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端末管理台帳のエクセル限界とは?効率化とツールの選び方

端末管理台帳のエクセル限界とは?効率化とツールの選び方

端末管理台帳のエクセル限界とは?効率化とツールの選び方

端末管理台帳のエクセル限界とは?効率化とツールの選び方

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最終更新日

端末管理台帳をExcelで作成・運用する方法は、追加コストを抑えられ、少数のPCやスマートフォンを管理する段階では有効です。一方で、端末の配布、異動、退職、修理、返却、廃棄が増えると、台帳の更新が実態に追いつかなくなります。特にリモートワークやSaaS利用が定着した組織では、機器管理台帳だけでは「誰が、どの端末から、どのアカウントを利用しているか」を追跡しきれません。

本記事では、Excelによる台帳管理を直ちに否定するのではなく、継続可能な条件と見直すべき兆候を分けて説明します。MDM、IT資産管理、SaaS管理の役割の違い、国内企業の導入事例、移行時に起きやすい失敗も踏まえ、端末台帳を信頼できる運用情報へ変えるための実務手順を紹介します。

Excelを使った端末管理の限界と、MDMやEDR等の連携による効率的なデバイス管理ツールの選定ポイントを解説するインフォグラフィック。

端末管理台帳とは?エクセルで端末・機器を管理する基本と課題

エクセルによる台帳管理は初期費用を抑えられる反面、手入力に頼るためスケールに伴い更新が困難になります。

本記事のポイント

  • 端末管理台帳は、端末の所在だけでなく利用者、状態、契約、返却履歴を結び付ける管理記録です。

  • Excel単体でも少数端末の管理はできますが、情報収集・更新・照合作業は自動化されません。

  • 管理対象が増え、端末・ID・SaaS・BYODが分断した時点で、台帳の信頼性が下がります。

  • 脱Excelの目的はツール導入ではなく、調達から廃棄までのライフサイクルを一貫管理することです。

端末管理台帳とは、会社が保有または管理対象とするPC、スマートフォン、タブレット、周辺機器について、「何を」「誰が」「どの状態で」「いつまで」利用しているかを記録する台帳です。一般的な管理項目は、資産番号、製造番号、機種、OS、利用者、所属、貸与日、購入日、保証期限、返却日、廃棄日です。

Excelは列や帳票の設計を柔軟に変えられるため、まず機器管理台帳を作る用途には適しています。しかし、台帳管理の目的は一覧を作ることではありません。棚卸し、脆弱性対応、ソフトウェアライセンス監査、退職者の端末回収、廃棄証跡の提示に使える状態を維持することが目的です。

Excelが選ばれやすい理由

多くの企業では、Microsoft 365などの既存契約にExcelが含まれており、新たな購買手続きなしで始められます。端末数が少なく、管理者が明確で、入退社や機器入替が少ない場合は、共有ストレージ上のExcelと更新ルールでも運用できます。Power Query、Power Automate、PowerShell、MDMからのCSV出力を組み合わせれば、Excelへの転記を一部減らすことも可能です。

ただし、この方法では連携処理の保守担当者、データ形式の変更、失敗時の復旧手順も管理対象になります。自動化スクリプトを使う場合は、実行者、実行頻度、エラー通知先、元データを台帳の運用ルールに明記しない限り、別の属人化を生みます。

管理対象を端末だけに限定しない視点

現在の台帳管理では、ハードウェアだけでなく、端末にひも付くID、SaaSアカウント、証明書、SIM、保守契約、廃棄証明書までを関連付けます。たとえば退職者のPCを回収しても、Microsoft 365や業務SaaSのアカウントが有効なら、アクセス経路は残ります。反対にアカウントを停止しても、端末が未回収ならローカルデータや保存済みセッションが課題になります。

端末、ID、SaaSのいずれを正とするかを決めるのではなく、人事イベントを起点に三者を照合する設計が必要です。BYODを認める組織では、私物端末の端末名や詳細な私的情報を集めるのではなく、業務アクセスの可否、登録状態、利用可能なアプリ、ワイプ対象の範囲を規程で定めます。

