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キッティングの語源は英語の kit、つまり装備一式を準備することです。IT業界では、PC・スマートフォン・iPadなどを従業員がすぐ使える状態に整え、企業のセキュリティポリシーを適用する作業を指します。
2026年の情シスでは、Windows 10サポート終了後の残存PC対応、2026年10月13日に迫るWindows 10 ESU 1年目の区切り、Microsoftライセンス条件の変化が重なっています。本記事は、50台未満の内製担当者、50〜300台の兼任情シス、300台超の大規模展開担当者が、キッティングとセットアップの違い、外注費用、自動化ツール、ゼロタッチ移行を判断できるよう整理します。
この記事でわかること
セットアップは1台を使える状態にする作業、キッティングは複数台を同じ品質で展開する業務です。
PCキッティングの本質は、OS設定だけでなくEDR、暗号化、MDM、資産台帳まで統制することです。
50台未満は内製、50〜300台は部分外注、300台超は外部委託またはゼロタッチ化が現実的です。
2026年7月以降は、従来型クローニングのライセンス確認とAutopilot・PPKGへの移行計画が必須です。

キッティングとは
キッティングとは、複数台の端末に企業ポリシーを統一・標準化して適用する組織的工程です。
ITにおけるkittingとは、端末、アカウント、アプリ、セキュリティ設定、管理台帳を一式で準備し、業務開始日に使える状態へそろえることを意味します。個人利用の初期設定ではなく、法人端末を監査可能な状態にする点が特徴です。
比較軸 | セットアップ | キッティング |
|---|---|---|
対象 | 1台または個人利用端末 | 複数台の法人端末 |
目的 | 端末を起動し、基本機能を使える状態にする | 全社標準の構成、セキュリティ、管理ルールを統一する |
主体 | 利用者、販売店、個別担当者 | 情シス、キッティング業者、MDM管理者 |
含まれる範囲 | OS初期設定、初回ログイン、基本アプリ設定 | OS設定、アプリ配布、暗号化、MDM登録、資産台帳登録、配送、回収設計 |
評価基準 | その1台が使えるか | 全台で設定漏れなく同じ統制が効いているか |
▲ セットアップとキッティングの主な違い。対象台数・目的・評価基準の3点が実務上の境界線です。
2026年の情シスがキッティングを急ぐ理由
Microsoftの公式ライフサイクル情報では、Windows 10 Home and Proのサポートは2025年10月14日に終了しています。1年目のESUで延命した企業でも、2026年10月13日を区切りに残存PCの更新計画を再確認する必要があります。参照:Microsoft Windows 10 Home and Pro ライフサイクル
MM総研が2025年10月に発表した法人PC運用管理・保守サービス市場調査では、2025年度の市場規模は3,464億円、2026年度は3,577億円の見通しです。PC調達、キッティング、運用、廃棄までをまとめるLCM需要は、Windows 11移行後も高水準で続きます。参照:MM総研 法人PC運用管理・保守サービス市場調査
キッティング後のライフサイクル管理を見据え、法人・企業用IT資産と社用デバイスを一元管理する方法について体系的に理解しておくことが重要です。
キッティングを終えた後のデバイスを適切に統制するために、法人・企業用IT資産と社用デバイスを一元管理する方法もあわせて確認しておきましょう。
▲ 個人用の「セットアップ」と法人組織用の「キッティング」の違い
見積書で混ざるキッティングとセットアップの境界線
外注見積では、全台共通の土台作りをキッティング、利用者ごとの環境構築をセットアップとして分けると費用重複を防げます。
見積書の項目が「初期設定一式」だけの場合、全台に一括適用できる作業と、1台ずつ手作業が必要な作業が混ざります。発注前に「全台共通」「部署別」「個人別」の3階層で切り分けると、単価比較の前提がそろいます。
区分 | 主な作業 | 自動化しやすさ | 見積時の確認点 |
|---|---|---|---|
共通キッティング | OS更新、標準アプリ、EDR、BitLocker、MDM登録、資産ラベル貼付 | ◎ 高い | 1台単価・マスター作成費・検証費を分けて確認する |
部署別キッティング | 営業用CRM、開発用ツール、経理用ソフト、プリンタードライバー | △ 中程度 | 部署別テンプレート数と追加単価を確認する |
個別セットアップ | 個人アカウント、個別Wi-Fi、ローカルデータ移行、利用者固有設定 | ✕ 低い | 対象者数・現地対応有無・再作業費を確認する |
