>
>
料金プランと人数別試算を先に確認したい場合は、「2026年最新の料金プランと人数別費用シミュレーション」セクションに進んでください。給与計算や勤怠管理をクラウド化する際は、表示されている1名単価だけでなく、最低利用人数、勤怠機能の範囲、既存会計システムとの連携まで確認する必要があります。特にfreee人事労務の料金プランは、給与計算だけを行う企業と、従業員のスマホ打刻や申請承認までまとめたい企業とで適切な選択が異なります。
本記事は、中小企業の人事労務担当者、経理担当者、情報システム部門を対象に、人数別の費用と機能制限を具体的に整理します。複雑なシフト制におけるfreee勤怠管理Plusとの使い分け、2026〜2027年の法改正対応、国内企業の導入事例も判断材料として紹介します。
※本記事は、社会保険労務士資格保有者および中小企業向けITシステム導入コンサルタントの監修のもと、2026年7月時点の公開情報をもとに作成しています。料金、機能、提供対象は変更される場合があるため、契約時点の公式案内と見積書の内容を基準に判断してください。

freee人事労務とは|概要と基本機能
freee人事労務は労務データを一元管理し、給与計算、勤怠管理、年末調整、入退社手続きなどのバックオフィス業務を効率化するクラウドシステムです。
本記事のポイント
基本プランは基本料金0円で、最低5名分の従量料金から契約します。
従業員によるPC・スマートフォン打刻を行う場合は、スタンダード以上が選択基準です。
給与支給のない休職者は、公式の課金条件に該当しなければ従量課金の対象外です。
会計と人事労務を同じfreee製品群にまとめる構成と、他社製品を組み合わせる構成では運用負荷が異なります。
一元管理できる主な業務
freee人事労務では、従業員情報、給与計算、給与明細、勤怠、年末調整、入退社手続き、社会保険関連の情報を同じシステム上で扱えます。従業員が住所や扶養情報をオンライン入力すれば、管理者による再入力を減らせます。ただし、反映先や承認の要否は機能、権限、設定内容によって異なるため、すべての情報が無条件に自動更新されるわけではありません。
また、人事労務SaaS単体で販売、購買、在庫、生産まで管理する一般的なERPではありません。本記事では、freee会計とのデータ連携を含め、会計と人事労務のマスタや取引データを統合しやすい構成を「ERP統合型」と表現します。
課金対象となる従業員の考え方
freeeの公式料金案内では、基本プランは最低5名分から始まり、5名を超える場合は対象従業員数に応じて料金が増えます。課金人数は単純な在籍者数ではなく、その月に給与明細を確定し、支給が発生した従業員を基準とする仕組みです。
従業員マスタに登録されていても、無給休職などにより給与支給が発生しない人は追加課金の対象外となります。ただし、最低5名分の料金は残るため、支給対象が1名の月でも1名分だけの料金にはなりません。休職者や役員を含む企業は、「在籍人数」ではなく「月ごとの給与明細確定人数」で年間費用を試算すると予算との差を抑えられます。
第三者調査における利用状況
一部の調査会社は、給与計算や勤怠管理の領域でfreee人事労務が複数の比較カテゴリに登場すると紹介しています。ただし、各調査は母集団・対象企業数・集計方法が公開されていない場合があり、数値をそのまま市場全体の傾向として読み取ることはできません。
この数値は日本企業全体の市場占有率ではなく、70社を対象とした調査内の利用数です。BOXIL SaaSは自社サイト上で2026年上半期の資料請求数ランキング1位としていますが、この順位はBOXIL SaaS掲載製品内での集計であり、市場全体のシェアを示すものではありません。製品選定では順位だけでなく、自社の給与規程や既存システムへの適合性を優先します。
他社システムとのアーキテクチャ比較
ERP統合型と他社コンポーネント型では、データ連携と拡張性の向き不向きが異なります。
freee、SmartHR、マネーフォワードは人事労務領域を扱いますが、同じ比較軸で見ると製品の組み立て方に違いがあります。以下の「ERP統合型」「コンポーネント型」は各社の公式区分ではなく、システム構成を理解するための本記事上の整理です。
比較軸 | freee人事労務 | SmartHR | マネーフォワード クラウド |
|---|---|---|---|
構成の考え方 | 会計と人事労務を同じ製品群で統合しやすい構成 | 従業員データベースと労務管理を中心に必要な機能を組み合わせる構成 | 給与、勤怠、社会保険、年末調整、会計などのサービスを組み合わせる構成 |