Excelでの端末管理・機器管理が限界を迎える5つの理由

端末数の増加やセキュリティ要件の厳格化に伴い、手動の台帳管理は形骸化し重大なリスクを引き起こします。

台帳と現物の不整合

Excel台帳では、PCの交換、故障代替機の貸出、部署異動、退職者からの返却などが発生するたびに、人が情報を更新します。更新担当者と実際の手続きを行う担当者が異なると、更新漏れが起きやすくなります。手入力主体の台帳運用では、交換・異動・返却のたびに更新漏れが積み重なり、棚卸し時に台帳と現物の数が大きくずれる事態が生じます。乖離の程度は端末数・管理体制・異動頻度によって異なりますが、棚卸し結果が台帳から繰り返し外れる場合は、台帳を正として運用する前提を見直す局面です。

脆弱性・パッチ状況の把握不足

Excel単体には、端末からOSバージョン、パッチ適用状況、暗号化状態、インストール済みソフトウェアを収集する機能がありません。CSV出力やスクリプト連携で補うことはできますが、取得失敗やオフライン端末を別途扱う必要があります。脆弱性が公表されたとき、対象OSやアプリを即時に抽出できない運用では、対応の優先順位を付けるまでに時間がかかります。

金融庁は「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」(2024年10月4日公表)で、資産の把握や脆弱性管理を含むサイバーハイジーンを重視しています。金融機関以外でも、委託先として取引する企業は、端末の資産情報と更新状況を説明できる体制が契約上の評価対象になる可能性があります。金融庁「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」改正に関する公表資料(2024年10月4日)では、サイバーセキュリティ管理態勢の高度化に向けた考え方が示されています。

共同編集と変更履歴の限界

クラウド上のExcelは共同編集や変更履歴を利用できますが、セル設計の変更、数式の破損、コピーされた旧ファイルの利用までは防げません。特に調達台帳、貸出台帳、廃棄台帳を別ファイルで持つと、同じ資産番号に対する更新が複数箇所に発生します。更新画面を一つに集約し、変更履歴を資産単位で残せるかが、Excelと専用ツールの実務上の差になります。

シャドーITと未登録端末の可視化不足

Excelは登録済みの情報を整理する道具であり、ネットワークに新規接続した端末や、従業員が個別契約したSaaSを自動検知する仕組みではありません。MDMも、登録済み端末へ設定を配布することが中心で、未登録端末を必ず発見する機能ではありません。未許可端末の検知には、ネットワークアクセス制御、EDR、IDプロバイダーのログ、CASBなど、利用環境に応じた別の情報源が必要です。

契約・ライセンス・廃棄記録の分断

端末の購入日と保証期限、SaaSの契約更新日、ソフトウェアライセンス数、廃棄証明書の保管場所が分かれていると、監査時に照合工数が増えます。特にソフトウェア監査では、端末台帳、インストール情報、購入証憑、割当情報を突き合わせます。手動主体の台帳運用では、ライセンス監査や年次棚卸しの準備に大きな工数がかかる傾向があります。自社でこれらの作業に相当な時間が発生しているなら、単にExcelを置き換えるのではなく、どの情報源を連携させるかを先に設計します。

2025年に成立したサイバー対処能力強化法では、一定の基幹インフラ事業者等を対象に、「特定重要電子計算機の届出」および「インシデント報告」の制度が設けられました。なお、重要設備の導入・維持管理等の事前審査制度は2022年成立の経済安全保障推進法に基づく別の制度であり、両法の対象・義務内容は異なります。対象事業者の範囲は個別に定義されるため、一般企業が直ちに同じ法的義務を負うわけではありませんが、取引先から資産構成の説明を求められる場面は増えています。自社が対象に該当するかは、内閣官房「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた取組」ページに掲載された法案資料および対象事業者の定義と、自社の業種・委託契約を照合します。対象該当の判断や義務内容の解釈は、法務・情報セキュリティの専門家への確認を経た上で、設備変更の記録を台帳項目へ追加するかどうかを決めます。

