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テレワークとリモートワークの違いとは?定義と情シスの課題・対策

テレワークとリモートワークの違いとは?定義と情シスの課題・対策

テレワークとリモートワークの違いとは?定義と情シスの課題・対策

テレワークとリモートワークの違いとは?定義と情シスの課題・対策

公開日

最終更新日

テレワークとリモートワークの違いを調べる情シス担当者は、用語の整理だけでなく「どの接続方式なら安全か」「VPNが遅い場合に回線・装置・スプリットトンネルのどこを見直すか」「自宅以外の利用をどこまで許可するか」といった実装上の判断も伴います。本記事では接続方式の選定基準とVPN遅延の確認ポイントも整理します。

実際の環境整備では名称よりも、扱うデータ、業務システムの設置場所、端末管理の可否に基づいてアーキテクチャを選ぶことになります。総務省の令和6年通信利用動向調査では、テレワークを導入する企業は47.3%でした。また総務省は令和7年版情報通信白書で、テレワーク等の実施が困難な理由として「使いたいサービスがない」を挙げた日本の個人回答者の割合が36.0%で最も高いと公表しており、業務基盤の整備が課題として残っています。

テレワークとリモートワークの言葉の定義の違いや、情報システム部門におけるセキュリティ課題・対策のチェックポイントを分かりやすく解説する図。

テレワークとリモートワークの違いとは

テレワークは行政文書や就業規則で広く用いられる表現であり、リモートワークはIT業界や採用・広報の文脈で定着した表現です。どちらも法令上の独自定義に大きな差はなく、使われる文脈によって使い分けられています。

本記事のポイント

  • テレワークは行政資料、就業規則、申請書類で使う名称です。

  • リモートワークはテレワークと実務上ほぼ同じ働き方を指します。

  • 在宅勤務は自宅を就業場所に限定するテレワークの一形態です。

  • 情シスの選定では名称ではなく、接続先と情報資産の保護要件で判断します。

テレワークの公的定義

テレワークとは、情報通信技術を利用し、時間や場所を有効に活用する働き方です。総務省のテレワーク案内では、勤務場所により在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3形態を示しています。就業規則、セキュリティ規程、官公庁の公募資料では、用語をテレワークに統一すると文書間の解釈差を減らせます。総務省のテレワーク案内でも、この3形態が示されています。

リモートワークの民間定義

リモートワークとは、オフィスから離れた場所で働くことを示す民間で定着した表現です。一般的な業務文脈では法令上の独自定義や、テレワークと異なる技術要件はありません。ただし助成制度や自治体の補助金では、用語の適用範囲が個別に定められている場合があるため、申請前に各制度の要件を確認します。採用広報、開発組織の勤務方針、ツール案内ではリモートワークが使われやすい一方、規程・申請・監査資料ではテレワークと記載する運用が整合的です。

在宅勤務の範囲と特徴

在宅勤務とは、就業場所を従業員の自宅に限定する勤務形態です。したがって、自宅、顧客先、移動中、サテライトオフィスを含み得るテレワークより範囲が狭くなります。カフェやコワーキングスペースを許可しない規程でも、在宅勤務を認めることは可能です。情シスでは場所ごとの通信、画面のぞき見、印刷、第三者利用のリスクを分けて扱います。

用語

主な使用文脈

就業場所の範囲

情シスでの扱い

テレワーク

行政資料、社内規程、制度設計

自宅・移動先・サテライトオフィス

全社の社外勤務基準として設計します。

リモートワーク

IT組織、採用、日常会話

遠隔地全般

テレワークと同じアクセス制御を適用します。

在宅勤務

勤務場所の限定、申請フロー

自宅のみ

自宅ネットワークと作業環境を前提に統制します。

「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」の違いと使い分け

▲ 「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」の違いと使い分け

テレワークソリューションの比較と選定基準

テレワークソリューションは、業務システムの配置と端末にデータを残せるかどうかで選定します。

導入企業が半数に満たない現状では、情シスは利用者数を増やす前に、対象業務がどの経路で利用できるかを棚卸しすることが出発点になります。阻害要因の内訳は総務省「令和6年通信利用動向調査」で確認できます。

