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【図解】AVDとは?Windows 365との違いや活用法を解説

【図解】AVDとは?Windows 365との違いや活用法を解説

【図解】AVDとは?Windows 365との違いや活用法を解説

【図解】AVDとは?Windows 365との違いや活用法を解説

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最終更新日

セキュリティを保ちながら在宅勤務や拠点外業務を実現したい企業にとって、AVDは有力な選択肢です。AVDとは、MicrosoftがAzure上で提供する仮想デスクトップ基盤であり、Windowsの画面や業務アプリを手元のPCへ配信します。

ただし、AVDは契約するだけで完成するサービスではありません。仮想マシン、ネットワーク、ユーザープロファイル、OSイメージ、監視などを利用企業側で設計する点がWindows 365との大きな違いです。本記事は、AVDを初めて調査する企業の情報システム部門と、Windows 10のサポート終了を機に端末環境を見直すIT企画担当者を対象に、基礎から導入判断、運用上の注意点までをわかりやすく整理します。

AVDの概要やマルチセッションの特徴、Windows 365との違い、導入時の活用法を整理して解説する図。

AVD(Azure Virtual Desktop)とは

AVDとは、Microsoft Azureの管理基盤を利用してWindowsデスクトップやアプリケーションを遠隔提供するクラウド型のデスクトップ仮想化サービスです。

本記事のポイント

  • AVDはAzure上に構築する仮想デスクトップ環境であり、Microsoftが接続制御基盤を管理します。

  • Windows 10/11 Enterpriseのマルチセッションを利用でき、1台の仮想マシンを複数ユーザーで共有できます。

  • Windows 365は月額固定のクラウドPC、AVDは構成と稼働量に応じて費用が変わるサービスです。

  • AVDの成否は、同時接続率、アプリ互換性、プロファイル用ストレージ、運用体制の設計で決まります。

AVDが向く企業・向かない企業(簡易確認)

確認項目

AVDが向く

AVDより他の選択肢が向く

同時接続率

全登録者の50〜70%以下で利用時間が限定される

ほぼ全員が終日同時利用する

費用の予測可能性

従量課金で稼働量に応じた費用管理ができる

月額固定で予算を固めたい(→Windows 365)

運用体制

Azure設計・監視・障害対応を担う担当者または委託先がいる

IT専任者がいなく、運用をほぼゼロにしたい

GPU・専用設計の要否

CAD・映像処理など特定のGPU VMやネットワーク設計が必要

標準的なOffice業務のみ

アプリ・周辺機器

マルチセッション対応済みアプリ、またはApp Attachで分離できる

USBドングルや低遅延音声機器が必須でリダイレクト未対応

AVDの意味とVDI・DaaSとの関係

AVDはAzure Virtual Desktopの略称です。VDIは、サーバー上に仮想的なデスクトップを作り、利用者が端末から遠隔操作する技術全般を指します。DaaSは、そのVDI基盤をクラウドサービスとして利用する提供形態です。AVDはVDIをAzure上で実現するDaaSの一種と整理できます。

オンプレミスとは、企業がサーバーやストレージを自社施設または契約データセンターに設置して運用する方式です。オンプレミスVDIでは、機器の調達、保守、更新、容量拡張まで自社が担います。AVDでは接続制御などの管理プレーンをMicrosoftが担当するため、基盤機器を購入せずに展開できます。

AVD環境を構成する要素

AVD環境は、利用者をまとめるワークスペース、配信対象を定義するアプリケーショングループ、仮想マシンを束ねるホストプール、実際にWindowsを動かすセッションホストで構成されます。利用者のデスクトップ設定は、一般にFSLogixのプロファイルコンテナーを使って共有ストレージへ保存します。

Microsoftが管理するのはゲートウェイや接続仲介などのサービス部分です。一方、セッションホストのサイズ、OSイメージ、アプリ、ネットワーク、プロファイルストレージ、監視、バックアップ、スケーリングは利用企業または運用委託先が管理します。「AVDならインフラ管理が不要」という理解では、運用開始後に責任範囲の抜けが生じます。

国内DaaS市場とWindows 10サポート終了

ITRは国内DaaS市場調査において、2022年度の売上金額は366.9億円で、2026年度には500億円規模へ成長すると予測しています(出典:ITR「ITR Market View:クラウド・コンピューティング市場2024」)。2022年度を基準にした予測であるため実績値とは分けて読む必要がありますが、DaaSが大企業だけでなく、情シス人員の限られた企業にも広がっている傾向を表す数値です。

MicrosoftはWindows 10の通常サポートを2025年10月14日に終了しました。TPM 2.0や対応CPUなど、Windows 11の要件を満たさないPCを抱える企業では、端末の一斉交換と並行してAVDへの移行が検討されています。既存PCを接続端末として一時利用できれば、端末調達の時期を分散できます。ただし、古い端末自体のOSや接続アプリも安全に維持できる場合に限る運用です。

AVDとAndroid Virtual Deviceの区別

AVDという略称は、Android開発で使うAndroid Virtual Deviceも意味します。Microsoft Azure、仮想デスクトップ、Windows 365と一緒に使われるAVDはAzure Virtual Desktopを指し、Android Studioやエミュレーターの文脈ではAndroid Virtual Deviceを指します。両者は目的も製品も異なります。

