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ジョブカンワークフローとは?料金や使い方・他社比較を解説

ジョブカンワークフローとは?料金や使い方・他社比較を解説

ジョブカンワークフローとは?料金や使い方・他社比較を解説

ジョブカンワークフローとは?料金や使い方・他社比較を解説

公開日

最終更新日

紙やメール、チャットに分散した稟議・捺印・購買申請を見直す際は、単に申請書を電子化するだけでは不十分です。承認規程、組織変更時のルート更新、証憑の保存方法、既存の勤怠・経費システムとの連携まで設計しなければ、導入後に運用負荷が増えることがあります。

ジョブカンワークフローは、こうした社内申請・承認をクラウド上で管理するサービスです。情報システム部門(情シス)が主導するシステム選定から、総務・経理が担う日常運用まで、ビジネスの効率化を進めたい担当者に向け、ジョブカンワークフローの料金体系、使い方、向く業務と向かない業務を具体的に解説します。申請業務と周辺業務を整理し、必要に応じてプロジェクト管理ツールを含む既存SaaSとの役割分担も検討できる内容です。

ジョブカンワークフローの機能概要や料金体系、導入手順および他社比較のポイントを整理して解説する図。

ジョブカンワークフローとは

ジョブカンワークフローは、社内の申請・承認業務をクラウド上で一括管理できるシェアNo.1のシステムです。

本記事のポイント

  • ジョブカンワークフローは、富士キメラ総研のワークフローSaaS/PaaS市場調査で2023年度実績のシェア第1位を獲得しています。

  • ジョブカンシリーズは累計30万社以上、300万以上の有料IDで利用されています。

  • 通常プランは1ユーザー月額300円、他サービス併用時は月額250円から利用できます。

  • 導入成否は製品選定より先に、申請書と承認規程を整理できるかで決まります。

ジョブカンワークフローは、稟議書、捺印申請、備品購入、採用申請、住所変更届、各種届出など、社内で発生する申請と決裁の流れを電子化するクラウドサービスです。申請フォーム、承認経路、閲覧権限を設定し、申請者・承認者・管理者が同じ画面で進捗と履歴を確認します。

株式会社DONUTSは、ジョブカンワークフローの公式案内で、富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2024年版」における「ワークフローSaaS/PaaS市場」の2023年度実績でシェア第1位を獲得したと公表しています。同社はジョブカンシリーズ累計導入社数が30万社以上、有料ID数が300万以上であることも案内しています。

ただし、導入社数の多さだけで自社に適するとは限りません。例えば、紙帳票の見た目を完全に維持することが最優先なのか、申請から会計・経費までのデータ連携を優先するのかで、設定方針と比較すべき製品は変わります。導入検討では、現在利用している申請書を「意思決定用」「支払い・精算用」「人事・労務用」に分けて棚卸しするところから始めます。

対象となる申請業務

ジョブカンワークフローは、定型・非定型を問わず社内承認が必要な業務をまとめる用途に向いています。

代表例は、購買稟議、契約締結前の社内決裁、押印申請、採用稟議、システム利用申請、在宅勤務申請、支店開設申請、取引先登録申請です。申請内容に応じて「部門長承認後に経理」「10万円以上は役員承認」といった条件を設けると、権限規程に沿った運用へ移行できます。

一方、交通費、出張旅費、立替経費、請求書に基づく支払依頼などは、税区分、支払先、仕訳、領収書の読取などを必要とするため、経費精算向けの機能が中心になります。この区別を曖昧にすると、申請者がどちらの画面から申請すべきか迷い、管理者も集計・監査をしにくくなります。

導入メリットと法改正への対応

法改正対応とAI-OCRによる自動化を組み合わせると、社内承認とバックオフィス業務の入力・管理工数を削減できます。

ワークフロー導入の直接的な効果は、紙の回覧やメール添付を減らし、誰の承認で止まっているかを可視化できる点です。加えて、勤怠、労務、給与、経費精算、会計など周辺システムとIDやマスタを分断しない設計にすると、異動・入退社に伴う管理作業も減らせます。

