>
>
公開日
最終更新日
SMPとは、SaaS Management Platformの略で、社内に散らばったSaaSの利用状況、契約、ライセンス、アカウントを一元管理する仕組みです。SaaS管理プラットフォームは、50名を超えてSaaSが10個以上になった企業や、300名超で退職者処理・監査対応・コスト最適化に限界が出た情シスに特に向いています。
2026年にかけては、従来のシャドーITに加え、ChatGPTやClaudeなどの個人利用によるシャドーAI、個人情報保護法見直しに伴うデータマッピング、APIキーや自動化ボットの管理が論点になっています。この記事では、SMPの意味から実務での選び方までをまとめます。

SMP(SaaS管理プラットフォーム)とは
本記事のポイント
SMPとは、社内SaaSの利用状況、コスト、アカウント、契約を一元管理する基盤です。
IDaaSは認証、CASBは通信制御、SSPMは設定監査、SMPはSaaSライフサイクルと費用管理を担います。
2026年の情シスでは、シャドーAI対策と個人情報のデータマッピングがSMP導入理由に加わっています。
50名未満は台帳管理から始め、50〜300名はSMP検討、300名超は人事・ID基盤との自動連携が必要です。
SMPは、ビジネスやIT管理の文脈ではSaaS Management Platform、つまりSaaS管理プラットフォームを意味します。対称型マルチプロセッシングを指すSMPとは別の用語で、情シス領域ではSaaS管理の仕組みを指します。
企業では部署ごとにSaaS契約が増え、誰が、どのSaaSを、どの権限で、いくら使っているかを把握しにくくなっています。株式会社アイ・ティ・アールの国内SaaS管理市場規模推移および予測によると、国内SaaS管理市場は2024年度に売上高27億円、前年度比58.8%増となり、2029年度には90億円規模、CAGR27.8%に拡大すると予測されています。
2026年にかけての個人情報保護法の3年ごと見直しでは、課徴金制度、漏えい報告、委託先管理の強化が論点になっています。顧客データがどのSaaSに保存され、誰がアクセスできるのかを台帳化するデータマッピングは、監査対応と委託先管理の前提になります。IPAが公開するSCS関連情報のようにサプライチェーン全体でセキュリティ確認が進む流れもあり、SMPは単なる家計簿ではなくガバナンス基盤になっています。
SMPとIDaaS・CASB・SSPMの違いと補完関係
SMPはIDaaS、CASB、SSPMの代替ではなく、SaaSの台帳・費用・ライフサイクルを補完する管理基盤です。
OktaやMicrosoft Entra IDなどのIDaaSを導入していても、SSO連携していないSaaS、個人クレジットカードで契約されたSaaS、APIキーで動く自動化ボットまでは十分に見えません。SMPは認証の入口だけでなく、利用実態と契約実態を突き合わせる役割を持ちます。
分類 | 主な役割 | 見える範囲 | 限界 |
|---|---|---|---|
SMP | SaaS管理、契約、ライセンス、JML管理 | 利用者、費用、契約更新、未使用ライセンス、退職者アカウント | 認証の強制や通信遮断はIDaaSやCASBと組み合わせます |
IDaaS | SSO、多要素認証、アクセス制御 | SSO連携済みアプリと社員ID | SSO非対応SaaSや個別契約の費用は追いにくいです |
CASB | クラウド利用の通信監視と制御 | 通信ログ、未許可クラウドへのアクセス | 契約台帳やライセンス最適化は主目的ではありません |
SSPM | SaaS設定不備の検知 | 外部共有、MFA未設定、権限過多などの設定リスク | 入退社に伴うアカウント発行・削除の運用までは担いません |
近年は、社員のIDだけでなく、APIキー、OAuth連携アプリ、ZapierやMakeなどのiPaaSボット、CI/CDのサービスアカウントといった非人間アイデンティティも管理対象です。退職者本人のIDを止めても、その人が作成したAPI連携が残ると、SaaS間でデータが動き続ける場合があります。SMP、IDaaS、SSPMを組み合わせ、誰の業務目的で作られた連携かまで台帳化します。
SMPを導入するメリットと最新の実態データ
SMPの導入効果は、不要ライセンス削減、退職者アカウント削除漏れの防止、監査対応の短縮に表れます。
スマートキャンプのSaaS業界レポートでは、国内企業のSaaS導入率は全国平均31.8%、関東エリアでは49.8%です。freeeの情シスのSaaS利用実態調査レポートでは、有償SaaS利用企業は61%で、その半数以上が6個以上のSaaSを利用しています。中堅・大手では50〜100個以上のSaaSを併用する状態が珍しくありません。