AVDの主要機能と導入メリット

AVDの主な価値は、Windows環境の集中管理、マルチセッションによるリソース集約、利用量に応じた停止制御、AzureのID・セキュリティ機能との連携です。

Windows 10/11 Enterpriseのマルチセッション

AVDは、Windows 10/11 Enterpriseの1台のセッションホストへ複数ユーザーが同時接続するマルチセッションに対応します。ユーザーごとに仮想マシンを割り当てる方式よりも台数を集約しやすく、定型的な事務作業やコールセンターなど、利用アプリと負荷が似ている業務に適しています。

ただし、マルチセッションに詰め込める人数は固定ではありません。ブラウザのタブ数、Web会議、表計算のサイズ、業務アプリのCPU使用率によって同時収容数が変わります。PoCでは平均CPUだけでなく、始業時のログイン集中、メモリ使用量、ディスク待ち時間、ユーザー入力遅延を計測し、上限を決めます。

Autoscaleと接続時起動による費用制御

AVDのスケーリングプランは、曜日や時間帯、接続ユーザー数に応じてセッションホストを起動・停止します。「Start VM on Connect」を有効にすれば、利用者の接続を契機に停止中の仮想マシンを起動できます。夜間や休日に使わない業務では、24時間稼働よりもコンピュート料金を抑えられます。

試算例として、同時利用60人を2仮想CPUの専用VMで処理すると、10時間×22日で月間26,400仮想CPU時間です。8仮想CPUのマルチセッションVMを12台稼働させる設計なら、同条件で21,120仮想CPU時間となり、計算上は20%減ります。ここでの「1VMあたり収容人数」はあくまで計算上の例示であり、実際の収容数はアプリのCPU使用率・メモリ・ディスク待ち時間をPoCで測定して決定します。この試算はストレージ、通信、ライセンスを含まない仮想CPUリソース量のみの概算です。実際の費用はVMシリーズの単価、予約・節約プランの適用有無、Azureリージョン、同時接続率、必要性能によって大きく変わります。最終的な費用見積もりはAzure料金計算ツール(Azureポータル内の「料金計算ツール」ページ)を使い、自社の構成条件を入力して算出します。人数だけで削減率を決めず、負荷試験の結果を料金計算へ反映します。

Windows 10 ESUと移行期間の確保

MicrosoftのWindowsライフサイクル案内では、対象となるAVDおよびWindows 365上のWindows 10仮想マシンに対し、通常のESUとは別に追加料金を支払わず、最大3年間の拡張セキュリティ更新を受けられる枠組みが示されています。対象条件を満たす場合、最長で2028年まで移行期間を確保できます。

ESUはWindows 10を恒久利用する制度ではなく、重大・重要と判定されたセキュリティ更新を受けながら移行を進める猶予です。対象条件・対象製品・除外される構成はMicrosoft Learnの「Windows 10 拡張セキュリティ更新プログラム」ページで確認でき、自社のサブスクリプション種別やAVD利用構成が対象に含まれるかどうかによって、無償で受けられる期間が変わります。業務アプリがWindows 11へ対応済みならWindows 11ベースのAVDを優先し、未対応アプリが残る場合だけWindows 10環境を分離して期限付きで維持します。

統合接続クライアントのWindows App

MicrosoftはWindows Appを一般提供し、AVD、Windows 365、Microsoft Dev Boxなどへの接続窓口を統合しています。Windowsに加えてmacOS、iOS、iPadOS、Android、Webブラウザなどから利用でき、対応範囲内でマルチモニター、周辺機器リダイレクト、表示設定を管理できます。

旧リモートデスクトップ製品の終了時期はアプリとOSごとに異なるため、「すべての旧クライアントが2026年3月に終了した」と一律には扱えません。社内で利用中のクライアント名とバージョンを台帳化し、Windows Appで業務要件を満たせる端末は移行し、未対応のリダイレクト機能がある端末は代替手段の検証を続けます。

Entra IDと条件付きアクセスによる制御

AVDはMicrosoft Entra IDの多要素認証や条件付きアクセスと組み合わせ、利用者、端末状態、接続場所、リスクに応じてアクセスを制御できます。管理対象外端末ではクリップボードやドライブのリダイレクトを制限し、準拠端末では業務上必要な機能だけを許可するといった設計が可能です。

AVDは画面転送を中心に利用できますが、「端末へデータが一切残らない」とは限りません。クリップボード、ローカルドライブ、USB、印刷、画面キャプチャ、ブラウザからのダウンロードを許可すれば、データが端末側へ移動する可能性があります。機密度に応じてリダイレクトポリシーと端末管理を組み合わせます。

RDP Multipathと接続品質の改善

RDP Multipathは、AVDセッションで複数の通信経路を活用し、利用可能な経路の変化に対応する機能です。対応クライアント、ネットワーク、ポリシーなどの条件がそろえば、単一経路より接続の回復性を高められます。

この機能だけで画面遅延や切断がなくなるわけではありません。利用者からAzureリージョンまでの往復遅延、Wi-Fi品質、パケット損失、プロキシ、VPN経路、VM負荷も操作感へ影響します。PoCでは勤務場所別に往復遅延とパケット損失を測り、遅延が大きい拠点はリージョンまたは通信経路を見直します。