▲ 3階層に切り分けると、自動化できる範囲と手作業が残る範囲が明確になります。
コストを抑える基本は、共通キッティングをクローニング、PPKG、MDM、Autopilotなどで一括処理し、個別セットアップを最小限に絞ることです。PCキッティングを複数社で比較する際は、単価だけでなく、個別作業がどこまで含まれるかを同じ条件で確認します。
共通作業と個別作業の切り分けと併せて、運用の安定化に不可欠なキッティング標準化に向けた4ステップも事前に確認しておきましょう。
見積書の見極めや委託先との役割分担をよりスムーズに進めたい方は、キッティングのアウトソーシング費用相場や失敗しない業者選定ガイドをご活用ください。
キッティングの費用相場と外注・内製の判断基準
キッティングの外注費用相場は、基本作業で1台3,000〜5,000円、標準的な法人PC設定で1台7,000〜12,000円が目安です。
実際の費用は、アプリ数、MDM登録、個別配送、初期不良対応、パイロット検証の有無で変わります。内製と外注の比較では、請求単価だけでなく情シス担当者の時間的コストを含めて判断します。
作業種別 | PC1台あたりの費用目安 | 主な内訳 | 注意点 |
|---|---|---|---|
基本キッティング | 3,000〜5,000円 | 開梱・初回起動・OS初期設定・管理ラベル貼付・簡易確認 | セキュリティ設定は別料金になりやすい |
標準キッティング | 7,000〜12,000円 | Microsoft 365・VPN・EDR・暗号化・Entra ID参加 | 個別設定の範囲を明細化する |
高度キッティング | 15,000〜25,000円 | Intune・Windows Autopilot・ABM・MDM連携・ゼロタッチ設計 | 初期設計費が別途発生しやすい |
初期設計・検証(一式) | 50,000〜200,000円 | 標準仕様書・パイロット展開・手順書作成 | 後続台数が多いほど1台あたりコストを回収しやすい |
▲ 目安単価。実際の費用は要件により変動します。必ず複数社から見積もりを取得してください。
※上記は複数の公開料金表および情シス向け見積事例をもとにした目安であり、実際の費用は要件で変わります。必ず複数社から見積もりを取得してください。
規模別の判断目安
導入規模 | 推奨体制 | 判断理由 |
|---|---|---|
50台未満 | チェックリストを整備した内製 | 作業ばらつきは管理可能で、外注初期費用の比率が高い |
50〜300台 | 標準作業を外注し、個別設定は情シスが確認 | 繁忙期の作業集中を避けつつ、利用者固有要件を吸収できる |
300台超 | 外部委託またはゼロタッチへ全面移行 | 手作業の隠れコストと品質リスクが単価差を上回る(300台×45分=225時間、人件費換算約90万円) |
▲ 規模別の判断はあくまで目安です。繁忙期集中・拠点分散・セキュリティ要件によって最適解は変わります。
手作業で1台45分かかる場合、300台では225時間です。担当者の時間単価を4,000円で置くと人件費だけで90万円となり、問い合わせ対応やセキュリティ改善の時間も失います。マクロミルの2025年調査では、従業員100名以上の企業1,030社において、PC運用・管理で負担の大きい業務の3位に「導入時の対応(キッティング)」が挙がっています。
レンタル・中古端末キッティングの広がり
MM総研の2025年発表では、運用保守BPO・LCMサービス市場は2023年度1,356億円から2027年度1,713億円へ拡大する予測です。PC調達も、リースだけでなく、キッティング、保管、代替機送付を含むレンタルへ移る企業が増えています。参照:MM総研 法人PC運用管理・保守サービス市場調査
スマートフォンでは端末価格上昇を背景に中古端末の法人利用も広がっています。MM総研の中古スマートフォン市場調査では、2025年度時点でスマホ市場全体に占める中古端末比率は10.3%とされ、5年前の約2倍に達しています。参照:MM総研 中古スマートフォン市場調査
外注を検討する際は、見積もり比較だけでなく、選定基準やRFP作成のポイントをまとめたキッティングアウトソーシングの費用相場と業者選定の決定版を参考にしてください。
キッティング、在庫管理、配送、不要端末の回収までをまとめて検討する場合は、年158万円削減できる物理運用代行として Admina デバイス倉庫プラン も選択肢になります。「年158万円削減」はAdmina社が公表している試算値です。
PC・スマホ・iPadのキッティング範囲と基本工程
PC・スマホ・iPadのキッティング範囲は、端末初期化、アプリ配布、セキュリティ設定、資産登録、配送後確認までです。
