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エクスプロイトとは?意味・脆弱性を狙う攻撃の仕組みと予防策

エクスプロイトとは?意味・脆弱性を狙う攻撃の仕組みと予防策

エクスプロイトとは?意味・脆弱性を狙う攻撃の仕組みと予防策

エクスプロイトとは?意味・脆弱性を狙う攻撃の仕組みと予防策

公開日

最終更新日

エクスプロイトとは、システムの脆弱性を悪用して、不正な操作、任意コード実行、権限昇格、認証回避などを行う攻撃手法やプログラムです。攻撃者が外部から侵入する場面だけでなく、侵入後に管理者権限を得る場面でも使われます。

エクスプロイトコードとは、ソフトウェアの脆弱性を悪用するコードであり検証にも役立ちます。IPAが公開する情報処理安全確保支援士試験の公式問題・解説では、エクスプロイトコードは攻撃コードとも呼ばれる一方、使い方によっては脆弱性の検証に役立つものと説明されています。

情シスでは、脆弱性の有無だけでなく、実際に悪用されているか、自社の外部公開資産が影響を受けるか、代替の緩和策があるかを基準に対応順を決めます。本文では、用語の違いからパッチ管理、EDR、MFA、脆弱性管理の実務まで整理します。

エクスプロイトの意味や脆弱性を狙う攻撃の仕組み、および公開資産の把握やパッチ適用による予防策を解説するインフォグラフィック。

エクスプロイトとは?脆弱性を悪用する攻撃手段

エクスプロイト(exploit)とは、OS、アプリケーション、VPN装置、ネットワーク機器、クラウドサービスの設定などに存在する脆弱性を利用して、想定されていない動作を起こさせる手法やプログラムを指します。攻撃者はエクスプロイトを使い、外部からシステムへ侵入したり、一般ユーザー権限から管理者権限へ昇格したり、認証を回避したりします。

脆弱性そのものは、設計・実装・設定・運用に含まれる欠陥です。一方、エクスプロイトはその欠陥を実際に攻撃へ転換するための具体的な手段です。たとえば、入力値の検証不足を悪用して不正な命令を実行するコードや、メモリ管理の不備を突いて任意コード実行へつなげる処理が該当します。

エクスプロイトは必ずしも完成した攻撃ツールだけを意味しません。脆弱性の再現手順、概念実証コード(PoC)、攻撃フレームワーク用のモジュール、特定製品向けに自動化された攻撃スクリプトも、文脈によってエクスプロイトと呼ばれます。

エクスプロイトコードとマルウェアの違い

エクスプロイトコードは、脆弱性を悪用して侵入や権限昇格などの入口を作るためのコードです。対してマルウェアは、侵入後に情報窃取、遠隔操作、暗号化、横展開、破壊活動などを行う悪意あるソフトウェアの総称です。

比較項目

エクスプロイト

マルウェア

主な目的

脆弱性を利用して侵入・実行・権限昇格を成立させる

情報窃取、遠隔操作、暗号化、破壊などを実行する

使われる場面

攻撃の初期侵入や権限拡大の段階

侵入後の活動や被害の拡大段階

単独での被害

設定や脆弱性の内容によっては、単独で情報漏えいや乗っ取りにつながる

端末・アカウント・データへの直接的な被害を起こしやすい

代表例

バッファオーバーフローを突いた任意コード実行コード、SQLインジェクション脆弱性を悪用するリクエスト、認証回避を成立させるペイロード(いずれも脆弱性を実際の攻撃に転換する手段)

ランサムウェア、情報窃取型マルウェア、バックドア

実際の攻撃では、エクスプロイトで外部公開サーバーやVPN機器に侵入した後、バックドアやランサムウェアなどのマルウェアを設置する流れが見られます。ただし、攻撃者が正規の管理機能や盗んだ認証情報だけを使う場合もあり、マルウェアの検知だけで侵害を防げるとは限りません。