従業員マスタ | 人事労務内で給与・勤怠・手続きに共通利用 | 従業員データベースを中心に各機能で利用 | 各クラウドサービス間で連携して利用 |
給与計算 | 基本4プランで利用可能 | 契約機能と提供条件の確認が必要 | 給与サービスとして提供 |
勤怠管理 | プラン内機能またはfreee勤怠管理Plusを利用 | 契約機能または外部勤怠との連携を検討 | 勤怠サービスとして提供 |
会計連携 | freee会計との仕訳連携を組みやすい | 会計・給与サービスとの連携可否を個別確認 | 同一製品群の会計サービスと連携可能 |
他社製品との組み合わせ | APIやデータ入出力の対応範囲内で可能 | 外部サービスを選択する構成に向く | 自社サービスと外部サービスの併用が可能 |
料金の確認方法 | 基本4プランは1名単価を公開 | 契約範囲により要問い合わせ | 利用サービスと契約条件により確認 |
適合しやすい企業 | 給与確定後の会計仕訳までまとめたい企業 | 従業員情報や労務手続きを軸に構成したい企業 | 業務単位でサービスを選びたい企業 |
freee会計との統合を優先する企業
給与確定後の未払費用や預り金などをfreee会計へ連携し、経理側の転記を減らしたい場合は、freee製品群で統一する構成が候補になります。人事労務と会計で従業員名や部門コードを別々に管理する場面を減らせるため、CSVの出力、加工、再取込にかかる作業を抑えやすくなります。
一方、現在利用している会計ソフトや勤怠システムを維持する場合は、対象データをAPIで連携できるか、CSVでしか渡せないかを切り分けます。API連携できれば自動処理の対象にし、連携できなければ締め日ごとにCSVを検証して取り込む運用にします。
業務ごとの製品選択を優先する企業
勤怠はKING OF TIME、労務手続きはSmartHR、会計は別の基幹システムというように、業務ごとに製品を選びたい企業にはコンポーネント型が適します。ただし、サービス間の従業員番号、所属、雇用区分が一致しないと、連携エラーや二重登録が発生します。
複数製品を利用する場合は、どのシステムを従業員マスタの正本とするかを一つに決めます。正本を決められるならAPI連携を設計し、決められない場合は導入前にマスタ更新の責任者と更新順序を固定しなければ、退職者のアカウントが残るなどの運用リスクが高まります。
▲ 統合型(freee)とコンポーネント型(他社)のデータ連携構造の違い
ペーパーレス化と手続き漏れ防止の仕組み
タスク管理とオンライン入力により、申請漏れや入力不備の削減が可能です。
従業員が住所、扶養、年末調整などの情報をオンラインで入力すると、管理者が紙の申告書を見ながら転記する作業を減らせます。入力必須項目、申請状況、差し戻しの履歴を画面上で確認できるため、未提出者への連絡や不備の修正も管理しやすくなります。
オンライン入力による転記作業の削減
入社情報、給与明細、賞与明細、年末調整などをWeb上で扱えば、紙の配布と回収に伴う待ち時間を短縮できます。複数拠点や在宅勤務者がいる企業では、本社へ書類が届くまで給与処理を開始できない問題を軽減できます。
ただし、取引先や行政手続きの条件、社内規程、原本保存の要否によって紙が残る場合があります。「完全ペーパーレス」を前提にせず、紙が残る手続き、電子化できる手続き、法定保存が必要なデータを分けて設計します。
アラートと承認設定による漏れの低減
タスクと進捗状況を管理者が確認できる仕組みは、入社書類や年末調整の未提出を早期に見つけるのに役立ちます。ただし、アラートが表示されても担当者が確認しなければ手続き漏れは防げません。
実運用では、締切日の7日前と2日前に未提出者を抽出し、一次連絡は部門管理者、最終連絡は人事労務担当者が行うなど、システム外の責任分担も決めます。権限設定と確認担当を組み合わせることで、アラートだけに依存する運用よりも申請漏れを抑えられます。
法改正への対応と最新機能のアップデート実績
法令改正へはシステム側で順次対応が行われ、手動計算の手間が軽減されます。
税率や社会保険料の計算ロジックはクラウド側で更新されますが、従業員情報、対象手当、適用開始月などの確認は利用企業側に残ります。法改正対応を「設定確認が不要な完全自動処理」と捉えず、公式の対象範囲と自社データを照合する運用が必要です。
法定調書の電子申告基準30枚への引き下げ
