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API Gatewayとは?AWS等主要4製品の比較と使いどころ

API Gatewayとは?AWS等主要4製品の比較と使いどころ

API Gatewayとは?AWS等主要4製品の比較と使いどころ

API Gatewayとは?AWS等主要4製品の比較と使いどころ

最終更新日

API運用の効率化やインフラ費用削減が求められる現代において、システムの出入口を統制する「API Gateway」の導入は必要不可欠な選択肢となっています。本記事は、社内システムの連携効率化やクラウド環境への移行を推進する企業のエンジニアや情シス担当者に向けて、API Gatewayの基本から最適な使いどころまでを解説します。

この記事では、API Gatewayとは何かの基礎知識から、Amazon API Gatewayをはじめとする主要製品の比較、コストを劇的に削減した最新事例まで詳しくお話しします。システムアーキテクチャの改善や最新トレンドの把握にぜひお役立てください。

API Gatewayとは?仕組みと最新動向

本記事のポイント

  • API Gatewayは、複数のAPIへのリクエストを単一の窓口で受け付け、適切なバックエンドへ振り分ける管理層である

  • トラフィック制御、認証、モニタリングなどを一元管理し、開発効率とセキュリティを大幅に改善できる

  • 2026年現在は、AIエージェントの標準規格「MCP」に対応し、AIによる自律的なAPI呼び出しを制御する役割が不可欠となっている

API Gatewayを導入することで、クライアントと複数のバックエンドサービス間のやり取りが集約され、システム全体のセキュリティと保守性が飛躍的に向上します。

初心者向けにわかりやすく説明:旅行予約サイトの例

API Gatewayは、クライアント(アプリケーションやユーザー)とバックエンドサービス(データベースや各種機能)の間に立ち、要請(リクエスト)を個別のマイクロサービスにルーティングする「受付窓口」の役割を果たします。

例として、ある旅行予約サイトが、下記のように複数のAPIを活用しているとしましょう。

  1. ホテル予約サービス

  2. 航空券予約サービス

  3. 観光情報提供サービス

  4. 顧客レビュー管理サービス

API Gatewayが導入されていない場合、ユーザー側のアプリケーションはこれら4つのAPIと個別にやり取りし、認証やデータ形式の変換をそれぞれ管理する必要があります。これではクライアント側の実装が複雑になり、保守コストも増大します。

そこで、API Gatewayを導入すると、ユーザーは「API Gateway」という単一のエンドポイントとのみやり取りし、API Gatewayが各バックエンドサービスへ適切にリクエストを振り分けます。これにより、クライアント側での複雑なやり取りが不要になり、開発者は迅速な機能実装に集中することが可能になります。

2026年最新動向:AIエージェント統合と「MCP」への対応

近年、API Gatewayの役割は「人間のためのアプリケーション」から「AIのためのインフラ」へと大きく進化しています。2025年後半から急速に普及しているMCP(Model Context Protocol)は、大規模言語モデル(LLM)やAIエージェントが外部ツールやデータベースに接続するための標準規格です。

これからのAPI Gatewayは「MCP Gateway」としての役割が求められます。AIエージェントが自律的にAPIを叩く際、過剰なリクエストによるシステムの暴走防止、プロンプトインジェクション攻撃の検知、トークンの安全な管理といった「AI特有のトラフィック制御機能」が不可欠です。主要なベンダーは相次いでMCPサポートを強化しており、AIエージェントが本番環境に入ってくる局面では、API Gateway側でのトラフィック制御が現実的な対策となっています。

API Gatewayの「受付窓口」としての役割

▲ API Gatewayの「受付窓口」としての役割

シャドーITの検知はCASB?SMP?

情シスの管理外で利用される「シャドーIT」は、情報漏えいや不正アクセスなど重大なリスクを招く可能性があります。本ホワイトペーパーでは、シャドーITが生まれる背景や放置によるリスク、そして具体的な可視化・対策方法を事例を交えて解説。社内のSaaS利用状況を正しく把握し、安全で効率的なIT運用を実現するための第一歩となる内容です。

シャドーITの検知はCASB?SMP?