ジョブカン共通IDによる管理負荷の削減

ジョブカン共通IDを使うと、複数のジョブカンサービスでユーザー情報を共通化して管理できます。

勤怠、労務HR、給与計算、経費精算、ワークフローなどを併用する企業では、異動者の所属変更や退職者の利用停止をサービスごとに処理する運用が残りがちです。共通IDを軸に管理すれば、アカウント管理の起点を集約できます。人事マスタの更新担当とワークフロー管理者を分ける場合も、誰がどの情報を更新するかを事前に決めやすくなります。

例えば月20件の異動・入退社があり、1件あたり4サービスで各5分の更新作業が発生している場合、個別更新には月400分かかります。共通IDを中心に更新箇所を減らせれば、この管理時間を削減でき、更新漏れによる不要アカウントの残存リスクも抑えられます。

電子帳簿保存法とインボイス制度への対応範囲

電子帳簿保存法とインボイス制度への対応は、ワークフロー単体ではなく証憑管理・経費精算を含む運用単位で判断します。

国税庁は電子帳簿保存法の特設サイトで、電子取引データ保存、スキャナ保存、電子帳簿等保存の制度概要と要件を案内しています。電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3区分があり、それぞれ要件が異なります。なかでも電子取引で受領・発行した請求書や領収書は「電子取引データ保存」に該当し、単にPDFを申請書へ添付するだけでなく、検索要件、真実性の確保、保存場所、権限、訂正削除履歴の扱いまで社内運用を設計することになります。スキャナ保存や電子帳簿等保存を対象にする場合は要件が異なるため、国税庁の電子帳簿保存法特設サイトで対象区分の要件を確認します。

ジョブカンは、経費精算・電子帳簿保存の関連サービスで、タイムスタンプ連携や適格請求書発行事業者番号の確認機能を提供しています。ただし、対象書類、保存方式、利用中のオプションによって適用範囲は変わります。経理部門が保存対象を一覧化し、電子取引データをどのサービスへ保存するかを決められるなら限定検証に進み、保存先が複数に分散するなら先に文書管理ルールを統一します。

AI-OCRを活用した証憑入力の削減【条件次第で有効】

領収書や請求書の入力負荷を下げたい場合は、ワークフローと経費精算の役割を分けてAI-OCRを利用します。立替経費・請求書処理など証憑を伴う業務が月間一定件数以上ある場合に費用対効果が出やすく、汎用申請のみの利用では必須ではありません。

株式会社DONUTSは、ジョブカン経費精算で領収書・請求書を読み取るAI-OCR機能を正式提供し、2026年4月時点の公式案内では月額100円(税抜)の1ユーザーオプションとして紹介しています。料金やオプションの提供条件は変更される可能性があるため、ジョブカンワークフロー公式サイトまたはジョブカン経費精算の料金ページで現行条件を確認します。日付、金額、取引先名などの読み取りは手入力を減らす手段になりますが、読み取り結果と原本の照合、税区分の確認、重複申請の確認は運用に残ります。

AI-OCRを使う対象は、立替経費や請求書処理など金額・証憑を伴う業務に絞ります。購買稟議や押印申請のように証憑の読み取りが主目的ではない申請を同じフォームに詰め込むと、入力画面が複雑になり、利用定着を妨げます。

IT導入補助金の活用条件

IT導入補助金を使える場合は、導入費用と対象業務を先に切り分けて申請計画を立てます。

中小企業基盤整備機構はIT導入補助金の公式サイトで、対象事業者、申請枠、登録ITツール、手続きの情報を公開しています。補助率や対象経費は公募回・申請枠・導入形態により変わるため、「最大80%」という数字だけで予算化してはいけません。導入候補の契約前に、導入予定サービスが当該年度の登録ツールに含まれるか、申請主体と支払い時期が要件に合うかを確認できれば補助金申請を進め、要件に合わなければ通常予算での費用対効果に切り替えます。

ジョブカン共通IDを中心としたアカウント一括管理の構成

▲ ジョブカン共通IDを中心としたアカウント一括管理の構成

ジョブカンワークフローの使い方

ジョブカンワークフローは、申請フォーム、承認経路、権限、通知の順に設定すると運用を組み立てやすくなります。

使い方を理解するうえで大切なのは、最初から全申請書を移行しないことです。承認件数が多く、ルールが比較的明確な申請から始めると、フォームと経路の問題を早い段階で発見できます。最初の検証対象には、備品購入申請、押印申請、システム利用申請などが適しています。

