>
>
公開日
最終更新日
Googleは2026年7月16日、NotebookLMの名称を「Gemini Notebook」へ変更すると発表しました。今回の名称変更は看板の掛け替えだけではありません。新しいドメインの追加、GeminiやGoogle検索との連携、クラウド上でPythonコードを実行するデータ分析機能が、Gemini Notebookの主な変更点です。
一方、作成済みのノートブックやソース、共有リンクは引き継がれ、登録した資料に回答の根拠を置く基本設計も変わりません。本記事は、法人での導入可否やアップデート対応を判断する情シス、セキュリティ担当者、AI活用責任者を対象に、変わった点と変わらない点を先に整理します。そのうえで、料金と提供条件、国内事例、データの学習利用、プロキシ設定、シャドーAI対策を実務レベルで解説します。

Gemini Notebookとは?名称変更で何が変わったのか
Gemini Notebookとは、指定した資料を根拠に要約・質問回答・分析・コンテンツ生成を行うGoogleのAIリサーチツールです。Googleは2026年7月16日、NotebookLMをGemini Notebookへ改称し、Geminiの製品群との連携や、ノートブック内でコードを実行できるセキュアなクラウドコンピュータを順次提供すると発表しています。詳細はGoogle公式ブログ「NotebookLM is now Gemini Notebook」で確認できます。
本記事のポイント
Googleは2026年7月16日にNotebookLMからGemini Notebookへの名称変更を発表しました。
Google公式発表では、Gemini Notebookは引き続きスタンドアロン製品として提供され、GeminiアプリおよびGoogle 検索との連携拡大が案内されています。
Googleは、ノートブックごとのセキュアなクラウドコンピュータでコードを記述・実行できる機能を発表しています。提供対象はGoogle AI Ultra、WorkspaceのAI Ultra Access・AI Expanded Access、Google AI Proの順に展開される案内です。
Google Workspaceの公式製品ページでは、Gemini Notebookがアップロードしたソースを根拠に回答し、引用で検証できる設計を案内しています。
Gemini Notebookの定義と基本設計
Google Workspaceの公式製品ページでは、Gemini NotebookはGoogle ドキュメント、Google スライド、PDF、テキスト、Markdown、Web URL、貼り付けテキスト、公開YouTube動画、音声などをソースとして扱えると案内しています。回答時にはアップロード済みのソースを根拠にし、引用箇所をたどって原文を照合できます。対応するソース形式と上限は、Googleのヘルプ「ノートブックにソースを追加または検出する」およびGemini Notebook for businessで確認できます。
ただし、ソースに基づく回答は「常に正しい回答」と同義ではありません。資料自体が古い場合、AIが表の列を読み違えた場合、複数資料の例外規定を取りこぼした場合には誤答が発生します。人事規程、法務判断、セキュリティ事故対応など結果の影響が大きい業務では、回答に付いた引用を開き、原文と版数を人が確認する運用を置きます。
変わった点と変わらない点の比較
Googleの2026年7月16日の発表により、名称と機能の展開範囲は更新されました。一方、実際に利用できる機能は契約プラン、地域、アカウント、段階展開で変わるため、下表はGoogle公式発表で確認できる事項と、導入時に検証する事項を分けて整理しています。
比較項目 | NotebookLM | Gemini Notebook | 情シスへの影響 |
|---|---|---|---|
名称 | NotebookLM | Gemini Notebook | 規程、申請画面、台帳の表記更新が必要 |
アクセス先 |
| Google公式発表ではスタンドアロン体験を継続 | 実際のアクセス先は管理対象ブラウザとネットワークから確認 |
既存データ | 作成済みノートブックとソース | Googleは同一のスタンドアロン製品として継続すると発表 | 既存資産の表示、共有、所有者を検証環境で確認 |
共有リンク | ノートブック単位で共有 | 共有機能を継続 | 社内・社外・権限削除後のアクセスをテスト |
回答の根拠 | 登録ソースを中心に回答 | アップロード済みソースに基づく回答と引用を継続 | 引用確認を含む利用ルールは継続 |