CopilotとMicrosoft 365アプリの利用

Windows 11のAVDマルチセッション環境でも、対応するMicrosoft 365 Appsとライセンスを用意すればCopilot for Microsoft 365を利用できます。AVD利用権だけでCopilotの権利が付与されるわけではなく、ユーザーライセンス、アプリの更新チャネル、ネットワーク接続先、データ保護方針を別途そろえます。

生成AIをAVD内で利用する場合は、チャット画面だけでなく、参照可能なSharePoint、OneDrive、Teamsの権限が回答範囲を左右します。過剰な共有権限が見つかった場合はCopilot展開を止めるのではなく、対象部署を限定し、権限修正後に範囲を広げます。

AVDとWindows 365・VDIの違い

固定額と運用の簡素さを優先する場合はWindows 365、マルチセッションやGPU、細かなネットワーク設計を使う場合はAVDが判断の起点です。

同じ比較軸による機能比較

AVDとWindows 365の違いは企業規模だけでは決まりません。同時接続率、利用時間、専用環境の要否、アプリ、GPU、運用担当者、費用の予測可能性を同じ軸で比較します。一般的なオンプレミスVDIも加えた整理は次の通りです。

比較項目

AVD

Windows 365

オンプレミスVDI

提供形態

Azure上で構成する仮想デスクトップ

ユーザー専用のクラウドPC

自社設備上の仮想デスクトップ

料金の考え方

VM、ストレージ、通信などの従量課金

構成ごとの月額固定料金が中心

機器購入、保守、ソフトウェア費用

セッション方式

マルチセッションとシングルセッション

原則として1ユーザー専用

製品とOSにより異なる

カスタマイズ

ネットワーク、イメージ、VMを細かく設計可能

標準化された構成を管理

設備を含めて自社設計

GPU利用

対応するAzure GPU VMを選択可能

提供中の対象構成から選択

GPUサーバーを自社調達

運用負荷

設計・監視・障害対応の知識が必要

AVDよりサービス側の管理範囲が広い

ハードウェアを含めて自社責任

増減への対応

ホスト台数を比較的短期間で変更可能

クラウドPCの追加・削除で対応

調達期間と設備容量に左右される

費用予測

利用状況により変動

月額を予測しやすい

更新年に支出が集中しやすい

Windows 365が合う条件

ユーザーごとに専用のWindows環境が必要で、毎月の費用を固定し、AzureのVMやFSLogixを個別設計しない方針ならWindows 365を軸にします。Intuneを使った端末管理と相性がよく、利用時間が長いユーザーでも月額が稼働時間に連動しないため、予算を組みやすい点が特徴です。

一方、Windows 365でもアプリ配布、更新管理、ID、データ保護、問い合わせ対応は残ります。完成済みのクラウドPCであっても、運用担当者が不要になるわけではありません。必要なGPU構成や周辺機器が提供構成にない場合は、AVDのPoCへ切り替えます。

AVDが合う条件

同じアプリを使うユーザーが多く、同時接続率が全登録者数より低い場合は、AVDのマルチセッションでリソースを集約しやすくなります。勤務時間が限定される業務、短期プロジェクト、教育用PC、委託先向け環境では、Autoscaleと組み合わせた稼働制御が費用へ反映されます。

独自ネットワーク、複数のホストプール、GPU VM、アプリ単体の配信、特定リージョンへの配置が必要な場合もAVDが候補です。ただし、Azure運用を担う人員がいない場合は、内製を前提にせず、設計・監視・障害対応をどこまで委託するかを費用に含めます。

CopilotとWindows Appの共通点

AVDとWindows 365はいずれもWindows Appからアクセスでき、対応するMicrosoft 365環境ではCopilotを利用できます。この2点だけでは選定差になりません。Copilotの利用可否は割り当てライセンスとMicrosoft 365側のデータ権限、Windows Appの操作性は端末OSやリダイレクト要件で判断します。

実務向け判断フロー

  1. 1ユーザー専用環境と月額固定を優先するなら、Windows 365で構成と費用を試算します。

  2. 複数ユーザーでVMを共有できるなら、AVDのマルチセッションで同時接続テストを行います。

  3. CAD、BIM、映像処理などでGPUが必要なら、対応VMとアプリの認定条件を基にAVDを検証します。

  4. USB機器、特殊プリンター、音声デバイスを使うなら、どちらを選ぶ場合も実機テストを先に行います。

  5. Azure運用を担う体制がなく、委託費を含めると固定料金を上回るなら、Windows 365へ判断を戻します。

自社の要件に応じたAVDとWindows 365の選定判断フロー

▲ 自社の要件に応じたAVDとWindows 365の選定判断フロー

AVD利用に必要な前提条件と構成

AVDを利用するには、Azure契約、対象ライセンス、ID基盤、ネットワーク、セッションホスト、プロファイル保存先を一体で設計します。

Azureサブスクリプションと課金対象

AVDの管理プレーン自体とは別に、セッションホストVM、OSディスク、プロファイルストレージ、バックアップ、監視ログ、インターネットへのデータ転送などが課金対象になります。リージョン、VMシリーズ、予約や節約プランの利用状況によって単価が変わるため、記事内の固定料金だけで予算を確定する方法は適しません。