情シスの管理外で利用される「シャドーIT」は、情報漏えいや不正アクセスなど重大なリスクを招く可能性があります。本ホワイトペーパーでは、シャドーITが生まれる背景や放置によるリスク、そして具体的な可視化・対策方法を事例を交えて解説。社内のSaaS利用状況を正しく把握し、安全で効率的なIT運用を実現するための第一歩となる内容です。

主要API Gateway製品の比較と使いどころ

自社のインフラ構成やマルチクラウドの方針に応じて、最適なAPI Gateway製品を選定することが安定稼働への第一歩です。

現在、API管理市場は急速に拡大しており、グローバルの市場規模は2025年に約68億9,000万〜101億ドルに達すると推計されています(出典:Fortune Business Insights等)。以下の表では、市場を牽引する主要4製品の機能と適した使いどころを整理しました。

製品名

主な特徴・メリット

デメリット・注意点

適したユースケース(使いどころ)

Amazon API Gateway

AWSネイティブな統合、Lambda等との相性抜群、完全マネージドで保守不要

ベンダーロックインのリスク、オンプレミス環境単体での動作不可

AWS環境を主軸とする企業、サーバーレスアーキテクチャの構築

Kong Gateway

NGINXベースの超高パフォーマンス、マルチクラウド・オンプレミス両対応

環境構築やプラグイン設定の難易度が高く、インフラの専門知識が必要

ハイブリッド環境、大規模なマイクロサービス、超高トラフィック環境

Google Apigee

高度なAPIマネタイズ(収益化)機能、詳細なアナリティクス分析

ライセンスが高額になりがちで、小規模な構成にはオーバースペック

APIエコノミーを推進し、API自体を外部販売・収益化したい大企業

Azure API Management

Azure製品群やEntra ID(旧Active Directory)とのシームレスな統合

Azure環境外でのクロスクラウドパフォーマンスに課題が生じる場合がある

Microsoftインフラや既存の.NET環境を基盤とするエンタープライズ企業

自社に合った製品選びのポイント

インフラの基盤がAWSに統一されている場合は、設定が容易でエコシステムに最適化されたAmazon API Gatewayが第一の選択肢となります。オンプレミスとクラウドを併用するハイブリッド環境や、ベンダーロックインを避けたマルチクラウド展開を検討する企業では、配備の自由度が高いKong Gatewayを選ぶケースが多い。なお製品選定にあたっては、単なるルーティング機能だけでなく、次世代WAFであるWAAP(Web Application and API Protection)との連携可否も確認しておきたいポイントだ。

自社に最適な主要API Gateway製品の選定フロー

▲ 自社に最適な主要API Gateway製品の選定フロー

Amazon API Gatewayの特徴と国内企業の導入事例

Amazon API Gatewayを活用したサーバーレスアーキテクチャへの移行は、インフラの維持管理コストを大幅に削減できる手法です。

Amazon API Gatewayの概要

Amazon API Gatewayは、Amazon Web Services(AWS)が提供するフルマネージド型のサービスです。自分たちが構築したバックエンドサービスに対するAPIの構築・公開・監視・保護などを一括して行うことができます。

また、AWS Lambdaを含む各種サービスとの連携も容易であり、サーバーレス環境を構築することで運用コストと手間を最小化します。特にAWS Lambdaとの組み合わせでは、スケーリングもAWS側が自動で行うため、エンジニアはビジネスロジックの実装に集中できます。

国内事例:株式会社朝日新聞社のインフラコスト約99%削減

Amazon API Gatewayを導入することで得られる定量的な成果として特筆すべきなのが、株式会社朝日新聞社の事例です。

同社は、編集者向けの記事・画像検索システムにおいて、従来のAmazon EC2(仮想サーバー)を用いたアーキテクチャから、Amazon API GatewayとAWS Lambdaを組み合わせたサーバーレス環境へと移行を行いました。その結果、フロントエンド部分の開発・インフラ維持にかかるコストを、EC2で構築した場合と比較して約99%削減することに成功しています。インフラ保守の手間がなくなったことで、エンジニアは新しい機能開発に注力できるようになりました。

国内事例:株式会社日テレWandsのセキュアなシステム連携

日本テレビグループのITシステムを支える株式会社日テレWandsでは、オンプレミス環境にある既存の会計システムと、クラウド上の請求書受領システム(外部API)を連携させるためにAmazon API Gatewayを採用しました。厳格なセキュリティポリシーを遵守しつつ、運用負荷のかからないシームレスなデータ連携基盤を短期間で構築しています。詳細はクラスメソッド株式会社の導入事例ページをご参照ください。

デジタル庁のガイドラインに基づく標準化

日本国内の公共部門やエンタープライズ企業においてAPI Gatewayの導入が進む背景には、政府による標準化の推進があります。2024年9月に改訂されたデジタル庁の「APIテクニカルガイドブック」では、行政情報の流通やデータ連携において、認証・認可の標準化やトラフィック制御の手段としてAPI Gateway等の導入が求められています(出典:デジタル庁公式サイト)。