分析処理 | 要約と質疑応答が中心 | セキュアなクラウドコンピュータでコードを記述・実行する機能を展開 | 表データ、実行結果、出力ファイルの評価が追加 |
Google連携 | 単体アプリ中心 | Geminiアプリとの同期を提供し、Google 検索のAI Modeへの統合を予定 | 外部検索を使う場合のデータ境界を分けて定義 |
NotebookLMの名前変更と既存環境への影響
Googleは、Gemini Notebookを「同じスタンドアロン製品」と説明しています。ただし、既存ノートブック、ソース、共有URLの挙動を含めた移行作業の有無は、自社テナントの実画面で判断します。管理対象アカウントで既存ノートブックが表示され、共有先のアクセスも維持されることを確認できれば、データ移行プロジェクトではなく、社内表記とアクセス制御を更新する変更として扱えます。確認できない場合は、既存リンクを変更せず、Google Workspaceサポートまたは販売パートナーへの照会結果を変更管理票へ残します。
Googleは名称変更の理由を、Geminiの製品群で担う役割を反映するためと説明しています。NotebookLMが培った「資料を読んで理解するAI」という設計を保ちながら、分析を実行して成果物を作る用途を広げる点が今回のアップデートです。Gemini製品群全体の位置付けは、Gemini(ジェミニ)とは?特徴やビジネス最新活用事例を解説でも整理しています。
コード実行とGoogle連携で広がる業務範囲
Googleは2026年7月16日の公式発表で、各ノートブックにセキュアなクラウドコンピュータを提供し、Gemini Notebookがコードを記述・実行できる機能を案内しています。Googleは2026年6月8日に公開した「Do your best research with NotebookLM」で、PDF、xlsx、pptx、CSV、JSONなどを含む出力形式を公表しています。
セキュアなクラウド環境とPythonコード実行
Googleは、ノートブックごとにセキュアなクラウドコンピュータを割り当て、Gemini Notebookが分析に必要なコードを記述・実行する機能を発表しています。Google公式ブログでは、複雑なデータ分析をソースに基づいて行う用途を例示しています。利用者がPythonを直接書かない場合でも、「店舗別の売上推移を集計する」「障害ログから時間帯別のエラー数を出す」「アンケートの自由記述を分類する」といった指示に対し、生成された処理内容と結果を確認する運用になります。
Googleは、グラフや可視化、PDF、docx、Markdown、CSV、JSON、xlsx、pptxなどの出力形式を案内しています。一方、出力可能な形式と編集・ダウンロードの可否は提供段階で変わるため、対象OUのテストアカウントで実際に表示される出力形式を記録します。xlsx、pptx、PDFが出力できることを確認できれば後工程の編集・配布フローに含め、確認できなければ画面内の要約・グラフ確認を中心に業務設計します。
コード実行が加わっても、生成された計算結果を無条件に正解として扱いません。金額、税率、契約件数などの確定値に使う場合は、元データの行数、除外条件、集計単位、丸め処理を別の集計手段と照合します。検算条件をプロンプト内に明記し、生成物には「AIによる集計」「確認者」「確認日」を残すと、監査時に処理経緯を追えます。
ソース限定参照と外部検索の境界
ソース限定参照では、回答の根拠を登録済みの資料へ絞りやすく、社内規程や製品マニュアルの検索に向いています。Googleは、Gemini Notebookがソースを根拠に回答し、引用による検証を可能にすると案内しています。一方、Googleは検索を使ってWeb上のソースを探し、ノートブックへ追加する機能も案内しています。情報の出所と検証手順は分けます。
利用モード | 主な参照範囲 | 適した業務 | 確認方法 |
|---|---|---|---|
ソース限定 | 登録した社内資料、PDF、Driveファイル | 規程検索、手順書Q&A、監査資料の整理 | 引用箇所、版数、所有者を確認 |
外部検索連携 | 登録ソースに加えて公開Web情報 | 市場調査、法改正の下調べ、競合情報の収集 | 発行主体、公開日、一次情報URLを確認 |
コード実行 | 登録データと生成された処理コード | CSV集計、グラフ化、傾向分析 | 行数、計算式、除外条件、再現結果を確認 |
