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Admina Team
2024/09/12
テクニカルサポートとは、IT製品に関する日常のデジタル問題や技術的な質問に対するサポートサービスの一種です。パソコンやスマートフォンの設定、ソフトウェアのインストール、ネットワークのトラブルシューティングなど、初心者からプロフェッショナルまで様々なニーズに応じた対応が求められます。本記事では、テクニカルサポートの基礎知識を初心者から上級者まで幅広くカバーし、その重要性や活用方法について解説します。
テクニカルサポートの役割とは?
「テクニカルサポート」とは、主に特定のIT製品に関する不具合や仕様、サービスについての問い合わせ窓口です。技術的なサポートを提供することが主な役割です。さらに、カスタマーサポートも含まれます。
製品、サービスに関する技術的な調査とアドバイスや関連サービスの提案・製品、サービスのアフターフォローなどの指示に基づく技術的な調査など、多くの問い合わせが技術的な内容が多く含まれるため、製品やサービスの概要だけでなく、技術的な知識や理解が求められます。
また、企業向けのクラウドサービスなどでは、問い合わせ対応だけでなく、マーケティング支援やカスタマーサクセスなどの利益を生み出すような役割も担います。「購入する・所有する」から「必要な時に必要な分だけ使う」というサブスクリプション型ビジネスがトレンドとなる昨今、テクニカルサポートのニーズは拡大し、役割も広がっています。
テクニカルサポート職の業務内容
テクニカルサポートの職務内容は、以下のようなものがあります。
・IT製品やサービスのアフターフォロー
・製品やサービスの仕様に関する技術的な調査と回答
・ヘルプデスクなどからの要請に基づく技術調査およびトラブルシューティング
加えて、「サポートエンジニア」や「フィールドエンジニア」としての業務を担当することもあります。
その場合、顧客先に出向いて製品やサービスの不具合調査や修理・修正などの対応を行います。特に企業向けの製品やサービスの場合、クライアント企業の情報システム部門や社内SEに対しての運用・保守支援を長期的にサポートすることもあります。そのため、プログラマーやSEと同等の高度な専門知識が求められることがあります。
テクニカルサポートと混同されやすい職種との相違点
テクニカルサポートは、IT製品やサービスのサポートという点でヘルプデスクやカスタマーサポートと混同されやすい職種です。サポートエンジニアとしての役割も含まれます。転職後に「思っていた仕事と違った」と感じないためにも、これからテクニカルサポートを目指そうとする方は、ここでそれぞれの違いを確認しておきましょう。
テクニカルサポートとヘルプデスクの相違点
ヘルプデスクは、ユーザーからの問い合わせの初期対応を行うだけでなく、製品やサービスに関する疑問や不具合のヒアリングを担当します。フィールドエンジニアもまた、現場での技術的なサポートを提供する重要な役割を果たします。これに対して、テクニカルサポートは、ヘルプデスクが対処できない高度な問い合わせやトラブルの解決をサポートする役割を持ちます。そのため、テクニカルサポートは、ヘルプデスクよりも専門性の高い職種とされています。
テクニカルサポートとカスタマーサポートの相違点
カスタマーサポートは、ユーザーからの問い合わせやクレームに対応します。カスタマーサクセスの観点から、顧客満足度を高めるためのサポートも行います。技術的な知識を必要としない一般的な問い合わせを中心に扱います。また、企業によってはユーザーに新しいサービスを提案する営業活動も行います。これに対し、テクニカルサポートは製品やサービスに関する技術的な問い合わせやトラブルに対応する仕事です。そのため、より専門的な対応が求められます。
テクニカルサポートでの実践経験
テクニカルサポートは、IT製品やサービスの仕様や操作方法など、技術面の問い合わせ対応を行うため、専門知識や情報の整理・分析能力が求められます。また、ユーザーに対する迅速かつ丁寧な対応が必要なため、高いコミュニケーションスキルも重要です。
テクニカルサポートに必要な知識、スキルと経験
ここでは、IT製品に関する技術的な問い合わせ対応を含む、テクニカルサポートに求められる知識とスキル・経験について解説します。クラウドサービスに関する知識も重要です。テクニカルサポートに必要なスキルは多岐にわたります。自社製品やサービスの知識、OSやソフトウェア・ハードウェアに関する知識に加えて、調査・情報分析スキル、さらには文章力を含むコミュニケーションスキルなども求められます。
製品およびサービスに関する専門知識
