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Admina Team
2025/01/16
パスキーとは、従来のパスワードに代わる新しい認証方式であり、ユーザーの識別情報をより安全に管理するための技術です。パスキーは、従来のパスワードの脆弱性を軽減し、サイバー攻撃からの保護を強化することを目的としており、暗号化や生体認証を活用することで、ユーザーが簡単かつ安心してログインできる環境を提供します。本記事では、パスキーの仕組みやメリット、具体的な設定方法について詳しく解説します。
パスキーとは
パスキーの仕組み
パスキーは、オンラインでの認証をより安全に行うために設計された新しい認証手段です。本項では、パスキーの基本的な仕組みについて詳しく解説します。
1. 公開鍵暗号方式の利用
パスキーは、公開鍵暗号方式に基づいて認証します。公開鍵暗号方式では、次の2つの鍵を使用します。
公開鍵:外部に共有する鍵で、データの暗号化や署名の検証に使用されます。
秘密鍵:ユーザー自身(デバイス)が保持する鍵で、データの復号化や署名に使用されます。
ユーザー(デバイス)は、認証を受ける際に公開鍵をサーバーに送信し、サーバーは認証情報を公開鍵で処理します。認証情報に署名できるのは秘密鍵を持っているユーザーのみなので、ユーザーの正当性を確認可能です。
2. 認証プロセスの流れ
パスキーを利用した認証プロセスは、以下のような流れで行われます。
ユーザーがサービスにログインしようとすると、サービスは事前に共有された秘密鍵を用いて暗号化した認証要求を発行します。
デバイスは、生体認証などでユーザーを認証後に、保存されている秘密鍵を使って認証要求に署名し、サーバーに対して応答します。
サーバーは受け取った認証要求を基にユーザーの正当性を確認します。
認証が完了すると、ユーザーはサービスにアクセスできます。
3. セキュリティとプライバシー
パスキーはセキュリティの観点で以下の理由により、パスワードよりも安全とされています。
パスワードが漏洩しても、秘密鍵が外部に流出していなければ、不正アクセスのリスクは減少します。
フィッシング攻撃に対しても強固なセキュリティを実現します。ユーザーが提供する情報は、公開鍵によって暗号化されている必要があるため、悪意のあるサイトに騙されにくくなります。
パスキーの仕組みは公開鍵暗号方式を利用することで、ユーザーの安全を確保する設計です。次章では、パスキーと従来のパスワードとの違いについて解説します。
パスキーとパスワードの違い
パスキーとパスワードは、どちらもユーザー認証の手段ですが、その仕組みや安全性において大きな違いがあります。本項ではでは、パスキーとパスワードの違いについて解説します。
1. 認証方式の違い
パスワードは、ユーザーが自分で設定した文字列で、その内容を記憶し、ログイン時に入力します。一方、パスキーは、デバイスが生成する機械的に暗号化された鍵を使用するため、ユーザーの入力は不要です。これにより、次のような特徴があります:
パスワード:ユーザーが覚える必要がある。
パスキー:デバイス間で自動的に認証が行われ、ユーザーの手間が省かれる。
2. セキュリティの違い
パスワードはフィッシングやブルートフォース攻撃の被害にあいやすく、不正に取得されるリスクがあります。パスキーは、公開鍵暗号方式を用いており、デバイスとサーバー間でパスワードなどの重要な情報はやり取りされず、秘密鍵もクラウド上で安全に保管されているため、、外部からの攻撃に対しても強固です。ここにおけるポイントは以下の通りです:
パスワード:簡単に推測される場合があるため、強力なパスワード管理が必要
パスキー:サーバー側にパスワード情報は保管されず、秘密鍵はクラウド上で安全に保管
3. 管理のしやすさ
パスワードは複雑なものを設定する必要があり、使用するたびに入力が求められるため、管理に手間がかかります。一方、パスキーは一度設定すれば、デバイスが自動的に認証するため、管理する負担は軽微です。
3つの観点の違いから、パスキーはより安全で便利な認証手段として注目されています。そのため、今後ますますデジタル化が進む社会において、パスキーはより多くのユーザーに利用されていくことが予想されます。
パスキーとFIDO認証の違い
パスキーとFIDO認証は、どちらもオンラインセキュリティに関わる技術ですが、異なるコンセプトや仕組みを持っています。本項ではでは、2つの技術にどのような違いがあるのか、解説します。
1. 定義の違い
まずは、それぞれの技術の定義について理解しましょう。
FIDO認証: FIDO(Fast Identity Online)は、パスワードレスな認証を実現するために業界団体が策定、標準化を目指している規格です。公開鍵暗号方式を使用して、デバイスが保存する秘密鍵の情報を基に、Webサイトやアプリケーションに安全にログインできるように設計されています。