社内ガイドラインでは「Gemini Notebookなら社内情報を入力できる」と一括りにせず、ソース限定、外部検索、コード実行の3区分を設けます。外部検索で社内の未公開情報を検索語として送信しない方針にし、検索結果をソースへ追加した場合はURLと取得日を記録します。RAGを含む根拠付き回答の設計は、RAGとは?情シスが知るべき生成AIの課題を解決する仕組みで詳しく解説しています。
Drive自動同期と情報鮮度
Googleのヘルプでは、ノートブックに追加したソースは、インポートまたはアップロード時点のコピー、もしくは自動同期されるソースとして扱われると案内しています。同期対象、反映タイミング、削除・移動後の挙動はソース種別や提供状況で変わるため、Google Driveとの連携を業務利用する前に、テスト用文書で確認します。
同期元の文書が更新されたことをノートブック側へ反映でき、かつ権限削除後の回答・引用・生成物への影響を把握できれば、承認済みフォルダを同期元にして更新工数を減らせます。反映タイミングや権限削除後の挙動を確認できなければ、機密文書は自動同期の対象外とし、承認済みの複製ファイルを更新管理します。同期元には文書所有者、発効日、次回見直し日を設定します。
料金と対象プランの判断基準
無料版でも利用できる機能はありますが、法人では料金だけでなく、データ保護、管理者制御、コード実行の提供状況を同じ表で判断します。Googleはコード実行について、Google AI Ultra、WorkspaceのAI Ultra Access・AI Expanded Accessを対象に提供し、Google AI ProにはWebで数週間かけて展開すると2026年7月16日に案内しました。
2026年7月時点のプラン整理
個人向け料金はGoogleアカウントの国・通貨・税・キャンペーンによって表示が変わります。GoogleはGoogle AIプランの公式料金ページで個人向けの現行価格と特典を案内しています。記事内の料金は見積もりの前提には使わず、購入画面に表示される国、通貨、税、契約単位、対象機能を記録した時点の情報で稟議額を確定します。
利用区分 | 現行プラン | 料金の目安 | Gemini Notebookの位置付け | 法人データの扱い |
|---|---|---|---|---|
個人 | 無料 | 購入画面の表示を確認 | 機能・ソース数・生成回数などに利用上限が設定される場合がある | 会社の管理対象外となるため社内資料は入力対象外 |
個人 | Google AI Pro | 国・通貨・税・キャンペーンにより異なる | Googleはコード実行をWebで段階展開すると案内 | 個人契約のため法人統制には不向き |
個人 | Google AI Ultra | アカウントに表示される現行価格 | Googleはコード実行の提供対象として案内 | 個人利用と法人利用を分離 |
法人 | Google Workspace対象エディション | 契約エディションに準拠 | WorkspaceプランではGemini Notebookを利用可能。上限・追加機能は対象プランにより異なる | 契約・管理設定の範囲でデータ保護と統制を適用 |
法人 | AI Ultra Access・AI Expanded Access | 契約条件により異なる | Googleはコード実行の提供対象として案内 | Workspaceの契約条件と管理設定に準拠 |
Google Workspaceの現行料金は、Google Workspace公式料金表に掲載されています。稟議ではGemini Notebookだけの利用料を比較せず、既存エディションとの差額、対象人数、監査ログやDLPの要否を含めた年間費用で比較します。
対象・提供状況の判断フロー
コード実行などの新機能は、地域、契約、アカウント、段階展開の状況によって表示時期が異なります。この確認は次の一か所に集約します。
Google Workspace管理コンソールで、対象OUのGemini Notebook利用設定、追加サービス設定、契約中のAI Accessを確認します。
検証用アカウントで、コード実行、ファイル出力、共有、削除、監査ログの記録を試します。
コード実行の制御項目と監査証跡を取得できるなら、機密性の低いCSVを使った限定検証に進みます。
制御項目または監査証跡を取得できないなら、コード実行を業務要件へ含めず、ソース要約と検索に用途を限定します。
新機能が画面に表示されない状態で、紹介記事だけを根拠にライセンスを追加しません。契約シート数が必要以上に増えた場合は休眠ライセンスを四半期ごとに回収します。AI投資を含む費用配分については、既存記事のクラウドコスト最適化でAI投資予算を創出する情シス実践ガイドも参照できます。
