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サイバーセキュリティ資格とSCS評価制度|情シスの採用/育成/外部委託評価への活かし方

サイバーセキュリティ資格とSCS評価制度|情シスの採用/育成/外部委託評価への活かし方

サイバーセキュリティ資格とSCS評価制度|情シスの採用/育成/外部委託評価への活かし方

サイバーセキュリティ資格とSCS評価制度|情シスの採用/育成/外部委託評価への活かし方

公開日

サイバーセキュリティ関連の資格は、個人のキャリアアップのためだけのものではありません。情シス部門にとっては、採用基準の言語化、社内人材の育成計画、そして外部委託先やコンサルタントの実力を見極める「共通のものさし」として活用できる情報です。特に2026年10月施行の「サイバー対処能力強化法」と、これに連動する「SCS評価制度」の始動によって、一部の資格は単なる知識証明を超え、制度上の「専門家要件」としての意味を持ち始めています。本記事では、情シスが押さえておくべき代表的な資格を整理したうえで、組織運営にどう活かすかを解説します。

目次

  • 情シスがセキュリティ資格を知っておく意味とは

  • サイバーセキュリティ資格の全体像:4つの分類

  • 情シスが押さえておきたい代表的な資格12選

  • 【2026年最新】SCS評価制度とサイバー対処能力強化法が変える資格の重み

  • 資格情報を採用・育成・外部委託評価にどう活かすか

  • 資格取得を組織として支援する際の検討ポイント

  • 資格選びの優先順位のつけ方

  • よくある質問

  • まとめ

情シスがセキュリティ資格を知っておく意味とは

セキュリティ資格は、情シス担当者個人のキャリア形成の道具である以上に、部門としての意思決定材料として機能します。採用面接での評価軸、育成計画の到達目標、外部委託先の実力を見極める共通言語として使えるからです。

情シス部門は、自らIT資産管理やセキュリティ統制を担う一方で、外部のセキュリティベンダーや監査人、コンサルタントと協働する機会も多い部署です。その際、相手が保有する資格の意味や難易度、対象とする専門領域を理解していなければ、提案内容の妥当性を正しく評価できません。また、社内でセキュリティ人材を育成する際にも、「何を学べば、どのレベルの実務ができるようになるのか」を資格体系から逆算して計画を立てられます。

さらに後述するとおり、2026年からは一部の資格が「制度上の要件」としての性格を帯び始めます。単なる自己啓発の対象ではなく、取引先からの要請に応えるための実務的な備えとして、資格の全体像を把握しておく価値は今後さらに高まっていくでしょう。

サイバーセキュリティ資格の全体像:4つの分類

サイバーセキュリティ資格は、認定主体の性質によって「国家資格」「公的資格」「民間資格」「国際資格」の4つに大別され、それぞれ信頼性の裏付け方や評価される場面が異なります。

分類

認定主体の性質

特徴

代表的な資格

国家資格

国の法律に基づく認定

社会的信頼性が高く、法的な位置づけを持つ

情報処理安全確保支援士試験、情報セキュリティマネジメント試験

公的資格

公益法人・財団法人など

業界内での認知度が高く、実務者育成を目的とすることが多い

情報セキュリティ管理士認定試験、個人情報保護士認定試験

民間資格(ベンダー資格)

企業・業界団体

特定製品・サービスに特化した専門性を証明できる

AWS認定セキュリティ、シスコ技術者認定、CompTIA Security+

国際資格

国際団体(複数国に拠点)

グローバルな業務・大企業のセキュリティ管理職で評価されやすい

CISSP、CISM、CISA

自社の課題が「特定クラウド環境の安全な運用」なのか「組織全体のセキュリティガバナンス構築」なのかによって、参考にすべき資格の分類は変わります。情シス部門で資格情報を活用する際は、まずこの4分類のどこに自社のニーズがあるかを整理すると判断がしやすくなります。

情シスが押さえておきたい代表的な資格12選

情シスの実務や組織のセキュリティ体制構築に関連の深い代表的な資格を、分類別に12種選んで整理しました。

No.

