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近年、企業のDX推進やクラウドサービスの普及に伴い、情報漏洩やサイバー攻撃への備えが不可欠となっています。こうした中で自社の情報管理体制を客観的に証明できる「ISMS認証」の重要性が極めて高まっています。本記事では、2026年最新の規格要件(JIS Q 27001:2023および2025年追補)に基づき、ISMSの基礎知識から取得ステップ・取得期間、規模別のリアルな費用、Pマーク(プライバシーマーク)との根本的な違い、そして近年主流となっているISMSオートメーションツールを活用した近代的な運用手法までを徹底解説します。※本記事は2026年の最新市場トレンドや規格改訂に基づき、実務に必要な情報を包括的に網羅しています。
※本記事は、ISMS審査員補資格保有者およびISO/IEC 27001の導入支援経験を持つ情報セキュリティコンサルタントの監修のもと作成されています。
外部ツールを導入する際もISMSを取得したシステムが安心です。また、自社のセキュリティレベルを高めるためにも本稿の内容をご活用ください。ISMSの周辺知識や情報セキュリティの詳細に関しては、こちらの情報セキュリティとはの記事もご覧ください。また、ISO/IEC 27001について深く知りたい方はこちらのISO27001とはを参考にしてください。

ISMS認証とは
本記事のポイント
ISMS認証を取得すると、組織の情報セキュリティ管理体制が国際規格(ISO/IEC 27001)に準拠していることを第三者機関が証明し、取引先や顧客への信頼性が高まります。
2026年現在、旧規格は完全失効しており、最新の「JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)」への準拠が必須です。また、2025年追補「JIS Q 27001:2025」により、気候変動がISMSに与える影響の評価・文書化がサーベイランス審査で確認されるようになっています。
日本国内の取得組織数は8,579件(2026年6月時点、ISMS-AC公表)と増加傾向にあり、IT業界だけでなく非IT分野でも取引条件として取得が進んでいます。
ISMS認証とは、組織の情報セキュリティ管理体制が国際規格に準拠していることを第三者機関が証明する制度です。
ISMSは「Information Security Management System(情報セキュリティマネジメントシステム)」の略称であり、その基準となる国際規格がISO/IEC 27001(日本語規格:JIS Q 27001)です。組織が保有する情報資産の「機密性」「完全性」「可用性」をバランスよく維持・管理するための仕組みを指します。
2026年現在、一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の公表データによると、日本国内のISMS認証登録数は8,579件(2026年6月8日時点)に達し、日本は世界で第2位のISMS取得大国となっています。なお、旧規格(2013年版 / JIS Q 27001:2014)は、3年間の移行猶予期間を経て2025年10月31日をもって完全に失効しました。そのため、2026年以降の新規取得・更新審査は、100%最新規格である「JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)」に完全準拠している必要があります。最新規格では管理策が従来の114項目から93項目へと整理・統合されており、より現代のセキュリティ環境に即したスマートな運用(Modern ISMS)が求められます。
さらに、ChatGPTをはじめとする生成AIの普及に伴い、社外秘の情報や個人情報をAIに学習させないための「AIガバナンス」をISMSのルールに組み込む企業が急増しています。情報セキュリティを担保する仕組みと最新技術のルール作りを融合させることが現在のスタンダードです。情報資産の具体的な定義や分類方法については、こちらの情報資産とはをご参照ください。
ISMS認証を取得するメリットと国内企業の導入事例
認証取得により、対外的な信頼性向上と入札・大手取引要件のクリアが実現します。
ISMS-ACの統計(2018年発表データ)によると、日本国内の業種別取得割合は「情報技術(IT・ソフトウェア)」が約58%と過半数を占めますが、近年は「その他サービス業(約17%)」のほか、建設業や製造業、医療・福祉など非IT分野での取得も急増しています。これは、大手企業との新規取引や官公庁の入札要件として、ISMSマークの保有が必須条件とされるケースが増えているためです。特に企業のSaaS導入時には、提供会社のセキュリティ体制が厳しく評価されます。