接続アーキテクチャの比較

オンプレミス資産への到達性だけを基準にVPNを増設すると、会議通信まで本社回線に集中します。SaaS中心の業務であれば、アクセス先ごとに認証・認可する構成のほうが、通信経路と監査対象を整理しやすくなります。

方式

主な機能

向く条件

注意点

従来型VPN

社内LANへの暗号化接続

オンプレミス業務が中心で、既存設備を活用する場合

通信集中、装置性能、横移動のリスクを確認します。

VDI・RDS

サーバー上の画面転送

端末へのデータ保存を抑えたい場合

サーバー容量、ライセンス、映像会議時の利用感を検証します。

ZTNAを含むゼロトラスト

利用者・端末・アプリ単位の認証と最小権限

SaaSと社内システムが混在する場合

IdP、端末管理、ログ監視を連携させます。

SaaS直結

クラウドサービスへの直接接続

業務の大半がSaaSで完結する場合

シャドーITとアカウント退職処理を統制します。

業務と情報資産による判断基準

設計図面、顧客情報、営業秘密などを端末に保存できない業務では、VDIまたはブラウザ経由での閲覧に寄せます。経済産業省は営業秘密について、秘密管理性、有用性、非公知性の3要件を示しています。経済産業省「テレワーク時における秘密情報管理のポイント」を基に、データ分類と保存可否を先に決めます。SaaS中心で端末管理が可能なら、MFA、EDR、MDMを組み合わせたSaaS直結またはZTNAの限定検証に進みます。

対象職種の切り分け基準

テレワーク可否は職種名ではなく、現場作業の必須性、紙・専用機器への依存、機密情報の取扱い、遠隔で測定できる成果物で判定します。出社が必要な業務と社外勤務が可能な業務を同じ基準で評価しようとすると、不公平感が生じます。場所の違いではなく、役割ごとの制約と代替措置を公開する運用にします。

自社の業務環境に応じたテレワーク接続ソリューションの選定フロー

▲ 自社の業務環境に応じたテレワーク接続ソリューションの選定フロー

テレワーク導入における失敗パターンと技術課題

テレワークの技術課題は、VPNの混雑、端末統制の不足、利用サービスの見えにくさに集約されます。

VPNへの通信集中

VPNで全通信を社内へ戻す構成では、Web会議、クラウドストレージ、ソフトウェア更新が回線とVPN装置を圧迫します。遅延の原因を利用者宅の回線と決めつけるのは失敗です。認証ログ、VPN装置のCPU・セッション数、拠点回線の帯域、会議ツールの通信先を同じ時間帯で照合し、どこで詰まるかを特定します。

シャドーITとアカウント管理の欠落

共有しにくいファイルを個人のストレージや私用チャットへ移すと、情報の所在と削除時期を追えなくなります。禁止を通達するだけでは代替手段になりません。公式ストレージの外部共有手順、共同編集の権限、問い合わせ窓口を用意し、利用ログから未承認サービスを検知する構成にします。

端末と自宅環境の統制不足

私物PCの利用、共用端末、未適用の更新プログラムは、認証を強化しても残るリスクです。IPAはテレワークに関して総務省の「テレワークセキュリティガイドライン第5版」などを紹介しています。IPAの企業向けテレワークセキュリティ学習資料を参照し、暗号化、画面ロック、更新、EDR、紛失時の遠隔削除を端末基準に含めます。

監視依存と勤怠把握の混同

PC操作量やカメラ常時接続を、成果評価や勤怠管理の代替にする運用は避けます。厚生労働省のテレワークガイドラインでは、テレワークでも労働時間を適切に把握することを示し、自己申告による把握も想定しています。ログオン・ログオフ記録は補助資料になり得ますが、実労働時間と一致しない場合があります。厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を踏まえ、自己申告、業務指示、PCログの差異を確認するルールを定めます。

