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最終更新日
2026/01/19
近年のDX推進やクラウド化の加速により、企業におけるIT部門の重要性が高まっています。情報システム部門(情シス)は、企業のIT基盤を支える中核的な存在として、経営戦略の実現に欠かせない役割を担っています。本記事では、情シスの役割から具体的な業務内容、直面する課題とその解決策まで、実務担当者の視点で包括的に解説します。
情シスとは
情シスとは「情報システム部門」の略称であり、企業内のIT環境全般を管理・運営する部署を指します。ネットワークやサーバーといったインフラ基盤の構築から、社内システムの開発・運用、セキュリティ対策、従業員へのIT支援まで、企業のデジタル活動を支える広範な業務を担当します。
企業によっては「システム管理部」「IT戦略室」「デジタル推進部」など異なる名称で呼ばれることもありますが、本質的な役割は共通しています。情報システム担当者は、企業活動の基盤となる基幹システム(財務会計・人事労務・販売管理など)と、業務効率を高める業務システム(メール・グループウェア・顧客管理など)の両方を管理し、企業のIT戦略を実現する縁の下の力持ちとして機能しています。
情報システム部門が担う4つの主要業務
情報システム担当者の業務は多岐にわたりますが、大きく4つの領域に分類できます。
ITインフラの構築・運用管理
社内ネットワーク、サーバー、パソコン、スマートフォンなどのIT機器全般の設計、導入、保守を行います。これらのインフラが正常に稼働しなければ企業全体の業務に支障をきたすため、システム監視や定期メンテナンスを通じて安定した稼働を維持することが求められます。
クラウドサービスの普及に伴い、オンプレミス環境とクラウド環境のハイブリッド管理や、リモートワーク環境でのデバイス設定といった新しい業務も増加しています。IT資産を適切に管理し、投資対効果を最大化することも重要な責務です。
社内ヘルプデスク・ITサポート
従業員からの「システムが動かない」「アプリケーションの使い方がわからない」といった問い合わせに対応し、トラブルシューティングを行います。デジタルリテラシーが異なる従業員それぞれに対して、的確な支援を提供することで業務の停滞を防ぎます。
単なる問題解決だけでなく、ITツールの活用研修やマニュアル作成を通じて、組織全体のデジタルスキル向上を促進する教育的役割も担っています。ヘルプデスク業務は情報システム担当の業務時間の大部分を占めることも多く、効率化が課題となっています。
IT戦略の立案と実行
経営戦略に基づいたIT戦略を策定し、業務課題の解決や競争力強化につながるシステム導入を推進します。現場の声を吸い上げながら、新規システムの導入検討、既存システムの改善提案、プロセスの効率化などを企画・実行します。
単なる技術的判断だけでなく、費用対効果の分析やベンダー選定、プロジェクトマネジメントまで、ビジネス視点での判断力が求められます。攻めのIT戦略として、デジタル技術を活用した新たな価値創造に関与する機会も増えています。
セキュリティ対策とリスク管理
サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが高まる中、ウイルス対策ソフトの導入、アクセス権限の設定、脆弱性管理など、技術的なセキュリティ対策を実施します。同時に、従業員へのセキュリティ教育を通じて、人的ミスによる情報漏洩を防ぐ体制構築も重要です。
パスワード管理方法の周知、フィッシングメールへの警戒喚起、社内セキュリティポリシーの策定と運用など、技術と人の両面からセキュリティレベルを維持・向上させる取り組みが必要です。
情報システム担当者が直面する4つの主要課題
深刻化するIT人材・スキル不足
DX推進が企業の喫緊の課題となる中、IT人材の確保は多くの企業が抱える深刻な問題です。情報システム部門に求められる専門知識は、インフラ構築、クラウド技術、セキュリティ対策、プロジェクト管理など広範囲に及び、高度な専門性が必要とされます。
即戦力となる人材の採用は容易ではなく、社内での育成にも時間とコストがかかります。その結果、本来必要なスキルを持たないまま多くの業務を抱えざるを得ない状況が生じています。限られた人員で増大する業務をこなさなければならない構造的な課題が存在します。
業務範囲の拡大による過剰負担
情報システム部門は、しばしば社内の「ITに関する全方位的な窓口」としての役割を期待されます。日常的なトラブル対応やヘルプデスク業務に追われる一方で、経営戦略に基づく重要プロジェクトの推進も求められるため、個々の担当者にかかる負担が過剰になりやすい構造があります。
特に人手不足を抱える組織では、情報システム担当者の長時間労働が常態化するケースも見られます。この状況が続くと、担当者の休職や退職につながり、さらに業務が回らなくなるという悪循環に陥る危険性があります。
