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OpenAIは2026年7月29日、コードの脆弱性を発見・検証・修正する「Codex Security」のCLIとTypeScript SDKをApache License 2.0でオープンソース公開した
実体は「開発者が所有する、または調査を許可されたリポジトリ」を対象にした脆弱性スキャンツールで、リポジトリ全体・特定パス・Git差分・ワークツリーの変更を対象に選べる
CLIとSDKは限定ベータで、ローカルはChatGPTアカウント、CI/CDはAPIキーでログインする方式。Node.js 22以降・Python 3.10以降が必要
スキャン結果にはソースコードの抜粋や再現手順が含まれ得るため、保存場所とアクセス権限の設計が情シスの最初の論点になる
ChatGPT WorkやCodex同様、npmから誰でも導入できるため「会社の判断を待たずに開発者が使い始める」シャドーAIツール化のリスクも同時に考えておく必要がある
※本記事は2026年7月30日時点の公開情報に基づきます。ベータ版の仕様・提供条件は変更される可能性があるため、導入前に必ずOpenAI公式ドキュメントをご確認ください。
Codex Security CLIとは?
Codex Security CLIは、OpenAIがこれまでプラグイン形式で提供してきた脆弱性検出エージェント「Codex Security」を、誰でも導入できるコマンドラインツールとしてオープンソース化したものです。
2026年7月29日(現地時間)、OpenAIはコミュニティフォーラムおよびX(旧Twitter)で、Codex Security CLIの公開を発表しました。npmパッケージ@openai/codex-securityとしてインストールでき、GitHubリポジトリ(openai/codex-security)でCLIとTypeScript SDKがApache-2.0ライセンスのもと公開されています。OpenAI自身が投稿で明かしているように、実際にはひっそりとリリースしたところをHacker Newsに先に見つけられた形での公開だったとのことで、機能面ではまだ早期リリースの段階にあります。
Codex Securityという機能自体は今回が初出ではありません。すでにCodexアプリやCodex CLIの中でプラグインとして提供されており、2026年6月22日にはセキュリティ戦略「Daybreak」の拡張に合わせたアップデートも発表されています。今回のOSS化は、この既存機能をCLI単体としても、他のツールに組み込めるSDKとしても使えるようにした、という位置づけです。基盤となるCodex自体の全体像は、OpenAI Codexの情シス向け完全ガイドで解説しています。
なぜ今、CLIとしてオープンソース化されたのか
AIが書くコードの量が増えるほど、それを検証する仕組みもAIエージェント化させたいというベンダー側の思惑があり、OpenAI・Anthropic・Googleの主要3社がほぼ同時期に同種のツールを投入しています。
2026年に入り、AIコーディングエージェントによる開発が急速に広がる一方で、生成されたコードのセキュリティレビューが追いつかないという課題が指摘されてきました。OpenAIはこの課題に対し、脆弱性の発見だけでなくサンドボックスでの検証・修正案の提示までを一気通貫で行うエージェント「Codex Security」を段階的に展開してきた経緯があります。同時期には、Anthropicが「Claude Security」のプラグイン版をClaude Code向けにベータ公開し、Googleも脆弱性自動修復AIエージェント「CodeMender」のプレビューを開始しています。3大ベンダーがそろって「AIが書いたコードをAIがレビューする」仕組みを競うように投入している状況は、情シスにとって一過性の新機能ではなく、コードレビュー体制そのものの前提が変わりつつあるサインとして捉えるべきです。
なお、モデル側の防御力向上という観点では、OpenAIは2026年7月に自動レッドチーミング専用モデル「GPT-Red」も発表しており、GPT-Redの情シス向け解説記事で攻撃側AIの動向を整理しています。Codex Securityのような防御側ツールと合わせて押さえておくと、AIエージェントを取り巻くセキュリティの全体像がつかみやすくなります。
Codex Security CLIで何ができるのか
Codex Security CLIはリポジトリ・パス・差分のいずれも対象にでき、結果をCSV・JSON・SARIFで出力できるため、既存の脆弱性管理フローやCIパイプラインに組み込みやすい設計になっています。
主な機能は次のとおりです。
柔軟なスキャン対象:リポジトリ全体のほか、指定したパス、Gitの差分(コミット間・ブランチ間)、ワークツリー上の未コミット変更のいずれかを対象にスキャンできます