▲ 自社の利用目的と扱うデータに応じた適切なプラン・アカウントの判定フロー
自治体・国内企業における導入成果
導入事例の成果値は、製品、対象業務、利用人数、測定期間、測定方法が異なるため、Gemini Notebook単体の効果として横並びに比較できません。以下では、検証可能な一次情報を確認できない個別数値を成果比較から外し、効果測定の設計に焦点を当てます。
自治体・企業の生成AI活用事例には、Gemini Notebook、Google Workspace with Gemini、コールセンター向けAI、独自の検索基盤などが混在します。自社の効果試算では、同じ製品、同じ業務、同じ利用人数、同じ測定期間の事例だけを比較対象にします。Google Workspaceの公式Gemini Notebookページでは、RivianやSonata Designの活用例を紹介していますが、用途と成果の詳細は各リンク先の一次情報で確認します。
企業・自治体 | 業種・規模 | 公表時期 | 課題から施策への流れ | 公表された成果 |
|---|---|---|---|---|
自治体の活用例 | 自治体 | 個別の公式発表で確認 | 例規検索、庁内問い合わせ、相談記録などの負担を対象に、利用製品と入力データの範囲を分けて検証 | 対象業務、利用者数、測定期間、測定方法がそろう場合のみ比較 |
観光・宿泊業の活用例 | 宿泊・観光 | 個別の公式発表で確認 | 企画立案、文章作成、校正などを、Gemini Notebook単体か関連製品群かに分けて測定 | 作業時間だけでなく、確認・修正時間を含めて評価 |
通信・コールセンターの活用例 | 通信・コールセンター | 個別の公式発表で確認 | 通話要約や分析は、Notebook機能と他のコンタクトセンター基盤を切り分ける | 削減時間は対象件数、平均処理時間、再確認時間を併記 |
建設・不動産の活用例 | 建設・不動産 | 個別の公式発表で確認 | 全社展開では、ツール配布と定着化プログラムを分けて評価 | 利用率だけでなく、継続利用者数と対象業務を確認 |
事例から読み取れる効果測定の単位
生成AIの導入成果は、配備人数と主観評価、作成時間、提案件数、削減時間など、組織ごとに測定単位が異なります。導入前に測定単位を決めなければ、「便利になった」という感想だけが残り、継続投資を判断できません。
問い合わせ対応であれば、1件当たりの調査時間、月間件数、一次回答で完了した割合を測ります。月500件の問い合わせがあり、1件当たりの調査を12分から8分へ短縮できれば、月2,000分、約33時間を削減できます。人件費を1時間4,000円で試算すると、月約13万2,000円が効果の目安です。
Google Workspace with Geminiの時間削減データ
Googleは、Forrester ConsultingによるGoogle Workspace with GeminiのTotal Economic Impact調査を紹介しており、利用者の時間削減の目安として週平均105分を掲載しています。この数値は1日当たりでは約21分に相当し、Gemini Notebook単体の効果を示すものではありません。調査対象、前提条件、算出方法はGoogleが紹介するForresterの資料で確認します。自社評価では「ノートブックを使った作業」だけを計測し、メール作成や会議支援による削減時間と分離します。
情シスの問い合わせ対応や監査業務へ応用する方法は、AI 情シス完全ガイド|業務効率化の4領域と導入事例でも解説しています。
データ保護と生成AIセキュリティの基準
法人利用の判断では、Google Workspaceの管理対象アカウントを使用し、入力データの取り扱い、共有範囲、保存・削除、監査証跡を契約と管理設定の両面から統制します。Google WorkspaceのGemini Notebook公式ページでは、アップロードしたデータをモデル学習に使用しないと案内しています。
個人アカウントと法人アカウントの違い
Googleは法人向けのGemini Notebookについて、アップロードしたデータをモデル学習に使用しないと案内しています。適用範囲は契約エディション、Google Workspace利用規約、データ処理補遺、追加サービス固有の条項で判断します。自社契約に適用されるデータ処理条項はGoogle Workspace管理コンソールの「契約と利用規約」またはGoogle Workspace Data Processing Addendumで確認でき、Workspaceアカウント、対象サービス、契約条項の適用を確認できれば社内資料の利用審査の根拠にします。対象外または不明な場合は、機密情報を入力せず、販売パートナーまたはGoogleへの照会結果を待って利用範囲を定めます。