テレワーク導入における技術と運用の解決策

テレワーク環境は、認証、端末、通信、ログ、制度を分けて整備すると、VPN依存を段階的に減らせます。

ゼロトラストへの段階的移行

ゼロトラストは単一製品ではなく、利用者・端末・接続先を毎回検証する設計思想です。まず全SaaSにMFAを適用し、IdPでアカウントを集約します。次にMDMで準拠端末だけを許可し、EDRの検知状況と連携させます。オンプレミス業務が残る場合はVPNを直ちに廃止せず、ZTNAで公開できる業務から置き換えます。IPAは2025年10月、VPN機器等が攻撃の中継拠点化されるおそれについて注意喚起しており、機器の更新と公開設定の見直しを後回しにできません。

評価制度と業務設計の基準

MBOやジョブ型評価は選択肢の一つであり、すべての組織に一律ではありません。成果物が明確な業務では、期限・品質・担当範囲を目標に置きます。チームで成果を出す業務では、個人KPIだけでなくチーム目標、引き継ぎ、障害対応への貢献も評価対象にします。勤務時間管理と人事評価を混ぜず、勤怠は労務管理、目標は評価面談で扱うと説明可能性が上がります。

情シス向けテレワーク環境整備・セキュリティチェックリスト

導入前に以下を確認し、未達項目を試行導入の条件にします。監査ログを取得できるなら限定部門で検証に進み、取得できないならログ取得機能を持つ経路へ切り替える判断ができます。

  • 対象業務ごとに、利用システム、データ分類、社外利用の可否を棚卸しした。

  • 全利用者にMFAを設定し、退職・異動時のアカウント停止手順を定義した。

  • 管理対象端末で暗号化、OS更新、EDR、画面ロックを有効化した。

  • VPN装置、回線、会議ツールの利用ログを取得し、性能監視の担当を決めた。

  • ファイル共有、外部共有、印刷、私物端末のルールと代替手段を提示した。

  • インシデント発生時の連絡先、端末隔離、証跡保全の流れをテストした。

  • 勤怠の自己申告とPCログに差異がある場合の確認者・記録方法を定めた。

導入と効果測定の順序

第1段階では対象業務と情報資産を棚卸しし、第2段階で少人数の試行環境を構築します。第3段階では接続失敗、遅延、問い合わせ、セキュリティ警告を計測し、問題が接続先・端末・運用のどこにあるかを分類します。その後に対象を広げます。利用者アンケートだけで完了とせず、ログと問い合わせ記録を残すと、次の投資判断に使えます。

テレワーク環境で問い合わせ窓口を一本化する場合、チャットボットや社内FAQが選択肢になります。マネーフォワード Adminaは、窓口統一による情シスの対応工数削減事例をコミュニケーション設計の事例集として公開しており、自社の運用ルール策定時に比較対象として参照できます。なお、同サイトは本記事のスポンサーサービスが運営するメディアです。

VPN依存を減らすためのゼロトラスト段階的移行プロセス

▲ VPN依存を減らすためのゼロトラスト段階的移行プロセス

テレワーク導入によるコスト削減と定着の事例

テレワークの成果はオフィス費用だけで判断せず、採用、業務継続、セキュリティ運用の費用と合わせて評価します。

アウンコンサルティング株式会社のコスト削減事例

業種・規模:海外向けのSEO・SEM支援を行うアウンコンサルティング株式会社で、公開事例では従業員規模は明示されていません。
導入時期:2019年から2024年にかけて、シェアオフィス移行を含む働き方の見直しを進めています。
課題→施策→成果:固定オフィスの維持費を課題とし、シェアオフィスへの移行とテレワークを組み合わせました。マネーフォワード Adminaは、総務省のテレワークトップランナー2025の事例として、同社のオフィスコストが2019年の月額340万円から2024年の月額11万円へ減少したと紹介しています。アウンコンサルティングの事例を含むテレワーク解説で確認できます。