予算管理では、開発、PoC、本番をサブスクリプションやリソースグループで分け、タグに部門名、環境、所有者を設定します。予算アラートを実請求より低い段階に置き、増加を検知したら稼働台数、ディスク、ログ保管量の順に原因を切り分けます。

AVDアクセス権を含むライセンス

MicrosoftのAVD前提条件では、代表的な対象ライセンスとしてMicrosoft 365 Business Premium、Microsoft 365 E3/E5/A3/A5/F3、Windows Enterprise E3/E5/A3/A5、Windows VDA per Userなどが案内されています。Windows Serverを利用する構成や外部ユーザー向けの利用には、別の権利または従量課金の選択肢が関係します。

既存契約にAVD利用権が含まれていれば、同じユーザーへ不要なVDAライセンスを追加購入しない判断になります。対象権利が含まれなければ、ライセンスの追加または外部ユーザー向け課金を費用へ入れます。製品名だけで決めず、契約プログラム、ユーザー属性、クライアントOSまでをMicrosoftの現行ライセンス条項と照合します。

Microsoft Entra IDネイティブ参加

AVDのセッションホストはMicrosoft Entra IDへ直接参加できるため、オンプレミスActive Directoryは一律の必須条件ではありません。新規システムがクラウドサービス中心で、従来のドメイン認証を使うアプリがなければ、Entra IDネイティブ構成でサーバーと同期基盤を減らせます。

ただし、セッションホストをEntra ID参加にできることと、FSLogixの保存先が同じ認証方式で利用できることは別の論点です。Azure FilesやAzure NetApp Filesの認証方式、クラウドのみのユーザーへの対応状況、Kerberos要件を先に整理します。保存先が採用するID方式へ対応するならクラウド構成を進め、対応しない既存アプリや共有が残るならハイブリッドIDを維持します。

ネットワークとリージョン

リージョンは利用者に近いことだけでなく、接続先の業務システム、データ保管要件、災害対策、利用するVMシリーズの在庫を基に選びます。利用者が日本にいても、基幹システムが別地域にあれば、デスクトップ操作は速くてもアプリ処理が遅くなる場合があります。

PoCでは、自宅、主要拠点、VPN経由の各経路でログオン時間、往復遅延、パケット損失、ファイル転送、印刷を測定します。社内システムへプライベート接続が必要ならVPNまたは専用接続を設計し、インターネット経由で安全に接続できるSaaS中心なら、不要な社内折り返しを避けます。

FSLogixとプロファイルストレージ

マルチセッション環境では、利用者が別のセッションホストへ接続しても同じ設定を使えるように、FSLogixでプロファイルをVHDまたはVHDXへ格納する構成が一般的です。保存先にはAzure FilesやAzure NetApp Filesなどを利用し、朝の同時ログイン時に必要なIOPSと帯域を確保します。

容量だけでストレージ層を選ぶと、ログオンが数分かかる、Outlookが応答しない、黒い画面のまま進まないといった事象が発生します。測定方法と性能基準はAVD導入フローのPoCセクションに記載しており、標準ストレージで合格すれば維持し、IOPSや待ち時間が基準を超えるならPremiumのAzure FilesまたはAzure NetApp Filesを比較します。

Kerberos暗号化とAES移行

MicrosoftはKerberos環境におけるRC4依存の縮小を進めています。Azure FilesなどへKerberos認証で接続する構成では、アカウント、ドメイン、クライアントがAESを利用できる状態かを調べます。古い暗号設定のままでは、セキュリティ更新後にプロファイル共有へ接続できなくなる可能性があります。

監査でRC4利用が見つからなければAES前提の試験へ進み、RC4依存のサービスアカウントや古いシステムが見つかれば、暗号設定だけを強制する前に依存先を修正します。AES-256などの設定変更は検証用ホストプールから適用し、FSLogixのマウントと再接続を確認してから本番へ広げます。

ハイブリッドAVDの適用範囲

MicrosoftはAzure LocalやAzure Arc対応基盤を利用するハイブリッド環境向けAVDの拡張を発表しています。ただし、Azure Arcへ接続できるすべてのVMware、Nutanix、Hyper-V、物理サーバーが、無条件でAVDセッションホストとして正式サポートされるという意味ではありません。

対象基盤、OS、リージョン、プレビューまたは一般提供の状態は機能ごとに異なります。Microsoftの現行サポート表で自社基盤が対象なら限定PoCへ進み、対象外または公開情報で確認できない場合は、Azure Localか通常のAzure VMを本番候補に残します。

AVDの全体システム構成と主要コンポーネントの連携関係

▲ AVDの全体システム構成と主要コンポーネントの連携関係

AVDの具体的な活用法

AVDは一般的なリモートワークだけでなく、CAD、期間限定業務、アプリ配信、委託先アクセス、教育、BCPに活用できます。

リモートワークと拠点間の標準環境

AVDへ業務アプリと設定を集約すると、自宅、出張先、サテライトオフィスでも同じWindows環境を利用できます。端末ごとにアプリを個別導入する方式より、更新対象をセッションホストやイメージへ集約しやすくなります。