コスト面では、SMPによって未使用アカウント、高額プランの使い過ぎ、重複契約を検出できます。Gartnerのソフトウェア資産管理関連リサーチでも、未使用・重複ライセンスの削減はコスト最適化の主要テーマとして扱われています。国内事例では、ナイル株式会社がマネーフォワード Adminaで年間640万円のコスト削減を実現し、弁護士ドットコム株式会社は約90万円の無駄なライセンスコストを検出、株式会社RevCommは年間130万円のコスト最適化を実現しています。
規模別の導入判断目安
企業規模によって、SMP導入の優先順位は変わります。
規模 | よくある状態 | 推奨対応 |
|---|---|---|
50名未満 | SaaS数が少なく、管理者が利用状況を把握できます | スプレッドシート台帳と申請ルールを整えます |
50〜300名 | 部門契約や退職者アカウント削除漏れが増えます | SMPでSaaS台帳、費用、JML管理を統合します |
300名超 | SaaSが50個以上になり、監査・棚卸しが手作業では回りません | 人事SaaS、IDaaS、経費データとSMPをAPI連携します |
SmartHRが2026年5月に実施した調査では、IT担当者の85.1%が取引先からセキュリティ対策状況の報告を求められた経験があるとされています。SaaS台帳が整っていない企業では、監査のたびに各部署へ確認する作業が発生します。
SMPを取り巻く最新動向とシャドーAI
2026年のSMPは、SaaS管理だけでなくChatGPTやClaudeなどのシャドーAI管理にも使われます。
従来のシャドーITは、未承認のWebストレージやチャットツールの利用が中心でした。現在は、個人アカウントの生成AIに社外秘資料、顧客情報、会議議事録、ソースコードを入力し、学習利用のオプトアウト設定も確認されないまま外部に出るリスクが大きくなっています。SIGNATE総研やPwC Japanの調査では、国内企業の従業員の34.8%〜52%が、会社の正式な許可を得ずに個人のAIツールを業務利用した経験があると回答しています。
IPAの情報セキュリティ10大脅威 2026でも、生成AIの無断利用に関連する脅威が注目されています。SMPはAIツールもSaaSの一種として台帳化し、SSO連携、支払い履歴、ブラウザ利用履歴、OAuth連携を手掛かりに、誰がどのAIサービスを業務利用しているかを把握します。
生成AIセキュリティのベストプラクティス
業務利用を一律禁止にせず、学習利用オプトアウトや法人契約の条件を満たす公認AIを用意します。
顧客情報、個人情報、未公開財務情報、ソースコードなど、入力禁止データを分類して明文化します。
AIサービスの管理者、契約形態、データ保持設定、外部連携アプリをSMPの台帳に登録します。
個人契約のAI利用が検出された場合は、処罰よりも業務要件を確認し、安全な代替手段へ移行します。
SMPの基本的な機能とデータ収集の仕組み
SMPはAPI、SSO、経費データやブラウザ拡張を組み合わせ、APIだけでは見えないSaaSまで可視化します。
データ収集の3重メッシュ
多くの企業で誤解される点は、SaaS APIに連携すれば全社利用がすべて見えるという考えです。実際には、API非対応の国産SaaS、部門がカード決済した未承認SaaS、個人アカウントのAIツールが残ります。そのためSaaSクラウド管理プラットフォームでは、次の3系統を重ねます。
API直接連携:Google Workspace、Microsoft 365、Slack、Salesforceなどからユーザー、権限、利用状況を取得します。
IDaaS・SSO連携:OktaやMicrosoft Entra IDなどから、SSO対象アプリとログイン状況を取得します。
経費精算データ・ブラウザ拡張:請求書、クレジットカード明細、ブラウザ利用履歴から、情シスが知らない支払いと利用を検知します。
ライフサイクル管理と自動化
SMPは入社、異動、退職に伴うJoiner、Mover、Leaverの処理を自動化します。SmartHRなどの人事労務SaaSをマスターにし、入社日に必要なSaaSアカウントを発行し、退職日に一括停止する設計にすると、手動削除漏れを減らせます。PCやスマートフォンのMDM、IT資産管理と従業員IDを紐付けると、SaaSとデバイスを同じ退職フローで処理できます。
契約・コスト・リスクの可視化
契約更新日、月額費用、利用頻度、管理者権限、外部共有設定を同じ画面で見られる点もSMPの基本機能です。利用頻度が低い高額プラン、退職者に残ったライセンス、オーナー不明のAPI連携を検出し、削除またはダウングレードの判断につなげます。
よくある誤解・SaaS管理の失敗パターンと対策
SMPは導入するだけでは効果が出ず、検出できない領域を前提に運用ルールを設計する必要があります。
失敗1:ツール依存で未検出SaaSを見落とします
