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最終更新日
2025/09/24
日々巧妙化し、増加し続けるサイバー攻撃。日本にいる私たちも、企業や個人を問わず、常にその見えない脅威に晒されています。その脅威をわかりやすく確認できる方法が、サイバー攻撃をリアルタイムで可視化する技術です。世界中で発生している攻撃が、いつ、どこから、どこへ向かっているのかを地図上で視覚的に把握できます。IPアドレスの情報を活用することで、攻撃元や攻撃先を地図上にプロットし、攻撃の流れをリアルタイムでを可視化し、詳細な分析が可能です。
この記事では、サイバー攻撃のリアルタイムサイトの仕組みから、セキュリティ対策への活かし方、そして誰でも無料で利用できる最新のツールまで、分かりやすく解説します。これらのツールを使えば、サイバー攻撃の動向をリアルタイムで把握することが可能です。
サイバー攻撃の現状と可視化の必要性
近年、サイバー攻撃はますます巧妙化・多様化しており、企業や個人を狙った脅威が世界中で拡大しています。特に標的型攻撃やランサムウェアによる被害は急増しており、被害額も年々増加傾向にあります。こうした状況下で、サイバー攻撃の可視化は非常に重要な役割を果たします。
攻撃の可視化とは、ネットワーク上で発生する異常な動きをリアルタイムで監視し、攻撃の兆候を視覚的に捉える技術です。これにより、企業は不正アクセスやマルウェア感染などのリスクを早期に発見し、迅速なセキュリティ対策を講じることが可能となります。攻撃を可視化し、視覚的に把握することで、経営層や現場の担当者も現状を直感的に理解でき、組織全体での危機意識の共有や対策強化につながります。
サイバー攻撃の脅威は、もはや一部の大企業だけでなく、あらゆる規模・業種の企業や個人にとって現実的なリスクとなっています。攻撃の可視化を通じて、日々変化する脅威の動向を把握し、的確なセキュリティ対策を実施することが、今後ますます重要になっていくでしょう。
サイバー攻撃をリアルタイムで可視化する仕組み
多くのセキュリティ企業や研究機関は、世界中に設置したセンサーや、ハニーポットと呼ばれるおとりのシステムで脅威データを収集しています。ハニーポットは、攻撃者をおびき寄せるために意図的に脆弱性があるように見せかけたシステムで、攻撃者の手法や目的を探るために設置されます。また、スキャン活動や不審なパケットの通信も観測され、これらのデータから攻撃の侵入経路を特定することができます。
そこで観測された膨大な量の攻撃データをリアルタイムに集約・分析し、地図上にプロットすることで、私たちはサイバー攻撃の現状をリアルタイムで捉えることが可能になるのです。これらのデータは可視化エンジンによって処理され、攻撃の傾向や発生源が視覚的に示されます。
サイバー攻撃の種類と対策
サイバー攻撃にはさまざまな種類が存在し、それぞれに異なる脅威と対策が求められます。代表的なものとして、DDoS攻撃、ランサムウェア攻撃、標的型攻撃、サプライチェーン攻撃などが挙げられます。
DDoS攻撃は、Webサイトやサーバに大量のリクエストを送りつけ、サービスを停止させることを狙う攻撃です。ランサムウェア攻撃は、企業や個人のデータを暗号化し、復旧のために身代金を要求する手口で、近年特に被害が拡大しています。標的型攻撃は、特定の企業や組織、個人を狙い撃ちにする高度な攻撃で、情報漏洩や業務妨害など深刻な被害をもたらします。さらに、サプライチェーン攻撃は、取引先や協力会社などを経由して本来の標的に侵入し、広範囲に影響を及ぼすのが特徴です。
これらの攻撃に対抗するためには、サイバー攻撃可視化ツールを導入し、リアルタイムで攻撃の動向を把握することが不可欠です。可視化ツールを活用することで、攻撃の兆候を早期に検知し、迅速な対応が可能となります。たとえば、NICTER AtlasやKaspersky Cyberthreat Real-Time Map、Digital Attack Mapなどの可視化ツールは、世界中のサイバー攻撃の動向を視覚的に把握できる代表的なサービスです。
また、可視化ツールの導入だけでなく、従業員のセキュリティ意識向上や、セキュリティポリシーの見直し・強化も重要な対策となります。企業全体で攻撃の可視化を意識し、日々変化する脅威の動向を把握しながら、適切なセキュリティ対策を講じていくことが、被害の最小化につながります。
サイバー攻撃をリアルタイムで可視化できる無料サイト