Excel管理の限界を判定する診断チェックリスト

管理対象の増加に伴い、更新漏れや現物との乖離が起きやすくなるため、台帳運用の定期的な点検が有効です。

台数の目安として200台前後が参照されることがありますが、法令上の基準ではなく、手入力主体の運用で負荷が顕在化しやすい経験的な閾値として扱われているものです。端末種別、異動頻度、管理者数、監査要件で限界点は変わります。台数が少なくても、以下の項目に複数該当する場合は、台帳構造または管理フローを見直します。

確認項目

限界の兆候

判断後の対応

台帳と現物

棚卸しで未登録端末、所在不明端末、利用者不明端末が発見される

資産番号を基準に現物照合し、重複・欠番・廃棄済みを整理します。

更新責任

調達、配布、回収、廃棄の各担当者が台帳更新者と異なる

イベントごとに更新責任者と完了条件を定義します。

棚卸し工数

年次棚卸しに1か月以上かかり、通常業務が止まる

MDMまたはITAMのインベントリを基準にし、現物確認は差分中心に変えます。

脆弱性対応

特定OS・アプリを使う端末を当日中に抽出できない

OS、アプリ、最終接続日時を自動取得できる構成を優先します。

入退社管理

人事情報と端末・ID・SaaSの停止手順が別々に運用されている

人事イベントを起点に、回収とアカウント停止を同時に起票します。

監査証跡

いつ誰が利用者や状態を変更したか追跡できない

変更履歴と承認履歴を残せるシステム、またはワークフローを導入します。

このチェックリストは、専用ツール導入の可否を即断するものではありません。たとえば端末が少数でも、監査証跡が必要でSaaS利用が多い組織では、ID・SaaS管理の連携を優先した方が効果的です。一方、端末が限定的で入替頻度も低い場合は、共有Excelの入力規則、資産番号の採番、月次差分確認、読み取り専用の履歴保管で改善できる余地があります。

選定前に整理する確認項目

ツール選定では、端末数だけでなく、Windows、macOS、iOS、Android、Linuxの構成、会社所有かBYODか、既存のMicrosoft 365契約、EDRの有無、API連携の必要性を一覧にします。既存契約でMicrosoft Intuneの利用権がある場合は、まず管理対象OSで必要なインベントリやポリシーを取得できるか限定検証します。取得できればMDMを起点に台帳を整備し、取得できなければITAMやUEMとの連携範囲を追加検討する判断になります。

自社の状況からExcel運用の限界とツール移行の必要性を判定するフロー

▲ 自社の状況からExcel運用の限界とツール移行の必要性を判定するフロー

専用ツールとExcel管理の機能・運用コスト比較

専用ツールの導入は初期費用が発生するものの、手動工数の削減と漏洩リスクの回避により長期的なROIが高まります。

ただし、Excelを使い続ける選択が常に誤りではありません。端末数、OSの種類、既存ライセンス、監査要件、運用担当者の工数を比較して決めます。MDM、IT資産管理、SaaS管理は役割が異なるため、「MDMを入れれば台帳が不要」とは限りません。

比較項目

Excel+運用ルール

MDM・UEM

IT資産管理・CMDB

SaaS管理

主な管理対象

手入力した資産情報

登録済み端末と設定

端末、ソフト、契約、保守、ライフサイクル

SaaSアカウント、契約、利用状況

インベントリ収集

CSV連携や手入力が中心

OS・登録方式・権限に応じて取得

エージェントや連携で取得する製品が多い

SSO、API、ブラウザ拡張など製品により異なる

ポリシー配布・遠隔操作

できません

対応範囲内で実行できます

製品により連携または限定対応です

通常は対象外です

調達・回収・廃棄

手順と証跡を別管理します

端末状態の確認が中心です

ワークフローや資産状態で管理しやすいです

アカウント停止との連携が中心です

費用構造

既存ライセンスと運用人件費

ライセンス料、設定・運用費

ライセンス料、連携・設計費

ライセンス料、連携・運用費

MDM・UEMの役割

MDMはモバイルデバイス管理、UEMはPCやモバイルを含めて統合管理する考え方です。Microsoftは、Intuneで組織のデバイスとアプリを管理し、構成プロファイルやコンプライアンスポリシーを設定できると案内しています。利用可能な機能はOS、所有形態、登録方式、契約ライセンスで異なるため、Microsoft LearnのIntune概要で対象OSと管理方式を確認し、必要なインベントリ項目が取れる場合に導入範囲を決めます。

