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Googleは2026年8月27日(現地時間)、動画生成AI「Gemini Omni 1.1 Flash」を発表しました。開発者向けAPIと一般ユーザー向けアプリの両方で同時に展開されており、エンジニアによるシステム組み込みだけでなく、マーケティングやクリエイティブ部門でも動画制作の現場に活用が広がりそうなモデルです。情シスとしては、こうした活用の広がりを前提に新機能の中身と統制のポイントを早めに押さえておくことで、社内展開をよりスムーズに後押しできます。本記事では新機能の概要から料金、そして情シスが押さえておきたい統制ポイントまでを解説します。
Gemini Omni 1.1 Flashとは
Gemini Omni 1.1 Flashは、テキスト・画像・音声・動画を入力として受け取り、実世界の知識に基づいた高品質な動画を生成・編集できるマルチモーダルAIモデルです。Googleの動画生成モデル「Gemini Omni」の系譜に連なるアップデート版で、開発者向けの速度・コスト重視版という位置づけです。
Geminiの生成AIモデル群がどのような特徴を持つかを基礎から確認したい場合は、Geminiとは?特徴やビジネス最新活用事例も参考になります。
Omni系モデルの展開はここ数カ月で段階的に進んでいます。2026年5月の開発者向けカンファレンス「Google I/O 2026」でGemini Omniが発表され、7月には速度重視版の「Omni Flash」がAPI経由で公開プレビューとして提供されました。今回のOmni 1.1 Flashは、そのプレビュー版を経て「プロの映像制作現場でも使える水準」に引き上げられた正式版という位置づけです。
Omni 1.1 Flashで追加された主な機能
今回のアップデートの柱は、シーンの延長・開始終了フレームの指定・360pでの高速ドラフト生成・4Kへのアップスケール・動画リファレンスの5つです。いずれも「試作を素早く回し、最終的に高品質な映像へ仕上げる」という制作フローを意識した機能構成になっています。
シーンの延長:既存動画の続きを途切れなく生成する機能です。従来モデルは直前1秒分の映像しか参照できませんでしたが、Omni 1.1では直前10秒分の文脈を解析できるようになり、映像の一貫性とストーリーの整合性が向上しました。10秒単位で延長し、累計最大40秒まで生成できます
開始・終了フレームの指定:ショットの最初と最後のフレームを画像で指定すると、その間をつなぐ映像を生成します。カメラの複雑な回り込みやズームによる場面転換、途切れないループ映像の作成に向いています
360pでのドラフト生成:軽量な360p解像度でのプレビュー生成に対応し、標準の720pに比べて最大60%高速、コストは3分の1に抑えられます。プロンプトを固める段階では360pで試作し、方向性が決まったら本番解像度で生成するという運用ができます
4Kへのアップスケール:完成映像は1080pまたは4Kにアップスケールでき、そのまま制作物として使える解像度で書き出せます。なお4Kはネイティブ生成ではなくアップスケールによるものです
動画リファレンス:入力に最大3秒の動画を参照素材として加えられます。既存映像の雰囲気やキャラクターの見た目を新しい生成映像に引き継ぎたい場合に利用します
料金体系
料金は動画出力1秒あたりの従量課金で、解像度が上がるほど単価も上がる設計です。720pの価格は従来の「Omni Flash」および「Veo 3.1 Fast」と同水準です。
API利用料(開発者向け・1秒あたり)
解像度 | 料金 |
|---|---|
360p | 0.03米ドル |
720p | 0.10米ドル |
1080p | 0.15米ドル |
4K | 0.30米ドル |
一般ユーザー向けには、Google AIのサブスクリプションプラン経由でも利用できます。いずれかのプランに加入していれば、動画制作ツール「Google Flow」でOmni 1.1 Flashを利用でき、Geminiアプリでは同プラン加入者向けに「シーンの延長」機能が提供されます。
Google AI サブスクリプションプラン(月額)
プラン | 料金 |
|---|---|
Plus | 725円 |
Pro | 2,900円 |
Ultra | 14,500円 |
従量課金APIと個人課金サブスクリプションが並行して存在する構造は、利用実態の把握とコスト管理を難しくする要因になります。クラウドサービス全体のコスト最適化とAI予算の考え方については、クラウドコスト最適化でAI投資予算を創出する情シス実践ガイドで詳しく解説しています。