自社製品やサポート対象製品・サービスについて、詳細な仕様の知識が求められます。さらに、製品・サービスの提供ベンダーが発行する資格の取得が必要となることもあります。
OSとアプリケーション、ハードウェアの技術仕様についての知識
テクニカルサポートが扱う機器やサービスは、OS・ソフトウェア・ハードウェアの組み合わせで動作しています。サーバーエンジニアもこれらの技術に精通している必要があります。OSはソフトウェアの一種ですが、ハードウェアに近い基盤として機能するのがOSです。したがって、これらに関する技術的な知識が必要となります。求人によっては、WindowsやLinuxなどのOSや、サーバー・ネットワークの知識が必須とされる場合もあります。
問題解決のスキル
テクニカルサポートは、製品の不具合に関する問い合わせを受けた際、ヘルプデスクやオペレーターが提供する情報を基に原因を特定します。ネットワークエンジニアも同様に、問題解決のためのスキルが重要です。その際、ログ解析やテストツールを活用して、不具合の原因を特定するための切り分けスキルが求められます。
文章力を含むコミュニケーションスキル
テクニカルサポートは、ユーザーに調査結果をメールなどの文書で伝える機会が多々あります。システムエンジニアも同様に、技術的な情報を正確に伝えることが求められます。そのため、わかりやすい文章能力が求められます。もちろん、電話など口頭で情報を明確に伝えるコミュニケーション能力も必要です。
情報の分類、解析、検索スキル
テクニカルサポートでは、問題解決のために顧客からの情報や製品の技術仕様、過去の事例を参考にします。プログラマーも同様に、これらの情報を活用して効率的に問題を解決します。これらの多岐にわたる情報を活用して問題の解決に導くためには、情報整理、分析、検索スキルが欠かせません。
双方向コミュニケーションスキル
2WAYコミュニケーションとは、情報の送受信が双方向で行われるコミュニケーションのことです。プロジェクトマネージャーもこのスキルを活用して、チーム内外の円滑なコミュニケーションを図ります。まず、テクニカルサポートは、顧客が伝えたいことや求めることを正確に把握する必要があります。遠隔でのヒアリングとなるため、トラブルの原因を正確に特定するのが難しい場合があります。聞くだけでなく、的確な質問をする必要があることもあります。また、ヒアリングした内容を基に、解決策を顧客にわかりやすくかつ正確に伝えることが求められます。顔の見えない相手とのやり取りでは、正確な情報の伝達も困難な場合があります。2WAYコミュニケーション能力は、テクニカルサポートが顧客との長期的な信頼関係を築くために必要な重要なスキルです。
ヒアリング能力
テクニカルサポートでは、ユーザーからの問い合わせに対応する際に、ヒアリング能力が重要なスキルの一つです。ユーザーが抱える問題や不満を的確に理解するためには、まず彼らの話をしっかりと聞くことが必要です。ヒアリング能力を身に付けることで、ユーザーとのコミュニケーションをスムーズに行い、問題解決に効果的に取り組むことができます。
例えば、ユーザーが「インターネットに接続できない」と問い合わせてきた場合、単に「再起動してください」と指示するだけでは不十分です。ユーザーの環境や具体的な状況を詳しくヒアリングし、問題の根本原因を特定することが求められます。これにより、ユーザーの満足度を高めるだけでなく、再発防止にもつながります。
ヒアリング能力を向上させるためには、以下のポイントを意識すると良いでしょう:
積極的に質問する:ユーザーの状況を詳しく把握するために、具体的な質問を投げかけます。
共感を示す:ユーザーの立場に立って話を聞くことで、信頼関係を築きやすくなります。
メモを取る:重要な情報を逃さないように、メモを取る習慣をつけましょう。
これらのスキルを磨くことで、テクニカルサポートとしての能力を一層高めることができます。
テクニカルサポートに役立つ資格
こちらでは、IT製品に関するテクニカルサポートの仕事に役立つ資格をご紹介します。資格を取得することで、体系的な知識を学べる上に、知識やスキルを有する証ともなります。さらに、企業によっては資格手当が支給される場合もあり、年収の増加につながることもあります。また、未経験からの転職にも非常に有効です。テクニカルサポートとして働く方や、これから目指そうと考えられている方は、以下の資格取得をご検討してみてはいかがでしょうか。
IT資格の基礎知識
ITパスポートは、情報処理推進機構(IPA)が提供する国家資格で、ITに関する基礎的な知識を証明するものです。情報技術に関する全般的な知識を体系的に学習できるため、IT業界未経験者がテクニカルサポートを目指す際におすすめの資格です。合格率は約50%です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITパスポートと比べて難易度が高い情報処理推進機構(IPA)が提供する国家資格です。この資格は、開発者などの高度なIT技術者を目指す人を対象としており、情報システムに関する基礎的な知識を有していることを証明します。企業向け製品・サービスのテクニカルサポートを目指すのであれば、取得すべき資格と言えるでしょう。この資格の合格率は20〜30%程度です。
