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「Claude Security」という名前は、Web版の製品、その前身の限定プレビュー機能、Claude Code向けのプラグインの3つを指すことがあり、導入を判断するときはこれらを分けて確認します。
2026年10月時点のAnthropic公式案内では、パブリックベータとして提供されるWeb版Claude Securityの利用条件はEnterprise契約、利用者ごとのプレミアムシート、従量課金用クレジットです。一方、Claude Code向けのClaude Securityプラグインは、Web版とは別の機能として扱います。
Anthropicは2026年2月20日の発表で、Claude Opus 4.6を使ってオープンソースのコードベースから500件以上の脆弱性を見つけたと公表しており、IPAの「AIセキュリティ短信」2026年3月号もこの事例を紹介しています。この件数はAnthropic自身の調査結果で、自社のコードでの検出精度を示すものではありません。本記事では関連する3つの機能と既存ツールの役割を整理し、利用対象・権限・外部接続・修正承認・監査記録の決め方を扱います。

Claude Securityとは(旧Claude Code Security)
この記事で確認したこと(確認日: 2026年10月25日):Anthropicが公表したClaude Code Securityの提供開始時の位置付け、Web版Claude Securityの利用条件とClaude Securityプラグインの提供状況、Claude Codeのセキュリティレビューとサンドボックス、IPAのAIセキュリティ短信、経済産業省のAI事業者ガイドライン第1.2版を確認し、情シスが導入判断と運用設計で扱う論点を整理しました。
Anthropicは2026年4月30日に「Claude Security」をパブリックベータとして公開しており、Claude Code Securityはその前身にあたる機能です。Anthropicは、コードベースの脆弱性を調査し、人のレビュー向けに修正案を提示する機能を「Claude Code Security」として2026年2月20日に発表しています。Anthropicは同機能をClaude Code on the webに組み込まれた限定リサーチプレビューとして案内し、対象はEnterpriseとTeamの顧客で、オープンソースの保守者は無料の優先アクセスを申請できると説明しています。
Anthropicの発表では、同機能はコンポーネント間のやり取りやデータの流れを追い、ビジネスロジックの欠陥やアクセス制御の不備のような脆弱性を調べ、検出結果を複数段階で検証したうえで、重要度・信頼度・修正パッチ案をダッシュボードで扱う構成です。修正は自動適用ではなく、開発者が根拠と提案内容を確認して承認します。
用語を分けると、Claude Code Securityは限定リサーチプレビューとして公表されたコードベース横断の脆弱性調査機能、Claude Codeのセキュリティレビュー機能は/security-reviewやGitHub Actionsで実行する変更レビュー、拡張機能・コネクターはClaudeと外部サービスを接続する経路を指します。本記事では、Web版のパブリックベータ、その前身のClaude Code Security、Claude Code向けのClaude Securityプラグインを分けて扱います。Web版はAnthropicのホスト型基盤からGitHubなどのリポジトリに接続してスキャンし、プラグインは利用者のClaude Codeセッション内で動きます。
IPAは、AIシステム開発者とセキュリティ担当者向けに、AIセキュリティのトレンドや事例を扱う「AIセキュリティ短信」を公開しています。2026年3月号では、Claude Code Securityの発表のほか、AIエージェントへの間接プロンプトインジェクションの事例も取り上げています。IPA「AIセキュリティ短信」
総務省と経済産業省は「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を公表しています(経済産業省公表ページ)。同ガイドラインは特定の製品を評価・保証する文書ではないため、AIを利用する事業者として社内の責任範囲を決める際の参照先として使います。
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▲ Claude Code Securityによる脆弱性調査から人による修正承認までの流れ。
仕組みと既存ツールの比較
Anthropicは、同機能がコードベースの調査後に各所見を再検証し、誤検知を絞り込む多段階の検証を行うと説明しています。Web版Claude Securityの製品ページも、すべての所見が担当者に届く前に敵対的検証(adversarial verification)を通ると説明しています。検証済みの所見には重要度と信頼度が付与され、担当者はダッシュボードで根拠と修正パッチ案を確認します。
Claude Code Security:コードベースを横断して調査し、文脈依存の脆弱性候補を検証して、根拠・重要度・信頼度・パッチ案を人のレビューへ渡す機能です。2026年2月20日の発表時点では限定リサーチプレビューとして案内されました。
Claude Codeのセキュリティレビュー機能:ターミナルの
/security-reviewまたはGitHub Actionsで、作業中のコードやプルリクエストを対象にセキュリティ観点のレビューを行う機能です。既存SAST:定義済みのルールや既知パターンを継続的に検査する統制層です。ルールセット、例外処理、CI/CDゲート、チケット連携を既存の開発プロセスに組み込みやすい特性があります。