国税庁は、法定調書の電子提出義務に関する判定基準について、前々年に提出した法定調書の種類ごとに100枚以上から30枚以上へ引き下げ、2027年1月以降に提出する法定調書から適用すると案内しています(国税庁「法定調書の電子申告義務化」関連ページで最新の対象条件を確認でき、自社の提出枚数が境界付近にある場合は適用年度の判定が変わります)。従業員30名前後の企業でも、給与所得の源泉徴収票などの提出枚数によって電子申告義務の対象になる可能性があります。
freeeは、この変更を見据えた「freee人事労務 年末調整プラン」を提供しています(提供開始時期や対象条件はfreee公式サイトの料金・プラン案内ページで確認できます)。年末調整と法定調書作成を中心に利用したい企業向けの選択肢ですが、利用対象、電子申告の範囲、既存契約との重複は契約条件で判断します。対象となる法定調書が前々年に30枚以上なら電子提出を前提に移行計画を作り、30枚未満でも今後人数が増える場合は電子申告へ切り替えられるデータ形式で運用します。
子ども・子育て支援金制度への対応
こども家庭庁および厚生労働省は、子ども・子育て支援金制度を2026年4月から施行し、医療保険料と併せて徴収する仕組みとしています。freeeは制度へのシステム対応を発表しており、対象となる保険区分や徴収額を給与計算へ反映する更新を進めています(freee公式サイトの法改正対応ページで対象プランと反映時期を確認でき、対象外のプランでは手動対応が残ります)。
企業側では、従業員ごとの健康保険加入状況と標準報酬月額が正しいことを確認します。加入情報が正しければ更新後の計算結果を既存の保険料通知と照合し、情報が不足していれば給与確定前に従業員マスタを修正します。システム更新だけでは、元データの登録誤りまでは解消されません。
通勤手当の非課税限度額改正への対応
2025年11月の所得税法施行令改正では、通勤手当の非課税限度額に関する変更が2025年4月1日に遡って適用されました。freeeは2026年1月支給給与からの自動計算と、対象となる過去支給分を年末調整で精算する機能を案内しています。
旧記事に記載されていた駐車場加算の特定金額については、2026年7月時点で本記事が確認した公的な一次情報と整合する根拠を確認できないため掲載しません。通勤方法、片道距離、支給額が登録されていれば改正後の判定対象とし、登録がなければ対象者一覧を作成してから再計算します。
AI年末調整と従業員マスタの拡張
freeeは、従業員が撮影した保険料控除証明書などの画像をAIが解析し、申告項目の入力を補助するAI年末調整機能を提供しています。撮影状態や証明書の様式によって読み取り結果が異なるため、AIの出力を確定値として扱わず、従業員の確認と管理者の最終点検を残します。
従業員マスタには等級、評価結果、過去の推移などを追加し、評価分布や人員情報を分析する機能も拡張されています。SlackやLINE WORKSからの打刻、給与明細通知なども強化されていますが、対象プランと連携設定は機能ごとに異なります。チャット打刻を利用できる契約なら試験部署で打刻時刻と勤怠データを照合し、対象外ならブラウザまたは専用の勤怠運用へ切り替えます。
外部連携と社労士連携専用プランの活用手法
API連携や専用プランの利用で、専門家との分担や既存システムとの併用が可能です。
freee人事労務は、会計、勤怠、チャットなどの対応サービスと連携できます。既存の勤怠管理システムを残して給与計算だけをfreeeへ移す場合は、従業員番号、勤怠項目、締め日、時間の丸め単位を連携前にそろえます。
社労士との役割分担
年末調整や給与計算を社労士へ委託する企業では、従業員情報をメール添付で送る方法より、同一システム上で権限を分けるほうがデータの版違いを抑えられます。自社は勤怠確定と変動手当の入力、社労士は給与計算結果の点検と電子申請というように、作業境界を締め日単位で明文化します。
freeeは社労士事務所などに向けて年末調整や給与年調に関する専用プランを提供しています。ただし、契約主体、操作できる事業所数、電子申請の担当範囲は契約によって異なります。顧問社労士が同じ環境を利用できるなら共同運用へ進み、利用できない場合は受け渡すCSVの項目と送信経路を固定します。
freee人事労務とfreee勤怠管理Plusの使い分け
freee人事労務のスタンダード以上にはPC・スマートフォン打刻や有給休暇管理が含まれます。固定時間制を中心とした一般的な勤怠管理であれば、基本プラン内の機能から検証できます。