申請フォームの作成手順

フォームは紙帳票の再現ではなく、承認判断に必要な情報だけを入力させる設計にします。

  1. 対象業務の目的、申請者、承認者、最終決裁者を整理します。

  2. 申請項目を「必須」「条件付き必須」「任意」に分けます。

  3. 金額、日付、選択肢、添付ファイルなどの入力形式を決めます。

  4. 申請者以外が更新する項目や、承認後に参照する項目を明確にします。

  5. 少数の利用者で申請・差し戻し・再申請をテストします。

例えば備品購入申請なら、品名、数量、金額、購入理由、予算部門、希望納期、見積書添付の有無が基本項目です。「購入先の住所」「担当者の押印欄」など、クラウド化後に承認判断で使わない項目は削除候補になります。紙の欄をすべて残すと、入力時間と差し戻し件数が増えます。

承認経路の設定方法

承認経路は個人名ではなく役職や所属グループを基準に組み立てると、人事異動に耐えやすくなります。

金額に応じて部門長、経理、役員へ回す場合は、金額条件と組織上の役割を分けて設定します。例えば「10万円未満は課長」「10万円以上100万円未満は部長と経理」「100万円以上は役員を追加」といった規程があるなら、金額条件ごとに必要な役職を定義します。

人事異動が発生する企業で承認者を個人名に固定すると、異動のたびに多数のフォームを修正することになります。役職・グループによる相対指定を使い、組織更新時にユーザーの所属・役職を更新する設計なら、承認ルートの保守対象を減らせます。

申請から承認までの操作

申請者は対象フォームを選び、必須項目と添付ファイルを入力して申請し、承認者は通知から内容を確認して承認・差し戻し・却下を実行します。

申請後は進捗を確認し、差し戻し時はコメントを確認して再申請します。承認者側では、判断理由が後から確認できるよう、差し戻し・却下の際に具体的なコメントを残すルールが有効です。「内容不備」だけでは申請者が修正箇所を特定できず、往復が増えます。

本番開始前は、通常承認だけでなく、代理承認、不在者がいる場合、差し戻し、申請者の異動、退職者が承認途中にいる場合を含めて検証します。これらをテストして問題がなければ、対象フォームを段階的に増やします。

失敗を防ぐための申請フォーム作成5ステップ

▲ 失敗を防ぐための申請フォーム作成5ステップ

豊富な機能と外部連携

主要チャットツールやAPI連携を活用することで承認通知と業務自動化をスムーズに実現できます。

外部連携では、標準機能として提供される連携と、Yoomなどの連携サービスやAPIを経由して構築する連携を区別する必要があります。同じ「Teams通知」でも、標準搭載か外部サービス経由かで、費用、障害時の切り分け、管理者の作業が変わります。

フォームと承認の標準機能

標準機能では、申請フォーム、承認経路、入力制御、通知、申請履歴の検索をまとめて管理できます。

管理者は、テキスト、数値、日付、選択肢、添付ファイルなどの項目を組み合わせてフォームを作成します。必須入力や数値入力を設定すれば、形式不備による差し戻しを減らせます。申請履歴を検索できるため、監査や内部調査で過去の承認経緯を確認する用途にも使えます。

チャット連携の区分

SlackとChatworkへの通知は標準連携として扱い、Microsoft TeamsやLINE WORKSへの通知は外部連携サービス経由の構成として扱います。

株式会社DONUTSの案内では、SlackおよびChatworkとの連携により、申請や承認に関する通知をチャットで受け取る運用ができます。承認者がメールを確認しない組織では、チャット通知を使うことで未処理申請に気付きやすくなります。

Microsoft TeamsやLINE WORKSへの通知は、Yoomなど外部自動化サービスを用いる構成があります。この場合、ジョブカン側だけでなく外部サービスの契約、認証情報、フローの保守も必要です。通知先を増やす前に、メール・チャットのどちらを正とするかを決め、通知の重複による見落としを防ぎます。