提供チャネルと利用できる立場
Omni 1.1 Flashは、開発者向けと一般ユーザー向けの二つの経路で同時に展開されており、社内での利用が複数の部門から並行して広がりやすい構造になっています。
開発者向けには、Google AI StudioのGemini APIと、企業向けの「Gemini Enterprise Agent Platform」のAgent Platform APIから利用できます。一般ユーザー向けには、AI動画制作ツール「Google Flow」と「Geminiアプリ」から、Google AIの有料プラン加入者であれば全世界で利用可能です。つまりエンジニアがAPI経由で業務システムに組み込むケースと、マーケティングやクリエイティブ部門の担当者が個人契約のプラン経由で日常的に使うケースの両方が同時に発生し得ます。
なお、Gemini Enterprise Agent Platform経由の利用において、管理者による利用範囲の制御やログ管理がどこまで提供されるかについては、本記事執筆時点の公式発表では具体的な記載が確認できていません。導入を検討する場合は、この点を個別に確認することをおすすめします。
Gemini系のモデルは更新頻度が高く、他のアップデートも含めて継続的に把握しておくと選定判断がしやすくなります。Gemini Sparkが日本のProプランに拡大した際の情シス向けガイドや、「Gemini 3.7 Flash」公開時の性能・料金・導入判断ガイドもあわせて参考にしてください。
情シスが押さえておくべき観点
Omni 1.1 Flashのような動画生成AIは、業務システムへの正式導入よりも先に、個人契約や部門単位の判断で現場に浸透しやすいツールです。情シスとしては「便利な機能」としてだけでなく、「可視化しづらい利用経路を持つツール」として捉え、以下の観点で早めに整理しておくことが重要です。
シャドーAI・シャドーITとしての広がりやすさ:
Google AIのPlus・Pro・Ultraいずれかに個人契約していれば、誰でもGoogle FlowやGeminiアプリから動画生成を始められます。会社が契約していないサブスクリプションを個人の判断で利用し、業務の成果物や広告素材の制作に使うケースは、情シスが把握しづらいシャドーAI利用の典型パターンです。組織内の生成AI利用実態を可視化する方法は、情シスのための生成AI利用状況可視化ガイドやシャドーAI対策ガイドで具体的な手順を紹介しています。
入力データのガバナンス:
動画リファレンス機能では、最大3秒の動画を参照素材としてアップロードできます。社内の製品映像や、顧客・従業員の顔が映る動画素材をアップロードする際に、どこまでの情報を外部AIサービスに入力してよいかという社内ルールが未整備だと、意図しない情報流出につながりかねません。生成AI利用時のセキュリティ対策全般は生成AIセキュリティのベストプラクティス、社内ルールの整備にはAI利用ガイドラインの作り方が参考になります。
AI生成物の識別性と透明性:
Googleは2026年8月14日、Gemini・Flowで生成した画像・動画・音楽に付く可視の電子透かしを、ユーザー側でON/OFFできる設定を追加しました。可視透かしをOFFにしても、不可視の電子透かし「SynthID」とコンテンツの来歴情報「C2PA Content Credentials」は常に埋め込まれ続ける仕様です。ただし、可視透かしが消せるようになったこと自体は、社外に公開する動画がAI生成物だと一目で分からなくなる可能性を意味します。広告素材や採用動画など社外発信物にOmni 1.1 Flashを使う場合、可視透かしの扱いを社内ルールとして定めておくと安心です。
コスト管理:
API利用料は動画出力の秒数と解像度に応じた従量課金であり、部門やチームが個別にAPIキーを発行して使い始めると、利用量とコストが情シス側で見えにくくなります。SaaSやAI関連のコストを部門横断で可視化・管理する仕組みについては、AdminaのVendorプランのようなコスト管理機能の活用も選択肢になります。
導入前チェックリスト
組織規模によって、動画生成AIへの向き合い方の優先順位は変わってきます。まずは自社の規模に応じた最初の一歩を押さえることが現実的な出発点です。
企業規模 | 優先事項 | やるべきこと |
|---|---|---|
50名未満 | 「誰がどのAI動画生成ツールを使っているか」を大まかにでも把握する | ・部門のリーダーに、動画制作でAIツールを使っているかヒアリングする |