資格名

分類

主催団体

情シス視点でのポイント

1

情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)

国家資格

IPA

国内唯一のサイバーセキュリティ国家資格。SCS評価制度の専門家要件にも明示され、ITSSレベル4に直接対応する最上位の指標

2

情報セキュリティマネジメント試験

国家資格

IPA

IT部門以外でも受験対象になる入門レベルの国家資格。組織全体のセキュリティリテラシー底上げに向く

3

情報セキュリティ管理士認定試験

公的資格

全日本情報学習振興協会

総合的な管理・運用知識を問う。管理者・指導者層の育成の目安になる

4

個人情報保護士認定試験

公的資格

全日本情報学習振興協会

個人情報保護に特化。法務・情報システム双方に関わる担当者に適する

5

公認情報セキュリティマネージャー(CISM)

国際資格

ISACA

セキュリティガバナンス・マネジメントに特化。SCS評価制度の専門家要件の一つ

6

公認情報システム監査人(CISA)

国際資格

ISACA

情報システム監査・内部統制の専門資格。SCS評価制度の専門家要件の一つ

7

CISSP

国際資格

(ISC)²

セキュリティ全般を網羅する国際的な最難関資格の一つ。SCS評価制度の専門家要件の一つ

8

ISO/IEC 27001主任審査員

国際資格

JRCA(日本要員認証協会)等

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の審査能力を証明。SCS評価制度の専門家要件の一つ

9

公認情報セキュリティ監査人

民間・国内資格

JASA(日本セキュリティ監査協会)

セキュリティ監査の実務能力を証明。SCS評価制度の専門家要件の一つ

10

AWS認定セキュリティ

民間資格(ベンダー)

AWS

クラウド環境のセキュリティ設計・運用知識を証明。クラウド利用が中心の組織で実務直結

11

CompTIA Security+

国際資格(ベンダー中立)

CompTIA

ベンダー中立の入門〜中級資格。米国国防総省の指針でも認められている国際的な信頼性を持つ

12

シスコ技術者認定(CCNAなど)

民間資格(ベンダー)

シスコシステムズ

ネットワーク機器の設定を含む実務型資格。ネットワーク管理を担う情シス人材に適する

上記のうち5〜9番の5資格と1番の情報処理安全確保支援士は、次章で解説するSCS評価制度の「専門家要件」に明示的に位置づけられている点が2026年時点の大きなポイントです。

【2026年最新】SCS評価制度とサイバー対処能力強化法が変える資格の重み

2026年10月施行の「サイバー対処能力強化法」と、これに連動する「SCS評価制度」(サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度)によって、一部の資格は組織のセキュリティレベルを対外的に証明するための制度的な要件としての意味を帯び始めています。取引先から「SCS評価制度で★3の取得を検討してほしい」といった相談を受ける可能性が、業種を問わず現実味を帯びてきているためです。

サイバー対処能力強化法は、電気・ガス・金融・鉄道など生活基盤となる15分野の基幹インフラ事業者を主な対象に、重要機器の導入届出やインシデント報告を義務づける法律です。これと連動するSCS評価制度は、基幹インフラ事業者だけでなくその取引先企業のセキュリティレベルも「★1〜★5」で見える化する任意の仕組みで、経済産業省と内閣官房の国家サイバー統括室(NCO)が監督し、IPAが運営します。

このうち★3は「すべてのサプライチェーン企業が最低限実装すべき対策」と位置づけられ、通称「専門家確認付き自己評価」と呼ばれます。自社が記入した自己評価をセキュリティ専門家が確認・署名し、経営層が自己適合宣誓を行ったうえでIPA事務局に提出する、という4ステップの手続きが想定されています。

