再確認:請求の店舗名や日付を確認します。決済代行会社名義になっていないか、家族が利用していないかも併せて確認してください。
【即日】カード会社へ連絡:本当に身に覚えがなければ、カード裏面に記載されている公式の連絡先へ直ちに電話します。カードの利用停止と再発行の手続きを行い、被害の拡大を防ぎます。
【数日内】警察への届け出:カード会社の指示に従い、最寄りの警察署で被害届を提出します。受理番号が補償手続きに必要となる場合があります。
【1〜2ヶ月】カード会社による調査と補償:調査期間中、追加で書類提出などが求められた場合は誠実に対応します。
▲ 不正利用に気づいた際の対応手順とタイムライン
クレジットカードを不正利用されたら誰が払う?
不正利用の被害額は原則としてカード会社が補償しますが、申告の遅れや利用者の重大な過失がある場合は全額自己負担となります。
原則としてカード会社が補償
不正利用された場合、誰が払うのかは利用者にとって最も気になる点です。結論として、利用者に過失がなければ、不正利用された金額はカード会社が付帯する盗難保険などによって補償され、利用者の支払い義務は免除されます。
補償対象外となり全額自己負担になる失敗パターン
しかし、無条件に全額補償されるわけではありません。以下のケースでは「重大な過失」や「規約違反」とみなされ、被害額を自身で支払うことになります。
申告期限の超過(60日ルール):多くの規約では、利用代金明細の通知後60日以内(または発生日から61日以内)の届け出が必要です。明細を見ずに数ヶ月経過してから気づいても補償されません。
家族や知人による利用:家族にカードを貸していたり、管理が不十分で家族が無断利用(ゲーム課金など)した場合は補償対象外となります。
推測されやすい暗証番号の使用:決済時に正しい暗証番号(PINコード)が入力されている場合。生年月日や「0000」など推測されやすい番号を設定していると自己負担となります。
カード裏面に署名がない:基本的なことですが、署名がない状態で盗難・利用された場合は規約違反となります。
▲ 不正利用の被害額は誰が払う?補償と自己負担の判断基準
クレジットカードの不正利用を防止するための対策
2025年3月末にEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)の義務化が完了したことで、社会全体のセキュリティ水準は底上げされています。ただし、利用者自身による明細確認やパスワード管理も欠かせません。
社会的な対策「3Dセキュア2.0の義務化」と多層防御
2025年3月末までに、経済産業省のガイドラインにより、原則すべてのEC加盟店で「EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)」の導入が義務化されました。これにより、ユーザーのデバイス情報や行動履歴からリスクを瞬時に判定し、高リスクな取引にのみ追加認証を求める仕組みが普及しました。さらに加盟店側では、かっこ株式会社の「O-PLUX」のような属性・行動分析を行うシステムを導入し、サイト全体を面として守る多層防御(「線の対策」とも呼ばれる)が広がっており、セキュリティレベルは大幅に向上しています。
利用者自身ができる具体的な自衛策
利用明細を毎月必ず確認する:サブスクリプションの不正や少額のテスト決済を見逃さないため、Web明細を含め月に1回は必ず目視で確認しましょう。
推測されにくいパスワードを設定する:ECサイトや会員画面のパスワードは使い回しを避け、英数字を組み合わせた複雑なものを設定します。
フィッシング詐欺への警戒:不審なメールやSMSのURLは直接クリックせず、公式アプリやブックマークからアクセスするよう徹底します。
よくある質問
Q:クレジットカードが不正利用された場合、警察には行くべきですか?
A:はい、カード会社の指示に従って最寄りの警察署で被害届を提出することをおすすめします。被害届の受理番号が、カード会社からの補償を受けるために必須となるケースが多いためです。
Q:身に覚えのない数百円の請求はなぜ起きるのですか?
A:攻撃者が不正に入手したカード情報が現在有効かどうかを確かめるための「テスト決済(クレジットマスター攻撃など)」である可能性が高いです。少額だからと放置せず、直ちにカード会社へ連絡してカードを停止してください。
Q:特定のカードブランドで不正利用が多いのはなぜですか?
A:特定のカードブランド自体のセキュリティに欠陥があるわけではなく、利用者が多いメジャーなカードほど、フィッシング詐欺の標的として偽メールなどのばらまき攻撃に悪用されやすいことが主な原因です。
まとめ
クレジットカードの不正利用が検知される背景には、AIなどの最新技術を駆使したカード会社の高度な不正検知システムがあります。しかし、不正の手口は日々巧妙化しており、オンライン上での「番号盗用」による被害は依然として多く発生しています。
万が一の事態に慌てずに済むよう、まずは毎月の利用明細を確認することから始めましょう。不審な請求を早期に見つけ、迅速にカード会社へ連絡することが、あなた自身の資産を守る最も確実な最初の一歩です。
今日からできる確認チェックリスト
✅ 毎月、利用明細をWeb明細含めて目視確認している
✅ カード裏面に署名があり、暗証番号は推測されにくいものを設定している
✅ カード会社の緊急連絡先を把握している
✅ 不審なSMS・メールのURLを直接クリックしない習慣がある
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
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