電子契約と購買システムの連携

電子契約や購買の連携は、社内承認の完了後に次の業務へ引き渡すために使います。

クラウドサイン、Amazonビジネス、Box、Hubbleなどとの連携可否は、利用サービス、契約内容、外部連携基盤によって異なります。例えば契約稟議の承認後に電子契約の作成へ進める場合、申請書の契約相手、契約金額、契約期限、契約書ファイルをどこまで引き継ぐかを定義します。承認完了を契約締結と同一視してはいけません。社外署名が完了するまでの責任者と進捗確認方法を別途決めます。

APIとWebhookによる拡張性

ジョブカンAPIやWebhookは、プランや契約条件によって利用可否・提供範囲が異なります。ジョブカンワークフロー公式サイトまたは営業担当へ問い合わせて、自社プランでの対応状況を確認したうえで、基幹システムや独自システムとのデータ連携の自動化を検討します。

API連携の対象には、社員マスタの同期、部門マスタの反映、申請結果の取得、購買管理システムへの決裁情報連携などがあります。Webhookを利用できる場合は、承認完了や差し戻しなどのイベントを起点に後続処理を開始する設計が可能です。

ただし、API・Webhookの利用範囲、認証方式、呼び出し上限、提供対象は契約や仕様変更の影響を受けます。連携したい基幹システムがAPI受信に対応しており、ジョブカン側の取得項目と照合キーを定義できるなら自動連携を検証します。照合キーがなく重複登録の危険がある場合は、CSV出力と人による確認を残す運用にします。

シングルサインオンとセキュリティ

SAML2.0によるSSO連携とIP制限を組み合わせると、アクセス経路を絞り込みアカウント管理を集約しやすくなります。ただし、IdPの設定不備や運用体制によっては効果が限定されるため、認証構成と社内の運用手順を合わせて設計します。

クラウド型ワークフローでは、申請内容に人事情報、取引先情報、契約情報、金額情報が含まれることがあります。そのため、フォームや承認経路を整えるだけでなく、誰がどの経路でログインし、どの申請を閲覧できるかを設計します。

SAML2.0による認証連携

SAML2.0対応のSSOを利用すると、IdPを起点にジョブカンへログインする構成を作れます。

Okta、Microsoft Entra ID、Google WorkspaceなどをIdPとして利用している企業では、SSOを使うことで複数パスワードの管理を減らせます。退職者のアカウント停止をIdP側の無効化と連動させる設計にすると、ワークフローだけ利用停止が遅れる問題を抑えられます。

SSOを導入する際は、通常のID・パスワードログインをどの管理者に残すか、IdP障害時に誰が緊急アクセスできるかを決めます。全管理者のログイン経路を一律に閉じると、IdP設定の不備時に復旧作業ができなくなるため、緊急時の手順と責任者を文書化します。

IP制限と端末管理

IP制限はアクセス元ネットワークを絞る手段であり、SSOや端末管理と組み合わせて使います。

社内ネットワークやVPNの固定IPアドレスからのみ利用を許可する構成は、社外からの不正ログインを抑える一助になります。ただし、外出先やテレワークでスマートフォン承認を行う運用とは両立しない場合があります。モバイル承認が必要な企業では、IP制限だけで解決しようとせず、IdPの多要素認証、端末管理、条件付きアクセスなど既存のセキュリティ基盤と役割分担します。

権限設計と監査対応

管理者権限は最小限にし、フォーム作成・組織更新・閲覧・監査を分離します。

テンプレートを自由に作れる状態にすると、類似フォームが増え、どの申請書が正式版か判断できなくなります。全体管理者は権限設定と正式フォームの公開を担当し、部門担当者は申請内容の更新案を作成する、といった役割分担が現実的です。監査対応では、誰がいつフォームや経路を変更したかを追跡できるよう、変更申請と承認記録を残します。

料金プランと総費用の考え方

初期費用0円かつ月額300円から利用でき、他シリーズとの併用でコスト削減が可能です。

料金を比較する際は、1ユーザーあたりの単価だけではなく、最低利用料金、オプション、利用対象者数、外部連携サービスの費用まで含めます。申請者だけでなく承認者もアカウントが必要になるか、閲覧専用ユーザーをどう扱うかは、契約前に運用設計と合わせて確認する項目です。

ジョブカンワークフローの料金体系

株式会社DONUTSの公式案内では、初期費用とサポート費用は0円で、月額料金は利用形態により異なります。

利用形態

月額料金

主な条件

通常プラン

1ユーザー300円(税抜)

