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Admina Team
2025/06/13
ビジネスにおけるシステム復旧の計画を考える際、RTO(Restore Time Objective)とRPO(Restore Point Objective)は欠かせない指標です。RTOは、システムが復旧するまでの時間を示し、RPOはデータロスを最小限に抑えるためにいつまでのデータを復旧させるかの時間基準を示します。本記事では、RTOの定義やRPOとの違い、さらに具体的なRTOの設定方法について詳しく解説します。これにより、効果的な災害対策を策定する際の知識を深めていきます。
RTOとは
RTOは障害や災害が発生した場合に、システムやサービスが復旧するまでの最大許容時間を示す指標です。企業や組織にとって、この数値は非常に重要であり、業務の継続性を確保するために不可欠な要素となります。
具体的には、RTOは業務が中断した際に、どのくらいの時間内にサービスを復旧させる必要があるのかを示しています。例えば、ある企業がRTOを2時間に設定している場合、障害が起きてから2時間以内にサービスを復旧させる必要があります。この目標を達成することで、業務への影響を最小限に抑えることができます。
RTOの重要性
RTOの設定は、企業のリスク管理戦略において基本的な要素です。適切に設定することで、企業は以下のような効果を得ることができます。
まず、業務の継続性を確保することで、顧客への信頼を維持することができます。また、迅速な復旧を可能にするための具体的な計画を策定することが促進され、これにより実際の復旧作業をスムーズに行うことが可能です。さらに、RTOを明確に定義することで、必要なリソースや投資を適切に見積もることができ、結果としてコストの最適化にも繋がります。
RTOの設定基準
RTOを設定する際には、いくつかの基準が考慮されます。まず、業務の重要度や影響度を評価することが不可欠です。例えば、顧客対応に関わるシステムがダウンすることは、高いリスクを伴うため、短いRTOが求められるでしょう。一方で、内部の管理システムのダウンは、少し長めのRTOが許容されるかもしれません。
また、業種や市場競争の状況も影響を与えます。例えば、IT業界では迅速な復旧が求められる一方、製造業では少し余裕を持った設定が可能です。このように、RTOは単なる時間の指標ではなく、企業の戦略に基づいた重要な決定事項です。
RPOとRTOの違い
RPO(Recovery Point Objective)とRTO(Recovery Time Objective)は、障害復旧やビジネス継続計画において重要な概念ですが、それぞれ異なる目的を持っています。ここでは、その違いを詳しく解説します。
RPOの定義
RPOは、データの損失を許容する最大の時間を示します。具体的には、ある時点からどれくらいのデータを失っても業務に支障をきたさないかという基準を設定します。例えば、RPOが4時間の場合、障害発生時から最長でも4時間前のデータに戻すこと必要です。この基準は、バックアップの頻度に影響を与えます。
RTOの定義
一方、RTOは、システムが故障したり、ダウンしたりした場合に、業務の停止を許容する最大の時間を示します。こちらの目標が設定されていると、例えば障害発生から2時間以内に業務が再開できるような手順を整えておく必要があります。RTOは、システムの復旧に関する重要な目安となります。
RPOとRTOの相違点
RPOとRTOは、データ復旧とシステム復旧の観点から異なります。RPOはデータの損失を最小限に抑えることを目的としているのに対し、RTOは業務再開までの時間を重視します。これらを適切に理解することで、企業はより効果的なBCP(Business Continuity Plan)を構築することができるのです。
さらに、RPOとRTOの設定は、業務の特性やリスクに応じて異なります。例えば、金融業界ではデータの損失が重大な影響をもたらすため、短いRPOが求められます。一方で、製造業では多少のデータ損失が許容されることもあるため、RPOが長く設定されることがあります。
このように、RPOとRTOを明確に理解し、適切に設定することは、企業の災害対応力を高め、業務の存続を確保するために不可欠です。
RTOの設定方法
RTOの設定方法は、企業や組織が災害やシステム障害発生時にどれだけ迅速に復旧できるかを判断するための重要なプロセスです。この設定を正確に行うことは、事業の持続性を確保するために欠かせません。
まず始めに、RTOを設定するためには、ビジネスの運営における重要な要素を理解する必要があります。具体的には、主要業務プロセスを特定し、それに基づいて復旧の優先順位を決めることが重要です。
1. 業務プロセスの特定
最初のステップは、各業務が持つ重要性を評価し、それに応じた優先順位をつけることです。例えば、生産ラインが停止した場合、その影響は収益に直結します。このような場合、RTOは短縮されるべきです。一方、バックオフィスのシステムは、数日間の停止が業務に大きな影響を与えないこともあります。
2. 影響分析の実施
次に、各業務が停止した場合の影響を分析します。このプロセスでは、影響を受ける顧客や取引先の数、損失の金額、業務停止の期間による影響を考慮し、各業務のRTOを算定します。
3. 現行システムの評価
RTOを設定するためには、現在のシステムやインフラの評価も不可欠です。どの程度の時間とリソースで復旧できるのかを把握するために、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの現状を分析します。これにより、現実的なRTOを設定することが可能になります。
4. ステークホルダーとの協議
RTOを設定する過程では、各部門の責任者やステークホルダーとの協議が欠かせません。ステークホルダーの意見を聞くことで、業務の本質や重要性についての理解が深まり、より正確な設定ができるようになります。また、全体的なリスク管理戦略との整合性も考慮することが求められます。
5. 定期的な見直し
最後に、設定したRTOは一度決めたら終わりではありません。市場環境の変化や業務の内容が変わることで、RTOも見直しが必要になります。定期的に評価し、必要に応じて更新を行うことで、常に最適なリカバリー戦略を維持することが可能です。

まとめ
RTOとは、業務回復に必要な時間を示す重要な指標です。運用の継続性を確保し、ビジネスの信頼性を高めるために、RTOを正確に設定することが不可欠です。RPOとの違いを理解することで、適切なリスク管理が可能となり、業務の透明性が向上します。これらを踏まえてRTOを明確に設定することで、組織は効果的なBCP(事業継続計画)を構築し、変化する環境に柔軟に対応する力を備えることができます。

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