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LPWAとは?種類や導入事例、運用の課題と対策を徹底解説

LPWAとは?種類や導入事例、運用の課題と対策を徹底解説

LPWAとは?種類や導入事例、運用の課題と対策を徹底解説

LPWAとは?種類や導入事例、運用の課題と対策を徹底解説

公開日

LPWA(Low Power Wide Area)は、M2MやIoT(Internet of Things)デバイスの通信を目的とした無線技術であり、低消費電力かつ広域でのデータ伝送が可能です。これにより、従来の通信方式では実現困難だった大規模なセンサーネットワークの構築が可能になりました。本記事では、LPWAの基本的な特徴から最新の市場動向、規格の種類、具体的な導入事例、コスト感、そして導入・運用時によくある失敗パターンまで、導入を検討する際に役立つ実践的な情報をわかりやすく解説します。

ネットワークの基礎知識について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

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低消費電力と長距離通信を実現するLPWAの基本概要、具体的な導入事例、および運用の課題と対策をまとめた解説インフォグラフィック。

LPWAとは?特徴と最新の市場動向を解説

本記事のポイント

  • LPWAは、低消費電力で数km〜数十kmの広範囲な通信を可能にするIoT向け無線技術である。

  • 国内キャリアの3G停波を機に、従来の3G/4Gモジュールからセルラー系LPWAへの移行需要が急速に拡大している。

  • 国内ワイヤレスIoT市場は2023年度に約2,912万デバイスに達し、そのうちセルラー系LPWAが75.5%の圧倒的シェアを占める。

  • 2026年にかけては中容量通信が可能なWi-Fi HaLowの送信出力200mWへの規制緩和が予定されており、さらなる成長が期待される。

IoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)デバイスの普及に伴い、膨大な数のセンサーやデバイスを効率的にネットワーク接続するニーズが高まりました。これに対応すべく登場したのがLPWAです。KDDIが2022年3月、ソフトバンクが2024年4月、NTTドコモが2026年3月に3Gサービスを終了した(3G停波)ことにより、従来型3G回線からLPWA(特にセルラー系)や5G回線への移行が急速に推進されています。

矢野経済研究所の調査によると、2023年度の国内ワイヤレスIoT市場規模は前年度比20.3%増の2,912万デバイスに達しています。通信規格別の内訳では、LTE-MやNB-IoTなどの「セルラー系LPWA(及びセルラー網)」が全体の75.5%(2,200万デバイス)と圧倒的なシェアを獲得。次いでスマートメーター向けの「Wi-SUN」が21.7%(632万デバイス)、LoRaやSigfox、ZETAなどの「その他920MHz帯のアンライセンス系LPWA」が2.7%(80万デバイス)となっています。さらに、富士キメラ総研の予測によれば、2035年の世界LPWAモジュール市場は、ライセンス(セルラー)系が2024年比31.8%増の2兆580億円、アンライセンス系が2.1倍の1兆190億円に達するとされており、今後の技術発展と市場拡大が期待されています。

LPWAの代表的な種類と最新の注目規格

LPWAの規格は、通信キャリアが運営するライセンス系と、自前で設置可能なアンライセンス系に大別される。以下で農業・物流・インフラ監視など幅広い用途に応じた主要規格を整理する。

ライセンス系(セルラー系)は、既存のLTEや5Gや4Gの通信基地局網を利用する規格で、代表例にLTE-M(eMTC)やNB-IoTがあります。近年は双方に対応する「コンボモジュール」のほか、低消費電力と高速化を両立した「LTE Cat.1 bis」への移行が世界的に注目されています。一方、アンライセンス系は、免許不要の920MHz帯を利用する独自規格であり、代表例としてLoRaWAN、Sigfox(国内では京セラコミュニケーションシステムがサービスを提供中)、ZETA、ELTRESなどがあります。