世界中のサイバー攻撃をリアルタイムで観測できるウェブサイトは複数存在します。中には未使用のIPアドレスへの攻撃やスキャン活動も観測され、サイバー空間の脅威動向を把握するのに役立っています。その多くは無料でアクセスでき、世界のサイバーセキュリティの現状を手軽に知ることができます。これらのサイトは、攻撃の発信源や攻撃の種類などが視覚的に示され、脅威の全体像を把握するのに有効な手段とさ れています。
Kaspersky Cyberthreat Real-Time Map
セキュリティソフトで有名なKaspersky社が提供するサイトです。3Dの地球儀上に、同社製品が検知したウイルス、ネットワーク侵入、スパムといった脅威がリアルタイムで表示されます。地球儀を回転させながら、特定の国の感染状況ランキングなどを確認でき、ビジュアル的に非常に分かりやすいのが特徴です。サイバー攻撃の種類によって色分けされており、直感的に世界の脅威状況を把握できます。
NICTER
NICTERは、日本の国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が運営する、サイバー攻撃統合分析プラットフォームです。日本国内の状況を詳細に把握するのに適しています。特に、NICTER Atlasという3Dの可視化システムは、日本への攻撃状況をリアルタイムで詳細に表示し、どのポートが狙われているかといった技術的な情報も確認できます。国内のセキュリティ研究をリードする機関からの情報として、信頼性が高い点も特徴です。
Check Point Live Cyber Threat Map
イスラエルのセキュリティ企業Check Point社が提供するマップです。世界地図上で、リアルタイムに行われているサイバー攻撃の様子を線で結んで表示します。過去のデータも参照でき、特定の国を標的とした攻撃の統計情報なども見ることが可能です。シンプルなインターフェースで、攻撃の発生源と標的が一目で分かります。自社がビジネス展開している国々の脅威レベルを確認する際にも役立ちます。
Fortinet Threat Map
Fortinet社が提供するこのマップは、マルウェア、ボットネット、エクスプロイト(脆弱性攻撃)といった脅威をリアルタイムに可視化します。地図上に攻撃が光の線で表示され、どの地域でどのような種類の攻撃が活発であるかを把握できます。洗練されたデザインで、グローバルな脅威の動向を視覚的に理解するのに役立ちます。世界規模でのセキュリティ状況を概観したい場合に適したサイトです。
サイバー攻撃のリアルタイム情報を活用する方法
サイバー攻撃の可視化サイトをただ眺めているだけでは意味がありません。得られた情報を自社の、そして個人のセキュリティ対策に活かすことが重要です。
脅威の傾向を把握する
特定の国からの攻撃や、特定の種類の攻撃(ランサムウェアやDDoS攻撃など)が増加している傾向を掴みます。これにより、自社のシステムがその攻撃に対して脆弱でないかを確認し、必要なセキュリティパッチを適用したり、ファイアウォールの設定を見直したりするきっかけになります。
セキュリティ意識の向上に活用する
経営層や他部署の従業員にこれらのサイトを見せることで、サイバー攻撃が他人事ではないことを視覚的に伝えられます。セキュリティ予算の確保や、全社的な協力体制の構築に向けた説得力のある材料とすることも可能です。
スマートフォンでも常に警戒を
外出先でもセキュリティ意識を保つことが大切です。セキュリティベンダーが提供する公式アプリを通じて、最新の脅威情報や警告を受け取ることができます。フィッシングサイトへのアクセスを警告したり、不審な通信を検知したりする機能を活用し、迅速な対応につなげましょう。
まとめ
サイバー攻撃は、私たち一人ひとりに関わる現実の脅威です。今回紹介したようなリアルタイムサイトは、その見えない脅威を可視化し、私たちに警鐘を鳴らしてくれます。
KasperskyやNICTERといった無料で利用できるツールを活用し、世界で、そして日本で何が起きているのかをその目で確かめてみてください。情報は常に変化するため、最新の信頼できる情報源にあたることが不可欠です。これらの情報をただ眺めるだけでなく、自らのセキュリティ対策を見直すきっかけとし、具体的な行動に移していくことが、あなた自身の資産や情報を守る上で何よりも大切です。
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監修
Admina Team
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