国内企業におけるISMS認証の導入・成功事例
日本国内における実際のISMS認証導入・成功事例を、フォーマットを統一してご紹介します。
事例1:日揮ホールディングス株式会社(JGC Digital株式会社)
業種・規模: 建設・エンジニアリング/グループ会社
導入時期: 2023年8月
課題→施策→成果: グループ全体のDX推進に伴い、グローバルでのITガバナンスとクラウドセキュリティの強化が急務であった。そこで、通常のISMS(ISO/IEC 27001)に加え、クラウドセキュリティのアドオン規格である「ISO/IEC 27017」を同時かつスピード取得。これによりクラウド利用における強固なIT統制体制を確立し、顧客への信頼証明に繋げた。
事例2:株式会社HRbase
業種・規模: IT・スタートアップ(労務管理AI開発)
導入時期: 2026年1月
課題→施策→成果: 自社が提供するAIサービスに、顧客がセンシティブな労務データを入力するにあたってのセキュリティ懸念を払拭する必要があった。そこで、ISMSを新規取得するとともに「AIに入力した情報の非公開保護」などのAIガバナンスを内部ルールに統合。導入企業(1,000社超)の懸念を解消し、スムーズな新規商談獲得に成功した。
事例3:DIGGLE株式会社
業種・規模: IT・SaaS(予実管理プラットフォーム提供)
導入時期: 2024年12月
課題→施策→成果: 従来、約50種類におよぶExcelのセキュリティ台帳が散在しており、更新などの運用負荷が肥大化していた。そこでISMSオートメーションツールである「SecureNavi(セキュアナビ)」を導入。管理・文書作成をクラウドに一本化することで、ISMS運用にかかる管理工数の4割削減(約40%削減)を達成した。
ISMS認証の評価基準と気候変動対応(JIS Q 27001:2025)
評価基準は、最新規格の要求事項に基づくリスクマネジメントプロセスの適切な運用です。
ISMSの審査は、ISO/IEC 27001(JIS Q 27001)の本文(箇条4〜10)と、付属書Aに記載された管理策に基づいて行われます。2022年の改訂によって、管理策は「組織」「人的」「物理」「技術」の4カテゴリ・計93項目に再編されました。審査機関は、これらの基準に従って組織が「自ら決めたルールを継続的にPDCAサイクルで運用できているか」を評価します。
また、2024年に発行されたISOマネジメントシステム規格共通改訂(MSS共通テキストの改訂)を受け、日本国内においては2025年に「JIS Q 27001:2025(気候変動追補)」が発行されました。これにより、2026年現在の審査プロセスでは、「組織の状況(箇条4.1 / 4.2)」の分析において『気候変動が自社のISMSに与える影響』を検討・文書化しているかどうかが実質的なチェックポイントとなっています。具体的には、台風や豪雨などの自然災害による「データセンターの停電リスク」や、それに伴う「サプライチェーンの寸断リスク」などへの物理的・組織的な予防対策が問われます。
ISMSと親和性の高い最新のAIマネジメントシステム規格については、こちらのISO 42001(AIMS)の概要とISMSとの統合運用におけるポイントで詳しく解説しています。
ISMS認証取得の流れとタイムライン
取得には段階的なステップが必要であり、通常6ヶ月〜1年程度の準備期間を要します。
従来のISMS取得プロセスでは「分厚いマニュアルの作成」「全従業員へのExcel台帳を用いた個別教育」など、多大なアナログ作業に半年〜1年以上の時間を要していました。しかし現代では、ExcelやWordを一切使わず、「SecureNavi(セキュアナビ)」「セキュリオ」「ISMSアシスト」などのISMSオートメーションツール(SaaS)を活用する手法が一般化しています。これによりドキュメント作成やリスク評価の工数を極限まで減らし、最短3〜4ヶ月でのスピード取得を実現する事例が頻出しています。リスク評価の具体的な進め方は、こちらのリスクアセスメントとはをご確認ください。
フェーズ | 期間の目安 | 主な実施内容 | 効率化のポイント(ツールの活用) |
|---|---|---|---|
1. 準備・現状分析 | 1ヶ月目 | 適用範囲の特定、体制構築、基本方針(セキュリティポリシー)の策定 | ツールのテンプレートを用い、骨子を迅速に作成 |
2. リスクアセスメント | 2〜3ヶ月目 | 情報資産の洗い出し、リスク評価、対策の決定 | 資産管理やリスク評価、対策決定をクラウド上で一元管理 |
3. ルール策定・教育 | 4〜5ヶ月目 | セキュリティルールの明文化、従業員向けセキュリティ教育 | クラウド上でのeラーニング実施と受講状況の自動記録 |