最低利用料金は月額5,000円(税抜)です。

他ジョブカンシリーズ併用

1ユーザー250円(税抜)

対象サービスとの併用条件があります。

ワークフロー・経費精算セット

1ユーザー600円(税抜)

汎用申請と経費精算を分けて運用する場合に利用します。

AI-OCRオプション

1ユーザー100円(税抜)

ジョブカン経費精算で領収書・請求書読取を使う場合のオプションです。

料金、対象サービス、無料トライアルの条件は変更される可能性があります。契約時点の単価と対象範囲は、ジョブカンワークフロー公式サイトの料金案内で確認し、利用予定人数と照らして見積もります。

最低利用料金が与える影響

利用人数が少ない場合は、1ユーザー単価ではなく最低利用料金を基準に月額を試算します。

通常プランで10人が利用する場合、単価計算は月額3,000円ですが、最低利用料金が月額5,000円であるため、実際の月額は5,000円です。20人なら単価計算で月額6,000円となります。この差は小規模な部門導入で特に影響します。

一方、申請者を一部部署に限定し、承認者だけが全社に広がる運用では、対象ユーザーの定義により費用が変わります。まず対象業務を限定してトライアルを行い、申請・承認・閲覧の各役割に必要なアカウント数を確定してから本契約の見積もりを取ります。

汎用ワークフローと経費精算の選定基準

意思決定の承認はワークフロー、支払いと仕訳を伴う処理は経費精算へ分けると運用が安定します。

判断項目

ワークフローが中心の業務

経費精算が中心の業務

主な目的

稟議・届出・社内意思決定

立替精算・請求書支払い・出張精算

主な入力内容

申請理由、承認条件、添付資料

金額、税区分、支払先、証憑、仕訳情報

後続業務

購買、契約、権限付与、人事手続き

支払い、会計計上、証憑保存

選定の目安

事前承認が中心の場合

精算・会計処理まで必要な場合

「備品を購入してよいか」はワークフローで事前承認し、「実際に支払った金額を精算する」は経費精算で扱う、と決めると二重申請を減らせます。両方の業務が多い企業では、セット利用の費用と、別々のツールを連携させる費用を比較します。

導入時の注意点と失敗パターン

承認ルールの事前整理と運用権限の集約を行うことで導入後のトラブルを防げます。

ワークフロー導入の失敗は、製品の操作性よりも、紙運用の例外をそのまま移植することから起きます。導入前に「誰が、何を、どの条件で承認するか」を表にし、例外ルールを減らしてから設定へ進みます。

汎用申請と経費精算の混同

汎用ワークフローと経費精算を分けずに導入すると、申請者と経理担当者の双方が迷います。物品購入の事前稟議・押印申請・採用申請などを経費精算側へ集約すると、税区分や支払情報が不要な申請にも経費用の項目が増えます。反対に、支払依頼や旅費精算を汎用フォームに集約すると、証憑確認・仕訳・支払処理が属人的になりやすくなります。「支払いまたは会計計上が発生するか」を判断軸にして業務を一覧化し、発生する業務を経費精算、発生しない意思決定をワークフローと定義すると、申請先の迷いを減らせます。

個人名で固定した承認経路

承認者を個人名で固定すると、異動や退職のたびにフォームの改修が必要になります。

これは特に、数十種類以上の申請書を持つ企業で問題になります。異動後も旧担当者に申請が送られたり、退職者で経路が止まったりすると、申請者は原因を判断できません。役職、所属グループ、部門長などの相対指定を使い、ユーザー情報の更新だけでルートへ反映される設計にします。

組織改編の予定がある企業では、本番前に異動パターンを用意してテストします。所属変更後に承認者が変わることを確認できれば本番へ進み、変わらない場合はフォームの経路設定と人事マスタの対応関係を見直します。

紙帳票の完全再現

紙の申請書をそのまま再現しようとすると、フォームが長くなり利用者に定着しません。

やってはいけないのは、紙にあるすべての押印欄、確認欄、記入欄を画面上で残すことです。入力欄が多いほど、申請に時間がかかり、不備による差し戻しも増えます。フォーム項目は「承認者の判断に必要か」「後続システムへの連携に必要か」「監査上必要か」の3条件で残します。