PeopleCert/ITIL®基礎
PeopleCertのITIL®ファンデーションは、ITサービスマネジメントのスキルを認定する資格です。システム運用・保守の担当者にこの資格の取得を推奨する企業が増加しています。特定のベンダーや技術に依存しない幅広いスキルと知識を習得でき、その知識はテクニカルサポート業務にも活かせます。
マイクロソフト製品関連資格
企業向けシステムの多くはマイクロソフト製品を基盤に開発されています。そのため、マイクロソフト製品に関する知識を示す資格を持っていることは、テクニカルサポートの評価を高める要因となります。マイクロソフトが提供する資格には、AzureやMicrosoft 365など各製品に対するものがあります。資格はFundamental、Associate、Expertの3レベルに分かれており、テクニカルサポートとして活躍するためにはAssociateレベルを目指すとよいでしょう。
テクニカルサポート業務の魅力
テクニカルサポートの仕事には、IT製品に関する技術的な問い合わせ対応を含むさまざまなやりがいがあります。ここでは、テクニカルサポートの仕事でどのようなやりがいを感じられるかをご紹介します。たとえば、顧客から感謝の言葉をもらえることがやりがいになります。また、問題解決能力やITスキル、製品知識などを身につけることで、自身の成長を実感できることもやりがいといえるでしょう。
顧客から感謝の声が届く
顧客の問題を解決し、感謝の言葉をもらえるとき、それがテクニカルサポートのやりがいになります。他人の役に立ちたいと考える人や、顧客の声を直接聞きたい人にとって、テクニカルサポートの仕事は適しているでしょう。
問題解決力が養われる
テクニカルサポートの職務は、製品やサービスの操作方法やトラブル対応など多岐にわたります。顧客の環境や状況もそれぞれ異なるため、個別の事情を詳しくヒアリングして、さまざまな仮説を考慮しながら問題解決に導きます。この仮説を立てる経験を積むことで、問題解決のスキルが向上する実感を得られるでしょう。
ITと製品に関する知識を身につける
技術的な問い合わせやトラブルに対応する経験を積むことで、パソコンやネットワークなどのIT知識や取り扱う製品に関する専門的な知識が習得できます。これにより、ITや製品の技術的な知識を深めることで、将来のキャリアアップに繋がります。
テクニカルサポートの仕事がきつい、やめるべきと言われる理由
技術サポートの業務は、IT製品に関する顧客の問題解決を支援することでやりがいを得られますが、一方で大変だと感じることもあります。しかし、その原因を理解し、適切な心構えや対策を考えておくことで、より効果的に業務に取り組むことができます。ここでは、技術サポートの仕事が大変だとされる理由について説明します。
絶えず新たな知識を習得する必要がある
常に製品やサービスのバージョンアップやIT環境の変化に対応できるよう、継続的な知識の習得とアップデートが求められます。したがって、一度得た知識に満足せず、日々学び続ける姿勢が必要です。
忍耐が重要視される
テクニカルサポートの業務では、トラブルに直面した顧客からのクレームや理不尽な要求を受けることがあります。また、顧客のIT知識やスキルのレベルに応じた柔軟な対応が求められます。問題解決のためには、相手の話を根気強くヒアリングし、問題の原因を突き止める忍耐力が必要です。
柔軟な対応が求められる
テクニカルサポートの仕事は、常に突発的な問い合わせに対応し続けるものです。そのため、内容を予測することが難しく、柔軟な対応が求められます。問い合わせ内容は多岐にわたり、ときには予期せぬ事態にも冷静に対処することが求められます。臨機応変な対応が求められるテクニカルサポートの仕事には、厳しさを感じることがあるかもしれません。
技術サポートのキャリアルート
IT業界では常に新しいIT製品やサービスが登場するため、テクニカルサポートの需要が増加しています。テクニカルサポートのニーズが高い中で、最前線で活躍するためには最新の技術や知識の習得が欠かせません。さらに、テクニカルサポートから他のIT職へのキャリアチェンジの道も開かれています。例えば、テクニカルサポートに近い職種としては社内SEがあり、加えてインフラエンジニア(サーバーエンジニア、ネットワークエンジニア)やシステムエンジニアなど、システム開発に関わる職種も目指すことができます。