確認項目 | 個人Googleアカウント | Google Workspace管理対象アカウント |
|---|---|---|
会社による利用制御 | 会社の管理コンソール外 | OUやグループ単位の設定可否を管理コンソールで確認 |
モデル学習の扱い | 個人向け規約と設定に従う | GoogleはGemini Notebookのアップロードデータをモデル学習に使用しないと案内 |
監査とログ | 会社側では取得範囲が限定される | 契約機能と監査ログの対象イベントを管理コンソールで確認 |
退職時の処理 | 会社がデータを回収できない場合がある | 停止、移管、削除の挙動をテストして手順へ組み込み |
社内資料の利用 | 社内規程で禁止対象とする | 情報分類と共有ルールの範囲で許可 |
個人向けサービスでは、法人向けWorkspace契約と同じデータ保護・管理条件が適用されるとは限りません。社内文書を扱える経路は、会社が発行したWorkspaceアカウントへ限定します。
保存・削除・共有に関する統制
Googleのヘルプでは、ノートブックへ追加したソースはコピーまたは自動同期されたソースとして扱われると案内しています。保持期間、削除、共有、所有権移管の具体的な挙動は、利用中のプランと実画面で確認します。情シスはノートブックを一時的なチャット履歴ではなく、ファイルと同様の情報資産として台帳へ含めます。所有者、利用目的、機密区分、共有先、最終更新日、廃棄日を最低限の管理項目にします。
退職者のアカウント停止後も業務用ノートブックを参照できるかは、テストアカウントで所有権移管、共有、削除後の挙動を確認して判断します。移管と参照継続を確認できればオフボーディング手順に所有権移管を組み込み、確認できなければ共有ノートブックの管理責任者を別に置き、元資料を承認済みの共有Driveで保管します。
日本法準拠と契約文書の読み方
Google Workspaceの適用規約は、契約主体、販売代理店契約、個別契約、公共機関向け条件によって異なります。自社契約にGoogle Workspace利用規約の日本向け条項が適用されるなら、その準拠法と管轄を社内審査の根拠にします。個別契約が優先される場合は、個別契約のデータ処理条件を審査対象にします。
ルール整備と業務削減効果の相関
ルール整備の効果は外部調査の数値で一般化せず、自社の許可データ、確認者、成果物の保存先を定めた部門と、定めていない部門で、作業時間・誤回答・差し戻し件数を同じ条件で測定して判断します。
生成AIセキュリティのベストプラクティスは、入力禁止情報、アカウント、共有、ログ、出力確認を一つの規程にまとめることです。具体的な入力ルールは、情シスが実践する生成AIセキュリティ ベストプラクティスと生成AI・ChatGPTの情報漏洩対策と事例で確認できます。
導入時の注意点とよくある失敗パターン
Gemini Notebookの失敗は製品機能よりも、個人アカウント、過剰共有、古いソース、責任者不在といった運用の空白から発生します。
個人アカウントによるシャドーAI
会社が法人版を提供していても、従業員が使い慣れた個人のGoogleアカウントへ切り替え、社内PDFをアップロードするケースがあります。個人アカウント上のノートブックは、会社の管理コンソール、退職処理、監査ログの対象外となる場合があります。
禁止通知だけではアカウントの取り違えを防げません。Workspaceのプロフィール画像やブラウザプロファイルを業務用と個人用で分け、社内ポータルには法人アカウントで開く公式リンクを掲載します。IdP、OAuthログ、CASB、SWG、端末ログを組み合わせた検知方法は、情シスのための生成AI利用状況 可視化ガイドで整理しています。
共有範囲の放置
ノートブック単位で共有できるため、元ファイルだけを棚卸ししても情報流通の全体像を把握できません。機密資料を含むノートブックを広い範囲へ共有すると、回答や生成レポートを通じて内容が伝わる可能性があります。
共有仕様は契約と更新状況によって変わるため、実データ投入前にテスト用ノートブックを作ります。社内ユーザー、社外ユーザー、権限を失ったユーザーの3アカウントで、ソース本文、引用、生成物、共有URLへアクセスできる範囲を記録します。社外共有を管理者設定で遮断できるなら社内利用へ進み、遮断できない場合は機密区分2以上のデータを対象外にします。
Drive同期と権限のねじれ