病院、介護、飲食などで複雑なシフトを組む場合、複数の変形労働時間制を細かく制御する場合、他社の給与ソフトへ勤怠データを渡す場合は、勤怠専用のfreee勤怠管理Plusを比較対象にします。夜勤、日跨ぎ、応援勤務、複数拠点、独自の休憩控除をテストデータで再現できれば導入を進め、再現できなければ既存勤怠を維持して給与データだけを連携する構成にします。
連携前の検証項目
従業員番号と雇用区分を全システムで一致させます。
所定時間、残業、深夜、休日、有休の項目対応表を作ります。
前月データを使い、現行給与とfreeeの計算結果を並行比較します。
差額が出た場合は丸め、割増率、欠勤控除、固定残業代の順に原因を調べます。
差額の原因を説明できた後に本番の給与確定へ移行します。
2026年最新の料金プランと人数別費用シミュレーション
基本プランは最低5名分から始まり、月払いと年払いで1名あたりの単価が異なります。
以下は、2026年7月時点にfreee公式サイトの料金ページ(freee.co.jp の「料金プラン」案内)をもとに整理した税抜価格です。基本料金は0円ですが、契約には最低5名分の従量料金がかかります。導入支援、オプション、勤怠管理Plusなどの料金は含みません。プラン変更条件やオプションの適用条件は、freee公式サイト内「料金プラン」ページまたは見積書に記載されており、年払い・月払いの切り替え可否や中途解約条件はその内容によって異なります。
基本4プランの料金と機能
プラン | 年払いの1名単価 | 年払いの最低料金 | 月払いの最低料金 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
ミニマム | 400円/月 | 24,000円/年 | 2,600円/月 | 給与計算とWeb明細を中心に利用する企業 |
スターター | 600円/月 | 36,000円/年 | 3,900円/月 | 従業員入力による年末調整や労務手続きを行う企業 |
スタンダード | 800円/月 | 48,000円/年 | 5,200円/月 | PC・スマートフォン打刻や有休管理までまとめる企業 |
アドバンス | 1,100円/月 | 66,000円/年 | 7,150円/月 | 人事マスタ、組織分析、電話サポートなどを重視する企業 |
月払いの1名単価は、上表の最低料金を5名で割ると、ミニマム520円、スターター780円、スタンダード1,040円、アドバンス1,430円です。1年以上利用する前提なら年払いのほうが低額ですが、短期検証や組織再編を予定している場合は、契約変更条件を含めて月払いと比較します。
5名・10名・30名・50名の年払い試算
次の表は、全員が毎月の課金対象となり、年払いを選択した場合の試算です。休職者など給与支給のない月がある場合、実際の従量料金は契約条件に沿って変わります。
課金対象人数 | ミニマム | スターター | スタンダード | アドバンス |
|---|---|---|---|---|
5名 | 月換算2,000円 | 月換算3,000円 | 月換算4,000円 | 月換算5,500円 |
10名 | 月換算4,000円 | 月換算6,000円 | 月換算8,000円 | 月換算11,000円 |
30名 | 月換算12,000円 | 月換算18,000円 | 月換算24,000円 | 月換算33,000円 |
50名 | 月換算20,000円 | 月換算30,000円 | 月換算40,000円 | 月換算55,000円 |
例えば30名でスマートフォン打刻が必要な場合、スタンダードの基本利用料は年288,000円です。スターターとの差額は年72,000円ですが、別の勤怠システムを30名分契約し、毎月CSVを加工する費用まで含めると総額が逆転する可能性があります。比較時はSaaS利用料だけでなく、勤怠の締め作業、連携エラーの修正、問い合わせ対応にかかる社内工数も含めます。
目的別のプラン選定基準
要件 | 選定の起点 | 判断理由 |
|---|---|---|
給与計算とWeb明細だけを電子化 | ミニマム | 勤怠は既存システムや管理者入力で運用するため |
従業員入力の年末調整や入退社手続き | スターター | 労務手続きのオンライン化が必要なため |
従業員によるPC・スマホ打刻 | スタンダード | 基本プラン内で打刻と有休管理を行うため |
人員情報や組織分析まで利用 | アドバンス | 給与計算を超えた人事マスタ活用が必要なため |
複雑なシフトや変形労働制 | 勤怠管理Plusを含めて比較 | 基本プランの勤怠機能だけでは要件を満たさない可能性があるため |