社外端末からの利用を認める場合は、データを画面転送に限定するポリシーを基本とし、クリップボード、ドライブ、印刷が必要な職種だけ例外を設けます。通信品質が不安定な地域ではローカルPCと同じ操作性にならないため、業務アプリの応答時間を職種別に測定します。

CAD on AVDによるリモート設計

CAD on AVDは、GPUを搭載したAzure VMへCADやBIMアプリを配置し、設計画面を遠隔配信する構成です。対応する選択肢には、NVIDIA A10を搭載するNVads A10 v5系や、AMD Radeon Instinct MI25を利用するNVv4系などがあります。リージョンの提供状況と必要クォータは構築前に押さえます。

GPU VMを選ぶだけでは性能を判断できません。アプリベンダーの認定構成、モデル容量、画面解像度、同時利用数、ドライバー、データ保存先までが操作感へ影響します。大規模モデルを使う設計者は専用VM、小規模な閲覧や注記は共有環境とするように、負荷別にホストプールを分けます。

オンプレミスのワークステーションを2~3年ごとに一斉購入する方式から従量課金へ移せる一方、GPU VMを夜間も起動したままにすると費用が増えます。設計者の勤務時間が決まっているならAutoscaleを適用し、夜間レンダリングがあるホストだけを別プールにします。

App Attachによるアプリ分離

App Attachは、アプリケーションをOSイメージへ直接組み込まず、仮想ディスクとして準備し、ユーザーのサインイン時に割り当てる仕組みです。部署ごとに必要なアプリが違う場合でも、ゴールデンイメージの増殖を抑えられます。

例えば、共通OSイメージを1つにし、経理、設計、コールセンター向けアプリを別パッケージにすれば、OS更新とアプリ更新を分けて検証できます。ただし、カーネルドライバーや複雑なサービスを組み込むアプリは分離に適さない場合があります。App Attachで動作するアプリだけを切り出し、ドライバー依存アプリはイメージへ残します。

短期プロジェクトと外部パートナー環境

数カ月だけ参加する外部要員へAVDを割り当てれば、業務データを個人PCへ直接保存させず、契約終了時にアクセス権をまとめて停止できます。アプリとデータを社内側へ置くため、端末を配送する方式より着任までの時間を短縮できる場合があります。

外部ユーザーは社員とライセンス条件が異なる可能性があるため、人数だけで費用を計算しません。既存ライセンスでアクセスできるユーザーと外部ユーザーを分け、後者に従量課金または別ライセンスが必要なら見積もりへ加えます。契約終了日をID属性または申請台帳へ持たせ、自動停止できない場合は月次棚卸しの対象にします。

教育・研修用PCとアプリ単体配信

研修用PCや学校の演習環境では、受講者が利用する時間帯だけセッションホストを起動し、終了後に初期状態へ戻す運用ができます。端末OSがWindowsとmacOSで混在していても、Windows Appやブラウザから共通のWindowsアプリへ接続できます。

デスクトップ全体が不要なら、RemoteAppとして特定アプリだけを配信する方法もあります。利用者に見せる範囲を狭められますが、アプリ間連携やローカルファイルの扱いが複雑になるため、単独で完結するアプリはRemoteApp、複数アプリを行き来する業務はフルデスクトップを選びます。

BCPと緊急時の業務継続

災害や感染症流行でオフィスへ入れない場合に備え、AVDを緊急用デスクトップとして待機させる活用法があります。常時全台を稼働させず、最小台数だけを維持し、緊急時にホスト数を増やせる設計なら平常時の費用を抑えられます。

BCPは構築しただけでは機能しません。半年ごとに接続訓練を行い、管理者不在でも起動できる手順、同時接続時の容量、基幹システムへの経路、緊急連絡先を確認します。訓練で必要人数を収容できれば待機構成を維持し、不足すればクォータとホスト台数を修正します。

AVDの国内導入事例

国内事例では、AVDは大規模なWindows移行、社外向けシステムの応答改善、3D設計の遠隔化、少人数情シスの運用負荷軽減に使われています。

NECの約9万台規模の移行(出典:Microsoft顧客事例「日本電気株式会社」/Microsoftの顧客事例サイトで「NEC」を検索すると原文を参照できます)

  • 業種・規模:IT・電気機器、約9万台規模

  • 導入時期:MicrosoftおよびNECの公開事例で示された移行プロジェクト期間

  • 課題:オンプレミスVDIのネットワーク帯域、機器更新時の長い調達期間、Windows 11への大規模移行

  • 施策:社内デスクトップをAVDへ移し、クラウド上でホストとOSイメージを展開

  • 成果:約9万台規模のAVD環境を運用し、Windows 10からWindows 11への移行を約2年半で進めました。

NECの事例が示すのは、ユーザー数が多いほどAVDが自動的に安くなるという結論ではありません。物理サーバーの調達待ちを避け、標準イメージと展開手順を統一することで、大量移行のリードタイムを管理しやすくした点が参考になります。