この事例をそのまま適用できるのは、オフィス常駐が必須でない業務が多く、共有場所を代替できる企業です。来客対応、試作品管理、対面作業が中心なら、全面移行ではなく座席最適化やサテライト利用から検討します。総務省のテレワークトップランナー事例は、制度と運用を併せて確認する際の参照先になります。

定着効果の測定指標

コスト削減額だけを成果にすると、セキュリティ運用や従業員支援の負担を見落とします。月次でVPN接続失敗率、問い合わせ件数、端末未準拠数、重大インシデント、出社・社外勤務別の業務遅延を追います。厚生労働省のテレワーク関連調査では、実施後アンケートで約9割が生産性が向上または変わらないと回答しましたが、自己申告の結果だけで全社効果を断定せず、業務指標と組み合わせて評価します。厚生労働省のテレワーク実施に関する紹介資料では、この調査結果を確認できます。

テレワークを取り巻く最新の利用状況

2026年8月時点では、テレワークは全面導入か全面廃止かではなく、業務特性に応じて組み合わせる基盤として定着しています。

企業導入と利用者の状況

総務省の令和6年通信利用動向調査では、テレワークを導入している企業の割合は47.3%です。国土交通省の令和7年度テレワーク人口実態調査では、全国の雇用型テレワーカーの割合は25.2%、直近1年間のテレワーク実施率は16.8%と公表されています。両者は調査対象・設問が異なるため単純比較はできませんが、導入済みでも全従業員・全業務に適用されているわけではありません。国土交通省のテレワーク人口実態調査で調査区分を確認できます。

クラウド基盤の拡大

総務省は、2023年8月末時点でクラウドサービスを利用する企業が約8割だったと公表しています。クラウド利用が増えるほど、社内ネットワークに入れば安全という前提は機能しにくくなります。SaaSの契約主体、アカウント、共有設定、ログを一覧化し、接続方式の見直しと同時にSaaS管理を進めます。

よくある質問

テレワーク環境の運用で生じやすい疑問に、情シスの判断材料となる形で回答します。

自宅以外の利用を禁止する理由

Q:テレワークで自宅以外が禁止されるのはなぜですか?
A:公共Wi-Fiの利用、画面ののぞき見、会話の聞き取り、端末の置き忘れを抑えるためです。自宅以外を許可するなら、VPNまたはZTNA、覗き見防止フィルター、私室相当の作業場所、印刷禁止などの条件を設定し、満たせない場所は対象外にします。

VPNとゼロトラストの選び分け

Q:VPNがあるならゼロトラストは不要ですか?
A:オンプレミス業務への接続だけならVPNを継続できますが、SaaS利用や社外端末が増えると、ネットワーク接続だけでは最小権限を管理しにくくなります。端末準拠状況と利用者単位のログを取得できるなら、対象アプリからZTNAへ移行し、できない場合はVPNのMFA・端末証明書・監視を先に強化します。

労働時間とPCログの関係

Q:PCログだけでテレワークの労働時間を管理できますか?
A:PCログだけでは休憩、離席、業務指示への対応を完全には判断できないため、勤怠の自己申告を代替できません。自己申告とログの差異を確認する基準を設け、長時間労働の兆候を把握する補助情報として扱います。

まとめ

テレワークとリモートワークは働き方としてほぼ同義ですが、行政・規程ではテレワーク、IT組織の日常的な表現ではリモートワークが使われます。情シスの実務では名称より、業務システムの場所、データの持ち出し可否、端末管理、ログ取得の可否が選定基準です。まずは対象業務とデータを棚卸しし、MFA、管理端末、共有ルール、VPNの負荷状況をチェックリストに沿って確認します。ログを取得できる業務から限定検証を始めると、全社展開前に技術課題と運用負荷を把握できます。

本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。

監修

Admina Team



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