さらに現在、新世代の注目規格として「Wi-Fi HaLow(IEEE 802.11ah)」の普及が進んでいます。これは“Wi-Fi版LPWA”とも呼ばれ、従来のLPWAが数kbpsの超低速通信であったのに対し、数Mbpsの中容量通信(静止画、動画、大容量のセンサーデータなど)を約1kmの長距離かつ省電力で送信可能です。さらに日本国内では、2026年度中に総務省による「850MHz帯への拡張および送信出力200mW(従来の10倍)への引き上げ」の技術検討・制度改正が見込まれています。これにより通信エリアが従来の約3倍(見通し約6km)へと拡大し、インフラ監視やAI予知保全での導入が大きく加速すると予測されます。

系統

規格名

通信速度

通信距離

主な特徴と最新動向

ライセンス系

LTE-M

数kbps〜1Mbps

約10km

広域かつ高速。基地局を跨ぐハンドオーバーに対応し移動体に強い。

ライセンス系

NB-IoT

数kbps〜数十kbps

約10km以上

超省電力でスマートメーター等に適するが、ハンドオーバーは非対応。

アンライセンス系

LoRaWAN

数kbps〜数十kbps

最大約15km

自前でゲートウェイを設置可能。山間部やプライベートネットワークに最適。

アンライセンス系

Sigfox

最大100bps

数km〜数十km

極小データ送信に特化。国内ではKCCSがサービスを継続。

新世代規格

Wi-Fi HaLow

数Mbps

約1km(2026年制度改正後は最大6km)

中容量通信(静止画・動画)に対応。200mW送信出力の規制緩和が期待される。

ライセンス系とアンライセンス系における基地局設置と通信経路の違い

▲ ライセンス系とアンライセンス系における基地局設置と通信経路の違い

LPWAの具体的な導入事例と効果

LPWAは、ガス検針・物流資産管理・不動産管理など異なる業種で実導入が進んでいる。以下に代表的な3件の事例と、それぞれの課題・施策・成果を紹介する。

事例①:スマートメーター(検針業務の100%自動化)

  • 業種・規模:LPガス事業・全国規模

  • 導入時期:2020年〜継続的展開

  • 課題:人手不足による検針員の確保困難、過疎地域における検針コストの増大。

  • 施策:東洋計器株式会社とKDDIが提携し、セルラー系LPWA(LTE-M)を搭載したスマートメーターを大規模に導入。

  • 成果:検針データを1日複数回自動で収集することにより、「100%自動検針」を達成。検針員不足を補うだけでなく、リアルタイムなガス漏れ監視など保安サービスの高度化も実現。

事例②:物流・アセット管理(回収不能パレットによる損失削減)

  • 業種・規模:素材メーカー(ガラス製造)・大企業

  • 導入時期:2020年3月導入

  • 課題:ガラス製品の輸送用大型鉄製パレット(荷台)が毎年約1割紛失・未回収となり、高額な再製作コストが多額にのぼっていた。

  • 施策:AGC株式会社がアルプスアルパイン製「物流トラッカー(Sigfox対応)」約1,400台をパレットに装着し位置管理を開始。

  • 成果:未回収パレットの正確な所在特定が可能になり、紛失コストを劇的に削減。Sigfoxの超省電力設計により、10年以上の連続電池稼働を実現した。

事例③:賃貸マンションの遠隔管理(業務時間の大幅削減)

  • 業種・規模:不動産管理・地域密着型

  • 導入時期:2023年実証開始

  • 課題:配線工事が困難な既設マンションにおける防犯カメラの設置、遠隔監視による見回り負担の増加。

  • 施策:NTT東日本が「Wi-Fi HaLow」を活用した実証実験を行い、広範囲の物件エリア内にカメラや各種センサーを接続。

  • 成果:配線不要で広範囲の通信網を構築。遠隔監視の迅速化により、1棟あたり年間48時間の管理工数を削減した。

LPWA導入のメリット・デメリットとコスト感

LPWA導入の成否は、圧倒的な低コスト・低消費電力というメリットと、低通信速度というデメリットのトレードオフを正しく評価することにかかっている。

LPWAの主なメリット

LPWAの最大のメリットは「低ランニングコスト」と「驚異的なバッテリー寿命」にあります。

  • ランニングコストの目安:通信キャリアが提供するプラン(NTTドコモの「ImoT」やSORACOMなど)を利用した場合、1端末あたり「月額数十円〜数百円」という極めて安価なランニングコストで運用可能です。