IT資産管理・CMDBの役割

IT資産管理は、端末の構成情報だけでなく、資産番号、取得価額、保証、リース、ソフトウェアライセンス、利用者、設置場所、回収・廃棄履歴を扱います。CMDBは構成管理データベースであり、端末、アプリケーション、サービス、依存関係を管理するための情報基盤です。すべての項目をCMDBに詰め込むのではなく、監査、セキュリティ、会計、運用のどの判断に必要かで項目を選びます。

費用対効果の算定例

稟議ではツール料金だけでなく、現行工数を金額に換算します。たとえば、棚卸しと更新作業に月40時間、担当者の社内原価を時給4,000円と置くと、年間工数コストは40時間×4,000円×12か月で192万円です。ツール導入後に月10時間まで減る見込みなら、削減余地は年間144万円です。ここに初期設定、教育、連携開発、監査対応の削減額を加え、ツール費用と比較します。削減時間は導入前後で実測し、見込みだけで判断しない運用にします。

Excelと各専用ツール(MDM・IT資産管理・SaaS管理)の役割と強みの比較

▲ Excelと各専用ツール(MDM・IT資産管理・SaaS管理)の役割と強みの比較

脱Excelを推進するIT資産管理の自動化手法と最新トレンド

MDMやSaaS管理システムとの連携により、端末キッティングから回収・廃棄までのLCM自動化が可能です。

LCMはライフサイクルマネジメントの略で、調達、キッティング、配布、運用、回収、再利用、廃棄までを一つの流れとして管理する考え方です。台帳の更新だけを自動化しても、回収や廃棄が手続きから漏れれば、現物と記録は再び乖離します。

インベントリの自動収集

MDM、UEM、EDR、ITAMの連携では、端末名、OS、暗号化状態、最終チェックイン日時、インストール済みアプリケーションなどを自動収集できます。ただし、CPU、メモリ、バッテリー状態、ログイン履歴、アプリ一覧の取得可否は、OS、管理エージェント、端末権限、製品仕様によって異なります。要件定義では「取得できるか」ではなく、「監査・脆弱性対応に必要な項目を、対象OSで、必要な頻度で取得できるか」を検証項目にします。

端末の初期設定を効率化する方法として、WindowsではAutopilotとMDMを組み合わせる構成があります。Microsoftは、Windows Autopilotにより、組織用に事前構成された新しいデバイスをユーザーへ直接展開できると説明しています。Microsoft LearnのWindows Autopilot概要を参照し、メーカー直送、Azure AD参加、アプリ配布の条件が自社の調達方法に合う場合は、キッティング工程と台帳登録の連携を検討します。

ID・SaaS・BYODの連携

ゼロトラストでは、端末が社内ネットワークにあるかではなく、ユーザー、端末の準拠状態、認証強度、アクセス先を条件にアクセスを判断します。このため、端末台帳に利用者を記録するだけでなく、ID管理基盤の在籍情報、SaaSのアカウント情報、端末のコンプライアンス状態を結び付けます。退職処理では、アカウント停止、セッション失効、端末回収、必要に応じたワイプを一つのチェックリストで完了させます。

BYODでは、会社所有端末と同じ管理を私物端末へ適用すると、私的領域への過度な介入になり得ます。業務データをコンテナー化できる構成なら業務アプリとデータだけを管理対象にし、それができない場合はブラウザアクセス、仮想デスクトップ、管理端末の貸与へ切り替える方が管理境界を明確にできます。