同期元ファイルの権限とノートブックの共有範囲が一致しているとは限りません。仕様を推測して「Driveで見えないからNotebookでも見えない」と判断するのは危険です。同期元への権限を外した後、質問回答、引用表示、キャッシュ済みの生成物がどう変化するかをテストします。
権限削除が即時反映されることを確認できれば自動同期を利用します。反映時間や削除挙動を確認できなければ、機密文書は自動同期の対象外とし、承認済みの複製ファイルを手動更新します。
野良ノートブックの乱立
各部署が同じ規程を別々に登録すると、最新版、責任者、公式版が分からなくなります。古い就業規則を参照した回答が生成されても、利用者はノートブック名だけでは誤りに気付けません。
公式ノートブックの命名は「部門名_用途_対象年度_版数」に統一し、社内ポータルへ正規リンクを集約します。各ノートブックには所有者と副担当者を置き、四半期ごとにソースの更新日を確認します。90日以上更新されず、参照実績もないノートブックはアーカイブ対象にします。
コード出力の無検証利用
AIが作成したグラフの見た目が整っていても、元データの除外や単位変換を誤っている場合があります。売上を円と千円で混在させる、空欄をゼロとして集計する、重複行を二重計上するといった誤りは、文章の誤答より発見しにくい問題です。
生成されたxlsxやPDFをそのまま取締役会、顧客、行政機関へ提出しません。件数、合計値、サンプル10行を既存の集計手段と照合し、差異がゼロなら次工程へ進みます。差異が出た場合はプロンプトを繰り返すのではなく、実行コードとデータ前処理を確認します。
情シスが今週実施する設定と導入手順
情シスは、管理設定の棚卸し、テストアカウントでの共有・ログ・コード実行の境界確認を行い、その結果に応じて限定導入か利用保留かを決めます。新しいアクセス先を含むネットワーク許可設定は、Google公式の管理者向けドキュメントと自社テナントの実際の通信ログを併せて判断します。
新ドメインのプロキシ・SWG設定
Googleの2026年7月16日の改称発表では、スタンドアロンのGemini Notebook体験を継続すると案内されています。一方、notebook.google.comの提供、従来のnotebooklm.google.comの継続利用、ワイルドカード許可の必要性を裏付ける管理者向け一次情報を本文作成時点で確認できないため、ドメインを一律に許可リストへ追加する判断は行いません。
プロキシ、SWG、DNSフィルタ、CASBのログで、管理対象ブラウザからGemini Notebookへアクセスした際の実際のFQDNを確認します。
Google Workspace管理者向けのネットワーク要件と、Googleサポートまたは販売パートナーから提示された公式案内を変更管理票へ添付します。
既存の
*.notebooklm.google.comを削除せず、実測した通信先と公式案内が一致する範囲だけを許可リストへ追加します。認証、ソース追加、Drive連携、共有、ファイル出力、コード実行の順に疎通を試します。
アクセスログに接続先と利用者IDが残ることを確認します。
全テストに成功し、利用者を識別できるログが残るなら変更を本番反映します。ログで個人アカウントと法人アカウントを区別できない場合は、社外秘データの利用を開始せず、端末側のブラウザプロファイル制御を先に追加します。
7営業日の導入タイムライン
名称変更への対応は、実データの移行よりも、アクセス、契約、共有、ログ、成果物の統制を確認する作業です。次の順番なら、1週間で最低限の統制を検証できます。
時期 | 実施内容 | 完了条件 |
|---|---|---|
1日目 | 管理コンソール、契約プラン、対象OU、既存利用者を棚卸し | 有効範囲と利用者数を一覧化 |
2日目 | 実測した接続先、CASB定義、社内規程の表記を更新 | テスト端末から対象サービスへ接続可能 |
3日目 | 個人・法人アカウント、社内・社外共有をテスト | 許可境界と遮断境界を記録 |
4日目 | コード実行と生成ファイルを非機密データで検証 | 入力行数と出力値の一致を確認 |
5日目 | 利用ガイド、禁止データ、引用確認ルールを公開 | 利用者が判断できる1ページ資料を配布 |
6~7日目 | 情シスまたは1部署で限定利用 | 利用率、削減時間、誤回答を測定 |
対応チェックリスト
次の項目を変更管理票へ貼り付ければ、初期対応の抜けを防げます。
□ Workspace管理コンソールでGemini Notebookの有効範囲を記録した
□ コード実行、エクスポート、共有、ログ取得の可否をテストした
□ 実測したGemini Notebookの通信先と公式案内を変更管理票へ保存した
□ 従来の