企業内システムエンジニア
社内SEとテクニカルサポートの仕事内容には共通点が多く、サポート業務で養った知識や経験は非常に役立ちます。社内SEは、社内で利用されるシステムやネットワークの運用、保守、改善を担当するため、テクニカルサポートと同様にユーザーとのコミュニケーションが重要となります。そのため、社内SEはテクニカルサポートからのキャリアパスとして有望です。
システムエンジニア、プログラマー
システムエンジニアやプログラマーは、システム開発において設計、実装、テストを担当します。テクニカルサポートからキャリアを変更するには、プログラミングスキルとシステム開発の基礎知識が必要です。また、開発チームと円滑にコミュニケーションをとり、協力して開発を進める能力が求められます。
インフラストラクチャエンジニア
インフラエンジニアは、サーバーやネットワーク・データベースなどのインフラを構築・運用・保守します。テクニカルサポートからのキャリアチェンジには、ネットワークやサーバー運用に関するスキルを習得することが重要です。さらに、インフラエンジニアにはシステム障害対応のための調査スキルや、問題解決能力も求められます。そのため、サポート業務で得たトラブル対応の経験が役立ちます。
テクニカルサポートの将来性
テクニカルサポートは、IT製品やサービスが普及するにつれて、ますます重要性を増す職種です。現代のビジネス環境では、IT製品やサービスが欠かせない存在となっており、それに伴う技術的な問題も増加しています。テクニカルサポートは、ユーザーが抱える問題を迅速かつ的確に解決することで、ユーザーの満足度を高めることができます。
さらに、テクニカルサポートは企業の評判を高める上でも重要な役割を果たします。ユーザーが製品やサービスに満足し、信頼を寄せることで、企業のブランド価値が向上します。特に、クラウドサービスやサブスクリプション型ビジネスが増加する中で、テクニカルサポートの需要はますます高まっています。
また、テクニカルサポートの職種は、キャリアパスの幅広さも魅力の一つです。テクニカルサポートとしての経験を積むことで、システムエンジニアやインフラエンジニア、さらにはプロジェクトマネージャーなど、さまざまなIT職種へのキャリアチェンジが可能です。
このように、テクニカルサポートの将来性は非常に高く、IT業界でのキャリアを考える上で非常に有望な選択肢と言えるでしょう。
テクニカルサポートの平均年収
テクニカルサポートの平均年収は、企業や業界によって異なりますが、一般的にIT関連の職種と比較しても高い方です。テクニカルサポートの平均年収は、約350万円から約700万円と言われています。この幅広い年収レンジは、経験やスキル、担当する製品やサービスの種類によって大きく異なります。
例えば、初心者レベルのテクニカルサポートでは、年収が350万円程度からスタートすることが多いですが、経験を積み、専門的なスキルを身に付けることで、年収は徐々に上昇します。特に、クラウドサービスや高度なネットワーク技術に精通している場合、年収が700万円を超えることも珍しくありません。
また、テクニカルサポートの中でも、リーダーやマネージャーとしての役割を担う場合、さらに高い年収が期待できます。これにより、テクニカルサポートの職種は、長期的なキャリアパスとしても非常に魅力的です。
このように、テクニカルサポートの平均年収は、経験やスキルによって大きく異なりますが、IT業界でのキャリアを考える上で非常に有望な選択肢と言えるでしょう。
テクニカルサポートの給与
レバテックキャリアの求人に基づいて算出されたIT製品に関するテクニカルサポートの平均年収は、約400万円です。他のIT職種と比較するとテクニカルサポートの平均年収は低めです。その理由として、プログラミングスキルが不要であることや、エンジニアに比べて残業や休日出勤が少ないことが挙げられます。ただし、ディレクターやマネージャーといった業務が含まれる場合は、500万円以上の求人も存在するため、スキル次第で年収アップを期待できるでしょう。
まとめ
これまで、「テクニカルサポート」について、IT製品に関する技術的な問い合わせ対応の重要性や仕事内容、ヘルプデスクとの違い、役立つ経験などをご紹介してきました。テクニカルサポートは、IT関連の高度な技術知識が必要な仕事ですが、顧客に対する迅速かつ適切な対応も求められ、高いコミュニケーション能力が重要になります。また、こうした顧客とのやり取りから、長期的なビジネスパートナーとしての信頼関係が築かれることも少なくありません。ぜひ、ITに関する知識や経験を活かしつつ、顧客対応スキルを磨いて、テクニカルサポートの分野に挑戦してみてください。
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