PCキッティングは、担当者ごとの判断を減らすほど品質が安定します。手順書とチェックリストを固定し、作業結果を台帳へ残す運用にします。
端末の開梱、外観確認、付属品確認
OSバージョン確認、更新プログラム適用
標準アプリ、EDR、VPN、プリンタードライバー導入
暗号化、パスワード、画面ロック、管理者権限制御
Microsoft Entra ID、Active Directory、MDMへの登録
資産番号、シリアル番号、MACアドレスの台帳登録
利用者別梱包、配送、初回ログイン確認
完了チェックリスト
カテゴリ | チェック項目 | 確認 |
|---|---|---|
開梱・外観 | 筐体・画面・キーボードに破損がない | ☐ |
開梱・外観 | ACアダプター・ケーブル・同梱物が揃っている | ☐ |
OS | 指定OS・指定エディション・指定ビルドである | ☐ |
OS | コンピューター名が命名規則に合っている | ☐ |
OS | ライセンス認証が完了している | ☐ |
セキュリティ | EDRまたはウイルス対策が稼働している | ☐ |
セキュリティ | OS更新プログラムが最新状態である | ☐ |
セキュリティ | BitLockerまたはFileVaultの回復キーを台帳へ登録済みである | ☐ |
アプリ | Microsoft 365など標準アプリが導入済みである | ☐ |
ネットワーク | VPN・Wi-Fi・プロキシ設定が適用済みである | ☐ |
周辺機器 | プリンタードライバーと印刷テストが完了している | ☐ |
資産 | 資産管理ラベルを規定位置に貼付した | ☐ |
資産 | シリアル番号・利用者・管理番号を台帳に登録した | ☐ |
出荷 | 初回ログイン手順と注意事項を同封した | ☐ |
出荷 | 配送先・利用開始日・問い合わせ先を確認した | ☐ |
▲ 15項目チェックリスト。手順書とセットで使用し、完了後は台帳へ記録してください。
iPhone・iPad・Androidの注意点
iPadキッティングとは、Apple Business ManagerとMDMを連携し、端末起動時に組織の管理プロファイル、アプリ、パスコードポリシー、機能制限を自動適用することです。AppleのAutomated Device Enrollmentを使うと、正規販売店で購入した端末が組織にひも付き、利用者が初期設定を進めるだけで監視モードとMDM登録が完了します。参照:Apple Business Managerユーザガイド
AndroidではAndroid Enterpriseで仕事用プロファイルを分離し、業務アプリと個人領域を分けて管理します。スマホのキッティングでは、紛失時のリモートワイプ、SIM管理、認証アプリの初期登録まで範囲に含めると運用後の問い合わせを減らせます。
詳しい手順書の作り方は 7工程の作業内容と手順書の作り方 も参考になります。
工程とチェックリストを固定する具体的な手法は、実践的なフォーマットを掲載したPCキッティング手順書サンプルの作り方と効率化のコツが役立ちます。
具体的なキッティング作業の流れや、ミスを防ぐためのマニュアル作成については、PCキッティング手順書サンプルの作り方と効率化のコツが参考になります。
▲ 端末の受入から配送完了までのキッティング基本5ステップ
キッティング自動化ツールとゼロタッチの選び方
2026年の主流は、クローニング中心のキッティングから、MDM、Windows Autopilot、PPKGを使う自動展開へ移行することです。
キッティングツールとは、端末の初期設定、アプリ配布、ポリシー適用、台帳登録を自動化する仕組みです。PCではMicrosoft Intune、Windows Autopilot、プロビジョニングパッケージ、MacやiPadではABMとMDM、AndroidではAndroid Enterpriseが代表例です。
方式 | 向いている企業 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
手作業 | 50台未満・構成が単純 | 初期費用が低い | 属人化しやすく、設定漏れが出る |
クローニング | 同一機種を短期に大量展開する企業 | 展開速度が速い | 2026年7月以降は再イメージング権の契約確認が必須。OEM版の複製はライセンス違反リスクあり |
PPKG(プロビジョニングパッケージ) | Intune未整備だが自動化したい企業 | USB等で設定を流し込める。クローニングのライセンスリスクを回避しやすい | 高度な継続管理は別途MDMが必要 |
ゼロタッチ(Autopilot/ABM) | 拠点分散・在宅勤務・大規模展開 | 端末を利用者へ直送でき、情シス不在でも設定完了 | 事前のID・MDM・ネットワーク設計が必要。リセラーへのデバイスID登録依頼も必須 |