パスキー: FIDO認証の技術をベースに、クラウドに秘密鍵を保管することで、ユーザーの利便性を向上した認証方式です。FIDO認証を推進しているFIDOアライアンスや、グーグル、アップル、マイクロソフトといったメガクラウドを展開するベンダーが中心となって推進しています。
2. 使われる技術の違い
次に、使用される技術の観点から見てみましょう。
FIDO認証: FIDOアライアンスが定めたプロトコルに基づき、ユーザーのデバイスと認証サーバーとの間で公開鍵暗号方式によって通信されます。ユーザーの秘密鍵はユーザーの端末にのみ保管されるため、強固なセキュリティが提供されます。
パスキー: ユーザーのデバイスと認証サーバー間で公開鍵暗号方式によって通信されることに変わりはありません。しかし、暗号鍵はクラウドに保存されており、利便性が向上しています。
3. ユーザー体験の違い
最後に、ユーザー体験の違いについて解説します。
FIDO認証: ユーザーの使用する端末内部に暗号鍵が保存されるので、ユーザーはパスワードを管理する必要がなくなります。しかし、暗号鍵が端末内部に保存されているため、端末の紛失時や機種交換をすることで認証できなくなる課題があります。
パスキー: パスキーは、秘密鍵をクラウド上に保存するため、暗号鍵を複数のデバイス間で共有可能です。そのため、一度パスキーを生成し、パスキーを共有できる環境であれば、スマホやタブレット、PCで認証情報を同期し、共通のパスキーでログインできるようになります。
パスキーのメリット
パスキーを導入することにより、従来のパスワードに比べてさまざまなメリットが得られます。本項では、パスキーが提供する主な利点について詳しく解説します。
セキュリティの向上
パスキーは、通常のパスワードに比べてセキュリティ性能が大幅に向上しています。以下の理由から、パスキーはより安全な選択肢となります。
フィッシング対策: パスキーは、秘密鍵/公開鍵の組み合わせおよび、サイトのドメイン情報を紐付けて認証するため、、フィッシング攻撃によるリスクが低減します。
ハッキングの難易度: パスワードのように単純な文字列を使用しないため、ブルートフォースアタックによる解読が難しくなります。
ユーザーエクスペリエンスの向上
パスキーは、ユーザーの利便性を大幅に向上させる要素も持ち合わせています。
簡単な認証: ユーザーは、複雑なパスワードを記憶する必要がなく、デバイスの生体認証(指紋認証や顔認証など)などを利用することで、素早くログインが可能になります。
パスワード管理が不要: パスワードを管理する手間が省けるため、ストレスが軽減されます。
一元管理: パスキーをクラウドで一元管理するので、パスキーを共有できる端末間では認証情報を共有できるので、管理が容易になります。
ブレインドロップ(パスワード疲れ)からの解放
多くのオンラインサービスが利用される現代において、パスワードの使い分けは、ユーザーを疲れさせる原因となります。パスキーの使用は、ブレインドロップ(パスワード疲れ)の問題からユーザーを解放します。
単一の認証手段: ユーザーはパスキーサービスの利用で多くのサービスにアクセスでき、パスワードを覚える負担が軽くなります。
セキュリティ強化: 認証フローに指紋や顔認識などの生体認証を利用した本人確認を挟むことで、なりすましを防ぎ、高いセキュリティを実現します。
以上のように、パスキーはセキュリティとユーザー体験の両方を向上させる革新的なソリューションです。特に、セキュリティを重視する現代のデジタル社会においては、非常に重要な技術となっています。
パスキーの設定方法
Android OS
パスキーは、Android OSにおいても簡単かつ安全に利用できます。本項では、Androidデバイスでのパスキーの使用方法について詳しく解説します。
アプリケーションでの使用方法
Android OSでのパスキーの設定は、Googleパスワードマネージャーで管理できます。設定が完了した後、アプリやウェブサイトでのパスキー利用方法は次のとおりです。(アプリケーションやサイトによって異なる可能性があります)
ログイン画面で「パスキーを利用」を選択します。
指示に従って生体認証(指紋や顔認証)を行います。
必要に応じて、既存のパスキーを選択してログインを完了させます。
この方法により、安全かつ迅速にログインができます。
セキュリティの利点
Android OSでのパスキー利用には、以下のようなセキュリティ上の利点があります。
フィッシング攻撃の防止: パスキーは、パスワードを使わず、暗号鍵およびドメイン情報による認証を行うため、フィッシングサイトに騙されるリスクが減少します。