タカラスタンダードの処理時間90%削減

  • 業種・規模:住宅設備メーカー、従業員約6,000人

  • 導入時期:Microsoftの公開顧客事例時点

  • 課題:代理店や社外パートナーが使う見積・提案システムの応答時間とサポート負荷

  • 施策:パートナー向けシステムの利用環境をAVD上へ構築し、接続先に近いクラウド環境で処理

  • 成果:同社の公開事例ではシステム処理時間を90%削減し、海外拠点からのアクセスも改善しました。

処理時間90%削減は同社の対象システムで得られた結果であり、AVD全般の保証値ではありません。アプリとデータベースの距離、ネットワーク経路、VMサイズを同時に見直した場合に再現しやすい成果です。

リコーのCAD on AVD

  • 業種・規模:精密機器・製造業、設計業務を対象

  • 導入時期:コロナ禍以降に公開されたリモート設計事例

  • 課題:3D CADなど高いグラフィックス性能を使うメカ設計業務のリモート化

  • 施策:GPU搭載VMを利用するCAD on AVDを構築し、既存のMicrosoft 365環境と連携

  • 成果:設計者が拠点外からCAD環境へ接続できるようにし、別のVDI製品へ二重投資する構成を避けました。

CAD用途では、一般事務用のAVDと同じVMサイズや収容人数を使えません。リコーの事例を自社へ当てはめる場合は、ソフトウェア認定GPU、モデル容量、設計データの置き場所をそろえた実データ検証が判断材料になります。

コパ・コーポレーションの少人数運用

  • 業種・規模:実演販売・EC、少人数の情報システム運用

  • 導入時期:Microsoftの公開顧客事例時点

  • 課題:オンプレミスサーバーの障害、フリーアドレス化の制約、担当者1人に集中するPC設定と保守

  • 施策:マルチセッション型のAVDを導入し、業務環境をクラウドへ集約

  • 成果:物理サーバーの保守から離れ、端末設定や更新にかかる作業を削減しました。

この事例は、AVDが大企業だけの仕組みではないことを示します。ただし、担当者が少ない企業ではAzureの障害調査まで内製すると負担が再び集中します。定常監視と一次切り分けを外部へ任せる費用を含め、それでもオンプレミス保守より運用可能かを比較します。

事例から読み取れる再現条件

目的

成果につながった設計

自社で測る指標

大量OS移行

標準イメージと自動展開

1台当たり展開時間、移行完了率

社外システム高速化

アプリとデータの配置見直し

処理時間、往復遅延、エラー率

CADの遠隔化

GPUと負荷別ホストプール

フレームレート、入力遅延、GPU使用率

情シス負荷軽減

端末設定とサーバー保守の集約

月間作業時間、問い合わせ件数

AVD導入の具体的な構築フロー

AVD導入は、要件定義、費用試算、基本設計、PoC、本番移行、運用改善の順に進めると、性能不足と過剰投資を早期に発見できます。

導入フェーズと判断基準

フェーズ

実施内容

完了の判断基準

1. 要件定義

対象者、アプリ、データ、周辺機器、勤務場所の棚卸し

対象業務と対象外業務を分けられている

2. 費用試算

同時接続率、VM、ストレージ、通信、ライセンス、運用費を算出

通常月と繁忙月の両方を算出している

3. 基本設計

ID、リージョン、ネットワーク、ホストプール、FSLogixを設計

責任分界と障害時手順が決まっている

4. PoC

実ユーザーと実データで性能・互換性を検証

数値基準を満たし、重大な未検証項目がない

5. 本番移行

部門単位で段階展開し、旧環境との切り戻し手順を用意

問い合わせ窓口と復旧手順が稼働している

6. 運用改善

費用、性能、セキュリティ、イメージを定期点検

月次レポートから設定変更へつなげている

要件定義と対象業務の選別

最初に、利用者数ではなく時間帯別の同時接続数を把握します。全社員500人でも同時接続が150人なら、500台分のホストを用意する必要はありません。反対に、始業時に全員が一斉ログインする業務では、平均値に合わせるとサインイン遅延が起きます。

アプリ一覧には、対応OS、必要CPU・メモリ、GPU、データ保存先、認証方式、同時利用制限、更新担当者を記録します。USBドングル、スキャナー、特殊プリンター、音声機器を使う業務は別枠にし、リダイレクトできればPoCへ含め、対応しなければ物理PCを残します。

費用試算とライセンス棚卸し

費用は、VMの稼働時間だけでなく、OSディスク、FSLogix、スナップショット、バックアップ、ログ分析、通信、サポート、構築・運用委託を含めます。予約や節約プランは継続利用が固まってから適用し、PoC段階では従量課金でサイズ変更の余地を残します。

Microsoft 365 Business PremiumやE3/E5などを保有している利用者は、契約条件上のAVDアクセス権を整理します。利用権が含まれる人数は追加ライセンスなしの欄へ、含まれない社員や外部要員は追加費用の欄へ分ければ、二重購入を防げます。

基本設計とゴールデンイメージ

ホストプールは、利用アプリ、性能、セキュリティ区分、稼働時間が同じユーザーでまとめます。事務、開発、CADを1つのプールへ混在させると、GPUや管理者権限など一部の要件に全体が引きずられます。負荷と権限が異なる業務は分離します。

ゴールデンイメージにはOS更新、Microsoft 365 Apps、セキュリティ製品、共通設定を含めます。部署固有アプリをすべて埋め込むとイメージ数が増えるため、App Attachで分離できるアプリは外出しします。更新後は新しいホストへ段階展開し、既存ホストを直接書き換え続ける運用を避けます。