最安プランから選ぶのではなく、「誰が打刻するか」「有休申請をどこで承認するか」「給与確定後にどの会計へ連携するか」の順に要件を決めます。スマホ打刻が必要ならスタンダード以上、既存勤怠を維持するならミニマムまたはスターターを起点に試算できます。
▲ 自社の要件と打刻方式から選ぶfreee人事労務のプラン選定フロー
導入時における主な失敗パターンと事前対策
事前検討の不足や初期設定の不備は、給与計算の誤りや運用の混乱を招きます。
以下は特定の発生率を示す統計ではなく、製品仕様と給与計算の実務から想定される代表的な失敗パターンです。導入前のテストで再現し、現行計算との差額を解消してから本番へ移すことでリスクを下げられます。
最安プラン選定によるスマホ打刻の不可
失敗例:料金だけを見てミニマムまたはスターターを契約し、導入後に従業員がスマートフォンから打刻できないことが判明するケースです。勤怠を別の表計算ソフトで集計し続けることになり、給与計算との一元化を実現できません。
事前対策:従業員本人によるPC・スマートフォン打刻や有休管理を基本プラン内で行うなら、スタンダード以上を選択します。管理者が確定勤怠を入力する運用で足りるなら、ミニマムまたはスターターも候補になります。
就業規則の設定不備による未払い残業リスク
失敗例:変形労働時間制やフレックスタイム制を採用しているのに、固定時間制として初期設定すると、時間外労働や割増賃金が正しく集計されない可能性があります。固定残業代を基本給と分けずに登録した場合も、残業代の二重払いまたは未払いにつながります。
事前対策:就業規則、賃金規程、雇用契約書から、所定労働時間、法定休日、締め日、割増率、固定残業時間、欠勤控除を一覧化します。認定アドバイザーや社労士が設定を点検できるなら初期設定レビューを依頼し、依頼できない場合は少なくとも通常月、残業月、欠勤月、入退社月の4パターンで並行計算します。
複雑な割増賃金と標準機能の不一致
失敗例:45時間超、60時間超などで独自の多段階割増率を設けている場合や、月ごとに所定労働時間が変わる独自の月給計算では、標準設定だけで再現できず手動調整が残ることがあります。
事前対策:過去3か月分の勤怠と給与データを使い、基本給、残業、深夜、休日、欠勤、手当を項目別に比較します。標準機能で再現できれば自動計算へ移し、再現できなければ手動調整の責任者と確認手順を残すか、勤怠システムまたは就業ルールの見直しを行います。
給与締め日変更に伴う会計データの重複
失敗例:運用途中で締め日や支払日を変更し、変更前後の対象期間が重なると、給与明細の累計やfreee会計へ連携する仕訳が重複する可能性があります。年末調整の給与累計にも影響するため、設定画面だけを先に変更してはいけません。
事前対策:変更前の最終給与、変更後の初回給与、空白期間または重複期間、会計計上日を表にします。公式手順で既存明細への影響を確認できればテスト環境または複製データで検証し、影響範囲を確定できなければサポートや社労士への照会後に変更日を決めます。
導入初月からの全面切り替え
失敗例:設定完了直後に旧システムを停止すると、給与差額が発生した際に原因を比較できません。特に日割り計算、社会保険料の翌月徴収、住民税、年の途中の累計課税額は差異が生じやすい項目です。
事前対策:少なくとも1回の給与計算は旧システムと並行稼働します。差額がゼロ、または差額理由を項目単位で説明できれば切り替え、説明できない差額が残る場合は旧システムを停止せず設定を修正します。
▲ 給与計算の誤りや設定不備を防ぐ本番移行までの4ステップ
業種別の導入効果と成功事例
自社の業種や課題に合わせた導入により、業務工数の削減が期待できます。
freeeは自社サイトの導入事例ページで、給与計算や勤怠締めの期間を50〜80%程度短縮した国内企業の事例を公開しています。ただし、各数値は掲載企業の旧運用・導入範囲・従業員数に基づく個別成果であり、既にデジタル化が進んでいる企業では削減幅が小さくなる場合があります。
企業名 | 業種・規模 | 導入時期 | 課題 | 施策 | 成果 |
|---|---|---|---|---|---|
社会福祉法人けやきの村 | 介護・福祉、約190名 | 公開事例に記載なし | Excelのシフト表から給与ソフトへ手動転記し、給与計算に毎月10日間を要していた | 勤怠と給与計算をfreeeへ集約 | 給与計算を10日から2〜3日に短縮し、約70〜80%削減 |