ここで重要なのが「セキュリティ専門家」になるための条件です。制度構築方針では、次の3つをすべて満たす必要があるとされています。

  • 力量の保持:ITSSレベル4以上、またはそれに相当する高度な知見を持っていること

  • 力量の維持:知識を継続的に更新していること

  • 制度が定める研修の受講

このうち「力量の保持・維持」を満たす資格として、制度構築方針は次の6資格を明示的に設定しています。

  • 情報処理安全確保支援士試験(登録セキスペ)

  • CISSP

  • CISM

  • CISA

  • ISO/IEC 27001主任審査員

  • 公認情報セキュリティ監査人(公認情報セキュリティ主任監査人を含む)

なお、ITSS本体でレベル4と直接対応づけられているのは情報処理安全確保支援士のみで、他の5資格は「相当する力量」という位置づけです。また専門家の監督下で実作業を担う「作業従事者」という役割も用意されており、こちらは資格を必要とせず、制度指定の研修受講のみが求められます。専門家1名がすべての確認作業を担う必要はなく、作業従事者を複数配置することで体制を組める設計です。

社内に専門家を育てておくか、外部に依頼するかは企業規模や取引構造によって判断が分かれますが、★3の有効期間は1年(★4は3年)とされているため、継続的な評価更新を見込む場合は運用コストの比較検討が必要になります。いずれにせよ、情シス部門としてこの制度と6資格の存在を知っておくこと自体が、取引先からの相談に慌てず対応するための第一歩です。

資格情報を採用・育成・外部委託評価にどう活かすか

資格の知識は、情シス部門が「採用」「育成」「外部委託先の評価」という3つの実務場面で判断の物差しとして機能します。

採用基準の言語化では、求人票に「CISSP保有者歓迎」「情報処理安全確保支援士取得者優遇」のように明記することで、応募者側にも期待するスキルレベルが伝わりやすくなります。資格の分類や難易度を理解していれば、書類選考・面接での質問設計もより的確になります。

社内育成計画の設計では、いきなり難易度の高い国際資格を目指すのではなく、情報セキュリティマネジメント試験のような入門レベルから段階的にキャリアパスを描くことで、挫折を防ぎながら着実にスキルを積み上げられます。前章のSCS評価制度における「作業従事者」のポジションは、専門家候補の手前の育成ステップとしても位置づけやすいでしょう。

外部委託先・監査人の評価では、脆弱性診断やセキュリティ監査を依頼する相手が保有する資格を確認することで、その専門性の方向性(技術的な診断力なのか、マネジメント・監査の視点なのか)を見極めやすくなります。特にSCS評価制度の専門家確認を外部委託する場合、依頼先が6資格のいずれかを保有しているかは重要な確認ポイントになります。

なお、こうした資格情報の整理・比較検討や、社内向けの育成計画資料の下書きといった作業は、生成AIを使って効率化している情シス担当者も増えています。社内でAIツールの利用を広げる際は、扱う情報が人事評価や取引先情報を含むケースもあるため、権限管理や利用ログの統制もあわせて検討しておくと安心です。この点は、Claude Codeのガバナンス設計Claudeのアクセス権限・認証管理を解説した記事でも整理しています。

資格取得を組織として支援する際の検討ポイント

資格取得を組織的に支援する際は、費用補助・学習時間の確保・更新要件への対応という3つの観点をあらかじめ制度化しておくと、担当者任せの属人的な取り組みで終わらせずに済みます。

以下は、資格取得支援制度を設計する際に確認しておきたいチェックリストです。

  • 受験費用・教材費・研修費用のうち、どこまでを会社負担とするか

  • 学習時間を業務時間内に確保できる仕組みがあるか(時短勤務・特別休暇など)