API連携だけに頼ると、API非対応SaaSや個人カード決済のSaaSは台帳に入りません。IDaaSのアカウントを無効化しただけで退職処理を完了扱いにするのも危険です。経費精算、請求書、ブラウザ拡張、部門申請を組み合わせ、SMPの検知範囲を補完します。
失敗2:厳格すぎる一律禁止で利用が隠れます
未承認SaaSや生成AIを見つけるたびに禁止だけで対応すると、現場は個人スマートフォンや私用メールで使い続けます。禁止ではなく管理を前提にし、必要性を確認したうえで、SSOと監査ログが効く公認SaaSや法人向けAIへ移行します。
失敗3:手動台帳がすぐに形骸化します
棚卸しを一度実施しても、人事異動、兼務、退職、組織変更が続くと台帳はすぐ古くなります。SmartHRやMicrosoft Entra IDなどの人事・ID基盤とSMPをリアルタイムAPI同期し、人が台帳を直接更新し続ける運用をやめます。
30日で始めるSaaS管理チェックリスト
1〜3日目:全社で利用中の主要SaaS、契約管理者、支払方法を洗い出します。
4〜10日目:退職者アカウント、SSO連携外SaaS、外部共有設定を確認します。
11〜20日目:経費精算データと請求書から未承認SaaS、個人契約AIを抽出します。
21〜30日目:人事マスター、IDaaS、SMPを連携し、入退社時の自動停止フローを作ります。
マネーフォワード Adminaなら、SMP導入の効果を最大化
マネーフォワード Adminaは、SaaS台帳、アカウント管理、コスト最適化、棚卸し自動化をまとめて進めたい企業に適したSMPです。
マネーフォワード Adminaは、旧マネーフォワード IT管理クラウドとして提供されていたSaaS管理プラットフォームです。Slack、Microsoft 365、Salesforce、Google Workspaceなどの主要SaaS連携に加え、API非対応SaaSを管理するためのカスタムアプリ登録やCSV取り込みにも対応します。
導入初期の難所は、情シスが知らないSaaSを各部署から集める作業です。Adminaのサーベイ機能を使うと、現場担当者へ利用確認を送り、回答をもとに台帳化できます。API、SSO、経費データ、現場回答を組み合わせることで、未使用ライセンス、退職者アカウント、シャドーIT、シャドーAIの検知精度を高められます。
SaaS管理は、初期棚卸しで終わらせず、入社・異動・退職のたびに自動更新される状態を作ることが成果につながります。まずは無料トライアルで、自社に残っている未使用ライセンスと退職者アカウントを確認すると、削減余地を短期間で把握できます。
よくある質問(FAQ)
Q:SMPのSMPとは何の略ですか?
A:SMPはSaaS Management Platformの略です。ビジネスや情シスの文脈では、SaaS管理プラットフォームを意味します。
Q:SMPとIDaaSは何が違いますか?
A:IDaaSはSSOや多要素認証でログインを管理する仕組みです。SMPはSaaSの利用状況、契約、費用、退職者アカウントまで管理します。
Q:SMPはどの規模から必要ですか?
A:従業員50名を超え、利用SaaSが10個以上になったら検討します。300名を超える企業では、人事SaaSやIDaaSと連携した自動管理が必要です。
Q:SMPでシャドーAIは管理できますか?
A:SMPは、SSO、経費データ、ブラウザ利用履歴などからAIツールの業務利用を可視化できます。ただし、入力禁止データや公認AIの運用ルールも併せて整備します。
Q:API非対応のSaaSはどう管理しますか?
A:API非対応SaaSは、CSV取り込み、カスタムアプリ登録、経費精算データ、現場サーベイで補完します。APIだけに依存しない設計がSaaS管理の前提です。
まとめ
SMPは、SaaSの台帳作成だけでなく、退職者アカウント削除、不要ライセンス削減、シャドーAI対策、監査対応を支える基盤です。明日から始めるなら、まず利用中SaaS、契約管理者、支払方法、退職者アカウントの4点を棚卸しします。そのうえで、IDaaS、経費精算、人事SaaSとSMPを連携し、手動で台帳を更新し続ける運用から脱却します。
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
情シス業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード Adminaが提供します。
SaaS・アカウント・デバイスの管理を自動化し、IT資産の可視化とセキュリティ統制を実現。
従業員の入退社対応や棚卸し作業の工数を削減し、情報システム部門の運用負荷を大幅に軽減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層のすべてに頼れるIT管理プラットフォームです。




