API Gatewayとは? 概要や機能、メリットまで詳しく解説
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橋爪兼続
Jul 25, 2023
API Gatewayとは?初心者向けにわかりやすく説明
API運用の効率化や費用削減が求められる現代においてAPI Gatewayと呼ばれるものが普及してきています。 その中でもAmazonが提供する API は、APIの運用を楽に行いたい、費用を削減したいと考えている企業にとって有用です。 この記事では、API Gatewayの概要や機能、AmazonのAPI Gatewayの特徴やメリットまで詳しくお話しします。

Amazon API Gatewayは、Amazon Web Services(AWS)が提供するクラウドサービスの一つで、API(Application Programming Interface)の作成、管理、保護、監視などを簡単に行うことができるフルマネージド型のAPI管理サービスです。ユーザーから届いた要請を個別のマイクロサービスにルーティングする役割を果たしています。
例として、ある旅行予約サイトが、下記のように複数のAPIを活用しているとしましょう。
ホテル予約サービス
航空券予約サービス
観光情報提供サービス
顧客レビュー管理サービス
APIゲートウェイが導入されていない場合、ユーザーはこれらの4つのAPIと個別にやり取りし、各サービスとのやり取りを個別に管理する必要があります。これではユーザー側でのやり取りが非効率です。
そこで、APIゲートウェイの導入によりユーザーはAPIゲートウェイとのみやり取りし、APIゲートウェイが個別にAPIとやり取りします。これにより、ユーザーは各サービス毎のやりとりが必要なくなり、やり取りが効率化されます。
以上のようにAPIゲートウェイの導入により、やり取りが効率化され、開発者がより迅速な機能の実装を行うことが可能になります。

Amazon API Gatewayとは?
次に、アマゾンのAmazon API Gatewayについて詳しくお話しします。
Amazon API Gatewayの概要
Amazon API Gatewayは、Amazon Web Services(AWS)が提供するフルマネージド型のサービスです。これにより、自分たちが構築したサーバーサイドサービスに対するAPIの簡易的な構築、公開、監視、および保護などが可能です。
API Gatewayを使用すると、さまざまなバックエンドサービスとの統合が可能です。これにより、開発者はAPIを介してクライアントアプリケーションとバックエンドサービスを繋げることができます。
マネージド型サービスとは、クラウドのコンピューティング機能のみならず、アプリなどの運用、管理、メンテナンスを代行してくれるサービスです。これにより、企業や開発者はシステムの構築や維持にかかる手間や費用を削減し、ビジネスやアプリ開発に集中できます。
Amazon API Gatewayの機能
次に、Amazon API Gatewayの機能についてお話しします。
APIの管理
APIの管理には、下記の機能が提供されています。
自動スケーリングや運用の可視性
サーバーサイドのパフォーマンスメトリクスのモニタリング
バージョン管理
認証
また、フルマネージド型サービスの為、ユーザーは上記の機能を扱わず、AWSが提供する物のみを活用するだけで大丈夫です。
APIの作成
Amazon API Gatewayの利用により、迅速かつ簡単にAPIが作れます。AWS Lambdaを含む各種サービスとの連携も容易であり、プロジェクトの効率化を実現できます。
例えば、ある企業がオンラインストアのサーバーサイド処理をAWS Lambdaを利用して実装しているとしましょう。この場合、Amazon API Gatewayを用いてAPIを作ることで、顧客からの注文情報を受け取り、AWS Lambdaで実行される関数を呼び出して処理を行えます。さらに、もともとあるAPIを複写するclone機能を活用すれば、新規プロジェクトや機能追加の際に短時間での作成が可能です。

Amazon API Gatewayのメリット
Amazon API Gatewayの活用により得られる利点について4つ説明します。
効率的なAPI開発
Amazon API Gatewayの使用により、効果的なAPI開発が可能です。APIのバージョン管理が簡単であり、新バージョンの反復、テスト、リリースを並行して動作させられる為、開発プロセスが効率化されます。
簡単なモニタリング
Amazon API Gatewayの利点として、APIの簡単なモニタリングが行える事が挙げられます。APIコール、データレイテンシー、エラー率をリアルタイムで監視できるため、迅速な問題解決やパフォーマンスの最適化ができます。 Amazon CloudWatchと連携したAPI Gatewayのダッシュボードは、視覚的なデータ表示により効率的な問題特定と対処が行えるため、開発チームはより迅速に作業を進められます。
規模に応じたパフォーマンス
Amazon API Gatewayは、Amazon CloudFrontとの連携により、グローバルなエッジロケーションネットワークを活用し、エンドユーザーにとって最適なレイテンシーでAPIリクエストおよびレスポンスの処理が可能です。これにより、環境に応じた高速なパフォーマンスの実現ができます。
大規模なコスト削減
Amazon API Gatewayでは費用はAPIが使われる分のみ発生し、初期費用などがかかりません。 また、無料プランも充実しているため、費用効率の高いAPI運用が実現できます。 無料利用枠では、月間のHTTP APIコール数、REST APIコール数、メッセージ数が100万件、接続時間75万分が1年間使えます。 そのため、API活用におけるコストを最低限に押さえ運用したいと考えている企業にとっては大きな魅力です。

まとめ
API Gatewayは、APIの管理や実施を簡単にする仕組みで、ユーザーとマイクロサービス間のやり取りを効率化し、開発者の負担を軽減します。
その中でも特にAmazon API Gatewayは、効果的なAPI開発やリアルタイムな監視、規模に適した性能の最適化、そして大規模な費用削減が可能であることから、ビジネスの拡大や成長を支援する有力な選択肢となります。
Amazon API Gatewayの活用により、API運用を効率化し、本来力を入れたい部分への注力が可能です。
よくある質問
APIゲートウェイとは何ですか?
API Gatewayは、ITにおいてクライアントとバックエンドサービスの間に立つアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)の管理ツールです。クライアント(アプリケーションやサービス利用者)がバックエンドの複数のサービスやリソースに効率的かつ安全にアクセスできるようにし、トラフィック制御やセキュリティの強化、モニタリングなどを提供します。
APIゲートウェイの役割は?
APIゲートウェイは、マイクロサービスアーキテクチャーにおいて、リクエストを効率的に処理し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる役割を担います。クライアントからの多数のリクエストを1つにまとめることで、クライアントとアプリケーションのやり取り回数を削減します。
APIゲートウェイの使い道は?
API Gatewayの主な使い道は以下の通りです。
APIの簡単な作成と公開: API Gatewayを利用することで、開発者は簡単にAPIを設計し、公開することができます。
規模に応じたAPIの管理: アプリケーションが成長するにつれてAPIの規模も大きくなりますが、API Gatewayは規模に応じた適切な管理を可能にします。
モニタリングと保守: APIのトラフィックや使用状況をモニタリングし、必要に応じて保守や最適化を行うことができます。
セキュリティの強化と保護: API Gatewayはセキュリティの強化やアクセス制御を提供するため、APIの保護が可能です。
API Gatewayは、バックエンドサービスとクライアントの間でのスムーズな通信を確保する役割を果たし、APIを効率的に管理・保守することができるツールとなっています。

執筆者:
橋爪兼続
ライトハウスコンサルタント代表。2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。
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