過去スキャンとの照合:過去の結果と現在の結果を突き合わせ、各検出事項を「新規」「継続中」「再発」「解決済み」「不明」のいずれかに分類します
検証と修正案の提示:検出した脆弱性の妥当性検証や、修正案の作成にも対応します
複数の出力形式:結果はCSV、JSON、SARIF形式で出力でき、既存のセキュリティ管理ツールやIssue管理と連携しやすくなっています
CI/CDへの組み込み:デフォルトでは結果の報告のみですが、
--fail-on-severityオプションで重要度のしきい値を指定すれば、基準以上の問題が見つかった際に終了コード1を返すよう設定できます。コミット前に変更内容を検査するGitフックの導入にも対応しますより広範な調査(deepモード):アーキテクチャー文書や脅威モデル、セキュリティポリシーをナレッジベースとして与えることで、システムの実態に即した評価を促す、より深いレビューモードも選択できます
コスト上限の設定:推定モデルコストが指定額(米ドル)を超えたらスキャンを停止する
--max-costオプションも用意されています
導入は次のコマンドで行います。
bash
ローカルではloginコマンドでChatGPTアカウントにサインインし、CI環境などの自動化されたワークフローでは代わりに環境変数OPENAI_API_KEYまたはCODEX_API_KEYにAPIキーを設定します。スキャン対象のパス、使用するモデル、推論レベルはオプションで指定可能で、infoサブコマンドで現在のデフォルト設定を確認できます。
情シスが確認すべき5つのポイント
Codex Security CLIは便利なツールである一方、通常の脆弱性スキャナーとは異なる論点をいくつか含んでいます。ここでは情シスが導入判断前に押さえておきたいポイントを整理します。
1. 専用の権限プロファイルで動作する
Codex Securityのスキャンは、通常のCodexセッションとは異なる専用の権限プロファイル(codex_security_scan)で実行されます。このプロファイルでは、ワークスペースのルートに加えて、スキャン結果の保存先への書き込みが許可されており、プロジェクト外にも結果を保存できる仕組みになっています。デフォルトの保存先は~/.codex/state/plugins/codex-security/scans/以下です。「プロジェクトの外にも書き込めるツールである」という前提を、端末管理・DLP側の設計に反映しておく必要があります。
2. スキャン結果に機密情報が含まれ得る
スキャン結果にはソースコードの抜粋や脆弱性の詳細、再現手順が含まれる可能性があります。OpenAIはこの点を踏まえ、結果をGitワークツリーの外に保存し、必要な担当者だけが閲覧できるようにすることを推奨しています。結果の保存場所とアクセス権限を、通常のソースコード管理とは別の統制対象として扱うのが安全です。
3. まだ限定ベータであり、不具合報告もある
CLIとSDKは限定ベータであり、利用には「Codex Security」へのアクセス権が必要です。実際に公開直後のバージョン0.1.1では、一部のWindows環境でスキャン結果を保存できず処理が完了しない問題が報告されました。OpenAIは短期間で修正版(0.1.3、続いて0.1.4)を公開していますが、早期リリース段階のツールであることを踏まえ、本番のCI/CDにいきなり組み込むのではなく、限定的なリポジトリでの検証から始める展開ペースが無難です。
4. 実行環境の前提条件が意外と多い
CLIとSDKはmacOS、Linux、Windowsに対応しますが、Node.js 22以降が必須です。加えて、スキャンの実行と検出結果のエクスポートにはPython 3.10以降も必要になります。アカウントやリポジトリによっては、リポジトリ全体のスキャンに「Trusted Access for Cyber」という追加のアクセス権が必要になる場合もあるため、対象リポジトリごとに利用条件を事前確認しておくと展開時のつまずきを減らせます。
5. 「誰が使い始めても不思議はない」導入のしやすさ
npmからnpm install @openai/codex-securityを実行するだけで導入できる手軽さは、裏を返せば、情シスの承認プロセスを経ずに開発者が個人のChatGPTアカウントで使い始められることを意味します。ソースコードという機密性の高い情報を扱うツールだからこそ、利用実態の可視化を選定と並行して進めるべきです。この考え方は、ChatGPT Work・Gemini Spark・Claude Cowork比較記事で整理した「選定と可視化は同時に進める」という原則にもそのまま当てはまります。
他のAIセキュリティスキャンツールとの位置づけ
Codex Security CLIは「AIエージェントがコードを書く時代のセキュリティレビュー」という同じ課題に対する、OpenAIなりの回答であり、単独ではなく他社の同種ツールと比較しながら評価すべき製品です。
