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Admina Team
2025/01/16
EDRとは、Endpoint Detection and Responseの略で、エンドポイントセキュリティの一種です。企業のネットワークに接続される各端末を監視し、侵入や脅威をリアルタイムで検知・対応する機能を持っています。EDRは、従来のウイルス対策ソフトウェアと比較して、より高度な分析技術を駆使して脅威に対抗するための重要なツールとして位置づけられています。本記事では、EDRの基本概念や他のセキュリティソリューションとの違い、導入する際のメリット、選び方について詳しく解説します。
EDRとは
EDR(Endpoint Detection and Response)は、エンドポイントデバイス上でのサイバー攻撃や脅威を検出・対応するためのセキュリティ技術です。この章では、EDRの基本概念やその役割について詳しく解説します。
EDRの基本概念
まず、EDRがどのように機能するのかを理解するためには、エンドポイントの定義から始めると良いでしょう。エンドポイントとは、企業や組織内のPC、ノートパソコン、サーバ、スマートフォンなど、ネットワークに接続されるデバイスを指します。EDRはこれらのデバイスに対する保護策として設計されています。
EDRの主な機能
EDRには以下のような主な機能があります。
脅威の検出: リアルタイムでエンドポイントの活動を監視し、既知のマルウェアや未知の脅威を検出します。
脅威の調査: 検出した脅威に対する詳細な調査を行い、攻撃の手法や影響を把握します。
振る舞い検知: ファイルのシグネチャ(ウイルスを特定するための指紋のような特徴データ)ではなく、不審な振る舞いや動作パターンを分析することで未知の脅威を検知します。
対応策の実行: 検出した脅威に対して自動的に対策を講じ、迅速に対応します。
ログの分析: 過去のログデータを分析し、特定のパターンやトレンドを見つけることで、将来の攻撃を未然に防ぎます。
EDRの重要性
昨今のサイバー攻撃はますます巧妙化しており、従来のセキュリティ対策だけでは不十分です。そのため、EDRは重要なセキュリティ手段として注目されています。以下の理由から、EDRが求められるようになっています。
高度な攻撃に対する防御力の強化
迅速な脅威対応による被害の最小化
未知の脅威に対する対応能力
直近のセキュリティ侵害によるリスクの低減
このように、EDRは企業や組織の情報セキュリティを強化するために欠かせない技術であり、ますます需要が高まっています。
EDRとEPPの違い
EDR(Endpoint Detection and Response)とEPP(Endpoint Protection Platform)は、エンドポイントセキュリティに関連する技術ですが、それぞれの役割や機能は異なります。以下にそれぞれの特徴と異なる点を詳しく説明します。
EPPの特徴
EPPは、エンドポイントを保護するためのプラットフォームで、主に以下の機能があります。
ウイルス対策:既知のウイルスやマルウェアの検出と削除を行います。
ファイアウォール機能:不正アクセスからエンドポイントを防御します。
脅威のブロック:リアルタイムで悪意のある活動をブロックする機能を提供します。
ポリシー管理:アクセス制御やセキュリティポリシーの適用を容易にします。
EDRとEPPの主な違い
EDRとEPPの違いは、主にその目的と機能にあります。以下の表に、両者の違いを簡潔にまとめました。
EDR
主な機能:検出と対応
リアルタイム監視:あり
インシデント対応機能:あり
ウイルス対策:主にウイルス感染後に被害を最小限に抑える
EPP
主な機能:防御と保護
リアルタイム監視:なし
インシデント対応機能:なし
ウイルス対策:主にウイルス感染前の防御や検知
このように、EDRはエンドポイントのセキュリティインシデントに対処するためのソリューションであり、その動的なアプローチが特徴です。一方で、EPPはより主に静的な防御機能を提供し、日常的なセキュリティを重視しています。この二つを組み合わせることで、より強固なエンドポイントセキュリティを実現することが可能です。
EDRとNGAVとの違い
EDR(Endpoint Detection and Response)とNGAV(Next-Generation Antivirus)は、いずれもエンドポイントセキュリティに関連する技術ですが、それぞれの目的や機能には大きな違いがあります。この章では、これら二つの技術の違いを明確にし、どのように使い分けるべきかを探ります。
NGAVの特徴
NGAVは以下のような特性を持っています。
従来のウイルス対策の進化: NGAVは従来のウイルス対策ソフトウェアに代わるもので、マルウェアやウイルスの検出能力を高めています。
機械学習とAI技術の活用: これにより、未知の脅威やファイルレス攻撃を効率的に検出する機能を備えています。
優れたユーザビリティ: エンドユーザーに優しいインターフェースを提供し、管理が容易です。
軽量化: 系統的な検出を行いながらも、システムのリソース消費を抑えます。
主な違い
EDRとNGAVの主な違いを以下の表にまとめます。
EDR
目的:脅威の検出と応答
機能:リアルタイム監視、フォレンジック機能
データ分析:リアルタイムおよび過去データの分析
対応能力:インシデント対応が主な機能
NGAV
目的:未知の脅威やマルウェアの検出と防御
機能:機械学習、ユーザビリティの向上
データ分析:リアルタイムの検出