50〜300名 | 可視化の仕組みと最低限のガイドラインを整える | ・SaaS・AIツールの利用状況を可視化し、個人契約による利用を洗い出す |
300名超 | 継続的な監視体制とコスト管理を仕組み化する | ・SaaS管理ツールでシャドーAI・シャドーITを継続的に検知する体制を構築する |
Adminaのようなツールを使えば、こうしたシャドーIT・シャドーAIの検知や、SaaS全体の可視化を仕組みとして継続できます。詳しくはシャドーIT検出機能やSaaS可視化機能をご覧ください。
導入前チェックリスト
Omni 1.1 Flashを社内で使い始める前に、データの取り扱いと利用実態の可視化まわりを一通り確認しておくと、後からの手戻りを防げます。以下の項目を導入前のたたき台としてご活用ください。
社内でGoogle AIの個人契約(Plus/Pro/Ultra)を利用している従業員がいないか確認したか
動画リファレンスとしてアップロードしてよい情報の範囲を明文化したか
社外公開物にAI生成の動画を使う場合の可視透かし・開示ルールを定めたか
APIキー発行時のコスト上限や承認フローを設定したか
Gemini Enterprise Agent Platform経由での利用を検討する場合、管理者向け統制機能の詳細をGoogleに確認したか
シャドーAI・シャドーITの継続的な可視化の仕組みがあるか
社内でGoogle AIの個人契約(Plus/Pro/Ultra)を利用している従業員がいないか確認したか
動画リファレンスとしてアップロードしてよい情報の範囲を明文化したか
社外公開物にAI生成の動画を使う場合の可視透かし・開示ルールを定めたか
APIキー発行時のコスト上限や承認フローを設定したか
Gemini Enterprise Agent Platform経由での利用を検討する場合、管理者向け統制機能の詳細をGoogleに確認したか
シャドーAI・シャドーITの継続的な可視化の仕組みがあるか
よくある質問(FAQ)
Q. Gemini Omni 1.1 Flashは無料で使えますか?
A. 開発者向けAPIは動画出力の秒数と解像度に応じた従量課金です。一般ユーザー向けには、Google AIのPlus・Pro・Ultraいずれかのプランに加入していれば、Google FlowやGeminiアプリから利用できます。無料プランでの提供は本記事執筆時点では確認できていません。
Q. Gemini Omni FlashとOmni 1.1 Flashの違いは何ですか?
A. Omni Flashは2026年7月に公開プレビューとして提供された速度重視版です。Omni 1.1 Flashはその正式版にあたり、シーン延長時に参照できる文脈が1秒から10秒に拡大したほか、開始・終了フレーム指定、360pドラフト生成、4Kアップスケール、動画リファレンスといった機能が追加されています。
Q. 生成した動画にAI生成である表示は必ず付きますか?
A. 可視の電子透かしは2026年8月14日以降、ユーザー側でON/OFFを選択できるようになりました。ただし、可視透かしをOFFにしても、不可視の電子透かし「SynthID」とコンテンツの来歴を示す「C2PA Content Credentials」のメタデータは常に付加される仕様です。
Q. 情シスとして最初に何をすべきですか?
A. まずは社内でGoogle AIの個人契約や動画生成AIの利用実態を把握することが出発点です。そのうえで、入力データの取り扱いルールや社外発信物での表示ルールを整備し、継続的にシャドーAI利用を可視化できる仕組みを検討することをおすすめします。
まとめ
Gemini Omni 1.1 Flashは、開発者向けAPIと一般ユーザー向けアプリの両輪で展開される動画生成AIであり、エンジニアだけでなくマーケティングやクリエイティブ部門にも利用が広がりやすいツールです。情シスとしては、機能の新しさそのものよりも、個人契約経由での利用が可視化しにくい点、入力データの取り扱い、AI生成物の識別性という3つの観点を押さえておくことが実務上重要になります。企業規模に応じたチェックリストを起点に、シャドーAI・シャドーITの可視化体制を早めに整えておくとよいでしょう。
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監修
Admina Team
情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
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