テンプレート作成権限の分散

フォーム作成を無制限に各部署へ開放すると、類似テンプレートが乱立します。

申請者が「備品購入申請」「備品購入依頼」「消耗品申請」のどれを使うか迷う状態になると、検索性も集計性も下がります。新規テンプレートは部門担当者が起案し、全体管理者が命名、項目、経路、保存先を確認して公開する運用にします。四半期ごとに利用件数の少ないフォームを確認し、統合・廃止することで増殖を防げます。

申請業務に応じた「ワークフロー」と「経費精算」の切り分け判断フロー

▲ 申請業務に応じた「ワークフロー」と「経費精算」の切り分け判断フロー

国内企業の導入事例

多様な規模・業界の企業が導入し、決裁の迅速化やペーパーレス化で明確な成果を出しています。

導入事例を見る際は、成果数値だけでなく、どの業務を対象にし、どのシステムと連携したかを確認します。同じワークフローでも、紙の申請書を置き換える導入と、会計・経費処理までつなぐ導入では、再現すべき設計が異なるためです。

キングソフト株式会社の処理日数短縮

キングソフト株式会社は、ワークフローと会計処理のつながりを見直し、支払処理と月次決算の期間を短縮しました。

株式会社DONUTSが公開する導入事例では、従業員51〜100名のキングソフト株式会社は、ワークフローのデータを会計システムへ手入力していたことが課題でした。導入後、支払処理は5営業日から2営業日へ、月次決算の締め作業は12営業日から8営業日へ短縮したと紹介されています。

この事例から読み取れるのは、申請の電子化だけではなく、承認済みデータを後続の会計処理へ渡す設計が効果に結び付いた点です。支払依頼を扱う企業では、申請項目と会計側で必要な項目の重複入力を洗い出すと、同様の改善余地を見つけやすくなります。

北海道農業協同組合中央会の文書保存量削減

北海道農業協同組合中央会は、決裁の迅速化と紙文書の保管負荷の削減を進めました。

株式会社DONUTSの導入事例によると、従業員101〜300名の北海道農業協同組合中央会は、ジョブカン共通IDを通じて給与・労務と連携し、新規文書の保存量を80%削減しました。紙を減らす効果は、印刷費だけでなく、保管場所、検索、廃棄、監査時の取り出し作業にも及びます。

紙保管の削減を狙う場合は、電子化する申請書だけでなく、添付資料の原本をいつまで、どこに保存するかを決めます。法令・契約・社内規程上の保存要件が異なる文書を同じルールで廃棄しないよう、文書種別ごとの保存台帳を用意します。

丸紅株式会社の申請書電子化

丸紅株式会社は、多数の申請書を電子化し、複雑な社内手続きの見通しを改善しました。

ジョブカンワークフローの公式導入事例では、丸紅株式会社が人事、総務、IT、財務などにまたがる600種類を超える申請書を電子化したと紹介されています。大規模な組織では、フォーム数が多いこと自体よりも、申請書の責任部署、改定履歴、承認権限を継続的に管理できるかが運用上の論点です。

申請書が多い企業は、最初から600種類を移行するのではなく、利用頻度とリスクで優先順位を付けます。月間申請件数が多いもの、決裁遅延が業務へ影響するもの、監査上の記録が必要なものから移行すると、早期に効果を確認できます。

マリモ・アセットマネジメント株式会社の作業時間削減

マリモ・アセットマネジメント株式会社は、申請・承認の作業時間を約半分に削減しました。

株式会社DONUTSの導入事例では、従業員1〜50名のマリモ・アセットマネジメント株式会社は、シンプルな画面操作により添付書類の抜け漏れを減らし、申請・承認にかかる作業時間を約半分にしたと紹介されています。少人数組織でも、担当者の不在で承認が止まる場合や、添付漏れの確認に時間を使う場合は、フォームの必須設定と通知が効果を発揮します。

他社ワークフローシステムとの比較

自社の組織規模と承認経路の複雑さに応じて最適なシステムを選定することが重要です。

ワークフロー製品の比較では、月額料金だけで決めず、承認経路の表現力、既存SaaSとの連携、認証方式、運用者が設定を維持できるかを同じ軸で見ます。以下は2026年8月時点で各社が公開している情報をもとにした比較の入口です。料金非公開の製品は要問合せとし、個別見積もりが必要です。