SCA・シークレットスキャン・DAST:依存関係の既知脆弱性、認証情報の混入、実行環境での挙動をそれぞれ扱います。いずれもAIによる脆弱性調査機能やセキュリティレビューと同一の機能としては扱いません。
Claude Codeには、ターミナルで任意に実行する/security-reviewと、プルリクエストに対して自動レビューを行うGitHub Actionsの案内があります。Anthropicの公式サポートは、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、認証・認可の不備、不適切なデータ処理、依存関係の脆弱性を検出対象の例として挙げています(公式サポート)。
Anthropicの公式サポートは、セキュリティレビューを既存のセキュリティ対策や手動コードレビューを補完するものと位置付けています。そのため、SASTをAIによる脆弱性調査機能へ置き換えるのではなく、ルールベースの継続検査、依存関係管理、シークレット検出、動的テストを維持したうえで、文脈依存の調査と修正案検討を補助する層として設計します。Claude Securityプラグインの公式ドキュメントも、静的解析、依存関係スキャン、コードレビューと併用するよう説明しています。
対象・提供状況:Web版Claude Securityの利用条件はEnterprise契約、ユーザーごとのプレミアムシート、従量課金用クレジットで、Claude Code向けのClaude SecurityプラグインはWeb版とは別の機能で、製品ページでは全Claude Codeユーザー向けのベータ版と案内されています。実行には有料プラン、Anthropic APIの利用、またはAmazon Bedrockなどのサードパーティ提供元が必要です(Claude Code公式ドキュメント)。スキャンはClaude Codeのセッション内で動き、モデルはセッションで使っているものを使うため、データの扱いはその提供元との契約条件に従います。前身のClaude Code Securityは2026年2月20日に限定リサーチプレビューとして発表され、2026年4月30日に名称をClaude Securityに改めて、Enterprise向けのパブリックベータになりました(Anthropicブログ)。Web版はEnterprise契約・プレミアムシート・従量課金クレジットの三つが揃わないと有効化できず、有効化は組織のオーナーが設定画面から行います(Claude Securityの利用条件)。プラグインは、Claude Codeで/plugin install claude-security@claude-plugins-officialを実行して導入し、/claude-securityからリポジトリ全体、またはブランチ・プルリクエスト・コミット単位の差分をスキャンします。結果はリポジトリ内のCLAUDE-SECURITY-(日時)ディレクトリにMarkdown・JSONL・SARIF形式で書き出されます。修正パッチは作成したものとは別のエージェントがレビューしてからpatchesフォルダに保存され、自動では適用されません。取り込むかどうかは利用者がgit applyで決めます(Claude Code公式ドキュメント)。
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▲ Claude Code Securityと既存SASTツールの特性と役割の違い。
Claude Codeのセキュリティレビュー、拡張機能・コネクターとの違い
Claude Securityはコードの脆弱性を調べて修正案を出す機能で、Claude CodeやClaude Desktopの拡張機能・コネクターはClaudeと外部サービスをつなぐ経路です。必要な権限が違うため、申請と承認は別にします。
情シスでは、導入申請を「リポジトリ調査」と「外部サービス接続」に分けます。前者ではリポジトリ名、データ分類、読み取り・書き込みの別、実行者、利用期間を記録します。後者では接続先、OAuthやAPIトークンの権限、送信されるデータ項目、ネットワーク許可先、停止手順を記録します。この二つを別チケットにすると、コード調査に必要な権限と外部連携に必要な権限を混同しにくくなります。
拡張機能側では、接続先が扱うデータ分類と権限範囲を組織側の基準に照らして判断します。たとえば、社内ドキュメント検索を許可しても、メール送信やカレンダー更新まで同じ接続に含めるとは限りません。接続設定で読み取り専用スコープを選べる場合は読み取り専用から検証を始め、書き込みスコープが業務上必要であることと、操作履歴を取得できることの両方が確認できた場合に限って対象業務を広げます。
レビュー責任の分界も分けます。Claudeの所見は開発者が一次確認し、脆弱性の優先度と例外の妥当性はセキュリティ担当が確認し、修正を本番ブランチへ取り込む判断はリポジトリ所有者が行う形です。AIが提示した修正案をそのままマージする経路を作らず、プルリクエスト、レビュー記録、承認者を結び付けると、調査・判断・変更の主体を追跡できます。
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情シスが押さえるデータガバナンスとシャドー利用対策
統制設計では、対象リポジトリを公開・社内一般・機微・規制対象に分類し、区分ごとに利用環境と許可アカウントを定めます。調査対象のコードには認証情報、接続文字列、個人情報に関わる処理、社内固有の業務ロジックが含まれ得るため、閲覧権限とログの保管先を既存の開発・セキュリティ運用とそろえます。
公開リポジトリ:Claude Securityで調べられるのは、自社が所有し、スキャンに必要な権利を持つコードに限られます(Claude Securityの利用条件)。公開されていても、第三者が所有・ライセンスするOSSは対象外です。自社所有の公開リポジトリで、個人情報・秘密鍵・未公開の脆弱性情報が含まれないことを確認できたものから検証に使います。