▲ 2026年以降はクローニングからPPKG・ゼロタッチへの移行が推奨されます。
ゼロタッチキッティングとの違い
通常のキッティングは情シスまたは業者が端末に触れて設定します。ゼロタッチキッティングは、端末を購入時点で組織に紐づけ、利用者が電源を入れてサインインするとクラウドから設定が自動適用される方式です。Microsoft LearnでもWindows Autopilotは新しいWindowsデバイスの設定と事前構成を簡素化する機能として説明されています。参照:Microsoft Learn Windows Autopilot
PPKGは第3の選択肢
プロビジョニングパッケージは、Windows構成デザイナーで作成したPPKGファイルをUSBメモリなどから適用し、アカウント、Wi-Fi、アプリ、ポリシーをまとめて反映する方式です。Autopilotに必要なクラウド環境が未整備でも、OSを複製しないためクローニングのライセンスリスクを避けやすくなります。
ゼロタッチの設計やMDM連携は ゼロタッチデプロイメント導入ガイド|MDMとAutopilotでキッティング自動化を実現 で解説しています。自動化ツール全体の比較は キッティング業務を自動化する方法|役立つツールと実践手法を解説 も併せて確認してください。
2026年以降のモダン管理を見据えて最適な仕組みを選ぶために、キッティング自動化おすすめツール比較と導入のロードマップをぜひお役立てください。
近年注目されている、端末に触れずに初期設定を完了させる手法については、ゼロタッチキッティング導入手順と失敗しないポイントで詳しく解説しています。
2026年以降の主流となる、開封せずに設定を完了させる仕組みの詳細は、ゼロタッチキッティングの具体的な導入手順と失敗しないポイントで解説しています。
▲ 自社に最適なキッティング方式を決める意思決定フロー
キッティングでやってはいけない失敗パターン
キッティングの失敗は、標準化不足、事前登録漏れ、ネットワーク設計不足、ライセンス違反に集中します。
失敗1:担当者ごとの手順で設定がばらつく
部署ごと、担当者ごとに手順が違うと、暗号化漏れ、EDR未導入、ローカル管理者権限の残存が起きます。対策は、標準仕様書とチェックリストを1つに集約し、変更履歴を残すことです。
失敗2:偽ゼロタッチで結局1台ずつ開封する
AutopilotやMDMを導入しても、リセラーにデバイスIDの事前登録を依頼していないと、情シスが1台ずつ開封してCSVを抽出する作業が残ります。PC発注時に、IntuneへのAutopilot登録代行を契約条件へ入れる必要があります。
失敗3:ABM非対応ルートでiPadを購入する
量販店などで購入したiPadが組織のApple Business Managerに自動連携できない場合、ADEによるゼロタッチが使えません。Apple Configuratorで後から紐付ける方法はありますが、台数が増えるほど手作業が膨らみます。
失敗4:一斉起動でオフィス回線を詰まらせる
数百台のWindows 11端末を同時に起動すると、OS更新やMicrosoft 365、業務アプリのダウンロードが集中します。Delivery Optimizationの設定、展開スケジュールの分散、自宅直送によるセルフキッティングを組み合わせます。
失敗5:OEM版Windowsをマスターにしてクローニングする
PCにプレインストールされたOEM版Windowsを設定済みマスターとして他のPCへ複製する運用は、Microsoftのライセンス条件に抵触するリスクがあります。2026年6月末でCSPライセンスにおける再イメージング権の例外的な扱いが終了したため、2026年7月以降にクローニングを適法に続けるにはOpen Valueなどのボリュームライセンス契約と正規メディアの確認が必要です。参照:Microsoft ボリュームライセンスと再イメージング権
契約確認が難しい場合は、Windows Autopilot、Intune、PPKGへ移行するほうが安全です。ライセンス条件は販売形態で異なるため、最終判断はMicrosoft公式のライセンス条項と契約販売店で確認してください。
キッティング時のデバイス登録や台帳への自動反映をシームレスに行うためのMDM連携によるIT資産台帳自動更新の仕組みもあわせてご確認ください。
キッティング業者選定とLCM・ITADのチェックポイント
キッティング業者は、初期設定の安さではなく、調達から回収・データ消去までのLCM対応力で選定します。
キッティングは端末ライフサイクルの入口です。退職、故障、リプレイス時に端末を回収し、データ消去証明を発行できない業者では、出口で情報漏えいリスクが残ります。