*.notebooklm.google.comを削除する前に既存利用への影響を確認した□ 個人Googleアカウントへの切り替えを検知または制限した
□ 許可する情報区分と禁止する情報区分を明文化した
□ 公式ノートブックの所有者、副担当者、更新期限を登録した
□ 社外共有と退職時移管のテスト結果を保存した
□ 生成された集計結果の検算者を決めた
□ 導入前後の作業時間を同じ条件で測定した
企業規模別の管理方法
管理方法は利用者数だけでなく、利用サービス数、入退社頻度、IdP・CASB・SWGの導入状況、監査要件で変えます。50名未満でも機密情報を扱う場合は、台帳と四半期棚卸しだけで十分かをログ取得状況で判断します。
従業員規模 | 初期展開 | 台帳・検知方法 | 責任体制 |
|---|---|---|---|
50名未満 | 情シスと管理部門から開始 | スプレッドシート台帳と月次ログ確認 | 情シス責任者が所有者を兼任 |
50~300名 | 部署単位の検証後に段階展開 | IdP、管理コンソール、CASBを併用 | 各部署にノートブック管理者を配置 |
300名超 | OUと情報区分ごとに展開 | SaaS管理ツール、SWG、SIEMで継続監視 | 情シス、法務、セキュリティの承認フローを分離 |
情シス業務から始める利用例
最初の検証対象には、根拠資料が整理され、効果を時間で測れる情シス業務が向いています。情報セキュリティ規程と申請手順を登録したQ&A、過去の監査指摘の整理、複数ベンダーの仕様比較、障害記録の傾向分析などです。
ベンダー比較では、提案書ごとに価格の前提や対応可否の表現が異なります。回答をそのまま採用せず、引用元のページ番号を比較表へ残します。引き継ぎ用途では、個人のメモを無制限に登録せず、承認済み手順書を正本として扱います。Googleのエージェント機能と統制範囲を比較する場合は、Gemini Sparkの機能・料金・情シスが押さえるべき統制ポイントも参照できます。
▲ 情シスが実施すべき新ドメイン許可と疎通・アクセスログ検証の4ステップ
Adminaを含むシャドーAIの管理方法
複数のAIサービスを併用する組織では、Google Workspace管理コンソールに加え、IdP、SWG、CASB、端末管理、SIEMなどを組み合わせ、会社が把握できる利用経路と把握できない利用経路を分けて管理します。
SaaS管理プラットフォームで把握できる範囲(Adminaを例に)
本章では、当サイトを運営するマネーフォワードが提供するSaaS管理プラットフォーム「マネーフォワード Admina」を例として取り上げます。同カテゴリにはBetterCloud、Zylo、Torii等の競合製品もあり、自社の既存IdPやCASBとの統合要件、取得できるログ、退職処理、OAuth管理の範囲を踏まえて比較選定します。Adminaは、Google WorkspaceをはじめとするIdPやSaaSとの連携を通じて、従業員アカウント、利用サービス、OAuth連携、退職者に残ったアカウントなどを一元管理します。Gemini Notebookを含むAIサービスの利用状況を既存のSaaS台帳と結び付けることで、未申請サービスと休眠ライセンスを同じ運用で棚卸しできます。
ただし、会社のIdPを経由しない個人Gmailへのログインを、SaaS管理ツールだけで完全に検知できるとは限りません。個人アカウントまで対象にするなら、SWGのアクセスログ、CASB、管理対象ブラウザ、端末のアプリ制御を併用します。IdPログだけで検知範囲を満たせるならAdminaを中心に運用し、個人ログインが残るならネットワークと端末の制御を追加します。
管理ツールを導入しない場合の代替策
利用サービスが少なく、入退社頻度が低く、管理コンソールとログで必要な棚卸しができる組織では、管理ツールを直ちに導入せずに運用できます。Workspaceの対象OU、利用者、ノートブック所有者、最終更新日をスプレッドシートで管理し、月次で管理コンソールと照合します。
一方、複数のAIサービス、頻繁な入退社、個人アカウント経由の利用、OAuth連携が重なる場合は、手動台帳の更新漏れが起きやすくなります。その条件で、既存のIdP・SWG・CASBから必要な検知情報を取得できないなら、マネーフォワード Adminaなどを含むSaaS管理基盤の比較対象を広げ、検知と棚卸しを自動化する範囲を定めます。
よくある質問
名称変更、既存データ、学習利用、料金、情シス対応に関する疑問へ、Googleの一次情報で確認できる事項とテナントごとに確認する事項を分けて回答します。
Q:Gemini Notebookはいつから名称が変わりましたか?