対応能力:マルウェアの自動検出と防御が主な機能
このように、EDRは主に脅威の検出とその後の対応に重きを置いているのに対し、NGAVは主にエンドポイントのマルウェア防御に焦点を当てています。したがって、企業や組織のセキュリティニーズに応じて、これらの技術を適切に選定し、組み合わせて使用することが重要です。
EDR導入のメリット
EDR(Endpoint Detection and Response)は、現代のサイバーセキュリティにおいて重要な役割を果たします。その導入にはさまざまなメリットがあります。ここでは、EDR導入の主なメリットを詳しく解説します。
1. 複雑な攻撃への対応力の向上
EDRは、リアルタイムでの脅威検出と分析を可能にするため、複雑なサイバー攻撃を迅速かつ効果的に特定することができます。この機能により、以下のような利点があります。
高度な脅威の検知: EDRは、マルウェアやランサムウェアなどの新しい攻撃手法に対しても、高い検知能力を持っています。
異常行動のモニタリング: ユーザーやデバイスの異常な行動を監視し、未知の脅威やゼロデイ攻撃などに対しても早期に警告を発することができます。
2. 迅速な対応と修復能力
EDRは、潜在的な脅威を特定した後、迅速に対応するためのツールを提供します。これにより、企業は攻撃を受けた際のダメージを最小限に抑えることができます。具体的には以下の機能が含まれます。
自動修復: 攻撃を受けた際には、EDRが自動的に関連するシステムを隔離し、修復を行います。
フォレンジック分析: 攻撃後の事後分析が可能で、脅威の起因を特定し、再発防止策を講じることができます。
3. 統合的なセキュリティ管理
EDRは、他のセキュリティツールとも統合が可能です。これにより、組織全体のセキュリティ管理が容易になり、全体的な防御力を向上させることができます。
セキュリティ情報の集中管理: 複数のセキュリティソリューションからのデータを集約し、効果的な分析が行えます。
シームレスなインテグレーション: SIEM(Security Information and Event Management)やEPP(Endpoint Protection Platform)などとの連携がスムーズです。
4. コンプライアンスの強化
EDR導入により、業界規制やコンプライアンスの要件を順守しやすくなります。特に以下の点が重要です。
データ漏洩の防止: 様々なデータ保護機能を提供し、機密データの保護が強化されます。
監査対応の容易さ: EDRが記録したデータに基づき、迅速な監査対応が可能となります。
EDRの導入には、これらのメリットがあるため、組織のセキュリティ対策として非常に有効です。企業は、サイバー脅威の進化に対応するために、早急な導入を検討することが求められます。
EDRの選び方や比較ポイント
EDR(Endpoint Detection and Response)を選ぶ際には、さまざまな要素を考慮する必要があります。ここでは、EDRを選ぶための重要なポイントや比較基準を詳しく解説します。
1. 機能性
EDRの主な機能には、リアルタイムの脅威検知、詳細なデータ分析、インシデントレスポンス機能が含まれます。これらの機能が自社のニーズにどれだけ適しているかを評価しましょう。
リアルタイムでの脅威検知機能は非常に重要です。
異常な振る舞いを分析し、迅速に対応できる能力。
検知した脅威に対する自動応答機能があるか。
2. インテグレーション
EDRは、他のセキュリティソリューション(ファイアウォールやSIEMなど)との連携が重要です。相互にデータを交換しやすいかどうか、またはAPIが提供されているかを確認しましょう。
3. ユーザビリティ
EDRの管理インターフェースは直感的で使いやすいか、セキュリティチームが容易に操作できるデザインであることが求められます。煩雑な操作が必要な場合、時間がかかる可能性があります。
4. レポーティング機能
エンドポイントの健康状態や検知された脅威の詳細を可視化できるレポート機能があるか確認しましょう。これにより、経営陣への報告や戦略の見直しに役立ちます。
5. コスト
EDRの導入にかかる費用は、初期投資だけでなく、ライセンス費用、運用コストも含まれます。他社製品との総合的なコストを比較し、長期的な視点で考えましょう。
6. サポート体制
導入後のサポートが充実しているかどうかも重要なポイントです。トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえるか、技術支援が受けられる体制が整っているか確認しましょう。 これらのポイントを踏まえて、複数のEDR製品を比較し、自社のセキュリティニーズに最も合致した選択をすることが重要です。
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まとめ
EDR(Endpoint Detection and Response)は、現代のサイバーセキュリティにおいて欠かせない技術です。高度な脅威から組織を守るために、従来の防御手法に加え、迅速な検知と対応が求められています。EDRは、リアルタイムでエンドポイントを監視し、異常な挙動を即座に捉えることで、迅速な対応を可能にします。さらに、導入することで、企業はセキュリティ体制を強化し、脅威に対する防御を一層強化することができます。今後もEDRの重要性は高まる一方であり、企業の情報資産を守るためには、早期の導入と適切な運用が求められます。
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