確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
セキュリティ体制 | ISMS・Pマーク取得状況、入退室管理、防犯カメラ、作業ネットワーク分離 |
対応範囲 | 調達・保管・キッティング・配送・代替機・回収・廃棄まで一気通貫か |
モダン管理実績 | Windows Autopilot・Intune・ABM・MDMの実導入実績と担当者スキル |
料金透明性 | 基本単価・オプション・初期検証費・再作業費が明細で提示されるか |
ITAD対応 | データ消去方式(NIST SP 800-88準拠等)・消去証明書発行・リユース/リサイクルの記録 |
▲ 入口(キッティング)と出口(ITAD)を同一基準で評価することで、ライフサイクル全体のリスクを管理できます。
キッティングとITADを分けて考えない
ITADとはIT Asset Dispositionの略で、不要になったIT資産を安全に処分・再利用する管理プロセスです。NIST SP 800-88 Rev.1は2014年発行の媒体消去ガイドラインですが、2026年現在もNISTによって有効な標準として維持され、国内外のITAD実務で広く参照されています。参照:NIST SP 800-88 Rev.1 Guidelines for Media Sanitization
弘電社のLCMアウトソーシング事例
電気工事大手の株式会社弘電社は、年間約200台のPCキッティングについて、三菱電機デジタルイノベーション株式会社と連携し、キッティング、予備品管理、故障対応などのLCMプロセスを外部委託しました。公開事例では、繁忙期のキッティング作業負荷を従来の3分の1まで軽減し、担当者が工事会計システム改修などのコア業務へ時間を振り向けています。
キッティング後の台帳同期がガバナンスを決める
キッティング完了後、端末の割当て、SaaSアカウント、ライセンス情報が別々の台帳に残ると、退職者アカウントやシャドーITを見落とします。Adminaを使うと、デバイス情報とSaaSライセンス情報をAPIで自動同期し、不審なAIサービス利用や不要アカウントを検知できます。
調達、保管、退職時の回収まで一気通貫で外注したい場合は Admina デバイス倉庫プラン を確認してください。アウトソーシング先の選び方やRFP作成は キッティングアウトソーシングの選び方とおすすめ代行サービス解説 で詳しく整理しています。具体的に委託を検討する場合は、Adminaデバイス倉庫の詳細を見る→
端末調達からキッティング、そして最終処分に至るLCM全体の最適化手法は、デバイスLCM効率化のメリットと情シスの運用改善の秘訣で解説しています。
キッティングから廃棄・データ消去までを一貫して効率化する手法は、デバイスLCM効率化による情シスの工数削減と運用改善の秘訣で解説しています。
国内企業のゼロタッチ導入事例
国内企業の公開事例では、ゼロタッチ化によりキッティング工数の半減や数百台規模のセルフキッティング化が実現しています。
企業・規模 | 課題 | 施策 | 成果 |
|---|---|---|---|
株式会社アマナ | 従来MDMの設定・サポートが煩雑で、Mac展開に工数がかかっていた | Appleデバイス向けMDM「Iru」を導入し、ABMと連携 | Macセットアップ時間を従来比50%削減。少人数でも安定展開を実現 |
アルファテック・ソリューションズ株式会社 | マスターイメージ方式から脱却し、Windows 11 PCとiPhoneをセキュアに一斉導入したかった | Windows Autopilot・Microsoft Intune・Apple Business Managerを連携 | 利用者が起動してログインするだけのセルフキッティングへ移行 |
大規模製造業(社名非公開) | Windows 11更改で機種差分・GPO・マスター管理が限界に達していた | SCSK支援のもとWindows Autopilot展開基盤を構築 | 機種別マスターと作業スペースを削減し、大規模展開の負荷を大幅圧縮 |
▲ 各事例は公開情報をもとに整理。共通点は「情シスが端末に触れない」設計を先行して行った点です。
参照:Too Iru 株式会社アマナ導入事例、アルファテック・ソリューションズ公開事例
これらの事例に共通するのは、端末を情シスの作業場に集めて1台ずつ設定する発想から離れた点です。ID、MDM、アプリ配布、資産台帳を先に設計し、利用者の初回サインインを展開の起点に変えています。
ゼロタッチ化を進める上で重要となる、各種デバイスの台帳登録を自動化するMDM連携の仕組みとJamf等との棲み分けも事前に押さえておきましょう。
よくある質問
Q:キッティングとセットアップの違いは何ですか?