PoCの測定項目

PoCは「接続できた」で終了させず、業務ごとに合格基準を置きます。ログオン時間、アプリ起動時間、CPU、メモリ、ディスク待ち時間、ユーザー入力遅延、Teams通話品質、印刷時間、切断後の再接続を記録します。

最低でも通常時間帯と始業直後の集中時間帯を分けて測ります。CADでは代表的な大容量モデル、経理では月次締めの表計算、コールセンターでは通話とCRMの同時利用を再現します。基準を超えた場合は、VMサイズを上げる前に、ストレージ、ユーザー密度、ネットワークのどこが詰まっているかを切り分けます。

段階展開と運用移管

本番移行は、IT部門、先行部門、一般部門の順に進めます。先行部門では旧環境を一定期間残し、重大障害時に戻せる条件と判断者を決めます。Windows Appのインストール手順だけでなく、多要素認証、パスワード変更、再接続、印刷、問い合わせ時に取得する情報を利用者向け手順へ含めます。

運用開始後は、月次でホスト稼働率、ユーザー密度、ログオン時間、FSLogix容量、障害件数、費用を確認します。稼働率が低ければ停止台数を増やし、待ち時間が基準を超えればホスト追加またはストレージ変更へ進みます。

導入前チェックリスト

  • 対象ユーザー数と時間帯別の同時接続数を分けて集計した

  • アプリのWindows 11対応とマルチセッション対応を整理した

  • USB、印刷、カメラ、マイク、複数画面を実機で試験する計画がある

  • 既存MicrosoftライセンスのAVD利用権をユーザー単位で整理した

  • FSLogixの容量、IOPS、認証方式を決めた

  • AutoscaleとStart VM on Connectの使い分けを決めた

  • 通常時と繁忙時の費用試算を作成した

  • 監視、更新、障害対応、問い合わせの担当者を決めた

  • 切り戻し条件と旧環境の終了日を決めた

AVD導入を成功に導く5段階の構築・運用プロセス

▲ AVD導入を成功に導く5段階の構築・運用プロセス

AVD導入時のデメリットと失敗パターン

AVDで多い失敗は、VMを停止したつもりで課金が続くこと、FSLogixの性能不足、アプリや周辺機器の未検証、Teams最適化の誤解、運用責任の曖昧化です。

OSシャットダウンと割り当て解除の混同

ユーザーがWindows上でシャットダウンしても、Azureポータル上でVMが「停止済み・割り当て解除」になっていなければ、コンピュート料金が続く場合があります。「Stopped」はホスト上の割り当てが残る状態であり、「Stopped(deallocated)」とは課金上の扱いが異なります。

対策は、AVDのスケーリングプランで利用時間外のホストを割り当て解除し、必要に応じてStart VM on Connectを組み合わせることです。夜間に処理がないホストは割り当て解除し、バッチ処理があるホストだけを別プールで稼働させます。利用者の手動シャットダウンを費用管理の仕組みにしません。

Autoscale設定不足による想定外請求

全セッションホストを24時間起動したままにすると、利用者がいない夜間や休日もVM料金が発生します。テスト用GPU VMや大容量ディスクを削除せず残すことも、請求増加の原因です。

予算アラートだけではVMを自動停止できないため、Autoscale、リソースタグ、日次の未使用リソース検出を組み合わせます。費用が予算線を超えた場合は、稼働時間、VMサイズ、不要ディスク、ログ保管量を順に確認し、業務影響の小さい未使用リソースから止めます。

FSLogixストレージの性能不足

FSLogixプロファイルはログオン時にマウントされるため、始業時にアクセスが集中します。容量が十分でもIOPSや帯域が不足すれば、サインインに数分かかる、黒い画面が続く、Outlookやブラウザが応答しにくいといった症状が出ます。

通常時間帯の平均値だけでストレージを選ばず、始業直後の同時ログインを再現します。Azure FilesのStandardで合格すれば維持し、待ち時間が基準を超える場合はPremiumへ変更します。それでも必要性能や容量を満たせない大規模構成では、Azure NetApp Filesを費用とともに比較します。

Redirections.xmlによる一律除外

FSLogixの肥大化対策としてRedirections.xmlでキャッシュを除外できますが、Teams、Outlook、ブラウザのフォルダーを一律に除外する設計は避けます。除外したデータがセッションホストのローカルディスクへ残れば、別ホストへ接続した際に設定やキャッシュを再作成し、サインインやアプリ起動が遅くなる場合があります。

特にOutlook関連データを安易に除外すると、検索、オフライン利用、同期性能へ影響します。容量増加の原因となるフォルダーを計測し、再生成可能で業務影響がない項目だけを検証用ユーザーで除外します。除外前後のログオン時間、プロファイル容量、アプリ動作を比較し、改善が確認できた設定だけを本番へ反映します。

Teamsメディア最適化の誤設定

Teamsのメディア最適化は、ホストプールの設定だけで完了する機能ではありません。対応するWindows Appなどの接続クライアント、セッションホスト上のTeams、必要なコンポーネント、ポリシー、ネットワーク接続先が条件を満たす必要があります。