近い時期に、Anthropicは「Claude Security」のプラグイン版をClaude Code向けにベータ公開しており、こちらもコマンド一つでリポジトリの脅威モデル構築・脆弱性発見・検証・修正案提示までを行う設計です。Claude Codeを開発部門で利用している企業であれば、統制の考え方はClaude Code企業利用の統制ガイドが参考になります。Anthropic製品全般の基礎情報はClaude(クロード)とは?の解説記事、MCP経由の認可統制についてはClaude Enterprise認証管理ガイドをあわせてご覧ください。
Googleも脆弱性自動修復AIエージェント「CodeMender」のプレビュー提供を開始しており、3大ベンダーがそろって同種の機能を投入している状態です。すでに開発部門でMCP経由の外部連携やAIコーディングエージェントを使っている場合、これらのセキュリティスキャンツール自体もMCPやAPIキーを介して社内システムに接続する新しい「エージェント」として扱う必要があります。ガバナンス設計の全体像はMCP企業導入の完全ガイドを参照してください。
情シスのための導入判断チェック
自社の状況から出発点を決めるのが最短ルートです。典型的なケース別に、確認すべき優先事項を整理します。
自社の状況 | 優先して確認すべきこと |
|---|---|
すでにCodex/ChatGPT Enterpriseを契約済み | 既存のChatGPTアカウント管理の枠組みでCodex Security利用を統制できるか、管理コンソール側の設定を確認 |
Claude CodeやCodeMenderなど他社ツールも候補 | 各ツールの権限プロファイル・データ送信先・出力形式を横並びで比較し、既存のセキュリティ管理ツールとの連携しやすさで選ぶ |
機密性の高いコード(NDA案件・規制対象システム等)を扱う | スキャン対象からの除外設計と、法務・情報セキュリティ部門への事前確認を導入前に完了させる |
まだ生成AIコーディングツールの利用ガイドラインがない | 製品選定より先に、npm経由で導入できるCLIツール全般の利用実態を可視化する仕組みを整える |
よくある質問(FAQ)
Q. Codex Security CLIとClaude Security、CodeMenderの違いは何ですか? A. いずれもAIエージェントによる脆弱性の発見・検証・修正を行う点は共通していますが、提供元の基盤モデルや実行環境、権限モデルが異なります。2026年7月時点でどれが最も精度が高いかを断定するのは時期尚早で、情シスとしては「自社がすでに使っている開発エージェント基盤との親和性」「データ送信先・保存先」「CI/CDへの組み込みやすさ」の観点で比較するのが実務的です。
Q. 無料で使えますか? A. CLIとSDKのオープンソース化自体はApache-2.0ライセンスによるものですが、利用にはCodex Securityへのアクセス権が必要な限定ベータです。実行時にはChatGPTアカウントまたはAPIキーによる認証が必要で、モデル推論のコストも発生するため、実質的な費用は既存のChatGPT/Codex契約プランと利用量に左右されます。
Q. ソースコードは社外に送信されますか? A. スキャンはOpenAIのモデル推論を経由するため、対象コードの内容がOpenAI側に送信される前提で評価する必要があります。機密性の高いプロプライエタリコードや、NDA・規制対象データを含むリポジトリを対象にする場合は、事前に自社の情報セキュリティポリシーや契約上の制約との整合性を確認してください。
Q. 今すぐ全社導入すべきですか? A. 公開直後のバージョンでWindows環境の不具合が報告された経緯もあり、早期リリース段階のツールとして扱うのが妥当です。まずは限定的なリポジトリでの検証を行い、保存先・権限・CI組み込み時の挙動を確認したうえで、段階的に展開範囲を広げることをおすすめします。
まとめ:選定と可視化は同時に進める
2026年7月、OpenAIのCodex Security CLIのオープンソース公開により、AIによる脆弱性スキャンは「Codexというプラットフォームの中の一機能」から「npmで誰でも導入できるツール」に変わりました。便利さが増した分、情シスが把握すべき論点も、スキャン結果の保存先、専用の権限プロファイル、そしてベータ版特有の不具合リスクへと広がっています。
製品としての採用可否を検討することと、すでに開発者が個人のChatGPTアカウントで使い始めていないかを可視化すること——この2つは順番に行うものではなく、並行して進めるべきテーマです。
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監修
Admina Team
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