デバイスロックの解除が必要: 生体認証やPINによるデバイスロックの解除が必要なため、不正アクセスを防ぎやすいです。
データの暗号化: パスキーは暗号化されて保存されるため、セキュリティが強化されています。
以上のように、Android OSにおけるパスキーの導入は、簡単かつ安全に行え、日々の利用においても高いセキュリティを提供します。
iOS
パスキーをiOSデバイスで設定や利用することは、非常に簡単です。Appleは、ユーザーのセキュリティを重視しているため、パスキーのサポートが充実しています。本項では、iOSでのパスキーの特性について詳しく解説します。
iCloudとの連携
iOSデバイスでは、iCloudを利用することで複数のデバイス間でパスキーを同期することができます。iCloud経由でパスキーを同期することで、同じApple IDを使用しているすべてのデバイスでパスキーを利用可能になります。
Face IDやTouch IDの活用
iOSでは、Face IDやTouch IDを使用して、パスキーの認証ができるので、よりスムーズにサービスへアクセスできます。
iOSではパスキーが簡単に設定でき、セキュリティ強化の機能も充実しています。そのため、、ユーザーは安全にオンラインサービスを利用することができます。
Windows OS
Windows OSでは、簡単で、効率的にパスキーを提供します。以下に、その手順と注意点を詳しく解説します。
1. パスキーの設定手順
Windows OSでパスキーを利用するための手順は以下の通りです:
設定を開く:スタートメニューから「設定」を選択します。
アカウントを選択:設定メニューの「アカウント」オプションをクリックします。
サインインオプションを選択:左側のメニューから「サインインオプション」を選択します。
セキュリティキーを登録:ここで「Windows Hello」や「セキュリティキー」オプションを選択し、画面の指示に従って設定を行います。
完了:設定が完了したら、パスキーを利用してセキュリティを強化することができます。
2. Windows Helloの活用
Windows Helloは、顔認証や指紋認証を使用してログインを簡素化する機能です。パスキーを組み合わせることで、一層のセキュリティ向上が期待できます。具体的な設定手順は以下の通りです:
設定を開く。
「アカウント」を選択し、「サインインオプション」をクリック。
「Windows Hello」を選択し、顔認証または指紋認証をセットアップ。
必要な場合はPINコードを設定します。
3. 注意点
Windows OSでパスキーを設定する際に注意すべき点は以下の通りです:
企業から貸与されている際は、利用が制限されている可能性がある
デバイスがWindows Helloに対応しているか確認すること。
セキュリティキーのバックアップを取ること。
古いOSでは、機能が制限される場合があるため、最新のOSバージョンを使用することを推奨します。
パスキーの注意点やデメリット
パスキーには多くの利点がありますが、その導入や利用に際しての注意点やデメリットも存在します。本項では、パスキーを使用する際に知っておくべきポイントを詳しく解説します。
1. 初期設定の難易度
パスキーの導入時には、特定の設定が必要です。初めて扱う方にとっては、手順が複雑と感じられることがあります。
設定手順を理解するのに時間がかかる
サポート情報が不十分である場合がある
エラーが発生した際のトラブルシューティングが難しい
2. サードパーティサービスとの互換性
すべてのオンラインサービスがパスキーに対応しているわけではありません。対応していないサービスでは、従来のパスワードを使用し続ける必要が生じます。
特定のサービスが未対応である場合がある
移行時にパスワードとパスキーを併用することになる
サービスの互換性によって利便性が制限される
3. 移行時のリスク
パスワードからパスキーへの移行には、ユーザー側で注意が必要です。特に移行手順を誤ると、アカウントが一時的に使用できなくなる可能性があります。
正確な移行手順を守る必要がある
誤ってパスワードを削除してしまうリスクがある
移行失敗時にアカウントがロックされる場合がある
まとめ
パスキーは、従来のパスワードに代わる新しい認証手段として、セキュリティの強化と利便性の向上を実現します。パスキーを採用することで、フィッシングや不正アクセスのリスクを軽減できるだけでなく、ユーザーは複雑なパスワードを覚える必要がなくなります。
また、デバイス間でシームレスに利用できるため、ユーザーエクスペリエンスも向上可能です。今後、ますます普及が期待されるパスキーを理解し、適切に設定することは、安全なオンライン環境を築いていくことが重要です。
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