  • 超長期のバッテリー寿命:送信データ量が限られているため、単3形乾電池などの独立電源だけで「10年間電池交換不要」となるデバイス設計が可能です。これにより、メンテナンス人件費を大幅に圧縮できます。

LPWAのデメリットと制限事項

一方で、導入にあたり注意すべき制限事項も存在します。

  • 超低速かつ極小データ制限:LoRaWANやSigfox等のアンライセンス系では、送信データ量が「数バイト〜数十バイト」、通信速度も「数kbps以下」と極めて限られます。動画はもちろん、高解像度の静止画の送信すら不向きです。

  • 障害物による通信の不安定化:カタログ上の「見通し10km以上」はあくまで遮蔽物のない理想環境での値であり、実際の建物内や山林では電波が大幅に減衰して通信が不安定になる点に注意が必要です(詳細は後述の失敗パターン3を参照)。

LPWA導入における「メリット(コスト・寿命)」と「デメリット(速度・容量)」の対比

▲ LPWA導入における「メリット(コスト・寿命)」と「デメリット(速度・容量)」の対比

LPWA導入における3つのよくある失敗パターンと対策

LPWAの選定を誤ると、通信の頻発する途切れや想定外の維持管理コストが生じ、システムの再構築を余儀なくされる。

失敗パターン1:移動する物流トラッキングにNB-IoTを選択し通信が途切れる

  • 原因:NB-IoTは「静止デバイス」を前提に設計されており、基地局をまたぐ際の通信切り替え機能(ハンドオーバー機能)に対応していません。そのため、乗り物や荷物に載せて移動させると通信が頻繁に切断されてしまいます。

  • 対策:車両やコンテナなどの移動体を追跡する場合は、ハンドオーバーに対応している「LTE-M」や、長距離対応の「LoRaWAN」を選択することが必須です。

失敗パターン2:アンライセンス系は通信費0円だと思い導入して予算オーバー

  • 原因:LoRaWANなどのアンライセンス系は自前でゲートウェイ(基地局)を立てるため、キャリアに払う月額通信費はほぼ0円にできます。しかし、基地局の設置工事費、電源確保用のソーラーパネル費用、機器メンテナンスの人件費などの「隠れコスト」を見落とし、TCO(総保有コスト)が予算を超過してしまうケースがあります。

  • 対策:設置デバイスが少ない、あるいは設置エリアが広域な場合は、ドコモやソラコム等のキャリア提供「セルラー系LPWA(月額数十円〜)」を借りた方が、初期投資を含めた総費用を安く抑えられることがあります。事前の入念なシミュレーションが必要です。

失敗パターン3:『見通し10km届く』を過信して設置したが繋がらない

  • 原因:カタログスペック上の数値は「直線距離かつ障害物ゼロ」の環境データです。鉄筋コンクリートの建物の内部、ビルの陰、高低差のある林に設置した場合、電波が回り込めず全く届かない状況が多発します。

  • 対策:機器の本格的な発注・設置工事を行う前に、実機を用いて現地での「電波伝搬のフィールドテスト(実測)」を必ず実施するプロセスを導入計画に組み込んでください。

自社に最適なLPWAの選び方(判断フロー・チェックリスト)