エクスプロイトとマルウェアにおける役割と攻撃フェーズの対比

▲ エクスプロイトとマルウェアにおける役割と攻撃フェーズの対比

エクスプロイト攻撃が成立する流れ

エクスプロイト攻撃は、脆弱性の公開から直ちに始まるとは限りません。攻撃者はまず、インターネット上に公開されたVPN、リモートアクセス機能、Webサーバー、管理画面、クラウド上のサービスなどを探索し、対象製品やバージョン、設定状況を調べます。

次に、対象に利用可能な脆弱性があれば、公開済みのPoCや独自に改変したエクスプロイトを用いて攻撃します。任意コード実行や認証回避に成功すると、Webシェルの設置、認証情報の窃取、管理者権限の取得、社内ネットワークへの横展開といった活動へ進む可能性があります。

攻撃の成否は、脆弱性の深刻度だけでは決まりません。対象が外部公開されているか、攻撃コードが入手しやすいか、認証やネットワーク分離で追加の防御層があるか、侵害の兆候を監視できているかによっても変わります。このため、CVSSの点数だけでなく、実際に悪用が確認されているか、攻撃がどの程度成立しやすいかを合わせて判断します。

エクスプロイト攻撃が成立し被害が拡大するまでの4つのステップ

▲ エクスプロイト攻撃が成立し被害が拡大するまでの4つのステップ

2024年から2026年の傾向:脆弱性悪用は主要な侵入経路

脆弱性の悪用は、継続的に主要な侵入経路として扱う必要があります。Verizonは毎年公開する「Data Breach Investigations Report(DBIR)」で、脆弱性の悪用を初期侵入に用いた侵害の割合について、2024年版で14%、2025年版で20%、2026年版で31%と報告しています。2026年版は2025年に収集された事案を分析したもので、Verizonは同レポートの中で脆弱性悪用が認証情報の悪用を上回り最大の侵入経路になったと述べています。各版の詳細はVerizonのDBIRページ([verizon.com/business/resources/reports/dbir/](https://www.verizon.com/business/resources/reports/dbir/))から該当年のPDFで確認できます。

報告年

脆弱性悪用が初期侵入に占める割合

読み取れる傾向

2024年

14%

前年報告の水準から大きく増加し、公開資産の脆弱性対策が課題になった

2025年

20%

前年比34%増とされ、認証情報の悪用に並ぶ主要な初期侵入経路になった

2026年

31%

19年のDBIR史上初めて、認証情報の悪用を上回る最大の侵入経路となった

また、CISAのKnown Exploited Vulnerabilities(KEV)カタログは、実際に悪用が確認された脆弱性を収録するリストです。CISAが公開するCPG Adoption Report(2025年1月版)は、2024年8月31日時点で1,199件が収録されていたと報告しています。件数は随時更新されるため、最新の収録数はCISAが公開するKEVカタログ(catalog.json)で確認できます。脆弱性管理では「重大度が高いか」だけでなく、「すでに悪用されているか」を優先順位に反映させる材料になります。([cisa.gov](https://www.cisa.gov/sites/default/files/2025-01/CPG%20Adoption%20Report.pdf))

情シスが優先するエクスプロイト対策

最初に把握したいのは、攻撃者から到達できる資産です。VPN、外部公開Webサーバー、メール基盤、リモート管理画面、クラウド上の仮想マシン、SaaSの管理者アカウントを一覧化し、製品名、バージョン、公開範囲、管理担当者、サポート期限を記録します。