SaaSという情報資産をISMSでどう管理するか

クラウドサービスの利用拡大により、SaaSも今や重要な“情報資産”の一つとなりました。本ホワイトペーパーでは、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の観点から、SaaSをどのように識別・分類・管理すべきかを具体的に解説。台帳整備やリスクアセスメント、運用プロセスの設計まで、実践的な管理手法を紹介します。ISMS担当者・情シス必読の内容です。

SaaSという情報資産をISMSでどう管理するか

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導入時の注意点と失敗パターン

API Gatewayの導入設計において最も注意すべきは、バックエンドの処理時間を考慮したタイムアウト制限への対策です。

最大の罠:Amazon API Gatewayの「29秒タイムアウト問題」

Amazon API Gatewayを実務で導入する際、多くのエンジニアが直面する代表的な落とし穴が「29秒タイムアウト問題」です。Amazon API GatewayのREST APIおよびHTTP APIでは、バックエンド(統合リクエスト)のタイムアウト上限が「最大29秒」にハードリミットとして固定されており、AWSのサポートに依頼してもこの制限を引き上げることはできません(参考:Amazon API Gateway のクォータと制限 – AWS公式ドキュメント)。

例えば、重いデータ集計処理や時間のかかるAIモデルの推論をAWS Lambdaで実行し、それをAmazon API Gateway経由で同期的に呼び出したとします。もし処理に30秒かかった場合、バックエンドの処理は成功していても、API Gateway側が29秒の時点でクライアントへ強制的に「504 Gateway Timeout」エラーを返してしまいます。

失敗を回避するための対策

この失敗パターンを回避するためには、アーキテクチャ設計の段階で以下のような対策を組み込む必要があります。

  1. 非同期処理への切り替え:API Gatewayはリクエストを受け取った直後に「処理受付完了(202 Accepted)」を返し、バックエンド側ではAWS SQS(キューサービス)などを経由して非同期に重い処理を実行します。

  2. WebSocketの活用:双方向通信が可能なWebSocket APIを利用し、処理が完了したタイミングでサーバー側からクライアントへ結果をプッシュ通知します。

  3. 処理自体の細分化:1回のAPI呼び出しで行う処理を小さく分割し、29秒以内に確実に応答を返せる単位にマイクロサービス化します。

メリットばかりに目を向けるのではなく、このようなクラウドサービス固有の仕様(制限)をあらかじめ理解して設計することが、本番環境でのトラブルを防ぐ鍵となります。

Amazon API Gatewayの「29秒タイムアウト問題」のメカニズム

▲ Amazon API Gatewayの「29秒タイムアウト問題」のメカニズム

よくある質問

Q:ALB(Application Load Balancer)とAPI Gatewayの違いは何ですか?

ALBは、EC2インスタンス群などに対するネットワークトラフィックの負荷分散(ロードバランシング)に特化したサービスです。一方でAPI Gatewayは、トラフィックのルーティングに加えて、APIの認証、レート制限、バージョン管理、データ形式の変換など、APIライフサイクル全体の管理に特化しています。用途に応じて使い分けるか、組み合わせて利用します。

Q:APIとAPI Gatewayの違いは何ですか?

APIは、ソフトウェア同士がデータや機能をやり取りするための「インターフェース(接続口)」そのものを指します。対してAPI Gatewayは、クライアントからの多数のAPI呼び出しを単一の窓口で受け付け、適切なバックエンドのAPIへルーティングやセキュリティチェックを行う「管理ツール」です。

Q:API Gateway導入に際して気をつけるセキュリティのポイントは何ですか?

API Gateway単体では悪意のあるサイバー攻撃を完全に防ぐことはできません。そのため、WAF(Web Application Firewall)やWAAPと連携させてSQLインジェクション等の攻撃をブロックすることや、OAuth 2.0やOIDCを用いた強固な認証・認可の仕組みを組み込むことが必須のセキュリティ対策となります。

まとめ

API Gatewayは、単なるリクエストの転送役にとどまらず、複雑化するマイクロサービスやAIエージェントの通信を安全かつ効率的に支えるインフラの中核です。Amazon API Gatewayの事例のように、サーバーレスアーキテクチャと組み合わせることで運用コストを劇的に削減できる一方、タイムアウト制限といった実務上の注意点も存在します。

自社のシステム環境やマルチクラウド戦略に合わせて、AWS、Kong、Apigeeなどの特性を見比べて選ぶ必要がある。まずは既存APIのアクセス状況やセキュリティ課題を可視化し、検証環境でスモールスタートするのが現実的なアプローチだ。

✅ 自社のインフラ基盤(AWS中心か、ハイブリッドか)を確認した
✅ 29秒タイムアウト問題が自社ユースケースに該当するか検討した
✅ WAAPとの連携要件を整理した

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

橋爪兼続

ライトハウスコンサルタント代表。2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。