自社に最適なLPWA規格を特定するためには、通信量、デバイスの移動性、設置エリア、そして自社での運用リソースを明確に定義して比較選定を行う。

まず「デバイスが移動するか否か」が最初の分岐点となる。トラックやコンテナなど移動体への取り付けが前提なら、ハンドオーバーに対応するLTE-Mが第一候補だ。一方、固定設置センサーであれば、コスト優先ならNB-IoTやLoRaWAN、映像・大容量データが必要ならWi-Fi HaLowを検討する。また、「設置台数が少なく広域に分散」する場合はキャリア提供のセルラー系が割安になりやすく、「特定エリアに大量展開」する場合はアンライセンス系の自前ゲートウェイが総費用を抑えられるケースが多い。下表を参考に要件を照合してほしい。

LPWA選定チェックシート

検討項目

セルラー系(LTE-M / NB-IoT)

アンライセンス系(LoRaWAN / Sigfox)

Wi-Fi HaLow

通信速度

低速(〜1Mbps)

超低速(〜数kbps)

中高速(〜数Mbps)

移動性

LTE-Mは移動に極めて強い。NB-IoTは不向き。

仕様による(LoRaWANはある程度可能)。

中距離の移動に対応。

初期コスト(基地局設置)

不要(キャリア網を利用)

必要(自前で設置する場合)

必要(アクセスポイント設置)

月額通信費

必要(月額数十円〜)

不要(自前の場合は回線維持費のみ)

不要(自社構築の場合)

おすすめの用途

物流トラッキング、広域のスマートメーター

山林のセンサー、プライベートな工場内監視

防犯カメラ映像、高頻度の機器診断データ

自社の要件から最適なLPWA規格を特定する選定フローチャート

▲ 自社の要件から最適なLPWA規格を特定する選定フローチャート

LPWAに関するよくある質問(FAQ)

以下の3点は、導入検討時に担当者から特に質問が多い内容だ。実稼働前に確認しておきたい。

Q:LPWAと一般的なWi-Fiや5Gとの違いは何ですか?

A:Wi-Fiや5Gは高速大容量通信(動画や大容量ファイル向け)に適していますが、通信距離が短い、あるいは消費電力が大きいという特徴があります。一方、LPWAは超低速ですが、低消費電力で数km以上の長距離通信が可能です。

Q:アンライセンス系LPWAの通信費は本当に無料ですか?

A:自前で設置した基地局(ゲートウェイ)を経由する場合、キャリアへの月額通信料は発生しません。ただし、基地局の購入・設置工事費、電源確保、障害時のメンテナンス人件費などの運用コストが別途必要になります。

Q:LPWAデバイスは本当に10年間電池交換が不要なのですか?

A:送信頻度やデータ量が極めて少ない場合(例:1日に1〜数回のデータ送信)、単3形乾電池などの独立電源で10年以上の稼働が可能です。ただし、送信頻度を増やすとバッテリー消耗が早まるため、運用計画に合わせた設計が必要です。

まとめ

LPWAは、低消費電力かつ長距離通信を実現することで、農業やスマートシティ、物流管理など多岐にわたる分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する鍵となっています。導入を検討する際は、まず自社の利用用途、通信量、通信環境を明確化しましょう。そして、仕様スペックだけで判断せず、まずは1〜2台の機器を用いた小規模な「フィールドテスト(電波の伝搬実測)」から取り組むことを推奨します。この事前検証を怠ると、大規模展開後のやり直しコストが跳ね上がります。まず少数台で動かしてみることが、最短かつ確実な導入ルートです。

導入前の確認チェックリスト

  • ✅ 自社のユースケース(通信量・移動性・設置環境)を明確に定義した

  • ✅ セルラー系/アンライセンス系それぞれのTCO(総保有コスト)シミュレーションを実施した

  • ✅ ハンドオーバーが必要な移動体用途か、静止設置用途かを整理した

  • ✅ フィールドテスト(電波伝搬の実測)を導入計画に組み込んだ

  • ✅ 将来的なデバイス増設・規格変更に対応できる拡張性を確認した

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team

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