国内企業の導入事例

PayPayカード株式会社の事例として、ManageEngineは同社の製品サイトで、社内サーバー上のExcelシートへ手入力していた資産管理からServiceDesk Plusを活用した情報の一元管理へ移行した経緯を紹介しています。保守契約情報と資産情報をひも付け、定期棚卸しや確認作業の負荷を下げた内容です。なお、この事例はベンダーが公開したものであり、自社環境で同等の効果を保証するものではありません。ManageEngineのServiceDesk Plus公式製品情報では、資産管理機能とサービスデスク機能の範囲が案内されています。自社で同様の構成を検討する場合は、既存の調達・会計データをどこまで連携するかを先に確定させます。

キーウェアソリューションズ株式会社では、約1,000人の社員のうち半数以上が客先常駐し、ハードウェア約3,000台、ソフトウェア約4,000本を管理していた状況で、Excel併用による負荷が課題でした。キーウェアソリューションズが公開した導入事例(IT資産管理ツール「iTAssetEye」活用事例として同社が公表)では、ツールの刷新により手作業による台帳更新の負荷を解消し、資産情報の正確性とリアルタイム性を高めることで棚卸し工数の削減を目指した経緯が示されています。詳細は同社または製品ベンダーが公開する事例ページで確認できます。大規模な常駐・リモート環境では、現物確認だけに頼らず、端末からの自動収集と貸与履歴を併用する設計が有効です。

ツール移行で発生しやすい3つの失敗パターンと回避策

ツール導入後も運用プロセスや入力項目を最適化しなければ台帳の形骸化は防げません。

CMDBの管理項目を増やしすぎる失敗

Excel時代の項目をすべて移行し、「念のため」の項目を追加すると、入力と保守が追いつかなくなります。設置場所の詳細、付属品の細目、利用目的など、更新頻度が高く自動取得できない項目を増やすほど、台帳の鮮度は落ちます。

回避策は、管理項目を「自動取得」「申請時に入力」「監査時のみ確認」の3区分に分けることです。資産番号、製造番号、利用者、状態、OS、最終接続、返却・廃棄日は基本項目として維持し、それ以外は利用目的が説明できる場合だけ追加します。

回収・廃棄プロセスの放置

ツール導入時にキッティングやインベントリ収集へ注目し、退職者からの回収、故障品の代替、データ消去、廃棄証明書の保管を後回しにする失敗があります。その結果、台帳上は「利用中」のままの端末や、廃棄済みなのに資産として残る端末が増えます。

回避するには、人事の退職確定日を起点に、端末回収担当、アカウント停止担当、データ消去確認者、廃棄証跡の保管者を割り当てます。回収できない端末は「未回収」の状態で残し、紛失処理や遠隔ワイプの実施履歴を記録します。廃棄完了へ直接変更せず、回収、消去、廃棄の状態を分けると追跡しやすくなります。

購買フロー未連携による野良端末の発生

事業部が独自予算でPC、タブレット、SIM、SaaSを購入し、情シスの台帳に載らないまま利用されるケースです。ツールを導入しても、調達時点で資産番号や所有者を登録するルールがなければ、未登録端末は残ります。

購買申請に「端末区分」「利用者」「費用負担部門」「管理対象OS」「返却先」を入力させ、承認後に台帳へ起票する流れを作ります。購買システムとのAPI連携が可能なら自動連携を優先し、連携できなければ月次の購買明細と台帳を照合します。照合で未登録購入が見つかれば、資産登録か例外承認のどちらかへ必ず分類する運用にします。

機器・端末管理台帳を効率化する移行3ステップ

データクレンジングとスモールスタートを徹底することで、業務の混乱を防ぎ円滑に移行できます。

現行データの整理と基準項目の確定

最初に既存のExcel、購買台帳、MDM一覧、EDR一覧、廃棄記録を集め、資産番号または製造番号をキーに名寄せします。資産番号がない端末は、製造番号、端末名、利用者、購入情報を使って暫定的に突合します。重複、欠番、利用者不明、廃棄済み、所在不明を別リストに分け、移行データへそのまま混ぜません。