パッチの優先順位は、CVSSだけで決めません。CISA KEVに掲載されている脆弱性は、すでに攻撃者による悪用が確認されたものとして最優先候補にします。そのうえで、EPSSの予測値、外部公開の有無、攻撃コードの公開状況、業務影響、代替策の有無を組み合わせると、対応順を説明しやすくなります。EPSSは脆弱性が30日以内に悪用される確率を0〜1で示す予測値であり、絶対的な閾値ではなく組織ごとの露出状況・業務影響・対応リソースに合わせてSLA(対応期限の社内基準)を決める材料として使います。一例として、「KEV掲載かつ外部公開資産が対象」であれば即時対応、「KEV未掲載だがEPSS 0.5以上かつ外部公開」であれば7日以内に対応、「内部資産のみかつEPSS低」であれば次回定期メンテナンスで対応、という段階を設けると、稟議や社内説明で優先順位の根拠を示しやすくなります。自組織でSLAを初めて設定する場合は、まずKEV掲載の脆弱性のみを即時対応枠に置き、EPSSの閾値は半年ごとに対応実績を見て調整する運用が現実的です。

パッチを直ちに適用できない場合は、対象機能の停止、管理画面へのアクセス元IP制限、WAFやIPSでの一時的な遮断、VPNの利用停止、ネットワーク分離、監視強化などで露出を減らします。ベンダーのセキュリティアドバイザリに回避策がある場合は、その適用条件と副作用を確認したうえで、恒久対策である更新までの暫定措置として扱います。なお、WAFやIPSによる遮断は、HTTPリクエスト経由の攻撃には有効な場面がある一方、管理プロトコルや認証フローの脆弱性に対しては通信を検査できないため効果が限定的です。採用する暫定策が対象の脆弱性の通信経路をカバーしているかをアドバイザリの「Workarounds」欄で確認し、カバーできない経路が残る場合はネットワーク分離や対象機能の停止を併用します。

脆弱性を悪用した認証回避に対しては、パッチ適用・対象機能の停止・アクセス元IP制限が主な対策です。一方、フィッシングやパスワードスプレーによる認証情報の悪用を抑制するには、SMSワンタイムパスワードよりもフィッシング耐性を持つFIDO2/WebAuthnやハードウェアトークンベースのMFAが有効です。この2つは原因と対策が異なるため、まず脆弱性の悪用経路(認証前か認証後か)を確認し、それぞれに合った手段を組み合わせます。VPN、ID基盤、クラウド管理者、SaaS管理者には多要素認証(MFA)を設定し、さらに、管理者アカウントを通常利用のアカウントと分け、不要な特権を削除し、管理操作や外部公開サービスのログを保存しておくと、侵害時の調査範囲を絞り込めます。エンドポイントにEDR(Endpoint Detection and Response)を導入している場合、攻撃者がWebシェルや管理ツールを悪用して正規プロセス経由で活動するLiving-off-the-Land型の動きをプロセス起動ツリーや通信先のログから検出できるため、マルウェアをファイル単体で検知するアンチウイルスの検知を回避した侵害の発見に役立ちます。エンドポイントのEDRログと、VPN・SaaSの認証ログを一元的に参照できる環境を整えると、侵害の初動対応で確認すべき範囲を絞り込みやすくなります。

情シスが実施すべき脆弱性対応の優先度判断フロー

▲ 情シスが実施すべき脆弱性対応の優先度判断フロー

まとめ

エクスプロイト対策の出発点は、攻撃者から見える自社資産を知ることです。明日からの最初の一歩は、VPN、公開Webサーバー、管理画面、クラウド環境を一覧化し、CISA KEV掲載の脆弱性が含まれていないか確認することです。そのうえでMFAを必須化し、EPSSとCVSSでパッチ順を決めれば、限られた情シス工数でも被害確率の高い穴から塞げます。

  • 自社のVPN・外部公開資産(ドメイン、管理画面、クラウド設定)を一覧化する

  • CISA KEVカタログを確認し、自社資産に該当する脆弱性がないかチェックする

  • VPN・ID基盤・SaaS管理者アカウントにMFAを必須化する

  • EPSSとCVSSを組み合わせてパッチ適用の優先順位を決める

  • EOL機器・サポート切れOSの棚卸しと移行計画を策定する

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team




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