クラウド管理とは? クラウドの種類やメリットデメリットを解説
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橋爪兼続
Jul 21, 2023
クラウド管理とは
最近、テレワークが盛んに行われるようになりました。その過程でクラウドサービスの導入が進み、クラウド管理という概念が現われるようになり、その重要性は日々高まってきています。この記事では、そもそもクラウド管理とはどういうものなのかということについて、解説します。

そもそもクラウドとは何でしょうか。
従来は、自社でシステムを構築し、そのシステムの運用までを自社で行っていました。これをオンプレミスと言います。オンプレミスでは、自社でシステムを保有しているため、システムを柔軟にカスタマイズしやすく、セキュリティの安全性が高いものでした。しかしながら、初期費用が非常に高く、システム導入後の資産管理が必要となります。
一方でクラウドでは、システムに必要な機器を自社で保有しません。具体的には「Gmail」や「Googleカレンダー」等のインターネットを経由するアプリケーションに利用されています。メリットとしては、既存のシステムを利用するため、初期費用が安くなること、導入が簡単でスムーズに利用を開始できること、ネットワークを介して場所を問わず利用できること、等があげられます。一方で、自由にカスタマイズができなかったり、長期的に見るとコストが高くなる可能性があったりとデメリットもあります。
オンプレミスでは、管理は自社内システムのみとなり、管理は非常に簡単でした。一方でクラウドは、社外にシステムがあるので、どのように管理するかが重要になります。クラウド管理とは、企業などで利用しているクラウドサービスを管理することです。具体的には、「いつ」「誰が」「どのように」「どのくらい」使用されているかを把握し、管理します。

クラウド環境の種類?
クラウド環境には、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドの3種類あります。 プライベートクラウドは、自社専用のクラウド環境を構築します。従って、社内のみで占有して使用することができます。メリットとしては、クラウド基盤のカスタマイズや障害時の対応がしやすい、セキュリティ面で優れる等があげられます。一方でデメリットとしては、初期費用が高い、リソース増減に対応しにくい、利用開始までに時間がかかる等が挙げられます。 パブリッククラウドは、クラウドサービスのプロバイダーが提供する環境を使用します。そのため、インターネットを介して複数のユーザで共有して利用します。メリットとしては、複数のユーザで共有するためコストが安くなる、運用保守はプロバイダーが行うためシステム管理者の負担が減る、プロバイダーにより障害対策が充実している、必要な分だけ利用可能である等があげられます、一方で、障害発生時にユーザーが状況把握やコントロールできない、データの保管場所が自社の外部になる等のデメリットもあります。 ハイブリッドクラウドは、パブリッククラウドやプライベートクラウド、オンプレミスのサーバー等の異なる種類のサービスを組み合わせた環境です。メリットとしては、セキュリティ確保と負荷分散、リスク分散、コストの最適化等があります。一方で、複数のシステムを組み合わせるため、システム構成・運用が複雑になるというデメリットもあります。

クラウドサービスの種類
クラウドサービスには「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類あります。
SaaSは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをインターネット経由で使用できるようにしたサービスです。従来であれば、ソフトウェアを各端末にインストールして使用していましたが、SaaSでは、ユーザがインストールする必要がありません。具体的にはGoogle Apps等が該当します。ユーザにとってのメリットは、インストール不要、使用する期間のみコストがかかる、アップデートを行わなくても常に最新バージョンが利用できる等があります。
PaaSは、Platform as a Serviceの略で、SaaSで提供されるアプリケーションの開発環境を提供するサービスです。これはプラットフォームである、OSやサーバーなどを開発するための機能が一式利用することができます。具体的には、Google App Engine等が該当します。開発者にとってのメリットは、通常はアプリケーション毎に開発環境を構築する必要がありますが、PaaSでは構築する必要が無く、開発のみを行えることです。
IaaSは、Infrastructure as a Serviceの略で、OSやサーバーやネットワーク機器などのインフラを提供するものです。開発者は、開発環境を仮想的に全て構築可能ですが、サーバーの選定や各種設定等も行わなければならないため、システムの運用や保守に必要な作業が複雑になります。具体的にはAmazon Web Service等があります。開発者のメリットは、カスタマイズ性が非常に高いことです。
クラウドサービスのメリット

メリットとしては、導入コスト削減、運用負担の軽減、アクセス場所の制限がない、BCP対策に繋がる等があります。
①導入コスト削減
クラウド管理では、ソフトウェアを用意する必要が無く、初期投資を削減できます。また、プロバイダーが設定している料金を支払うことで、すぐに利用することが可能です。従って、システム導入までの期間短縮、初期費用の削減に繋がります。
②運用負担の軽減
オンプレミスでは、各機器のメンテナンスや管理費などが発生し、障害が発生した際は自社で対応する必要があります。しかしながら、クラウド管理では、プロバイダーがこれらに対応するので、運用負担が軽減されます。
③アクセス場所の制限がない
クラウド管理では、インターネットが接続されていれば、場所を問わず利用することができます。従って、テレワーク等に柔軟に対応可能です。
④BCP対策
BCPとは、Business Continuity Planの略で、事業継続計画とも訳されます。クラウド管理では、自社にシステムがないため、事務所が被災した場合でも事業を継続することができます。また、プロバイダーも複数拠点にシステムを分散して管理していることが多く、プロバイダーが被災しても継続してサービスを受けることができます。
クラウドサービスのデメリット

デメリットとして、拡張性が低く、セキュリティ上の不安が挙げられます。
①拡張性が低い
オンプレミスに比較すると、サービスプロバイダーにより利用できる機能に制限がかかります。また、場合によっては、自社に不要な機能が搭載されていることもあります。
②セキュリティ上の不安
オンプレミスでは、全て自社で設定可能ですので、詳細な所まで確認可能です。クラウド管理の場合は、インターネット経由でどこからでもアクセスできる一方、そのセキュリティが適切かどうかについて、詳細はサービスプロバイダーに一任されています また、データの保管場所は自社以外の場所となるため、セキュリティポリシーや保護方針などについても確認する必要があります。

まとめ
クラウドサービスの利用が増えるにつれ、その管理をどのようにすればよいかという課題が増えました。、また、単純にすべてのサービスをクラウドサービスに移行すれば良いという訳ではありません。どのシステムを移行すべきか、また、どのサービスが最適かしっかりメリットとデメリットを検討した上で導入する必要があります。


執筆者:
橋爪兼続
ライトハウスコンサルタント代表。2013年海上保安大学校本科第Ⅲ群(情報通信課程)卒業。巡視船主任通信士を歴任し、退職後、大手私鉄の鉄道運行の基幹システムの保守に従事。一般社団法人情報処理安全確保支援士会の前身団体である情報処理安全確保支援士会の発起人。情報処理安全確保支援士(第000049号)。
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