最適化が動作すると、音声・映像処理の多くをローカル端末側へ移し、AVDセッションホストの負荷とAzure経由のメディア転送を減らせます。ただし、通信が常に利用者端末間の直接接続になるわけではなく、Teamsサービスや中継を利用する経路もあります。回線逼迫を完全に防ぐ機能ではないため、通話中のTeams診断情報とVM負荷を確認し、最適化済みかどうかを判定します。

アプリ・周辺機器の互換性不足

AVDでは、カーネルドライバーを使うアプリ、USBライセンスキー、特殊スキャナー、古いプリンター、低遅延を要求する音声機器が想定通りに動かない場合があります。Windows 11対応という表示だけでは、マルチセッションやリダイレクトの互換性まで保証されません。

ベンダーがAVDまたはRDSマルチセッションを正式サポートしていれば共有プールで検証し、サポート外なら専用VMまたは物理PCを残します。周辺機器は型番単位でテストし、利用頻度の低い機器まで全社移行の前提にしない設計が現実的です。

セキュリティ設定による業務停止

クリップボード、印刷、ドライブ、USBを一括禁止すると情報漏えいの経路を減らせますが、請求書のアップロード、ラベル印刷、顧客へのファイル送付などが止まる可能性があります。反対に、全機能を許可すればAVDへ集約するセキュリティ上の効果が薄れます。

データ機密度と職種を基にポリシーを分けます。管理対象外端末は転送機能を制限し、業務上必要な管理端末だけ印刷やクリップボードを許可します。例外は利用者個人ではなくグループへ付与し、期限と承認者を記録します。

運用責任の空白

Azureの管理プレーンをMicrosoftが運用していても、セッションホストのOS更新、アプリ、容量、FSLogix、セキュリティ設定は顧客側の責任です。障害時にMicrosoft、回線事業者、構築会社、社内担当の誰が一次切り分けをするか決まっていないと、復旧までの時間が延びます。

運用設計書には、接続不可、ログオン遅延、アプリ障害、プロファイル障害、Azure障害の窓口と取得ログを記載します。社内にAzureログを読める担当者がいれば一次切り分けを内製し、いなければ監視と一次対応を委託範囲へ含めます。

AVDに関するよくある質問

AVDの選定で迷いやすい、VDIとの違い、Active Directory、費用、Windows 365との併用について簡潔に回答します。

AVDと通常のVDIの違い

Q:AVDとVDIの違いは何ですか?

A:VDIはデスクトップ仮想化技術の総称で、AVDはMicrosoft Azure上でVDIを提供するサービスです。オンプレミスVDIでは物理基盤も自社管理しますが、AVDではMicrosoftが接続制御基盤を管理し、利用企業がVM、イメージ、ネットワークなどを管理します。

オンプレミスActive Directoryの必要性

Q:AVDの導入に社内Active Directoryは必須ですか?

A:必須ではなく、セッションホストをMicrosoft Entra IDへ直接参加させる構成が可能です。ただし、既存アプリやFSLogixストレージが従来のドメイン認証を必要とする場合は、ハイブリッドIDまたは対応する別の認証構成を選びます。

AVDの料金体系

Q:AVDにはユーザーごとの固定料金がありますか?

A:一般的な社内利用では、対象ライセンスにアクセス権が含まれ、Azure VM、ストレージ、通信などの利用量に応じた料金が発生します。外部ユーザーやWindows Serverを使う場合は条件が異なるため、ユーザー属性とOSを分けて計算します。

AVDとWindows 365の併用

Q:AVDとWindows 365は併用できますか?

A:併用できます。常時利用する管理職や開発者には専用のWindows 365、時間帯が限定される定型業務や研修にはAVDを割り当て、Windows Appから両方へアクセスする構成が可能です。

AVDが適さない業務

Q:AVDが適さないのはどのような業務ですか?

A:特殊なUSB機器や低遅延の音声機器を必須とし、リダイレクトの正式サポートがない業務は適用しにくい領域です。実機PoCで要件を満たさない場合は、対象業務だけ物理PCまたは専用ワークステーションを残します。

まとめ

AVDは、Azure上のWindows環境を安全に配信し、マルチセッションとAutoscaleでリソースを調整できる仮想デスクトップです。一方、VM、FSLogix、ネットワーク、イメージの設計と運用は利用企業側に残ります。Windows 365とは企業規模ではなく、専用環境、同時接続率、GPU、利用時間、運用体制で比較します。最初の一歩として、対象業務、時間帯別の同時利用者、アプリ、周辺機器、既存ライセンスを1枚の表へ整理し、10~20人程度の実ユーザーでPoCを行います。設計・費用試算・ライセンス確認の際は、Microsoft Learnの「Azure Virtual Desktop ドキュメント」(前提条件・設計ガイド・FSLogix設計ガイドを収録)、Azureポータル内の「料金計算ツール」、およびMicrosoftライセンス条項の公式ページを一次情報として参照します。本記事内のVM試算・ESU対象条件・ライセンス対象製品名は、これらの公式ページで最新状態を確認した結果と照合し、差異があれば公式側を優先します。製品仕様・価格・サポート状況は随時更新されます。


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監修

Admina Team

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