最低限の移行項目は、資産番号、製造番号、機種、OS、所有区分、利用者、所属、状態、取得日、保証期限、最終確認日です。SaaSや契約情報は、端末台帳へすべて複製するのではなく、IDまたは契約IDで参照できる設計にします。

対象部門での限定導入と検証

全社展開の前に、情シス部門または端末構成が代表的な一部部門で限定導入します。検証では、端末登録率、インベントリ取得率、利用者との一致率、回収フローの完了率、棚卸し工数を測定します。端末が管理コンソールに表示されても、利用者や所有区分が正しくない場合は、台帳として利用できません。

限定導入では、対象OSごとの取得項目、オフライン端末の扱い、BYODの登録方法、管理者権限の分担、監査ログの保管期間を確認します。監査ログを必要な期間取得できれば全社展開の要件を満たし、取得できなければログ保管製品または運用手順を追加してから展開します。

旧運用の終了日とKPIの設定

Excelと新システムの並行運用は、移行検証に必要ですが、終了日を決めないと二重更新が常態化します。「2026年○月○日以降は新システムを正とし、Excelは閲覧専用のアーカイブにする」のように、データの正本を明文化します。旧台帳を削除する前には、監査に必要な履歴や契約情報を保存します。

導入後は、台帳一致率、未登録端末数、利用者不明端末数、退職日から回収完了までの日数、脆弱性対応で対象端末を抽出するまでの時間、棚卸し工数を月次で測定します。KPIが悪化した場合は、製品を追加する前に、入力責任、購買連携、回収フローのどこで止まっているかを確認します。

混乱を防ぎ円滑に脱Excelを進めるための3ステップ

▲ 混乱を防ぎ円滑に脱Excelを進めるための3ステップ

よくある質問

端末管理台帳とExcel運用について、導入前によく出る疑問を整理します。

Excel管理のセキュリティリスク

Q. Excel管理のセキュリティリスクは何ですか?

A. 台帳ファイルに利用者名、端末情報、IPアドレス、保証情報などが含まれる場合、誤送信、共有設定ミス、不正閲覧が情報漏えいにつながります。アクセス権を最小化し、保存場所、編集者、変更履歴、暗号化の有無を決めても、端末のパッチ状態や未登録端末をExcelだけで自動把握することはできません。

MDM導入後のExcel台帳

Q. MDMを導入すればExcel台帳は完全に不要になりますか?

A. 不要になるとは限りません。MDMは端末設定や準拠状態の管理に強い一方、購入証憑、リース契約、固定資産情報、廃棄証明書まで扱う範囲は製品構成によって異なります。MDMから取得する端末情報を正本にし、会計・購買・廃棄情報をITAMまたは別台帳と連携する設計が現実的です。

Excel継続が可能な条件

Q. 小規模ならExcelでの台帳管理を続けてもよいですか?

A. 管理端末が限定され、更新担当者、月次確認、棚卸し方法、入退社時の回収手順が明確なら継続できます。ただし、端末のOSや利用者を当日中に把握できない、棚卸しで差異が繰り返し出る、SaaSやBYODを管理できない場合は、Excelの改善か専用ツールの限定導入へ進みます。

まとめ

端末管理台帳は、単にPCの一覧を残すためのファイルではなく、端末、利用者、ID、SaaS、契約、回収・廃棄を結び付ける運用基盤です。Excelは少数端末の管理や一時的な台帳作成には使えますが、手入力、監査証跡、パッチ状況、入退社フローが課題になった時点で、単独運用には限界が生じます。

明日から取り組む最初の一歩は、現在の台帳とMDM・EDR・購買記録を突き合わせ、利用者不明、所在不明、廃棄済み、未登録の端末数を数えることです。その差分と、棚卸し・更新に使った月間工数を可視化すれば、Excel改善、MDM活用、IT資産管理ツール導入のどこから着手するべきかを根拠を持って判断できます。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
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