  • 合格時のインセンティブ(報奨金・資格手当)を設けるか

  • CISSPやCISMのように、合格後も実務経験年数や継続的専門教育(CPE)の要件がある資格の維持コストを把握しているか

  • SCS評価制度の「専門家」を目指す場合、制度指定研修の受講費用・スケジュールも計画に含めているか

  • 資格取得後のキャリアパス(役職・担当領域の変化)を本人と共有できているか

特にCISMやCISA、CISSPのような国際資格は、合格だけでなく一定の実務経験年数や継続教育の報告が認定条件に含まれています。取得後の維持コストまで見込んだうえで支援制度を設計することが、長期的な定着につながります。

資格選びの優先順位のつけ方

数ある資格の中から自社にとって優先度の高いものを選ぶ際は、実務適合性・更新負荷・費用対効果の3つの軸で比較すると判断しやすくなります。

実務適合性は最も重視すべき軸です。自社がクラウド中心の環境であればAWS認定セキュリティ、組織全体のガバナンス強化が課題であればCISMやISO/IEC 27001主任審査員など、現在の課題に直結する資格を優先すると学習効果を実務に還元しやすくなります。

更新負荷も見落とされがちな観点です。CISSPやCISM、CISAは合格後も継続的専門教育(CPE)の報告や維持費用の支払いが必要で、資格を「取って終わり」にはできません。長期的に維持し続けられる体制があるかを事前に確認しておきましょう。

費用対効果については、受験費用だけでなく研修費・教材費・学習時間を含めたトータルコストと、資格取得によって得られる実務上のメリット(採用力向上、取引先からの信頼性向上、SCS評価制度への対応力など)を照らし合わせて判断することが望まれます。難易度の高い資格から着手するのではなく、入門レベルの資格から段階的に挑戦し、必要な知見を積み上げてから上位資格を目指す進め方も、挫折を防ぐうえで現実的な選択肢です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 情シス担当者は必ずセキュリティ資格を取得すべきですか? 資格取得は必須ではありません。ただし、資格の全体像や難易度を理解しておくことは、採用・育成・外部委託先評価の場面で有効な判断材料になります。まずは知識として押さえておくことが第一歩です。

Q2. SCS評価制度の「セキュリティ専門家」は社内で育成すべきですか、それとも外部委託すべきですか? どちらも制度上は認められています。継続的な評価更新(★3は1年ごと)を見込む場合は社内育成のコストメリットが出やすい一方、単発の対応であれば外部の専門家に依頼する方法も有力な選択肢です。企業規模や取引構造に応じて検討するのがよいでしょう。

Q3. セキュリティの三大資格とは何ですか? 一般的に(ISC)²の「CISSP」、ISACAの「CISM」または「CISA」、SANS Instituteの「GIAC」が国際的に高く評価される資格として挙げられます。ただしSCS評価制度の専門家要件には、これらに加えて情報処理安全確保支援士やISO/IEC 27001主任審査員なども明示されており、目的によって参照すべき「代表的な資格」は変わります。

Q4. 資格を持っていない人材はセキュリティ専門家になれませんか? SCS評価制度における「セキュリティ専門家」は、明示された6資格の保有に加えて力量の維持と制度指定研修の受講が要件です。一方、専門家の監督下で実作業を担う「作業従事者」には資格要件がなく、研修受講のみで担うことができます。

まとめ

サイバーセキュリティ資格は、個人のキャリアだけでなく、情シス部門が採用基準を言語化し、育成計画を設計し、外部委託先を評価するための共通言語として活用できます。2026年10月施行のサイバー対処能力強化法とこれに連動するSCS評価制度により、情報処理安全確保支援士・CISSP・CISM・CISA・ISO/IEC 27001主任審査員・公認情報セキュリティ監査人の6資格は、今後「専門家要件」としての重みを増していくことが見込まれます。

自社の課題や規模に応じて、まずは資格の全体像を把握し、実務適合性・更新負荷・費用対効果のバランスを見ながら、社内育成と外部委託のどちらを軸にするかを検討していくことが、今後のサプライチェーン対応にも活きる備えになるでしょう。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

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