他部署との連携における課題
多くの組織では部署間の連携に課題を抱えており、情報システム部門も例外ではありません。「情報システム部門が導入したツールが現場のニーズに合わない」「セキュリティ上許可できないアプリケーションを現場が独自に使用している」といった問題は、双方の業務内容や課題への相互理解不足から生じやすい傾向があります。
システムやツールの導入前に現場へのヒアリングを十分に行い、導入後も定期的に意見を収集して改善を続けることが重要です。情報システム部門の活動を社内に可視化し、その価値を認知してもらう努力も必要となります。
予算確保の困難さ
情報システム部門はコストセンターとして位置づけられることが多く、予算確保に困難を抱える傾向があります。直接的な利益を生み出しにくい性質上、経営環境が厳しい際には、IT関連の予算が削減対象として検討されるケースもあります。
予算が十分に確保できない場合、社内システムや機器の更新が滞ったり、効率化ツールの導入が後回しになったり、必要な人材採用やスキル育成が十分に行えなくなったりします。短期的にはコストを抑える効果があっても、長期的には企業全体の生産性や競争力を低下させるリスクをはらんでいます。
情報システム部門の課題を解決する実践的アプローチ
アウトソーシングの戦略的活用
情報システム業務の一部を外部委託することで、担当者の負担を軽減し、より重要な戦略的業務に集中できる環境を整えられます。特に定型的で時間を要する業務、例えば社内ヘルプデスク対応、デバイスのキッティング作業、システム監視業務などは外部委託に適しています。
ヘルプデスク業務を専門業者に委託すれば、情報システム担当者はIT戦略の立案やプロジェクト推進に注力できます。また、繁忙期と閑散期に応じてリソースを柔軟に調整できるため、コストの最適化にもつながります。
SaaS管理ツールによる業務効率化
複数のクラウドサービスを利用する企業では、アカウント管理や利用状況の把握に多くのリソースを費やしています。従業員の入退社に伴うアカウント作成・削除、不正利用の監視、ライセンスの最適化など、煩雑な作業が発生します。
SaaS管理ツールを導入することで、これらの作業を自動化し、人的ミスを防ぎながらセキュリティリスクを軽減できます。一元管理により、無駄なライセンス契約の削減やコンプライアンス強化も実現できます。
社内コミュニケーションの強化
他部署との定期的な情報交換の場を設け、互いの業務内容や課題を共有することで、認識のずれを解消できます。新規システム導入時には、利用部署への入念なヒアリングと段階的な導入プロセスを踏むことで、現場に受け入れられやすい環境を整えられます。
情報システム部門の活動報告や成果を定期的に社内に発信することで、その価値を可視化し、組織内での理解と協力を得やすくなります。経営層への定期的な報告を通じて、IT投資の必要性を説明し、適切な予算確保につなげることも重要です。
今後の情報システム部門に求められる変化
従来の「守りのIT」から「攻めのIT」へのシフトが求められています。単なるシステム保守・運用だけでなく、ITを活用した業務改革や新たな価値創造に積極的に関与していくことが期待されています。
DX推進の担い手として、最新技術のキャッチアップとビジネス視点での提案力を磨き、経営戦略に貢献できる存在へと進化していく必要があります。変化の激しいIT環境において、継続的な学習と柔軟な対応力が、情報システム担当者の重要な資質となっています。
今日から始める情シス業務の改善
情報システム部門は、企業のIT基盤を支える重要な役割を担っていますが、人材不足や業務過多といった課題を抱えているのも事実です。しかし、アウトソーシングやツール活用による効率化、他部署とのコミュニケーション強化など、実践可能な解決策は存在します。
まずは自社で利用しているSaaSやクラウドサービスの棚卸しから始めてみましょう。どのツールを誰が使っているのか、ライセンスは適切に管理されているか、セキュリティリスクはないか――こうした基本的な現状把握が、効率化への第一歩となります。
また、最も時間を取られている業務を一つ特定し、それを自動化またはアウトソーシングできないか検討してみてください。ヘルプデスク業務の一部をFAQで自己解決できるようにする、定型的なアカウント管理作業をツールで自動化するなど、小さな改善の積み重ねが、戦略的な業務に集中できる時間を生み出します。
情報システム部門の価値を高め、企業成長に貢献できる組織へと変革していくために、今日から行動を始めましょう。
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
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