主要製品の比較表

各製品は料金の公開方法や提供形態が異なるため、導入総額は個別の見積もりで比較します。

製品名

初期費用

月額費用

提供形態

比較時の着眼点

ジョブカンワークフロー

0円

1ユーザー300円、最低月額5,000円(税抜)

クラウド

ジョブカンシリーズとの共通ID、低コストでの申請電子化を検討する場合に比較します。

kickflow

要問合せ

要問合せ

クラウド

API・Webhookを含む外部システム連携や、エンタープライズ向け運用を重視する場合に比較します。

コラボフロー

公開条件を確認

公開条件を確認

クラウド・パッケージ等

Excel帳票を起点にフォーム移行を検討する場合に、帳票再現性と運用負荷を比較します。

AgileWorks

要問合せ

要問合せ

クラウド・オンプレミス等

複雑な組織、厳格な統制、個別要件がある場合に比較します。

公開料金はプラン、ユーザー数、オプションで変わります。比較対象ごとに「初期費用」「月額基本料」「1ユーザー料金」「連携オプション」「導入支援」「保存容量」を同じ見積もり条件で並べると、単価だけで判断する失敗を避けられます。

ジョブカンワークフローが適する条件

比較的明確な承認規程を持ち、汎用申請を早くクラウド化したい企業ではジョブカンワークフローが候補になります。

勤怠・労務・給与・経費精算などジョブカンシリーズをすでに利用している、または併用を検討している場合は、共通IDとセット料金を含めて評価できます。申請書を管理部門が自ら作成・更新したい場合も、ノーコードでのフォーム作成が選定理由になります。

別製品を優先して検討する条件

超複雑なマトリクス承認、オンプレミス必須、既存帳票の完全再現が必須の場合は、複数製品を並行して検証します。

たとえば、複数法人・海外組織・兼務・プロジェクト別権限が絡み、承認者を毎回動的に判定する必要がある場合は、標準的な経路設定で再現できるかを先に検証します。また、クラウド利用が社内規程で認められずオンプレミスが必須なら、クラウド専用サービスだけで比較を終えません。

導入前チェックリスト

以下の項目を埋めてから無料トライアルへ進むと、機能確認が具体的になります。

  • 申請書の棚卸し:申請書名、月間件数、責任部署、最終承認者、保存年限を一覧化します。

  • 承認規程の整理:金額・部門・役職ごとの承認条件と例外を表にします。

  • ユーザー数の確定:申請者、承認者、管理者、閲覧者を分けて必要アカウント数を算出します。

  • 連携要件の確認:SSO、チャット、会計、電子契約、基幹システムのうち、初回導入で必須のものを決めます。各連携の対応状況はプランや時点で変わるため、ジョブカンワークフロー公式サイトの機能・連携ページで必須要件が充足されるかを確認し、充足されない場合は外部連携サービスの追加コストと合わせて評価します。

  • 移行範囲の決定:過去申請の移行要否、紙原本の保存方法、旧システム停止日を決めます。

  • 障害時の対応:承認期限が迫る場合の代替手順、代理承認者、問い合わせ窓口を定義します。

無料プランと無料トライアルは目的が異なります。機能制限や保存条件がある無料利用枠は小規模運用の確認に使い、承認経路、権限、外部連携まで検証したい場合は30日間の無料トライアルで代表フォームを再現します。トライアル中に職務権限表の主要パターンを再現できれば導入範囲を広げ、再現できなければ要件を整理して比較製品の検証へ戻ります。

まとめ

ジョブカンワークフローは、稟議・捺印・購買申請などをクラウド化し、承認の滞留や紙文書の保管負荷を減らす選択肢です。通常料金は1ユーザー月額300円ですが、少人数では最低利用料金、経費精算やAI-OCRを使う場合はオプション費用も含めて評価します。

明日から着手するなら、まず申請書を一覧にして「意思決定用」と「支払い・精算用」に分けます。次に、利用頻度が高い申請書を1〜2件選び、役職・グループによる承認経路でトライアル環境に再現します。申請、差し戻し、異動、代理承認まで試し、運用できることを確認してから対象業務を広げると、導入後の手戻りを抑えられます。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
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