4. 運用と内部監査 | 6〜7ヶ月目 | ルールの運用開始、内部監査の実施、マネジメントレビュー | タスク管理機能による監査エビデンスの自動回収・一元化 |
5. 外部審査と取得 | 8〜9ヶ月目 | 審査機関による第1段階審査・第2段階審査、指摘事項の改善 | 審査員へのドキュメント共有をクラウド上でスムーズに完結 |
▲ ISMS認証取得までの4つのステップとタイムライン
ISMS認証の維持管理とよくある失敗パターン
認証の有効期限は3年間であり、毎年の維持審査と定期的なルール改善が義務付けられています。
ISMS認証は一度取得して終わりではなく、3年間の有効期間中に、1年目・2年目の「サーベイランス審査(維持審査)」、3年目の「更新審査」をクリアし続ける必要があります。実務において、多くの企業が陥りがちな2つの代表的な失敗パターンとその対策を紹介します。
実務におけるよくある失敗パターンと対策
失敗①:Excel・Word管理にこだわり「形骸化」する(自滅パターン)
審査を意識するあまり、「パスワードは16桁以上かつ毎月変更を強制する」といった厳しすぎるルールを作ってしまい、日常業務に支障をきたすケースです。ルールが厳しすぎると現場は「守らない・守れない」状態になり、形骸化した大量のExcel台帳の更新だけが情シス部門の負担になります。【対策】:不要な文書は作らない。最新規格(2022年版)は管理策が大幅に整理されたため、最初から必要最小限のルールに留める「Modern ISMS(スマートなISMS)」を設計することを推奨します。セキュリティ基本方針の作成については、こちらのセキュリティポリシーとはを参照してください。
失敗②:コンサル丸投げで社内にノウハウが残らず「形骸化」する
外部コンサルティング会社に全て任せたことで、コンサル撤退後に誰もルールの意味を理解しておらず、マニュアルだけが残る「仏作って魂入れず」の状態になるケースです。維持審査のたびに再びコンサルを呼ぶ費用が発生し、社内への定着が進みません。【対策】:「ISMSオートメーションツール(SecureNavi等)+伴走型オンラインサポート」を活用し、自社主導でISMSを構築・運用する手法を選択することが重要です。ツールの操作を通じて社内担当者がノウハウを蓄積でき、コンサル費用を大幅に削減しながら継続的な自社運用を実現できます。
ISMS認証にかかるリアルな費用とコスト削減策
費用は企業の規模や取得アプローチによって大きく異なり、初期だけでなく毎年の維持費用の予算化が必須です。
ネット上の一部記事にある「維持費用は年間数万〜数万円程度」という記述は重大な誤りです。実際には、審査機関へ支払う審査料(サーベイランス審査費用、更新審査費用)が毎年必ず発生するほか、運用工数や外部コンサルティング費用などが必要になります。以下に、想定読者の規模別におけるリアルな費用試算表を示します。
企業規模(従業員数) | 初期費用(コンサル料+審査料) | 年間維持費用(審査料+ツール料等) | 取得期間の目安 |
|---|---|---|---|
50名未満(小規模) | 約100万〜150万円 | 約30万〜60万円 | 6〜8ヶ月 |
50〜300名(中規模) | 約150万〜250万円 | 約60万〜120万円 | 8〜10ヶ月 |
300名超(大規模) | 約300万円〜(個別見積もり) | 約150万円〜 | 10〜12ヶ月 |
従来の「コンサルティング会社に丸投げするスタイル(初期費用100万〜200万円+月額数十万円)」はコストが高く、社内にノウハウが残らないデメリットがありました。これに対し、現在は「月額3万円台からのISMS管理ツール(SecureNavi等)+オンライン伴走サポート」に切り替える企業が増えています。ツールを用いて自社主導で構築・運用を行うことで、初期コストを半額以下に抑え、維持コストも大幅に削減可能です。
ISMS認証とPマーク(プライバシーマーク)の違い
ISMSは情報資産全般を対象とし、Pマークは個人情報の保護に特化しているという根本的な違いがあります。
自社のセキュリティ証明としてどちらを取得すべきか、具体的な違いを比較表で解説します。
比較軸 | ISMS認証(ISO/IEC 27001) | プライバシーマーク(Pマーク) |
|---|---|---|
対象とする情報資産 | すべての情報資産(顧客データ、技術、ノウハウ、財務情報など) | 個人情報のみ(顧客、従業員の個人データ) |
評価基準と規格 | 国際規格(ISO/IEC 27001) | 日本国内規格(JIS Q 15001) |
適用範囲 | 部門単位、拠点単位、特定のSaaS事業単位など部分取得が可能 | 法人(事業者)全体での取得が必須 |
パスワード等のルール | 自社のリスクアセスメントに基づき柔軟に決定(例:12桁以上+多要素認証など) | 規格のガイドラインに基づく具体的な管理(近年は複雑性の確保にシフト) |