社内一般リポジトリ:社内限定の業務ロジックを含む場合は、承認済み組織アカウント、指定ネットワーク、読み取り専用の初期設定で扱い、書き込みはプルリクエスト経由に限定します。
機微・規制対象リポジトリ:顧客情報、決済情報、医療・人事情報、認証基盤、秘密鍵の管理コードを含む場合は、Web版Claude Securityはゼロデータリテンション(ZDR)に対応しておらず、法令で求められる場合や利用ポリシー違反への対応のために、Anthropicがデータを保持することがあります(Claude Securityの利用条件)。同じページでは、ZDRが必要な利用者向けにClaude Code用のClaude Securityプラグインを案内しています。Web版を使う場合は、Enterprise契約・プレミアムシート・従量課金クレジットの条件とあわせて、自社の契約内容と突き合わせます。そのうえで、データ持ち出し条件、契約条件、監査ログ、隔離環境を確認できれば限定検証に進み、いずれかを確認できなければ対象外にします。
Claude Codeでは、ファイルシステムとネットワークの境界を設けるサンドボックス機能が案内されています。Anthropicは、ファイルシステム分離とネットワーク分離を組み合わせる設計を説明しています。
申請票には、少なくとも「利用目的」「対象リポジトリと分類」「利用者・サービスアカウント」「読み取り・書き込み権限」「外部接続先と送信データ」「CI実行の有無」「ログ保管先・保管期間」「停止日」「リポジトリ所有者とセキュリティ承認者」を記載します。対象が機微区分であれば、秘密情報の除外方法、インシデント時の連絡先、例外の失効日も追加します。
権限モデルは、人の利用者、CIサービスアカウント、管理者を分けます。CIでプルリクエストをレビューするだけなら、サービスアカウントには対象リポジトリの読み取り権限と、レビューコメントに必要な限定的なプルリクエスト権限だけを与え、管理者権限、組織全体のトークン、恒久的な書き込み権限は付与しません。GitHub Actionsのワークフロー設定でこの最小権限が確認できれば自動レビューを対象リポジトリへ展開し、確認できなければ手動実行または読み取り専用の検証に戻します。
ログ保全は、AIへの投入内容、実行者、対象リポジトリ、実行時刻、外部接続先、権限変更、所見、承認・却下、最終差分を相互に追跡できる形にします。Claudeの管理画面で取得できない項目は、権限変更と承認・却下をGitHubの監査ログ、CI実行をGitHub Actionsの実行ログ、利用者の認証をID基盤のログで補い、補えない項目が残る対象は限定検証にとどめます。ログの保管期間は自社の監査規程、委託契約、インシデント対応手順に合わせて決め、調査中のインシデントや法的保全の対象は通常の削除期限から外します。
例外承認は、申請者が利用目的・対象・追加権限・外部接続・期限・代替手段を記載し、リポジトリ所有者とセキュリティ担当者が承認し、期限到来時に自動失効または再承認へ進む流れにします。たとえば、本番障害で一時的な書き込み権限が必要な場合でも、対象ブランチ、実行時間、承認者、作業後の権限削除をチケットに残すことで、恒久例外へ変わることを防げます。
本番利用の可否は、Claude Code、ID管理、GitHub Actionsの各設定が申請内容と一致するかで判定します。対象リポジトリ、実行主体、外部送信先、書き込み権限のいずれかが申請と違う場合は本番に使わず、読み取り専用の検証環境に限定するか、対象リポジトリを外すか、接続設定を直します。本番リポジトリへ広げる前には、既知の脆弱性を仕込んだ検証リポジトリを調査させ、所見ごとに採用・却下と却下理由(誤検知、影響範囲外、修正案の不適合)を記録します。試行期間の終了時に、却下理由別の件数、開発者のレビュー所要時間、CI実行回数を集計し、レビュー負荷が許容範囲内で、採用した修正案が既存テストを通過していれば対象を広げ、満たさなければ手動実行に戻します。
シャドー利用を減らすには、禁止事項だけでなく、利用可能な公式アカウント、申請窓口、対象データ区分、レビュー記録の方法を明示します。検出した脆弱性、Claudeが提示した修正案、最終的に採用した差分をプルリクエストやチケットに結び付けて残すことで、AIの出力と人の承認を分離して追跡できます。
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▲ 機微・規制対象リポジトリにおけるClaude Code利用可否の判断フロー。
まとめ
Claude Securityは、2026年2月20日に限定リサーチプレビューとして発表されたClaude Code Securityを前身とし、2026年4月30日からEnterprise向けのパブリックベータとして提供されている、コードベースの脆弱性調査・検証・修正案作成の機能です。Claude Code向けには、同じ技術を使うClaude Securityプラグインがベータ版で提供されています。既存SASTの代替ではなく、ルールベース検査を補完する文脈調査・修正支援として整理します。情シスでは、対象リポジトリ、外部接続、実行権限、修正承認、監査記録を分けて管理し、Claude CodeのサンドボックスやCI連携の設定を組織の統制に合わせます。IPAのAIセキュリティ短信で周辺動向を把握し、経済産業省のAI事業者ガイドライン第1.2版を組織側の責任範囲を考える際の参照先とすることで、製品固有の仕様確認と組織側の運用判断を分けて扱えます。
参照元
・IPA「AIセキュリティ短信」(IPA公表ページ。周辺リスクと事例の把握用)
・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(経済産業省公表ページ。責任範囲の整理用)
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監修
Admina Team
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