株式会社パワーハウス | IT・ソフトウェア開発、約300名 | 公開事例に記載なし | 300通のExcel勤怠表をメールで回収し、3名で3日間、合計9人日を費やしていた | 勤怠回収と給与計算をオンライン化 | 1名・2日、合計2人日で完結し、工数を約78%削減 |
株式会社サタケ | 建材総合商社、約80名・8拠点 | 公開事例に記載なし | 紙のタイムカードとExcelを目視で突合し、給与計算に1週間を要していた | 勤怠と給与を一元化し、残業の事前申請制を運用 | 給与計算を1週間から2日に短縮。複数の業務改革と合わせて利益率が30%向上 |
現場業務の多い企業における効果
けやきの村やサタケの事例では、紙やExcelから給与ソフトへ転記する工程の削減が成果につながっています。介護、福祉、製造、複数拠点型の企業では、システムの計算速度よりも「現場から本部へ勤怠が届くまでの時間」と「目視確認の回数」が削減対象になります。
例えば、給与計算を10日から3日に短縮できれば7日分の余裕が生まれます。ただし、現場の打刻漏れが多いままでは締め作業が残ります。各拠点の承認期限と本部の確定期限を分け、未打刻一覧を拠点責任者が処理する体制まで含めて設計します。
費用対効果の測定基準
導入効果は「担当者の感想」だけで評価せず、導入前後で同じ指標を測定します。給与計算の総作業時間、勤怠差し戻し件数、紙の配布枚数、仕訳修正件数、従業員からの問い合わせ件数を3か月記録すれば、SaaS料金に対する削減効果を比較できます。
パワーハウスの事例では9人日から2人日へ減少しており、1回の給与計算で7人日の削減です。一方、この削減率をそのまま別企業へ当てはめることはできません。現行業務がすでに自動化されている企業では削減幅が小さく、紙・メール・Excelの転記が多い企業ほど改善余地が大きくなります。
よくある質問
導入検討時や契約後に寄せられる疑問への回答をまとめています。
freee人事労務にひとり法人専用プランはありますか?
2026年7月時点の基本4プランには、「ひとり法人プラン」という名称の専用プランは確認できません。1名で利用する場合も最低5名分からの料金となるため、給与計算の頻度と最低料金を基に会計ソフトの給与機能や外部委託費と比較します。
スマートフォン打刻はどのプランで利用できますか?
基本プラン内で従業員がPCやスマートフォンから打刻する場合は、スタンダード以上が選択基準です。ミニマムまたはスターターを利用する場合は、既存勤怠システムから確定データを取り込む運用を検討します。
休職者にも追加料金がかかりますか?
従業員マスタに登録されているだけで、その月に給与支給がなく給与明細の課金条件に該当しない休職者は、追加の従量課金対象外です。ただし、契約上の最低5名分の料金は発生します。
年の途中でプランを変更できますか?
契約変更の可否や反映時期は、年払い・月払いなどの契約条件によって変わります。変更可能月が勤怠運用の開始前なら必要機能に合わせて切り替え、契約期間中に変更できない場合は次回更新まで既存勤怠との併用手順を定めます。
社労士と同じデータを共有できますか?
社労士側の利用環境と権限設定が対応していれば、同じクラウド上で給与確認や手続きを分担できます。対応していない場合は、共有するCSV項目、送付方法、確定版の管理者を固定してデータの版違いを防ぎます。
まとめ
自社に適したプラン選定と運用の第一歩
自社の雇用形態や打刻要件を整理することが、最適な選定の近道です。
freee人事労務の価格は最低5名分からの従量課金で、年払いではミニマムが1名月額400円、スターターが600円、スタンダードが800円、アドバンスが1,100円です。給与計算だけならミニマム、従業員入力による労務手続きならスターター、スマホ打刻まで行うならスタンダードを起点に比較できます。
導入前セルフチェックリスト
給与支給が発生する従業員数で月額・年額を試算した
従業員本人によるスマートフォン打刻の要否を決めた
変形労働、夜勤、固定残業代、独自手当を一覧化した
既存会計・勤怠システムとの連携方法を確認した
社労士と自社の作業範囲を締め日単位で分けた
旧システムとの並行計算期間を少なくとも1回設けた
導入前後の給与計算時間と修正件数を測定できる状態にした
明日からの最初の一歩は、直近1か月の給与明細確定人数と勤怠運用を表にし、5名・10名・30名・50名の料金表へ当てはめることです。そのうえでスマホ打刻が必要ならスタンダード、不要ならミニマムまたはスターターから検証すると、機能不足と過剰契約の両方を避けやすくなります。
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。