更新周期 | 3年(毎年の中間審査あり) | 2年(2年ごとの更新審査のみ) |
「個人情報を守るためにPマークかISMSか」の2者択一だけでなく、近年は第3の選択肢として、個人情報保護の国際規格である「ISO/IEC 27701(PIMS)」が注目されています。従前(2019年版)は「ISMSを取得していないと追加取得できない(アドオン規格)」でしたが、2025年10月に発行された最新改訂版(ISO/IEC 27701:2025)により、ISMSを取得していなくても「PIMS単独での認証取得」が可能になりました。グローバル展開や海外取引を見据えた個人情報保護体制を構築する企業にとって、非常に有効な選択肢です。
また、AWSなどのクラウドを常用するビジネス環境においては、通常のISMSに加え、クラウドセキュリティに特化したアドオン規格「ISO/IEC 27017(ISMSクラウドセキュリティ認証)」を同時取得することで、自社のセキュリティレベルをより強固に証明することができます。Pマークとの比較に加え、近年注目を集めるAIマネジメントシステムの国際規格であるISO 42001(AIMS)の規格要件とISMSとの違いをまとめた完全ガイドも参考にしてください。なお、今後はこれら複数のマネジメント規格を効率的に重ね合わせて運用する『AIMSとの統合運用』に関する詳細な解説記事を公開予定です。AIの業務活用が急速に広まる現代の情シス部門は、統合運用による管理工数の最適化手法としてぜひご注目ください。
▲ ISMS認証とプライバシーマーク(Pマーク)の決定的な3つの違い
▲ 自社に最適なのはどっち?ISMSとPマークの選択フローチャート
よくある質問
Q:ISMS認証を取得するまでにどのくらいの期間がかかりますか?
A:企業の規模や組織体制によって異なりますが、準備から認証取得までは一般的に6ヶ月から1年程度が必要となります。近年はISMSオートメーションツール(SaaS)を活用することで、ドキュメント作成の手間を省き期間を短縮する企業も増えています。
Q:ISMS認証を取得するにあたり、パスワードの最低文字数などのルールは決まっていますか?
A:ISMS規格自体が「〇桁以上」のような一律のパスワード数値を強制することはありません。自社のリスクアセスメントに基づき、業務の効率性と安全性のバランスを考慮して「12桁以上かつ多要素認証(MFA)を必須とする」など、現実的で持続可能な運用ルールを決定します。
Q:維持費用が高額になると聞きましたが、毎年どの程度のコストを見込むべきですか?
A:維持には、毎年行われるサーベイランス審査(約数十万円)と、3年ごとに行われる更新審査(約数十万円〜数百万円、組織規模による)の審査費用が必ず発生します。これらの審査機関へ支払う費用に加えて、社内の運用工数や外部ツールの利用料などを総合的に見込んで予算化する必要があります。
Q:2025年10月に旧規格(ISO/IEC 27001:2013)が失効しましたが、移行審査を受けていない場合どうなりますか?
A:旧規格(2013年版)に基づく認証は2025年10月31日をもって完全に無効となっています。移行審査を受けていない場合は認証自体が失効した扱いとなるため、新規取得と同様のプロセスで最新規格(JIS Q 27001:2023)の認証を取り直す必要があります。まだ移行が未完了の場合は、速やかに審査機関へ相談することをお勧めします。
まとめ
ISMS認証を自社の成長と信頼に繋げるために
ISMS認証は、現代のデジタル社会において、取引先や顧客に対して強固な情報セキュリティ体制を客観的に証明するための「信頼のパスポート」です。しかし、認証の取得や維持を「目的」にしてしまい、過度に厳しいルールを定めて業務を停滞させては意味がありません。
まずは明日から取り組める最初の一歩として、「自社の最も守るべきコアな情報資産を3つ洗い出す」ことから始めてみましょう。また、管理工数を大幅に削減したい場合は、最新のISMSオートメーションツールの無料デモや無料トライアルを試し、現代的なスマートなISMS運用(Modern ISMS)のイメージを掴むことをお勧めします。自社の事業規模や環境に最適な手段を選択し、ビジネスの成長を支える強固な情報セキュリティ体制を構築していきましょう。
✅ 自社の最も守るべきコアな情報資産を3つ洗い出す
✅ 現行のISMS規格(JIS Q 27001:2023)への準拠状況を確認する
✅ ISMSオートメーションツールの無料デモ・トライアルを申し込む
✅ 審査機関への相談・見積もりを取得し、予算と取得期間を試算する
本記事の内容に誤り等がございましたら、こちらからご連絡ください。
監修
Admina Team
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