A:Googleは2026年7月16日に、NotebookLMをGemini Notebookへ改称すると発表しました。Google公式ブログ「NotebookLM is now Gemini Notebook」では、同製品を引き続きスタンドアロン製品として提供すると案内しています。
Q:NotebookLMからの改名で既存データや社内共有リンクは消えますか?
A:GoogleはGemini Notebookを同じスタンドアロン製品として継続すると発表しています。ただし、既存ノートブック、登録ソース、共有URLの挙動は、管理対象アカウントのテスト環境で確認します。既存ノートブックと共有先へのアクセスを確認できれば移行作業を行わず、確認できなければ既存リンクを維持したままGoogle Workspaceサポートへの照会結果で対応を決めます。
Q:Gemini NotebookはNotebookLMから何が変わったのですか?
A:Googleは、Geminiアプリとの同期、将来的なGoogle 検索のAI Modeへの統合、ノートブックごとのセキュアなクラウドコンピュータによるコード実行を発表しています。GoogleはPDF、docx、CSV、JSON、xlsx、pptxなどの出力形式も案内しています。対象プランと表示時期は段階展開のため、管理コンソールと検証アカウントで確認します。
Q:アップロードした社内資料はAIの学習に使われますか?
A:Google WorkspaceのGemini Notebook公式ページでは、アップロードしたデータをモデル学習に使用しないとGoogleが案内しています。自社の契約にこの条件が適用されるかは、Google Workspace管理コンソールの「契約と利用規約」、Google Workspace利用規約、Data Processing Addendumで確認します。適用を確認できれば社内規程の範囲で法人アカウントから利用し、確認できなければ機密資料を入力対象外とします。
Q:コード実行機能は全利用者が使えますか?
A:Googleは2026年7月16日時点で、Google AI Ultra、WorkspaceのAI Ultra Access・AI Expanded Accessを対象に提供し、Google AI ProにはWebで段階展開すると案内しています。管理コンソールで制御でき、監査ログを取得できる場合は非機密データで限定検証へ進み、条件を満たさない場合は要約・検索用途に限定します。
Q:情シスが最初に実施する対応は何ですか?
A:管理コンソールで対象OUと契約を棚卸しし、法人・個人アカウント、社内・社外共有、ログ、コード実行、出力ファイルをテストします。ネットワーク設定は、Googleの公式案内とテスト端末の実通信ログで確認できた接続先だけを許可します。利用者IDを識別できるログが残れば非機密データで限定利用へ進み、識別できなければブラウザ・端末・ネットワークの統制を先に整えます。
まとめ
安全な活用を始める最初の一歩
Googleは2026年7月16日、NotebookLMをGemini Notebookへ改称し、Geminiアプリとの同期、Google 検索との連携拡大、ノートブックごとのセキュアなクラウドコンピュータによるコード実行を発表しました。Google公式発表とヘルプで確認できる機能と、自社テナントで確認する共有・ログ・通信先・提供状況を分けて扱います。
まず、Google Workspace管理コンソールの対象OU、契約中のAI Access、監査ログの対象イベントを一覧化します。次に、法人・個人アカウント、共有、コード実行、ファイル出力を非機密データで検証します。利用者を識別できるログと必要な制御項目を取得できるなら限定検証へ進み、取得できない場合はコード実行や機密データの利用を保留し、ソース要約と検索に用途を限定します。
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。