A:キッティングとセットアップの違いは、対象と目的です。セットアップは1台を使える状態にする初期設定で、キッティングは複数台へ企業標準の設定とセキュリティを統一適用する業務です。
Q:PC・スマホのキッティング範囲はどこまでですか?
A:PCではOS設定、アプリ導入、暗号化、MDM登録、資産台帳登録までが範囲です。スマホやiPadでは、ABMやAndroid Enterpriseを使ったMDM登録、アプリ配布、リモートワイプ設定まで含めます。
Q:キッティングの外注費用相場はいくらですか?
A:基本作業は1台3,000〜5,000円、標準的な法人PCキッティングは1台7,000〜12,000円が目安です。AutopilotやMDM設計を含む高度な外注では、1台15,000円以上に加えて初期設計費が発生することがあります。
Q:キッティング自動化ツールには何がありますか?
A:代表的なキッティング自動化ツールは、Microsoft Intune、Windows Autopilot、PPKG、Apple Business Manager、各種MDMです。IntuneやMDMは継続管理、PPKGはクラウド環境が未整備な企業の初期自動化に向いています。
Q:ゼロタッチキッティングとの違いは何ですか?
A:通常のキッティングは情シスや業者が端末に触れて設定します。ゼロタッチキッティングは、利用者が端末を起動してサインインするとクラウドから設定が自動適用される方式です。
Q:kittingとは英語でどのような意味ですか?
A:kittingは、必要な部品や道具を一式にまとめて準備するという意味です。ITでは、PCやスマホを業務利用に必要な構成へ整える初期構築作業を指します。
Q:PCキッティングを内製と外注で比較する基準は何ですか?
A:50台未満は内製、50〜300台は標準作業の部分外注、300台超は外部委託またはゼロタッチ化が目安です。判断時は外注単価だけでなく、情シス担当者の作業時間、設定漏れ、再作業、問い合わせ増加まで含めて比較します。
Q:クローニングを使ったキッティングは2026年以降も続けられますか?
A:OEM版Windowsをマスターとして他PCへ複製する方法は、Microsoftのライセンス条件に抵触するリスクがあります。2026年7月以降にクローニングを適法に続けるには、Open Valueなどのボリュームライセンス契約と正規メディアの確認が必要です。不明な場合はWindows Autopilot・PPKG・Intuneへの移行が安全です。
Q:キッティング後に資産台帳の同期を怠るとどうなりますか?
A:退職者のアカウントや未把握のSaaSライセンスが残り、情報漏えいや無駄なコストの原因になります。キッティング完了時点でデバイス情報・利用者・ライセンスを同期し、退職・異動時の回収フローと連動させることが重要です。
Q:iPadキッティングでABM非対応端末はどう扱えばよいですか?
A:量販店購入など正規販売ルート以外のiPadはApple Business Managerに自動連携できません。Apple Configuratorを使って後から組織に紐付ける方法はありますが、台数が増えるほど手作業が膨らみます。今後の調達は必ずABM対応の正規販売店・Apple認定リセラー経由にすることを推奨します。
まとめ
キッティングは、端末を配る前の作業ではなく、企業のセキュリティとIT資産管理を始める入口です。まずは現在の作業を「共通キッティング」「部署別キッティング」「個別セットアップ」に分け、50台未満はチェックリスト化、50台超は部分外注、300台超はゼロタッチ移行を検討してください。2026年以降はクローニング前提の運用を見直し、Autopilot、PPKG、MDM、台帳同期までを一体で設計することが最短の改善策です。
✅ 現在の作業を「共通キッティング」「部署別キッティング」「個別セットアップ」の3階層に仕分ける
✅ クローニングを使用している場合は、ライセンス契約(ボリュームライセンス等)の状況を確認する
✅ 導入規模に応じてMDM・Autopilot・PPKGのいずれかを自動化の起点として選定する
✅ キッティング完了後の台帳同期と、退職時の端末回収・ITAD対応まで設計に含める
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
マネーフォワード Adminaが提供するIT資産管理プラットフォームです。
380以上のSaaSとAPI連携し、210種類以上のAIサービスを検知。
デバイス・アカウント・SaaSの3つの台帳を統合管理し、情シスの入退社対応・棚卸し工数を大幅に削減します。
中小企業から大企業まで、情シス・管理部門・経営層を支えるIT管理基盤です。









